2050年社会をユートピアにするかディストピアにするか(06)児浦准教授のEUU構想に希望
★共愛学園前橋国際大学の児浦准教授の講義を拝見したりゼミの生徒のみなさんとお話できる機会を得たりして、大学と自治体(南牧村)と民間セクター、行政セクター、非民間セクターのコラボレーション型都市創りに希望を感じたことについては、以前本ブログで取り上げました。今回改めて、児浦准教授が白石克孝教授・ 西芝雅美教授・村田和代教授が編集した「大学が地域の課題を解決する(2021年 株式会社ひつじ書房)」をSNSで紹介していたのを読んでみて、やはり私の確信通り、児浦准教授のチャレンジは、共愛学園前橋国際大学による独自のチャレンジであると同時に、西芝教授が行っている「社会に関与・貢献する都市型大学(EUU:engaged urban university)」づくりに重なっていると感じました。
★同書の中で、CBL(コミュニティー・ベースド・ラーニング)の要素として次のように8つあげています。
1.実質的な学習効果と有意義なサービスを生み出すのに十分な期間と適度なエンゲージメント活動
2.学習目標とプロジェクト目標の合致
3.系統だった組織的プロセス
4.学生、教職員、コミュニティのメンバー、および関連機関が互恵的(共創的)に協働する事で、共通の目標を達成し、またパートナーのすべてが能力を高める
5.学生が「公正性の観点」から物事を見る見るように指導する
6.教科の学問的学習目標達成に、少なくとも市民学習目標を加え、出来ればその他の学習カテゴリー(例えば、個人の人格形成、専門能力の養成、異文化対応能力、調査研究における倫理観の育成、研究能力)も加える
7.学びを生み出し、より良い実践を目指し、市民としてのアイデンティティを養成する事を念頭に置き、授業での体験を批判的に省察する
8.幅広く成果を評価する(白石克孝; 西芝雅美; 村田和代. 「大学が地域の課題を解決する 」(p.54). 株式会社ひつじ書房. Kindle 版)
★児浦准教授はさらにスタートアップ的な要素も加えていますが、重なるところもあります。「前橋×国際」の意味に改めて感じ入りました。
★また、児浦准教授とご一緒させて頂いてきた21世紀型教育機構で行っている中高段階でのPBLもこのCBLにきちんと接続することができるなという予感がし、今後の中高大連携の道がはっきり見えました。これは「希望」です!
★さらに、私事ですが、私の居住地の二子玉川もまた西芝教授が行っているポートランド州立大学のこのEUU実践が必要です。二子玉川は、楽天の移転と東急ライズが開発するまだまだエンゲージド・アーバン・コーポレーションの都市ですが、少なくとも私立中高一貫校が近隣に集積している場です。どこか協力的で強烈な大学が二子玉川でEUUができるといいのですが。共愛学園前橋国際大学と成城大学などがコラボしてやってくれるとありがたいですね〈微笑〉。
★というのも、成城学園ー二子玉川ー田園調布は国分寺崖線庭園都市なんです。最後の国土計画五全総のメインモデルはこの地域です。渋沢栄一―五島慶太の田園都市構想の継承だったのです。それは、多くの市民は気づいていませんが、意外と日常の中に取り入れられています。ただ、土日の多摩堤通りから玉川高島屋近辺にいたる渋滞は、とても環境にやさしい田園都市という感じではないですから、今では幻の田園都市構想でしょう。
★それでも、二子玉川はポートランドと新しいエコシティーの交流を開始しています。ポーオランドの都市景観は、スケールは違いますが、二子玉川にも似ています。ポートランドの日本庭園は、策定者は京都の造園家ですが、その修復には隈研吾さんがかかわったそうです。
★田園都市構想のモデルになっている日本庭園は、京都庭園ではなく、大名庭園です。この庭園と学校誘致とプレミアム住宅街をつくったのが五島慶太率いる東急電鉄ですが、それは今も継承されている構想です。
★渋谷が開発され、ヒカリエの向かい側に、渋谷スクランブルスクウェアというビルが建っています。その15階に渋谷QWSという新しい知の拠点があります。東急とJRとメトロが出資しています。今後世界の70%は都市化するといわれています。問題はユートピア都市にするのかディストピア都市にするのかですが、渋谷をユートピア都市のモデルにしようと、産学共同プロジェクトがその拠点からたくさん生まれています。
★たぶんこの渋谷QWSには児浦准教授もなんらかのカタチでかかわっていると思います。
★歴代の首相や岩崎家、高橋是清、五島慶太、森村家がこの二子玉川の国分寺崖線上の大名庭園型の別荘で、この田園都市構想を着々と描いていたのです。ただ、大学がまだ主体的ではないので、これからが希望ですね。
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