2050年社会をユートピアにするかディストピアにするか(07)新しい物語を創る生徒たちのキャリアデザインへシフト 気を付けて、終焉したはずの大きな物語がゴーストとして闊歩しているライフデザインはまだ残っている
★今日は、昭和99年9月9日。来年昭和100年を記念するイベントがあるという。それは終焉したはずの大きな物語の残骸からようやく解放されるということを祝うのか、それとも大きな物語を懐かしむのか、それとも大きな物語の昭和の歴史に冷静に学ぶのか・・・いろいろな意味があるのだろう。
★ここ数日、そういう時代の変わり目ということもあってか、企業人が、このままだと日本は滅ぶとかなんとかメディアを騒がしている。今の幼児から30代までの人々がどんな社会を創ろうとしているのか?そのような社会が滅びるのか、彼らの才能を全開するのを抑えてきた日本社会が滅びるというのか、それは定かではない。しかし、こういう議論が出てくること自体は大いに歓迎である。
★「大きな物語」とか「小さな物語」とかいうレトリックは、フランスのポストモダニズムの現代思想から生まれてきたらしい。哲学的にどう解釈されているのか、それは学者に頼るしかないが、一般市民としては、果たして、その大きな物語は本当に終焉しているのかどうか疑わしい。ただ、一方でハラスメントリスクに対して、こんなにマネジメントしようという動きは、たしかに終焉という意識から生まれていることも確かだと思う。ジェンダー問題に対しての解決に動き出しているのも同じだろう。
★たしかに、終身雇用的な抑圧的な社会を、ライフシフトや働き方改革で共感的共生的社会に変えようという小さな物語がいっぱい生まれているのも事実だろう。しかし、一方でそう言っていながら、大学受験となるとまだまだ大きな物語の残骸というかそのゴーストに囚われているケースもみられる。文系・理系というのは大きな物語の残骸なはずだ。
★しかし、いまだにそのゴーストに囚われている。自分のやりたいこと=〇〇学部というのは、その極限であり、ゴーストが微笑んでいるのに気づかない。大きな物語は一見姿を消したが、小さな物語に微分化することによって、ゴーストは姿を現すことなく結局は大きな物語に積分するのだと微笑んでいる。
★かくして大きな物語の方程式はゴーストとして目に見えない。大事なものは目に見えないと言うが、最悪なものも目に見えないのだ。
★この大きな物語の方程式を新しい物語の方程式に転換しようとしているのが、幼児から30代の人々だ。もちろん、世代で輪切りは出来ない。年齢に関係なく、新しい物語をイメージしている人々はいる。
★しかし、実際に22世紀社会を現実的に創るのは、30代までの人々だ。彼らがゴーストに囚われないような新しい物語を描こうとする環境をアフォードする役割は、40代以上の人々は多少責任がある。
★自分のやりたいこと。それは大いに結構だ。しかし、その自分は新しい物語を描く自分なのか?それとも大きな物語のゴーストに囚われている自分なのか?
★中世に生まれた大学システムはいかに変容してきたのか?あまり変わっていないという考え方もあるし、普遍的な学問の場として変わる必要がないという考え方もある。でも、そのどちらでもない場合、新しい物語のキャリアデザインにシフトする大学(それが大学なのか呼び名は違うかもしれない)が現れてもいいかもしれない。
★そして、それはすでに着々と現れている。まだ日本の従来の大学にはそれはない。新しい動きは海外からやってきているし、日本も別の場所から動き出している。
★中高生のみなさん。みなさんは、自分の中から生まれる無限の価値を信じて欲しい。あるときは文学を学び、書を綴り、あるときは医療従事者になって公衆衛生で活躍し、あるときは教師として次代をさらに解放する。一人で何役でもできる時代が2050年にやってくる。というかそうするのが皆さんだ。
★みなさんの人生を一つに決める必要は何もない。もちろん、一つを一心に追究するもよし、多様な道を歩いてもよい。それを決めるのは、皆さん1人ひとりと皆さんが創る新しい物語を共有するコミュニティだ。1人ひとり10人の仲間とコラボする10人プロジェクトにチャレンジしてもらいたい。10の十乗のエネルギーはものすごい。もちろん、その10人プロジェクトは同窓会レベルではないけれど。
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