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2024年7月

2024年7月21日 (日)

共栄学園前橋国際大学 3年後にさらに注目される

★共栄学園前橋国際大学。この名称に同大学の魅力が詰まっています。前橋市という自治体と国際世界をつなぐグローカルリーダーがどんどん輩出される大学というシンプルなコンセプトですが今もっとも多くの大学が欲しがっている教育と研究です。東京の大学群でも、一見同じような多様なグローカルプログラムは実施しています。しかし、多くの場合は、点です。それに参加した学生にはなんらかの経験値が備わりますが、大学や自治体、研究機関、民間、世界の要素がかかわって関数方程式を創り出すところまではいっていないのが現実です。

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★ところが、驚くことにというか、児浦准教授が活躍しているので、ある意味当然というか、期待通りなのですが、その関数方程式が確立されているのです。児浦准教授と学内を歩いていると、多くの学生とすれ違ったとき、児浦先生と学生の皆さんは、それぞれこの間のプロジェクトどうなった?とか、インターンシップでこんな面白い経験していますとか、学校経営について今度相談させてくださいとか、プロジェクトベースの対話が行われています。私も学校の魅力が広く浸透するには、他になんかアイデアありますか?とか問いをもらったり、地方再生のための資金調達の方法などについても対話したりしました。

★ここは大学というより、イノベーションコミュニティで、学生も同大学のオープンスクールの企画運営をしていたり、スタッフさながらです。社会課題について研究する大学は山ほどありますが、それが実際にアクションとして行政や経済に影響を与えることは一部の学生に限られます。多くのコンテストもありますが、まだまだ死の谷に直面してそれを乗り越えるグローカルスキルを身につけている段階にはなかなか進めません。

★ところが共愛学園前橋国際大学は、ダイレクトに「魔の川」→「死の谷」→「ダーウィンの海」への研究プロセスを歩めるようにしています。おそらく3年後、今も話題の大学ですが、それが実際に社会に現れ出でて、注目を集めるでしょう。

★何せ、グローカル科目を学生全員が体験する講義というか、プロジェクトが満載なのです。おそらくこの科目デザインに児浦准教授は深くかかわっているのでしょう。児浦先生は、デザイン思考×アート思考×システム思考×SELなどをインテグレートしたプロジェクトデザインを今までたくさん創り実践してきたし、その過程で、中学生起業家、高校生起業家を輩出しています。彼らは大学に進んでも株式会社を設立したり大活躍です。

★海外大学に進学した生徒も、先進的なコンピュータサイエンスとデザイン思考を組み合わせて、面白い研究=ビジネスを行っています。兄ようについては企業秘密というか、IPの問題があるので、語れませんが。

★今や大学は、従来の中高の延長上の単位履修をして卒後してよりアドバンテージの高い企業に就職するというキャリアデザインだけではやっていけません。そもそも国際競争力がある企業ランキングで、かつてはベスト10に3社もはいっていたのに、今は1社もはいっていません。勝ち馬に乗るための競争レースは、あまり意味がなくなっていることも確かです。

★学生自身が、多様なインターシップやプロジェクトで自分のコアを見つけ生かしていける新市場創出ができたり、それを支援できる新しい行政畑の仕事を生み出したり、都市の公衆衛生のあり方をデザインしたり、資金集めのプロになったりすればよいだけです。日本の経済を支えているのは、90%の中小企業です。ここが大企業の従属機関になるのではなく、自主自立したりすればよいのです。

★これを目指すと、一人当たりのGDPは今の倍以上になります。世界経済を権威や権力でではなく、グローカル市民の頭脳と手と行動力で牽引する日本に、いや共栄学園前橋国際大学となるでしょう。

★APUや秋田の国際教養大学のような脱空間型のグローカルリーダーの第3の拠点になることは間違いないでしょう。なぜか?学内全体に英語とICTとプロジェクトの3種の神器と利他的社会起業力が共有されていれば、必然的にそうなるのは、あたりを見渡すと明らかだからです。それを実感した児浦准教授のプロジェクト型講義についてはまたご紹介します。

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2024年7月20日 (土)

共愛学園 都市を共に創っていく知の拠点

★学校法人共愛学園は、幼児教育から大学教育まですべてがコンパクトに、県庁所在地前橋市にあります。実に理想的な未来の都市づくりを自治体は学校法人共愛学園と行うことになっていっています。もちろん、自治体は公平性の観点から共愛学園だけと都市づくりをしていくわけではないのですが、人づくりという点で幼児教育から大学教育まで理想的人的資本を形成している知(非認知能力×認知能力)が集積している総合学園として共愛学園を大いに頼りにしているはずです。

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★地政学的リスク、気候変動のリスク、格差拡大のハラスメントリスクが地球規模で広がっています。パンデミックでわかったことは、スモールサイズの都市で、適性人口であることが必要だということです。

★世界中、スマートシティ化するのはこれらのリスクを回避するには、自然と社会と精神が好循環をすることが大事だとは、ガタリが20世紀後半にすでに言っていたことです。パンデミックで、WHOは、身体とメンタルと人間関係のトータルなウェルビーイングを守るために世界に働きかけました。この身体とメンタルと人間関係の良好な循環は、自然と社会の良好な循環につながる基礎です。しかし、これだけでは、足りないとWHOは気づきました。ジュネーブ宣言で、スピリチュアリティも必要なのだと。ようやく自然と社会と精神が循環する時がきたのです。

★現代の若き哲学者ガブリエルは、NHKでもよく登場してきますが、彼もまた精神がポイントなのだと。でもその精神はマインドではない。ドイツ語の精神を意味するガイストは、英語ではスピリチュアリティだと。

★この感覚は、ガブリエルは、日本人はむしろ了解しやすいというのです。というのは、禅や結界など自分を超える何かを敬う心の働きがあるからだと。パンデミックでエッセンシャルワーカーは、教師も含まれますが、自分の命を超えて他者の命を大事にする行為にでました。ジレンマはそれはもう壮絶でしたが、その多くは見事に乗り越えたのは、学校現場で仕事をしていた私たちは理解できるはずです。

★このスピリチュアリティという意味での自分を超えた何かを大切にする精神は、まさに共愛学園のキリスト教精神によって育まれるものです。

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★そのことは、学校法人共愛学園の学園長・小学校校長の大川義先生と同学園中学・高等学校の飽田哲也校長のお話を聞いて感じいりました。130年以上前に創設された学園です。キリスト教のコミュニティと新島襄、内村鑑三などが協力して創設したそうです。新島襄といえば、≪私学の系譜≫の第一世代です。第二世代が内村鑑三や新渡戸稲造ですが、このキリスト教的精神の≪私学の系譜≫が戦後教育基本法を作成する教育刷新委員会のメンバーの多くを占めていたのは、意外と忘れられているかもしれません。

