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2024年7月 4日 (木)

土屋校長 東京私学協会報で語る 私学全体の不易流行

★「東京私学協会報(118)令和6年7月4日」で、駒沢学園女子の校長土屋登美恵先生が論壇で、「平和な次世代を築いていくために」と題して東京私学全体に共通する不易流行の姿を鷲づかみしていました。驚きました。私学全体のビッグアイデアというかビッグコンセプトをわずか1000字の論稿で執筆してしまうなんて!さすがです。

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★土屋先生は、一般財団法人東京私立中学高等学校協会広報部副部長ということもあり、ご自身の学校の話は全くしていません。私立学校全体の不易の部分である理念と時代を牽引する先見性先進性という流行の部分を明快にしかも具体的に論じているのです。

★実に感動的なのは、ご自身が久しい間英語教員だったこともあり、「英語」教育という現場の話から、真のグローバル教育はどういうことかを論じていくアクロバティックなストーリーです。「宇宙から国境は見えなかった」という毛利さんの言葉の意味を紡ぎながら、平和を作っていくグローバル市民性こそがポイントなのだと。

★各私立学校の建学の精神の文言は、確かにそれぞれ特色がありますが、この点に関しては共通しています。そしてこの理念を具現化するには、人を思いやる慈悲心と何が正しいかを判断する「智慧」なのだと。

★地球は国境などはじめからあったわけではない。人間がつくり、平和を維持するためのものだったはずなのが、今ではその本質や真理を追究することを忘却してしまったから地球規模の課題がどんどん膨れあがっているのだ。

★この事態を省察し、解決をすべく、各私学のグローバル教育(探究・PBL・STEAMも包摂される)は劇的に進化している。だから、

<日本の若者から「自分以外に関心がない」「そもそも自分が何をやったって世界が変わるわけではない」こんな後ろ向きな発言が聞こえてこない、真のグローバル社会が、日本にも近く訪れることを楽しみにしている>

★と結んでいます。

★駒沢学園女子は曹洞宗の精神を理念として持っています。この精神自体、世界宗教ですから普遍的です。「平和」といういままさに重要な時代のキーワードを軸に語る土屋先生の気概は、もちろんそこから生まれています。

★一方で、その気概は、土屋先生の出身私学の影響もあるのではないかと感じました。その学校の創設者は女性です。日本の私立学校に人生を捧げただけではなく、戦後日本の教育と国のあり方に理念を語り続けて創ってきた方です。

★江戸幕府が壊れて日本中焼け野原になったところから近代日本は始まりました。その日本を支えて人材を育成したのが、その学校の創設者です。そして再び第二次世界大戦で、やはり焼け野原になった日本をいかに立て直すかにも挑みました。ダグラス・マッカーサーに自分たちのアイデアを伝えるために日本の重鎮のみならず米国のネットワークも巻き込んで説得する。まさに真のグローバルリーダーシップを発揮した彼女。

★土屋先生にもその魂のランターンは受け継がれているなあと感じ入りました。

 

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