私立学校の先生方の対話型自己マスタリー 栗田教授のTPチャートの作成WS
★昨日の教務運営研究会は、90人の東京私立学校の先生方が栗田佳代子教授のTPチャート作成WSにどっぷり浸りました。このTP(ティーチング・ポートフォリオ)は、米国では大学がすでに研究実践しているものだということです。栗田教授がFDの研究の一環としてリサーチしにいき、論文も発表して(もちろん英語で)、その成果を日本の多様な教育現場(大学や中高、看護系の学校など)で実用できるように開発したものです。タイトで緻密なプログラムで、ある意味修行のようなすばらしいプログラムです。
★心理的安全を保ちながら、静かに基本情報→責任→改善・努力→成果・評価→(シェア❶)→方法→方針→方針→理念→対応づけの確認→(シェア➋)→エビデンス→(シェア➌)→目標—短期→目標—中期→感想→(シェア❹)を展開していきます。
★自己マスタリーが中心ですが、パートナ同士すてきなTPチャートが出来上がるようにサポートし合います。これはある意味、自分の中の自分以上の自分を発見するダイアローグ型の省察の過程でもありましょう。
★栗田先生の講座に参加し、多くの先生方が自己研鑽しているわけですが、東京私学教育研究所の佐瀬氏率いるスタッフの皆さんは、東京の私立学校の先生方が、組織的に自己研鑽できる機会を生み出す「研鑽」を東京私立学校の先生方でつくっている委員会組織をサポートしながら行っています。私も、そのアドバイス(年寄りの口出し:汗)をする機会をいただき、老いの役割にまだ意味があるかもと勇気づけられています。感謝です。
★What・HowだけではなくWhy(価値の部分)を見出し、共有して、建学の精神の再認識・再発見とそれを実現する時代のイノベーションとの融合(不易流行の現代化)を東京私立学校全体でいかに行っていくのか、先生方と対話しながらまさに「研鑽」を積んでいるのです。頭が下がります。
★ふと思ったのですが、TPの興味深いことは、米国のGAFAMが考えているイノベーションを生み出すクリエイティビティ生成のシステムと親和性があるということです。東京私学教育研究所の数学の委員会で行っている「生徒自身の数学的実践活動をとして行っていく数学的モデリング」の研修も、課題設定、問題解決、創造性の生成の諸関係を創り出すプログラムを行っていますが、これにも親和性があります。
★また同研究所の英語の委員会が行っている授業報告ではなく「授業実践」という研究プログラムにも親和性があります。社会科の委員会の美術館やイノベーション創出コミュニティのフィールドワークの過程も親和性があります。挙げていけばきりがないほど、どの委員会もシステム思考やデザイン思考などの多様な方法のインテグレイトをしながらプログラムを企画して進めています。
★そんな中で、どの教科にも通じる一つの方法は、栗田教授のTPであることは間違いありません。
★栗田教授は心理学をベースにしていますから、心理的安全を維持する対話の条件方程式を確認しながら行っていきます。現状と理想とエピソードを区別する付箋の使い方も、ドネラ・メドウズのシステム思考と親和性のある発想が横たわっています。
★またWSを通して、自己変容していく信念も持っています。そういう意味では事実と理想のギャップを解決するダイナミックなセンス・メーキング(意味作成)もするわけです。
★その際に、しっかりチャートで言語化したうえで、対話するので、なんとなく自分の中にこもっていたネガティブファンタジーの霧が晴れていく変化を体験することができます。言語の限界は世界の限界だと誰か言っていましたが、その限界を自ら対話しながら超えていくというロマンがありますね。ネバ―エンディングストリーさながらです。
★授業改善を通して、実は教師自身の人間のbeingをwellに変容していく過程が経験値をあげていくわけですね。
★と感動していたら、栗田教授は魂の注入だけでは終わりませんよと、スキルが大事なんですと。インタラクティブ・ティーチングの紹介をしてWSはいったん終わりました。そして、その後の夜までの分科会で、栗田教授と先生方の対話は続きました。
★インタラクティブ・ラーニングの内容については、教務運研究会の委員の青柳圭子先生(成城学園)が、栗田教授のオンライン上の新しい講座で自己マスタリーする予定というので、また教えてくれるそうです。青柳先生は、ご自身栗田教授のもとで学び、TPを作成しながら授業を展開しています。東京私立学校の教師の生き様として興味深いし、ひとりの教師が自己変容する時世界を変えるインパクトを生み出すモデルでもあります。いずれ別の情報媒体で触れたいと思います。
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