★ですから、再び、新しい都市造りの時代に、この系譜が活躍するということは歴史のポジティブな再帰性でしょう。共愛学園の幼児教育から小学校・中学校までは、この精神を育むキリスト教育をしっかり実践しつつ、同時に創設当初から英語教育がベースでしたから、英語教育を充実させています。今後3年くらいの間に、日本はインターナショナルスクールのような1条校が望まれますから、それに移行するのは共愛学園は実に簡単でしょう。

★それから、群馬県は、情報通信産業が日本全体からみれば弱みです。しかし、共愛学園は小学校からICT教育は充実しています。高校はDXハイスクールの支援を国から得ています。

★大学については、また別にご紹介しますが、大学も英語とICT教育は万全です。

★さて、そのような総合的な学園の中で、高校がものすごいリソースをもっています。幼児から中学までの教育環境を土台にさらに英語科と普通科の二つのベクトルを1つの合力に仕立て上げる教育を持続可能にしています。

★その合力は、多様な体験とグローカルプロジェクトとICT教育の掛け算で出来あがる世界の痛みを引き受け解決する魂です。これは同学園小学校のアニマシオンという魂を燃やす読書体験から発展もしているでしょう。

★この合力があるからこそ、英語科、普通科からそれぞれの大学に進学したとき、自分の専門分野でスピリチュアリティという高尚な精神を抱き勇気をもって人の役に立つ生き方ができるのでしょう。大川学園長は、このような精神を内村鑑三の「後世への最大遺物」で示された魂そのものだと語ります。大川学園長は、内村鑑三のひ孫だそうです。青春時代私は同書に出合い、壁にぶつかるたびに勇気を奮い起こしてこれました。校長時代、生徒にもこの魂を紹介しました。二人の生徒が感動したと飛んできたのを思い出します。そのような内村鑑三の魂にダイレクトに出会うことができたのです。心が震えないわけありません。

★内村鑑三を訪ねて、北海道を歩いたり、軽井沢を尋ねたりしていましたが、共愛学園でその魂に出会えたのは何かの啓示かと思わないではいられません。魂は生物学的遺伝はしません。教育によって文化遺伝子として継承されます。共愛学園の教育はそのシステムが130年以上継承されてきたのです。

★そして、この高校の合力は、共愛学園前橋国際大学で、異次元の力を発揮することになります。それゆえ、前橋市や群馬県は、この異次元の力によって未来の都市創りを可能にすることでしょう。

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2024年7月19日 (金)

学校法人共愛学園 幼児教育から大学教育まで総合学園全体に溢れる進取の気性 児浦准教授に導かれて

★共愛学園前橋国際大学の児浦良裕准教授とお会いできました。児浦先生には同学園の理事長、学園長、校長、事務局長、ご自身のゼミ生にもご紹介いただきました。お忙しい中それぞれと対話の機会を頂き感動しました。なんて進取の気性に富み、世界課題の解決策を地域の課題を解決することと結びつけようとする気概に溢れているチームなのかと。

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★新しい試みに挑戦し、それが経営だけではなく、同時にグローカルな諸問題を、生徒、学生、教員、経営陣みなが共に考え、アクションを起こしていく姿勢がすばらしいと感じました。

★東京にはない強みを生かし、英語とDXと世界の共通言語としてのキリスト教精神をもって立ち臨んでいる集団がオール共愛学園です。

★かつてヴォーリーズが近江から世界が創られるというようなことを語っていたと記憶していますが、この予想不能で非構造的な社会問題に立ち臨む日本の発信地は共愛学園であるということになるかもしれません。しばらく共愛学園について想いを膨らませてみたいと思います。

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新紙幣の顔 ≪私学の系譜≫を彷彿とさせる

★遅ればせながら、渋沢栄一が刻印されている新紙幣を手にした。そして次のようなことに想いを馳せた。

★紙幣というのは、ほぼ20年ごとにデザインを変えるということらしい。偽造防止と自動販売機などの関連需要を高め景気を刺激するなど法と経済の舵取りということらしい。紙幣の顔を誰にするかは、財務相が最終的に決めるのだろうが、国民に広く理解が浸透しやすいということなど財務省のメンバーに調査はさせただろう。

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★どんな意図があったかしれないが、渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎3人の功績はそれぞれ違う。合法主義というか道徳経済合一論を掲げて日本の資本主義をつくったのは渋沢栄一。今も問題になっているジェンダーバイアスに果敢に闘った津田梅子、病気になってからではなく、病気になる前の予防が大事だとまさに公衆衛生の基礎を築き、未病という概念につながる医学を確立した北里三郎。

★しかし、日本の近代国家構築のために気概を持って尽力したことは共通している。そして渋沢栄一はフランス語、津田梅子は英語、北里柴三郎はドイツ語を学び、皆留学もした、グローバルなリーダーでもある。

★そして、何より今の私立学校に連なる私学を設立した私学人である。≪私学の系譜≫のルーツでもあるのだ。

★近代国家を現実の中で奮闘して作りながらも理想を抱き貫かねば公立学校の整備に尽力すればよかったはずである。明治政府の考えた近代化路線とは違う「もう一つの近代化路線」を考えていたことは間違いない。だからこそ、現実の多様な矛盾を乗り越えようと奔走できたということもある。

★たまたま3人が新貨幣の顔として選ばれたとしても、日本の新しい国家変容への想いを日常の生活世界の中に織り込みたいという気持ちはあったのではないか。日銀の総裁でもあり、大蔵大臣も務めた高橋是清の精神がそうさせたというのは神がかりだろうか。高橋是清も前半の人生の10年くらいは開成の校長を務めていた。多くの人材を東大に進学させそして善き国家づくりを目指す官僚として育てた。彼もまた最初は英語の教師だった。そして、教育を核に国家を作ることだと宣言もしていた。

★高橋是清の随想録を読むと、彼の経済や金融政策の基本は渋沢栄一と共通するところがいっぱいあるように思う。≪私学の系譜≫は、国をどうするかの発想の泉であることを新紙幣を手にして確信した。

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2024年7月18日 (木)

≪私学の系譜≫を未来につなげる意味 MIヒルズの集積地

★日本のデジタルなどのイノベーションの力は、世界ランキングで30位以下だといわれています。AI時代において、このイノベーションのスキルや能力がレバレッジポイントであることはあまり間違いはないでしょう。そのような状況の中で、情報通信産業の集積地は東京なのです。それがいいかわるいかはまずは括弧に入れておき、地政学的リスクや気候変動リスクや格差などハラスメントリスクを解消するには、このイノベーション産業の集積地である東京の「知」を高める必要があります。それに寄与するのが、東京の私立中高なのです。

