日々の暮らしに希望の持続可能性を(01)聖学院の伊藤大輔校長の言葉の力
★今私たちは未来から今を考えようとするのが当たり前のようになっています。私もこのバックキャストの手法を限定的に活用しています。未来を理想として、現実とその理想のギャップを見出し、未来に向けて行動を起こす。このことは希望であるようで同時に徒労に感じないわけでもないのです。だから教育現場で、未来に向けて改革しようというモチベーションが、大山鳴動して・・・ということわざのような感じになることも多いですね。
★にもかかわらず、今親鸞が見直されたり、米国でマインドフルネスが注目されたり、マルクスガブリエルが、日本を起点に倫理資本主義を説いたり、金融教育家田内学さんが、贈与経済の見直しをしたり、東大の現国の入試問題に商業経済と人間経済を比較する文化人類学的な文章が課題設定されたりしています。そんな中で驚くべきことに、このような事態を勇気をもってさらに飛び越えているのが聖学院の校長伊藤大輔先生の言葉です。
★伊藤先生は、ご自身の聖学院のサイトで校長ブログをアップしています。その更新率は、どの学校の校長によりも凄まじい勢いです。同学院では毎朝礼拝が行われています。同学院の先生方も物語りますが、伊藤先生は本多記念教会の牧師でもありますから、当然物語る回数は多いはずです。ですから、語る行為と書く行為は表裏一体なのです。この凄まじい言葉の力がそれを傾聴している生徒に大きな影響を与えていることは、同学院のここ数年の冷めやらぬ息吹の勢いに示されています。
★そんなことをいつも思っていたところ、7月28日本多記念教会での主日礼拝での伊藤先生の言葉をSNSでお聞きして、驚きました。実は次の週の主日礼拝の言葉をお聞きして同じように驚くのです。
★というのも、今世の中が希求している未来社会への改革の徒労感を払拭し、私たちが日常の生活の中に希望を生み出すことを持続可能にする言葉の力だったからです。
★エントロピー増大という世界によって立つと、たしかに未来へ向けての努力もまた徒労感に直面するかもしれません。しかし、聖学院の息吹のようにエントロピーが増大しないということがあるのです。
★パンデミックを経験した私たちは命を大事にすることの重要性について再認識しているし、パリオリンピックの背景でテロや戦争が起こり、命の尊さを祈るしかない自分たちの無力さを思い知らされています。
★伊藤先生は、その命がまさにエントロピーの法則だけでは捉えられないことの証であることを語ります。衝撃的です。未来に向かうことは、命の根源に回帰して何を感じ、何を考え、何を行い、何を生み出すのか。。。
★聖学院の思考力入試や探究などが他校と何か違う次元にあるのはなぜかと思っていましたが、このようなキリスト教精神に基づいていたのであれば、当然ですね。宗教とサイエンスの結合点は、ふだんは微分化されていて見ることはなかなか難しいのですが、聖学院の場合、朝の礼拝の時空の中で、息吹として姿を現しているのです。学校が成長するとは、エントロピーの時空を超えるということであり、それが私立学校の不易流行を生み出すヒントであると思った瞬間でした。伊藤大輔先生、ありがとうとうございます。
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