近藤会長語る~私立学校の権利を守るダイナミズム
★現在小田原で実施されている私学経営研究会「理事長校長部会」宿泊研修の開会式は、主催者である一般財団法人東京私立中学高等学校協会会長近藤彰郎先生(八雲学園理事長校長)の挨拶&講演から始まりました。普段あまりお話にならない歴史的に意義のある貴重な内容でした。1つは、東京の私立学校が法律と行政に対しいかに協力しつつも独自性を守り切って来たかという歴史的な具体的な話でした。もう1つは、実際に今私立学校法改正が行われたばかりですが、その成立過程で、私立学校が守らなければならない経営権と教育の論理をいかに守ってきたのか、いや攻防してきたのかという闘いのプロセスをお話しいただきました。
★私学に関連する法律の中で、教育基本法、私立学校法、私立学校振興助成法があります。それと法律ではありませんが、1975年の文部省の「通知」(尊重することが必要)によって毎年行われるようになった公私協の申し合わせは、常にその改正などの動向に敏感でなくてはなりません。
★法律というのは、本来さまざまな権利を守るものです。作成案を作る側は、もちろんそのことを了解しています。しかし、その作成過程に権利関係者が言論を闘わせておかないと、結果的に不利益を被ることもあるのです。明治以来、官尊民卑という価値観は、今も無意識のうちに残っている場合があります。作成者は中立と言えども、無意識の価値意識をメタ認知しても汲みつくせないことがあるのです。端的に言うと、私立学校を統制する文言が入ってしまうことがあるのです。
★ですから、そこはチェック機能として言論を交わす必要があります。その重要な役割は東京私立中高協会は、東京の私立学校の理事長校長と共に、行ってきたのです。
★それぞれの建学の精神を尊重し、その精神が制約されるようなことのないように、ダイナミクにかつ繊細に日々情報収集し、違和感を感じたときには、自治体や国に交渉してきたし、今後もそれは変わりません。
★権利の闘争なくして、権利を守り続けることができないのが、民主主義のパラドクスの1つです。気を緩めるわけにはいかないのです。その結果、私立学校と協力して世界を牽引するような日本の教育のモデルを生成し続けているのです。
★その私立学校の建学の精神に基づいた経営権と独自の教育を守るダイナミズムの気概を継承するのが理事長校長部会の研修の一つの目的です。近藤会長は、今回のガバナンスの改訂に伴って新たに創らなければならない「寄附行為」を私学部や弁護士とも相談して一早く練り上げました。各学校の建学の精神が違うし、規模も違います。ですが、基本は八雲モデルで経営権と教育の先見性・先進性・独自性を守り切れるという具体的な話も、実際のモデルとそのモデルに到るまでの修正過程などがわかる資料を示して、説明してくれました。
★そのあと、東京都の私学部からの私立学校が直面している現状と多様な課題が解決されるに到った経緯についてご報告がありました。さらに私学財団からは、私立学校を支援する財政的な機会について説明がありました。
★現状把握と守り抜く権利の闘争のマインドとスキル、そして財政的なサポートの機会を共有し、2030年のターニングポイントにいかに立ち臨んでいくか、その後の分科会で議論は深まっていきました。具体的な話は、ディープ過ぎて、ご紹介できませんが、これほどまで私立学校の理事長校長は多角的に大所高所考え、経営を遂行しているのかと感動しないわけにはいきませんでした。
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