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★明治維新のときに、実はまだまだ公立学校は整備されていなかったので、私立学校が日本の子どもたちの教育を守っていたのです。それが明治憲法や教育勅語が出された後、私立学校撲滅政策がとられ、大正自由教育運動で、再び私立学校の独自性が発揮されるわけですが、二つの戦争の間は、抑制されます。

★それが戦後教育基本法や私立学校法、私立学校振興助成法などが成立することによって、国も社会的公平性を保ちながらも、標準化を超える社会的自由を重視し、イノベーターが生まれる土壌を私立学校に期待しました。

★そして、東京には私立中高一貫校が200弱あるのです。これは世界の大都市でもレアケースです。世界文化遺産レベルだと思います。したがって、この多様な知が溢れる教育をもっと高め、東京のイノベーションスキルや技術を高度化し、多くの人々の生活世界がウェルビーイングになるようなアイデアを生み出す必要があります。

★社会的自由を重視するということは、自ら知を高め、それを現実化し、そのために資金調達し、社会に貢献するというミッションが同時にあるのです。このミッションこそ≪私学の系譜≫です。

★東京の私立学校のほとんどが台地と丘陵の上に建っています。台地を削って川が流れ、谷ができています。渋谷はまさにそのような地形です。港区、千代田区、渋谷区にイノベーション産業が集中しています。ビッドバレーなどと谷の地形をつかったシリコンバレーにあやかって表現されたりするときもあります。

★このイノベーションバレーに知を注ぐ私立学校は台地にあります。それゆえ、MI(多様な知性)あふれるヒルズ(台地)の学校ということで、この東京の私立学校群を、MIヒルズとでも呼んでもよいかもしれません(微笑)。

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2024年7月17日 (水)

聖学院中学校が、22世紀の世界を導く男子校であるわけ❸

★聖学院の<【レゴキング選手権・学校説明会】聖学院名物・第13回レゴキング選手権を開催 7月13日(土)>の記事は保存版です。ここには生徒が成長するギミックのヒントが満載されているからです。

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(写真は聖学院のサイトから。才能あふれるonly one for othersの結晶)

★まず「コアパート」という学習のプロセスがそのまま生徒のタラントを象徴するわけです。こころをゆさぶる作品をつくって、価値あるものをつくる。そしてそれを崩して、その価値あるものの最も象徴的なものを取り出すわけです。さらに、その「コアパート」をまた別のものにつなげながら、新たなものを創造する。

★レゴキングのプログラムは、担当の先生が創意工夫して新たなものが展開するとありますが、レゴで生徒が学び、自ら成長している姿を振り返る、それこそ心揺さぶられるプログラムデザイン。

★担当の先生の独自でありながら、その学習プログラムの基本線は聖学院のプログラムのコアシークエンスになっています。

★このコアシークエンスと響き合う学びのプロセスのモデルが聖学院の授業のICEモデルです。価値を知る→それぞれのつながりを見出す→そのつながりを組み換えて広げていく。これは私の場合の思考コードの縦軸と親和性があります。

★そして、このコアシークエンスに担当の先生の独自の思考過程のギミックを織りなしていく。ICEモデルは3なんですが、そこに独自性が掛け算になると、3×∞になります。

★結局、多様な学びのプロセス、思考のプロセスが、モデル化されるのです。

★だから、前回紹介した国語の授業で、良い授業とは何かという哲学対話は、生徒一人一人によって違いながらも、3×無限というわけです。思考コードは、3×3なんですが、実は成長するにつれて3のn乗になるので、聖学院の先生方と親和性があるなあと感動しています。

★学びのプロセスや思考のプロセスを放置しないで、内省して自分なりのモデルと化するOnly One For Othersが成長しないわけないのです。このことは、多くの認知心理学者によって証明されているはずです。私はあくまで経験上、自分なりの学びのモデルをつくり、それを使いながら内省して改善していく生徒がその才能を発揮している姿を見てきただけなのですが、こういうことを研究している心理学者はたくさんいるはずです。

★ともあれ、レゴキングや思考力セミナーやICEモデル授業のように、聖学院は教師も生徒自身も、独自の学びのモデルを創って改善し続けているのです。それが、この記事には隠されています。

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聖学院中学校が、22世紀の世界を導く男子校であるわけ➋

聖学院の中1の国語の授業が実に興味深いのです。中1の6月に、おそらく1学期を振り返りながら、「良い授業とは何か?」という問いを生徒と共に対話し、考えるというのです。2時間かけて、次のような問いについて対話したようです。

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授業1回目:根源を問う・言語化・自己評価
【根源】そもそもなぜ私たちは学校で授業をうけているのか
【言語化】そもそも「良い授業」とはどんな「授業」なのか
【評価】いま自分のクラスで「良い授業」が成立していると思うか

授業2回目:分析・対策
【分析①】「良い授業」を受けたいと考えているにもかかわらず、それが実現していないのはなぜなのか
【分析②】それでは「良い授業」を成立させるために生徒・教員はどうすればよいのか
【対策】ここまでの考察をふまえ、「良い授業」を成立させる仕組みやルールを考えてみよう

★よく授業評価を生徒にとるということはありますが、ダイレクトに生徒と良い授業について話し合うというのはそうあることではないでしょう。しかも、高1ではなく、中1とです。これからの6年間を見通した時、ワクワクするような授業があったなら、それは素晴らしいことですから、中1段階から考えようというのでしょう。

★しかも、「そもそもなぜ私たちは学校で授業をうけているのか」という授業だけではなく、学校とは何かまで考えるというのです。学校があるからそこに行くのではなく、自分がなぜ学校に行くのか、行く価値のある場なのか、そこで授業を受けることは自分にとってどんな意味があるのか。

★ともすれば、おもしろくないのは教師のせいだとか、学校にいかなくてはならないのは、法律で決まっているからだとなりがちですが、おもしろいとはどういことなのか?学校に通うとはどういうことなのか?そこに自分はどうかかわり、どういう意味を主体的に生み出しているのか?

