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2024年7月21日 (日)

児浦准教授が切り拓いている新しい道

★今回見学させて頂いた児浦准教授と鈴木さんがコラボした授業は、南牧村の活性化のプロジェクトでした。「プロモーション」チーム、「自然」チーム、「古民家」チーム2つ、「暮らし(移住など)」チームと5チームに分かれて企画運営をするという講座でした。

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★次回が最終プレゼンで、そこには村長も参加すると言いますから、たんなるシミュレーション型の探究学習というレベルでないことは確かです。しかも、プレゼンは講義のフィナーレですが、学生の皆さんにとっては始まりだというのです。企画を立案して終わりではなく、それをブラッシュアップしながら、当然多様なネットワークと結びつきながらかつ広げながら運営実施していくのです。

★実に興味深いのは、学生の皆さんは、それぞれ自治体との協働プロジェクトや企業や行政関連のインターンシップもマルチに活躍しています。児浦ゼミのゼミ長Sさんは極めてモチベーションが高く、その忙しさに、児浦准教授は、無理しなくていいけど、前橋の商店街の七夕祭りのプロジェクトあるけれどと情報だけ提供してみたところ、二つ返事で取り組みたいと動き出したそうです。

★そんなにアグレッシブなのはなぜ?と尋ねたところ、「今しかできないことですから」とさらりと。するとさすがは起業家鈴木さん、「10年たってもそう言っていますよ。そうでなくてはね」とアントレプレナーシップの魂をすかさず共有。そしていうまでもなく学生の皆さんは共感。このような瞬時の対話のやりとりというか阿吽の呼吸というか、信頼関係の輪を広げるのは、児浦准教授ならではですね。

★それにしても、地方再生の必要性は、学生のみなさんのディスカッションを聞いていて、改めて切実でした。人口動態や産業構造の統計的な変化だけみていて地方の問題を考えているうちは、あまりに生き方、あり方のリアリティに乏しい感性しか育たないなあと実感。

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★論理的にパラドクスやジレンマの問いを創ることはできるけれど、実際に南牧村にフィールドワークをし、役場の方々や住民の方々にインタビューしてみると、日本社会が生み出したジレンマ問題が、村の生活世界の生命にダイレクトにそして途方に暮れる甚大な問題を生み出していることに気づきます。

★鈴木さんは、だからこそチャンスがあるのだと、南牧村で起業しているのでしょう。だから、学生の皆さんと鈴木さんのディスカッションはリアリティがあるし、同じ群馬というエリアで生活していますから。その問題解決のために自分たちは何か役立てないかと日々思案し、試行錯誤していけるわけです。高校の「探究」や「コンテスト」のようなシミュレーション型のプロジェクトとは次元がかなり違います。

★だからといって、高校時代にここまでの探究をやったほうがいいと言っているわけではないのです。共愛学園前橋国際大学のようなグローカル科目につながるような探究や普段の教科授業をデザインしたほうが良いということを言いたいのです。

★もはや総合型選抜で入学する生徒の数はとまらないでしょう。大学側も共愛学園前橋国際大学のようなプログラムをしっかり準備する時がもう3年経ったら大きな潮流になるでしょう。

★ダイレクトに社会課題に役立つ知とスキルとマインドこそが求められるようになるでしょう。たしかに高校の各教科の授業は大事です。しかし、そこで生徒が学ぶのは、現代文で世界を読み解けるかでしょう。それは英語ならなおさらです。社会科で、理科で、世界を作る智慧を磨けるかでしょう。数学は、様々な現象を数理モデル化できる思考を学ぶことでしょう。芸術は、脱空間とイメージの社会的影響力についてリアルなスキルを学ぶということでしょう。体育は人間の身体の可能性、心の柔軟さ、人間関係づくりのコアは何かを学ぶということになるでしょう。

★今一見遠くにあるように見える地政学的リスク、気候変動リスク、ハラスメントリスクは身の回りに存在しています。もし何かクライシスに直面したら、まずは基本知識を覚えてから、対応しようとなりますか?ダイレクトにクライシを乗り越える政策をすぐに考え始めるでしょう。わからないことは専門家ネットワークとすぐに協働するでしょう。大所高所話し合いながらも、即対応しながら動くでしょう。

★アントレプレナーシップとは、本来そのような進取の気性に富んだ異世界・異業種を飛び回る力のことを言います。3年後、そのような学びと研究の結びつきが、キャリアデザインのコアになっているでしょう。児浦准教授はその新しい道を切り拓いているのだと思います。

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