2027年新学習指導要領 経済面が強く影響?
★2027年に改訂予定の新学習指導要領。中教審の動きを見ながら推察していくと、基本現行の学習指導要領の内容を変えるつもりはなさそうです。ただ、STEAM教育(積極的に中教審では、この言葉は使われていませんがDXと使っているし、文理融合も唱えているので、この教育を想定しているとみてよいでしょう)とグローバル教育という名の時空を超える教育は、多様性の背後にしっかり位置付けられていくでしょう。しかも、この多様性は、国の違いだけをいうのではなさそうです。
★こうなってくると、この2つの教育の背景には、イノベーションによる経済活動への寄与ができる人材づくりというのが見え隠れしてきます。教科学習の是非は、教育的価値よりも経済原則によって決定されているというのがよくわかります。
★人間の在り方をカタチづくる教育に各教科の基礎学力が必要だというのは、実は今までの資本主義経済活動を動かすために必要だっただけで、人間の本質的な在り方を支えるための基礎学力ではどうやらなかったということかもしれません。
★ですから、つい先ごろ行われた令和6年8月9日(金)中央教育審議会初等中等教育分科会(第 145 回)で配布された資料の中に、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024 年改訂版(主な初等中等教育関係記載の抜粋)」があったわけです。
★これはいうわまでもなく、デジタル田園都市構想の一環の話です。
★ここにきて、2050年を目標とした10個のムーンショット目標が定まり、「ムーンショット目標8」のシンポジウムでは、東京都教育委員会が後援するといころまできています。
★そして、「ムーンショット目標2」のプロジェクトの図が示すように、どの目標も学際知という文理融合的な科学技術が展開されるわけですが、そこに共通して現れてくるのが数理モデルというデータサイエンスです。
★現行学習指導要領の「探究」という学び方は「グローバル教育」「STEAM教育」の両方で重要な方法論です。地球規模の課題を解決するイノベーションを生み出すクリエイティビティ創発のトレーニングがより強調されます。
★そのための継続審議項目が、昨年出された「高等学校教育の在り方ワーキンググループ 中間まとめ」(令和5年8月31日)で次のように明記されています。
• 生徒の多様な学習ニーズに応えるための遠隔授業配信センターの体制等の在り方について
• 全日制・定時制・通信制という課程の区分に関して、実態等も踏まえた、その在り方の見直しについて
• いずれの高校においても、全ての生徒の可能性を引き出し、生徒が、社会の一員となるための多様な資質・能力を身に付けた上で次のステップに移行することが可能となる教育システムを一層構築するために、必要な取組とその支援の在り方について
• 「総合的な探究の時間」を教育課程の基軸に据えながら各教科等における学びを充実させるとともに、文理横断的な学びや実践的な学びを一層進める上で必要な体制・環境について
• 次期高等学校学習指導要領に関して、内容をおおむね堅持しながら学校現場への浸透に時間をかけていくべきなどの各種意見等も踏まえた、今後の望ましい在り方について
• 高校がやるべきことの整理・明確化、学校における働き方改革の推進や、教職員の配置を含む高校の指導体制の充実のための方策について
★さりげなく書かれていますが、ここには、柔軟にSTEAM教育、グローバル教育、文理融合、実用的な学びとしての教養、人的資本経営などを押しすすめていく制度的な体制づくりをしていくよというねらいが見え隠れしています。日本経済再生のために。それは前回もご紹介しましたが、「ムーンショット目標10」が付け加わったことで、より強まったと思います。
★私立学校は、この新しい資本主義体制に対して、明治近代化の影をモニタリングしてきたように、本当にウェルビーイングな新しい資本主義になるかどうかモニタリングはし続けながら、日本の教育に貢献していく構えになると思います。
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