★それは教師自身にとっても同じでしょう。意外と、うちの生徒は集中しないとかいう言葉を耳にするものですが、そんな生徒に責任転嫁しない、実ほど・・・という謙虚で優秀な、そして愛情たっぷりの教師がいるからこそ、このような哲学対話が授業の中で成立するのでしょう。

★この当たり前のことを当たり前で終わらせずに、その歴史的意義や心理学的意義や未来社会との関係や知を共有する友情などをどうとらえるか、かけがえのない価値を生み出していく対話が、授業の中にあるのでしょう。

★このコンセプトは、聖学院のどの授業でもそうだし、そもそも校長ブログがそのコンセプトで貫かれています。22世紀の世界を導く男子校たるゆえんでしょう。

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2024年7月16日 (火)

富士見丘 グローバル探究×DX

★昨日富士見丘は中学説明会を開催しました。帰国生対象の説明会も同時開催でした。副教頭の佐藤先生によると、どちらも昨年を超える参加者だったということです。ここ数年の富士見丘の人気はますます堅調になってきたということでしょう。佐藤先生は、「富士見丘は、今年もまた新たなグローバル探究型の教育プログラムに挑戦している」と語ってくれました。さすがです。

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★高1の慶應義塾大学湘南藤沢との高大連携で行っているグローバルワークショップが、DXをさらに強化して行う予定だというのです。そのために、最初の3回は、レゴを活用したクリエイティビティを刺激するワークショップだというのです。

★レゴを活用すると、たとえば、次のような能力やスキルを刺激します。

感受性: 遊びを通じて新しい機会に挑戦する自信や共感力を育みます。さまざまなチャレンジを解決するための粘り強さも身につきます。
創造性: 自分のストーリーを書いたり、アイデアをカタチにしたりするスキルを養います。
社会性: 仲間と協力して問題解決に取り組むことで、コミュニケーションや協力のスキルを身につけます。
身体能力: ブロックを組み立てることで第二の脳である手を活用できます。楽しみながら身体を動かすことでエンドルフィンがでて、ポジティブな気分になるといわれています。
認識能力: 遊びを通じて戦略構築や問題解決に集中し、記憶力や集中力を高めます。
デザイン思考: レゴを組み立てる際には、美的感覚や機能性を考慮する必要があります。デザインの基本原則を理解し、自分の作品を改善する方法を探求することで、デザイン思考を発展させます。
観察力: 環境や物事を注意深く観察し、新しいアイデアやパターンを見つける能力を刺激します。
柔軟性: 異なる視点から物事を考え、アイデアを組み合わせる柔軟性が覚醒され、新しいアプローチを見つける手助けとなります。
情熱と好奇心: 新しいアイデアやプロジェクトに情熱を持ち、探究心を持って取り組むことで、創造性を刺激します。

★もっと他にも豊かな学びの刺激があるでしょう。先日は、数学的なコミュニケーションゲームを用いたそうです。教科横断型のコミュニケーションを促す媒体としてレゴを活用して、発想力が豊かになります。このような準備を行った後、都市づくりに挑むそうです。おそらくそのときには3DプリンターなどDX化の一環のツールを活用しながらプロジェクトを進めていくのでしょう。

★なお、いうまでもなく、SFCの大学院生との連携は、外国人の院生が多いため、オールイングリッシュで行われています。この点はずいぶん以前から行われていることです。 

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昭和女子大学附属昭和女子中学校・高等学校の位置づけ

ダイヤモンドオンライン2024年7月16日の記事「【お茶の水女子大学? 津田塾大学?】有名女子大の序列はどうなった?【2024年最新マップ付き】」で、昭和女子大学の位置づけが座標に記されていました。一般的なイメージがそうなのかもしれませんが、私の主観では違うなあと感じました。というのも、昭和女子大学附属昭和女子中学校・高等学校の位置づけは、私なりにポジショニングするとこうなります。

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★もちろん、昭和女子グループが、メリトクラシーという現実を無視しているわけではありませんが、そもそもジェンダーギャップを生んでいる原因であるこの社会システムに与することはないのです。それは、昭和女子大学グループ全体に言えることはむしろ多くのメディアが、総長の坂東先生や校長の真下先生の取材を通して了解しているはずです。

★また、真下校長の講演を聞き、私がかかわっている学校の校長及び教師たちもイノベーションの教育についてお世話になっているという話を聞いて、相当先進的な教育を行っていることは実感しています。

★特に真下校長は、合理的思考はもちろん科学的思考として大切にしていますが、何より新しい価値を創造することを最重要視しています。

★したがって、昭和女子全体の姿勢は、挑戦する構えです。ソサイエティ5.0に対する対応力だけではなく、その社会がもたらす光と影の両方をメタ認知し、影の部分を光の部分にチェンジする新しい価値を見出すグローバルな視野、サイバー社会の視野、ハラスメント撲滅の視野など複眼的思考ができる生徒が育まれています。

★絶望を希望に変える人間力の育成ほどすばらしいものはないでしょう。

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聖学院中学校が、22世紀の世界を導く男子校であるわけ❶

★聖学院は、生徒たちが22世紀を創っていく英知を自らそして互いに身につけていける教育創造をしています。生徒たちが2101年を迎える時、すでに高齢者ですが、それまで困難極まりない21世紀社会をウェルビーイングに導く聖なる人間として活躍するでしょう。そして22世紀の世界を運営実施する聖なる賢者として次世代のメンターとなっているでしょう。

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★それは、なぜか?聖学院のサイトで活躍する生徒の様子をご覧いただければ、了解できます。もちろん、実際に説明会や授業などを見るとより鮮明にわかります。私の場合は、実際に聖学院の先生方と対話もしていますから、その確信を抱いています。

★世の中が必要とする教育イノベーションはすべて挑戦し、外部コンクールなどでも成果を出しています。そして、受験業界が期待する大学実績も伸ばしています。最近受援業界が注目し始めた海外大学進学準備は、とっくの昔から行い、実績も順調です。

★それにSTEAMといわれている教育も、どこの学校も始めていますが、なかなかAとMは実践できません。ところが、聖学院のアートやマスは筋金入りです。たとえば、あるときの美術の授業では、「テンペラ」という絵具を造るところから始めるテンペラ画法を行います。あの「最後の晩餐」の絵具です。歴史に学ぶアート、化学的な視点を要するアート、美術史を考察する哲学的要素など古典技法を通して、リベラルアーツ的な発想も学べます。

★ダ・ヴィンチになったつもりで、世界を生み出す「卵」を手に取る生徒の好奇心、躍動感、驚愕、感動、閃き・・・・・・これぞSTEAMでしょう。

★この最後の晩餐は、12使徒のマインドがパラダイムチェンジをする瞬間を描いています。この「12」の意味について、校長ブログで伊藤校長が論じています。礼拝で、実際に生徒全員に話された内容です。

★校長ブログは、聖学院の不易流行の不易の精神を語り続けています。そして授業や行事、部活は、その精神が現実のものとして生徒自身に流れこみ、生徒の賜物を介してそこから発出して行く様子が聖学院のそれぞれのページで表現されています。

