新紙幣の顔 ≪私学の系譜≫を彷彿とさせる
★遅ればせながら、渋沢栄一が刻印されている新紙幣を手にした。そして次のようなことに想いを馳せた。
★紙幣というのは、ほぼ20年ごとにデザインを変えるということらしい。偽造防止と自動販売機などの関連需要を高め景気を刺激するなど法と経済の舵取りということらしい。紙幣の顔を誰にするかは、財務相が最終的に決めるのだろうが、国民に広く理解が浸透しやすいということなど財務省のメンバーに調査はさせただろう。
★どんな意図があったかしれないが、渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎3人の功績はそれぞれ違う。合法主義というか道徳経済合一論を掲げて日本の資本主義をつくったのは渋沢栄一。今も問題になっているジェンダーバイアスに果敢に闘った津田梅子、病気になってからではなく、病気になる前の予防が大事だとまさに公衆衛生の基礎を築き、未病という概念につながる医学を確立した北里三郎。
★しかし、日本の近代国家構築のために気概を持って尽力したことは共通している。そして渋沢栄一はフランス語、津田梅子は英語、北里柴三郎はドイツ語を学び、皆留学もした、グローバルなリーダーでもある。
★そして、何より今の私立学校に連なる私学を設立した私学人である。≪私学の系譜≫のルーツでもあるのだ。
★近代国家を現実の中で奮闘して作りながらも理想を抱き貫かねば公立学校の整備に尽力すればよかったはずである。明治政府の考えた近代化路線とは違う「もう一つの近代化路線」を考えていたことは間違いない。だからこそ、現実の多様な矛盾を乗り越えようと奔走できたということもある。
★たまたま3人が新貨幣の顔として選ばれたとしても、日本の新しい国家変容への想いを日常の生活世界の中に織り込みたいという気持ちはあったのではないか。日銀の総裁でもあり、大蔵大臣も務めた高橋是清の精神がそうさせたというのは神がかりだろうか。高橋是清も前半の人生の10年くらいは開成の校長を務めていた。多くの人材を東大に進学させそして善き国家づくりを目指す官僚として育てた。彼もまた最初は英語の教師だった。そして、教育を核に国家を作ることだと宣言もしていた。
★高橋是清の随想録を読むと、彼の経済や金融政策の基本は渋沢栄一と共通するところがいっぱいあるように思う。≪私学の系譜≫は、国をどうするかの発想の泉であることを新紙幣を手にして確信した。
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