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2024年8月21日 (水)

2025年中学入試 次の次元に進む私学(03)女子学院と聖ドミニコ学園

★今年の私学展の各学校のブースは、シンプルなものが多かったですね。たとえば、女子学院と聖ドミニコ学園。従来は宗教的な理念を前面にだすと生徒募集に支障をきたすとか言われてきました。今でもそういう傾向は残っているでしょうが、勇気をもってあるいは未来に導かれてか、キリスト教主義の学校はそこが今大事なのだと表現しています。強欲資本主義が生み出してきた人間の本質を損なう悲惨な事件が世界中で見える化されtきているということもあるでしょう。ドイツの若き俊英の哲学者マルクス・ガブリエルが「倫理資本主義」などという書物を書き上げているということも世の中の次への希望を希求しているという象徴かもしれません。

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★女子学院のブースでは、同校の探究活動の理念を表現していました。同校は学習指導要領が「探究」を打ち出すずーっと前から探究的な活動を行ってきました。論文編集作業とその論文を基に小説に転換するというリベラルアーツ的な学びは、プロテスタントの学校の面目躍如ですね。

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★マックス・ウェーバーは今も読み継がれていますが、プロテスタントの勤勉・禁欲というエートス(倫理的価値)が近代資本主義を生み出す大きな要因で、なおかつウェーバーは同時にそのシステムは、より無駄をなくし合理的で効率よくなるのは当然だったと。そして、その弊害は予測していたでしょう。ニーチェを意識していたでしょうから、本質がなくなったとき、そのシステムは暴走すると、だから「政治」は大事だと。しかし、その政治も本質を見失ったとき、元の木阿弥ですね。このシンプルなジレンマを調整する歴史が近代から現代社会にまで続いていて、その強欲資本主義に耐えられなくなってきてリスク世界が到来した限界点に気づき始めたのが、今の学習指導要領にも埋め込まれています。社会課題を主体的に発見し、対話をしながら解決への道を深めていく学びをというわけでしょう。まさに女子学院が行ってきたことです。

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★聖ドミニコ学園は、そのマックス・ウェバーが、プロテスタンティズムの倫理が資本主義を生んだモデルは、カトリックの修道院のシステムだと語っているそのカトリックの価値観をアリストテレスの哲学と融合させて言語化したのがトマス・アクイナスですが、彼はドミニコ会士です。そのトマス・アクイナスに影響を与えた修道院の創設者聖ドミニコの精神を現代化しているのが同校です。

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★ドミニコの精神をベースに探究活動を行っていますが、それを「ドミニコ学」と名付けています。女子学院の3分の1のスモールサイズの学園ですから、目立ちませんが、大学合格実績や海外大学進学も着実に成果をあげています。グローバル教育とSTEAM教育をドミニコの世界の歴史に影響を与えた「対話」を土台に実践しています。

★現行の学習指導要領や世の中の新しい学びのコンサルタントが「対話」が大事だと活用していますが、その本質的な「対話」のマニュアルは、トマス・アクイナスが言語化しています。すでに700年以上前に。そして、そのマニュアルがパリ大学をはじめ、当時の大学の言語活動を規定していったのです。そして、驚くことに今もなお。聖ドミニコ学園では「ドミニコ学」で生徒が言語化する活動は、この精神のエッセンスを大切にするのは言うまでもありません。

★この想いと考えと活動が、実は、修道院が創ってきたシステム(時計を開発し、鐘を鳴らしていたのも修道院)を現代化してモデルにすることにならざるを得ない世界のスマートシティー化(世界の70%は都市化すると言われている)の時にダイレクトに役立つことは今はまだ気づかれていません。

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