★周りを見渡してみてください。ここまでの男子校は佼成学園ぐらいではないでしょうか。

★ああ、間違えないでください。私は、男子校の優劣の話をしているのではありません。大真面目でこのディストピア的社会をユートピア的社会に転換することを志向している男子校の話をしているだけです。

★開成のように、ディストピア的な社会を何とかしようと学歴社会のトップのポジショニングをとり、そこから改善をしていく人材をつくろうとする男子校もとても大切です。そして、これは初代校長高橋是清の理念でもありました。

★一方で、聖学院の初代校長石川角次郎は、その開成出身者であり、高橋是清の理念通り、東大に進学します。しかし、もっと違う改革の仕方があるというい覚悟を決め、米国に留学し、帰国して聖学院の初代校長になります。「聖を学ぶ」学院として。高橋是清も当時はまだ近代国家建設途上でした。しかし、石川角次郎がその近代国家の危うさに気づいていたのでしょう。

★その危うさは、今も続き、むしろ大きくなっているかもしれません。そこに一人ひとりの賜物(才能)を生かして立ち臨む知恵ある聖なる人が輩出される学院。それが聖学院です。今世界が期待する学校が聖学院のような学校なのです。

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2024年7月14日 (日)

三田国際学園 さらなる異次元の教育と経営にシフトする予感

リセマム2024年7月1日の記事<【中学受験2025】「好きなことで世界に挑戦する力」を育てる三田国際学園の教育とは>を読んで感動しました。生徒の皆さんが、自分の好奇心を中高生でありながら研究の次元にもっていき、名門海外大学で、日本の大学ではできない学問に取り組むために進学していくというキャリアデザインが確立したという実感が感動の1つなのですが、12年前にまだ三田国際になる前に、学校改革の準備をしているときに出会った広報部長だった今井誠先生が副校長になって、生徒と共に夢を実現している誇らしげな表情をした写真が掲載されていたからです。すばらしいですね!

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(Bing制作)

国内大学もいわゆる東大をはじめとする最難関大学にも進学しています。医学部も同様です。難関私大もそうです。

★私はかつて筑駒を乗り越える異次元の私立中高一貫校に三田国際はなると語りました。さんざん周りから言われましたが、C2英語、PBL、STEAMを完璧にセオリー通り全生徒が受講できる学びの環境になっているのですから、そうなるはずだという確信は、やはりそうだったと思うわけです。

★今の日本の教育のみならず政治経済社会は、かなりディストピア的様相を呈しています。このような絶望的な状況を希望に変える卒業生を輩出する私立中高一貫校として三田国際は異次元に突入しています。

★筑駒を超えるというのは、東大の数だけではないのです。筑駒の卒業生は、世界の第一線で大活躍しています。その意味で、三田国際の卒業生は筑駒を超えるということです。

★東大の数も、2027年を契機に30人以上合格するでしょう。東京の国立大学や医学部もどんどん進学しているでしょう。中高時代に社会貢献につながる研究知の経験と学問的学びを英語とICTを自在に使って遂行しているわけですから、そうなるのは当然なのです。

★これによって、学歴社会は総崩れになり、新しい封建社会にとって代わられると経済学者や社会学者にいわれているディストピア社会にあって、希望の光となるのが三田国際なのです。

★そんな預言的な話をしてもピンとこないでしょうから、世の中ピンとくる話では、大学進学実績ですよね。東大も一橋も日本科学大学も、医学部も、早稲田、慶応、上智にもほとんどの卒業生が合格するのは当たり前になるのが、2027年です。

★海外大学は、アイビー・リーグとそれに準ずる大学に50人ぐらいは進学するでしょう。それが可能なのは、後でさりげなく述べます。

★今でも三田国際の中学入試は、難関ですが、2027年には、いわゆる御三家や筑駒や聖光とは超異次元の私立中高一貫校になっているでしょう。

★そして、それに続く学校もたくさんでてくるでしょう。学歴社会は総崩れです。いったんは新しい封建社会に移行しますが、その次のステージの希望の社会を創る卒業生がたくさん輩出されるようになるでしょう。

★そうそう、海外から留学生が三田国際のような学校に入学してきますから、結果的に私学がたくさんある東京は世界の中高の知の拠点となります。そこから、国内外の地球を丸ごと救う知を生み出している大学にどんどんいくでしょう。

★それから、それには資金がいるのですが、当然三田国際には、中高生の学びのファンドを作ってくれる富裕層が現れるはずです。その方が日本人かどうかはわかりませんが、現在の投資家は、知に投資をします。少子化でAI時代のビジネスは、不動産よりIPビジネスに移行しますから。

★ここのところ弁護士の人気は横ばいでしたが、IPビジネスが日本に根付くや、弁護士、弁理士は大活躍します。もちろん、国際的な範囲で活躍する人材ですが。医学部は当然予測不能な感染症対応と高齢者に対して重要な役割を果たします。一方で、ブロックチェンの中で新しい権利関係が生まれるので、弁護士と弁理士は相当忙しくなるでしょう。グローバル化も新たな展開となりますから、ビザの問題も噴出します。

★三田国際は新しい希望の学校なのです。もちろん、すべて私の独断と偏見ですが(汗)。。。。。でも結構的中するんです。。。。

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2024年7月10日 (水)

東京私学中高協会 近藤会長語る 東京の私学の経営と教育を守る 受験生の保護者にも共有します

5月の一般財団法人東京私立中学高等学校協会は定期総会を開催しました。そのときに会長の近藤彰郎先生(八雲学園理事長・校長)の挨拶の内容が、同協会東京私学教育研究所のブログで紹介されています。おそらく受験生の保護者の皆さんは、私立学校が保護者の教育費軽減のために、生徒の質の高い教育環境を作るために、日々一致団結しているとは意外と知らないでしょう。そして、その一致団結の絆を壊す団体もあり、そこに属すことによって自分の子供の人生さえよければよいということに意図していないのになってしまう可能性があることに気づいていない場合もあるでしょう。

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★私学の教員の給与は、保護者が支払う給与だけでは賄いきれないということも意外と受験生の保護者は知らないかもしれません。そのため私学振興助成法というのがあって、助成金が支払われているのです。給与というより、教育の質は教師力にかかっています。ですから教師が安心して生活し、教育力を磨き上げられるようにしていく必要があります。東京私学教育研究所は、そのために私学の教師120名強が協力し合って研修プログラムを作成・運営・実施しています。

★なぜなら、そうしないと助成金をゲットできないからです。協会と父母の会は、毎年要望書を知事に提出します。毎年、少しずつ助成金を増やしているのは、この運動をしているからです。この要望を通すには、教育の質の向上の保障が先述した助成法には明記されています。

