金子孝太郎先生との対話から気づいたこと
★前回、教師における「人的資本」とか「クリエイティブクラス」とか「創造的才能者」について書きながら、ふとある先生のことが思い浮かびました。それは東京私学教育研究所の研修委員会の1つ「教務運営委員会」でもお世話になっている金子孝太郎先生(本郷中学校・高等学校の教頭補佐)です。
★金子先生は数学教師としてプロフェッショナルですが、教科や学校の枠を越境して教務運営委員会の研修のコーディネートに協力してくださっています。研修を実施されているとき、大変忙しい中、ときどき対話をしていただきます。
★ほんの数分ですから、瞬間なのですが、最も重要なポイントをご教示いただけます。委員会のときもそうです。対話や議論は結果的にコアとバッファーの内容に整理されますが、最初は何がコアでバッファーなのかはわかりません。いや最後までよくわからないで終わる対話というより具体的状況の情報共有で終わることもしばしばです。
★このような情報共有は共感や共振しますから、充実感があります。しかし、次のステージやビジョンが見えずに終わりがちです。いまここでマインドフルネスであることは、仕事に忙殺され、高ストレスになっている現代人にとってとても大事です。
★しかし、金子先生のようにその共感共振した具体的な状況をコアとバッファーに分ける仮説(コアの正解はないので)を立てながら、プロジェクトを共に進行していくチーム作りは、試行錯誤の醍醐味だし、質的変容と成果を生み出します。
★おそらく金子先生の思考様式は、具体的状況を収集し、コアとバッファーに分けて、その過程で問いを立て、その解決のためのプロジェクトを遂行しながら、そのコアのさらなる世界共通性という抽象度が高品質のコンセプトレンズに仕立て上げていくタイプです。
★抽象度が高品質とは、そのコンセプトレンズから多様な具体的な状況が生まれ、その信頼性・正当性・妥当性が保証されるということです。もちろん、絶対的ということはないので、研修委員の先生方と対話を継続しながら修正し研磨していくのでしょう。
★かくして、プロフェッショナルな教師であると同時、学校を超えて教育を豊かにしていくための学校では不足しがちの社会のリソースをコネクテッドするパワーがあるわけです。コネクテッドするには、互いに根本的なところでつながっている必要がありますから、高品質な抽象思考が欠かせません。
★金子先生と対話すると、この高品質の抽象思考の部分を開いてくれますから、一瞬にして本質的なコアの部分を見通せるのです。そして、その見通しの向こうにビジョンが光り輝いているのです。
★世の中、たしかにSTEAM教育やグローバル教育など色とりどりのおもしろいプログラムが生み出されています。それは大いに結構なことなのですが、それらを丸かじりする高品質の抽象思考の育成が生徒にとっては大事です。もちろん私たち大人にとってもそうです。
★金子先生は、本郷にとって重要な「人的資本」だと思います。そして、東京のいや日本のいや世界の教育界にとっても得難い重要な教師です。未来の子供たちにとって希望の存在です。
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