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2024年7月 9日 (火)

聖徳学園 データサイエンスコース 新しいリベラルアーツ

★先月京都で実施された「全国私立中学高等学校 私立学校専門研修会 教育課程部会の研修」で、聖徳学園教頭の山田健治先生にお会いしました。東京私学教育研究所が実施している英語の研修の講師としてもご登壇いただいているし、そもそも10年以上前から山田先生が取り組んでいる新しい学びに大いに刺激を受けていましたから、京都の地での再開は何かまたさらなる新しい学びが生まれているのだなと予感しました。

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★山田先生はあまりに謙虚な方ですから、生徒の人数が安定的に増えてきたので、竹内教頭と二人でマネジメントせざるを得ないんですよと語るだけでしたが、今春立ち上げたデータサイエンスコースを軌道に乗せる役割を担っているというのは、その名刺からわかりました。聖徳学園の教頭ではあるのですが、「SHOTOKU DATA SCIENCE」のロゴのすぐ後に、「教頭」となっているのですから。

★研修の合間の少ない時間でしたが、データサイエンスコースについて少し尋ねると、データサイエンスをベースに文理融合型で探究の授業が中心のコースで、少人数クラスで展開しているということでした。

★山田先生は英語科主任や教務部長も担ってきましたから、高く広い視座と深い眼差しで生徒の学びの環境を整えてきました。英語の授業は、ICTやアプリを駆使し生徒が楽しんでかつ真摯に学習できる環境をつくってきました。新しい「記憶術」を追求してきました。

★一方で、進路指導も担当してきて、東大をはじめとする超難関大学合格のための英語の授業も行ってきました。アクティブラーニングで行っているのがなんとも凄まじかったのですが、それは「論理的思考」「批判的思考」「創造的思考」まで思考の幅を広げるためにいわゆる受験勉強では限界があると考えていたからでしょう。

★実は、この「記憶術」「論理的思考」「批判的思考」「創造的思考」はリベラルアーツの要素です。特に「記憶術」は「トピカ」と呼ばれている分野で、雄弁術などプレゼンテーションの時の表現技法にまで広がる大事な学びでした。今の暗記術とはかなり奥行きが違います。

★こうしたリベラルアーツの一部門である「言語能力」の学びを極めていた山田先生が、データサイエンスコースにおいて、リベラルアーツのもう一つの部門である「数理能力」を融合するということは、リベラルアーツの現代化とも呼べる取り組みでしょう。

★一般財団法人東京私立中学高等学校協会の理事会で、聖徳学園の校長伊藤正徳先生(協会の常任理事)にお会いした時、京都で山田先生にお会いしたという話から、やはりデータサイエンスコースの話になりました。今までにない新しい才能の持ち主の生徒が入学してきて、学内が大いに盛り上がているということでした。また少人数だからできるルーブリックによる評価にも取り組んでいるということでした。担当の先生方は、国際バカロレアの研究もしていて、IBのルーブリックなども参考にして独自の評価システムを構築しているというのです。

★相当複雑ですが、そのような場合生成AIなどでアプリ化するというのが世の中のトレンドです。おそらく新しいデータサイエンスコースの取り組みはそこに結晶するでしょう。すると、学内全体に浸透することになるでしょう。

★伊藤校長によると、データサイエンスコースの説明会は、生徒たちが自分たちでコースの魅力を広めるのだという高い意識・意欲をもっているそうです。それはぜひ見学させてほしいと思います。楽しみにしております。

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