★また、東京都の高校は、教育費軽減のため、48万4000円が、所得制限関係なく出されます。中学は10万円がでます。これもこの要望の運動によってゲットできているわけです。

★もし、このような運動をしないとどうなるか?私学の経営権を守る力が弱くなります。ですから、そうならないために、一致団結しなくてはならないのです。この絆を受験市場がときどき切断するような動きになるときがあります。もちろん、この動きを阻止する正義の受験企業もあります。それに、簡単に絆が弱くなることはないのですが。

★また私立学校法の改正は、油断すれば、国の私学に対する統制を許すことになります。建学の精神に基づいて独自の先進性・先見性を進化させることにブレーキをかけることになりかねません。そうならないように、法律的な勉強もし、各学校の事例ケースをもちよって研修を行う私学経営研修も行っています。理事長・校長部会、教頭部会は、夏季合宿までして行うのです。

★ここにおいても、あるシンクタンクは、理事会に入り込んで、社会的混乱を生み出すときがあります。そうすると、国はその不祥事をきっかけにガバナンスの法改正をして、私学撲滅政策にいつの間にかでるということになるのです。実際にこれはここ数年起きていましたね。

★そうならないように、文部科学省と協会及び連合会は常に対話をしているのです。

★さらに、公私協という都立高校入試と私立高校入試の入試要項などに関する申し合わせの会議があります。私立学校は私立学校だけのことを考えているのではなく、東京都の生徒の学びの機会を守ることを考えています。この公私協の申し合わせを破る行いは互いにチェックしあって防いでいます。最近では、広域の通信制高校が都に拠点をおいていないことをいいことに、この申し合わせを無視する動きがあります。都内の私立の通信制高校は、まじめに申し合わせ通りに入試を開催していますが、それを無化する動きをされるわけです。

★経営と教育は両輪です。もし、経営に力点が傾けば、教育の質が劣化するのは明らかなのですが、そこは氷山モデルです。水面下は見えません。これは、学校改革もそうでなんです。改革がもし表面的なもので終われば、持続可能にはなりませんから、改革=混乱になります。それは歴史に学ぶと明らかです。

★国や都と対話をするのは、私学の経営権と教育の質を高め続けるためには必須なのです。もし対話をしなければ、疎遠になります。すると、私学は弱体化するのです。そうならないようにするには、対話です。

★はっきり言うと、私立学校振興助成法と私立学校法と一見法的拘束力はないけれど、文科省の「通知」によって行われるようになった公私協のルール変更をされないように権利の交渉をしているわけです。これは、実は2007年に開催された教育基本法のときも同様でした。もし、交渉対話や要望をしなければ、私学を統制する項目が忍び込みそうだったのです。

★今のところ、日本の公立の教育は平均としてはすぐれていますが、海外のエスタブリッシュスクールにはかないません。そこは、私立学校でしかできていないのが現状なのです。東京都という1都市に中学と高校合わせると私立学校が400校以上になる都市は、世界にはありません。

★ここに人類の智慧の泉がこんこんと湧いているのです。この智慧の泉を枯渇させることは日本にとっても不利益なのです。どうか受験生の保護者のみなさんは、この智慧の泉をもっと豊かにするために共に私立学校と協力していこうではありませんか。よろしくお願いいたします。

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2024年7月 9日 (火)

聖徳学園 データサイエンスコース 新しいリベラルアーツ

★先月京都で実施された「全国私立中学高等学校 私立学校専門研修会 教育課程部会の研修」で、聖徳学園教頭の山田健治先生にお会いしました。東京私学教育研究所が実施している英語の研修の講師としてもご登壇いただいているし、そもそも10年以上前から山田先生が取り組んでいる新しい学びに大いに刺激を受けていましたから、京都の地での再開は何かまたさらなる新しい学びが生まれているのだなと予感しました。

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★山田先生はあまりに謙虚な方ですから、生徒の人数が安定的に増えてきたので、竹内教頭と二人でマネジメントせざるを得ないんですよと語るだけでしたが、今春立ち上げたデータサイエンスコースを軌道に乗せる役割を担っているというのは、その名刺からわかりました。聖徳学園の教頭ではあるのですが、「SHOTOKU DATA SCIENCE」のロゴのすぐ後に、「教頭」となっているのですから。

★研修の合間の少ない時間でしたが、データサイエンスコースについて少し尋ねると、データサイエンスをベースに文理融合型で探究の授業が中心のコースで、少人数クラスで展開しているということでした。

★山田先生は英語科主任や教務部長も担ってきましたから、高く広い視座と深い眼差しで生徒の学びの環境を整えてきました。英語の授業は、ICTやアプリを駆使し生徒が楽しんでかつ真摯に学習できる環境をつくってきました。新しい「記憶術」を追求してきました。

★一方で、進路指導も担当してきて、東大をはじめとする超難関大学合格のための英語の授業も行ってきました。アクティブラーニングで行っているのがなんとも凄まじかったのですが、それは「論理的思考」「批判的思考」「創造的思考」まで思考の幅を広げるためにいわゆる受験勉強では限界があると考えていたからでしょう。

★実は、この「記憶術」「論理的思考」「批判的思考」「創造的思考」はリベラルアーツの要素です。特に「記憶術」は「トピカ」と呼ばれている分野で、雄弁術などプレゼンテーションの時の表現技法にまで広がる大事な学びでした。今の暗記術とはかなり奥行きが違います。

★こうしたリベラルアーツの一部門である「言語能力」の学びを極めていた山田先生が、データサイエンスコースにおいて、リベラルアーツのもう一つの部門である「数理能力」を融合するということは、リベラルアーツの現代化とも呼べる取り組みでしょう。

★一般財団法人東京私立中学高等学校協会の理事会で、聖徳学園の校長伊藤正徳先生(協会の常任理事)にお会いした時、京都で山田先生にお会いしたという話から、やはりデータサイエンスコースの話になりました。今までにない新しい才能の持ち主の生徒が入学してきて、学内が大いに盛り上がているということでした。また少人数だからできるルーブリックによる評価にも取り組んでいるということでした。担当の先生方は、国際バカロレアの研究もしていて、IBのルーブリックなども参考にして独自の評価システムを構築しているというのです。

★相当複雑ですが、そのような場合生成AIなどでアプリ化するというのが世の中のトレンドです。おそらく新しいデータサイエンスコースの取り組みはそこに結晶するでしょう。すると、学内全体に浸透することになるでしょう。

★伊藤校長によると、データサイエンスコースの説明会は、生徒たちが自分たちでコースの魅力を広めるのだという高い意識・意欲をもっているそうです。それはぜひ見学させてほしいと思います。楽しみにしております。

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2024年7月 8日 (月)

公立中高一貫校の新タイプ入試と私立中高一貫校の新タイプ入試の違い

★昨日7月7日、首都圏では、合判模試(首都圏模試センター主催)が実施されました。それと同時開催されたのが各会場での保護者会です。首都圏模試センターの中学受験の豊富なデータからみた2025年中学入試の傾向や各学校の学びの特色など、同センターの登壇者がそれぞれユニークなトークをします。そのデータのうち、公立中高一貫校の受検者人数の推移や新タイプ入試実施校の件数推移のデータを、首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成さんから頂きました。この推移グラフやデータを見ていると、両中高一貫校の違いが推察できます。

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★まず受検者数の推移グラフです。2013年まで爆増しています。しかし、2014年から減少傾向になります。ときどき増えていますが、千葉県の公立中高一貫校が立ち上がったりして増えるということはあったかもしれません。しかし、基本は徐々に減少です。あまりに高倍率だったので、受検生が見極めたということもあるかもしれません。公立中高一貫の適性検査市場は安定したということでしょう。

★このきっかけは、3つくらい理由があるかもしれません。

❶意外と問題視されないかもしれませんが、2015年から都立中高一貫校は、独自問題と共同作成問題がミックスされるようになりました。公平性などの配慮でしょうが、おそらく教科横断型で思考型の問題をそれぞれの公立中高一貫校で作成したり採点基準を作成するのは、教員に負荷がかかるというのが、背景にあるかもしれません。これは一気に標準化され、勢いが減退します。逆に都立高校入試で、日比谷など独自入試問題を作成するところは勢いを持続可能にします。入試問題と教育力の相関を、なんとなく察知しているのが受験業界なのではないでしょうか。

➋高校から始まった保護者の教育費負担軽減政策が、高校から私学は公立並みの教育費になるかもしれないという期待値が、中学ぐらいはがまんしようという経済原則が働いているのかもしれません。昨年から東京は私立中学も10万円補助が出るようになりました。一方で、私立中学も適性検査型入試を実施するところが飛躍的に増えました。公立中高一貫校と私立中高一貫校の教育力を比較して、それほど偏差値が高い学校ではなくても、公立中高一貫校以上の教育環境があるのなら、入学準備は同じですから、最終的に併願せずに私学を選択するという受験生の行動選択が生まれているのでしょう。極めて合理的行動です。

➌コロナ以降、公立中高一貫校の教育力は進路指導に大きくベクトルシフトをし、STEAM教育やグローバル教育は、圧倒的に私立中高一貫校に軍配があがってしまったということも考えられます。STEAM教育は、公立中高一貫校の場合は、情報というカリキュラム以上のことはやれないでしょうし、グローバル教育も英語教育にプラスアルファがあるぐらいで、大胆なものは難しいですね。IB認定校になってやっと私学と肩を並べられるというのが現実です。

★一方首都圏の私立中高一貫校の新タイプ入試と英語入試を実施ている学校は、首都圏私学全体の50%に迫る勢いです。新タイプ入試も公立の適性検査型に合わせたものも実施しますが、私学のクリエイティブなカリキュラムを反映した思考力入試やプレゼン入試など生徒1人ひとりの才能にマッチングする入試の開発もどんどん増えています。

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★英語入試も同様です。算数が不得意でも、英語が得意な場合、言語能力に才能がある可能性が大です。中学からは数学で、言語能力の抽象思考ができる生徒は、算数のような具体的な思考は難しくても、数学のような数理モデルを考えるような抽象思考は転移できる場合が多いので、英語入試は、今までにない才能発掘テストになっている場合もあります。

★表にあるように、私立中高一貫校の新タイプ入試や英語入試を実施している学校の件数は急激に伸びています。それだけ、多様な才能とのマッチングシステム(私はMIGRIT型入試システムと呼んでいます)を積極的に私立中高一貫校が開発しているということでしょう。基礎学力競争選抜試験から才能マッチング試験にシフトし始めているのでしょう。

★AI時代にあって、新しいタイプの資質能力や才能に期待されています。私立学校はその時代の要請にしっかり対応しているわけです。そこが公立中高一貫校と私立中高一貫校の大きな違いだと思います。

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2024年7月 7日 (日)

駒沢学園女子の学校説明会 わかりやすく丁寧なストーリーテラー集団 3年後ブレイクスルー秘密を公開

★昨日6日、駒沢学園女子(以降「駒女」)の高校の学校説明会が開催されました。講堂は200人以上の参加者でいっぱいでした。同時開催された中学説明会も昨年以上の集まりだと入試広報部の山口先生が教えてくれました。どちらに参加しようかと迷いましたが、中学説明会は高校の説明会よりも回数が多いので、また秋に訪れようと、高校の説明会に参加しました。今春から開設された英語コースの授業体験もあるということだったので。参加して、驚愕!すばらしい説明会でした。

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★受付から司会、体育祭のプレゼンまで、生徒会及び駒女生徒広報部のみなさんが運営していたのです。体育祭のプレゼン用の楽しくて迫力ある動画も生徒広報部の皆さんが作成したということです。先生方と生徒の皆さんの阿吽の呼吸がとてもいい雰囲気を生み出していました。参加した受験生・保護者のみなさんも、こんなに信頼関係ができあがっている学校の雰囲気には感動したと思います。

★実際に説明会のそれぞれのプレゼンを聞きながら、受験生と保護者がときどき目を交わし合い、これだよね、ここだよねと共感しているシーンがたくさんありました。

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★それにしても、1時間の説明会に土屋校長の学校理念の話をはじめ5つのトピックが説明されたのですが、実にわかりやすく、それぞれ短い時間だけれど、時間がないという焦りがまったくなく、むしろゆとりある雰囲気できっちり説明すべきことを収めていました。それでいて、参加者に問いかけて巻き込みながらTEDのプレゼンさながら。みなストーリーテラーとしての心意気がすてきでした。

★なぜこんな展開ができたのか?それは、先生方が思い描き、成長していく生徒の姿を共有しながら語っているからだと思います。好奇心旺盛で、自分の見つけた興味や関心あることを探究し、その成果を実装し、思いやりを持って行動していく生徒をそれぞれのトピックで語っているのです。

★それもそのはずです。そのような生徒が目の前にたっておもてなしをしてくれたり、司会をしたり、プレゼンをしたり、動画を作成したりしているのですから、自信をもって語れるわけです。

★今回の駒女の学びのトピックは、探究と英語コースがズームアップされていました。探究は、コマジョクウェストとライフデザインの2種類について説明されていました。コマジョクエストは生徒が興味と関心あることを「問い」化して深めていく学びです。ライフデザインは、女性としての生徒が自らの生き方を「問い」かけ、深めていく学びです。自分を見つめ深めていく。その自分が女性であるがゆえに男性に比べて生きにくい壁があることに気づき突破していくからこそ、自分を深めていくことができるのです。単なるよくある探究のお話ではなかったのです。

★生徒1人ひとりの生き方にぴったり合った探究だったのです。よく他の学校の教師は探究は難しいとか悩むのですが、駒女の先生方は今目の前の生徒の生徒自らが持ち込んだわけではない社会の壁を共に突破し、生きる道を歩んでいくわけです。探究という学びのデザインが難しいなどという課題意識はなかったのです。生徒の生きる道そのものに立ちはだかる壁こそが先生方にとっての課題だったのです。

★父親が前のめりになってプレゼンに耳を傾けていたのは、おそらくそういう駒女ならではの真実の学びが展開されていたからだと思います。

★それにしても、探究活動や英語コースの学びの中には、明らかに生徒が飛躍的に成長するプログラムの仕掛けが共通してありました。

★NHKで「ニュー試」という番組があります。世界の名門大学の入試問題をタレントの皆さんと研究していく番組です。正解が1つではない問いが取り扱われている番組ですが、生徒が飛躍的に成長するには、そのような問いをディスカッションしながら考えていく学びが徹底していることであることは、世界中で認められていることです。

★このことに気づいている日本の学校は実に少ないのですが、今まで高偏差値ではない学校が、このような環境を徹底的に実行していったら、3年間で飛躍的に伸びたというケースは多数なのです。

★NHKがそもそも知識ベースの問題を扱ってきたのに、ここ2年くらい「ニュー試」という番組にシフトしてきたのは、実はここに気づいたからですね。

★駒女はこの流れと共振しています。3年後が楽しみですね。駒女の学びの核については、また別の機会にコメントしたいと思います。とにかく素晴らしいということだけ明記しておきますね。

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2024年7月 6日 (土)

2026年中学入試も大学入試も、MIGRIT型に変貌する!?総合型選抜が全く違う意味で重要になる。

昨日GLICC代表鈴木さんと対話しました。日本の政治経済のみならず世界も変動しているのは、今が困った状態だからなのは言いうまでもありません。身の回りで、価値が急上昇しているものとそうでないものが現れていて、多くの市民にとっては、よい状態ではない。でもある限られた層は安泰というのが、あからさまになっています。こんな露骨な格差の状況の中で、サバイバルマインドとサバイバルスキルを身につけることが教育に求められはじめているのは当然だよねという対話でした。

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★配信終了後、二人でリフレクションして、同じことを言っているつもりでも、どこか違いがあったようなという対話になりました。私が中学入試のルール内で話している帰国生入試や英語入試の話が、鈴木さんのグローバルアドミッションから見ると狭いわけです。

★その違いはどこから来るのだろうかという話になっていたと思います。そこで気づいたのは、鈴木さんは、大学入試における帰国生入試から中学入試の帰国生入試や英語入試を見て語っているということに気づきました。

★大学の帰国生入試は、アフターコロナになって大きく変わっています。早稲田大学と慶應義塾大学で、帰国生入試を縮小や廃止する学部もでてきたわけです。両大学は来年2025年からそうします。大学入試における帰国生入試は、外国の高校を卒業することが条件です。ところがコロナによって阻まれ、海外就学経験はあるが卒業できなかったという生徒が増えているわけです。

★そこで、海外就学経験者に早稲田の政経は「グローバル入試」、慶應義塾大学の経済は「PEARL入試」といういわば総合型選抜を設けているわけです。これは国内生でもハイレベル英語学習経験者であればチャレンジできます。

★中学入試の帰国生入試は、大学の場合とは違い、一定期間海外就学しているということが条件で、海外の小学校卒業は条件にはないわけです。東京の場合は、公立と私立などの間で紳士協定があって、国内の英語学習経験者は、帰国生入試を受験する資格はありません。

★鈴木さんのグローバルアドミッションからすれば、大学は、帰国生入試を減らして、グローバル入試などの総合型選抜に変わっていく。そこにおいてはハイレベル英語学習経験者で創造的思考力などのクリエイティブな才能とそれを生み出してきた体験が重視されるというわけです。

★ハイレベル英語力と高度思考力と豊かな経験。その経験は文理融合的なものです。

★すると、中学入試も、その影響が大きく出てきます。2025年の早稲田大学と慶應義塾大学の帰国生入試と総合型選抜を融合した新しい入試への移行。海外就学体験者であれ、国内でハイレベル英語学習体験者であれ、区別なくチャレンジできる入試が注目を浴びます。同じようなタイプが2027年東大でも行われます。

★中学入試は、今まで2科・4科テストと新タイプ入試というように分けられてきましたが、2026年には、その区別はなくなり、要するに自分の得意な入試科目は何かという入試になるでしょう。大学入試はすでにそうなってしまっています。

★これは、まさにMI(多重知能)のどれか一つでも得意=好奇心旺盛な学びができ、その姿勢がGRIT(やり抜く力)であることを要求するという入試概念に中学入試も大学入試も変わっていくということです。これが確立したら順次高校入試も変わるでしょう。すでに適性検査型に変わっているので、あっという間だと思います。

★このようなコンセプトの入試をMIGRIT入試とでも呼んで起きましょう。そしてこれによって生徒1人ひとりの3Tが実現するわけです。タレントである才能はすべての生徒がオンリーワンのものをもっています。それが市場で売れるかどうかは、本人のアイデアと仲間力にかかっています。テクノロジーはICTのみならず感情や思考や行動、組織をマネジメントできるかどうかというスキルです。その道具として生成AIをはじめとするICTは今後は欠かせないでしょう。そしてトレランスという寛容性。こんな複雑な世界は、ひとりではサバイバルできません。仲間と共感し、自然と共生し、社会と共創するしかありません。多様な価値観やものの見方が衝突する世の中です。トレランスという寛容な心の余白が必要でしょう。

★この2026年のMIGRIT入試コンセプトの移行を、中学入試において促進するきっかけは、来春豊島岡女子が実施する算数×英語資格利用入試と八雲学園が実施するすべての2科・4科テストに英語資格利用を導入するということでしょう。

★自分の得意教科をいかし、自分なりの3T能力を磨ける学校探しが始まります。その学校探しを可能にするのは、MIGRIT入試です。もちろん、この言葉は使われないでしょうが、実質広がっていくということになります。

★大学入試において、総合型選抜がますますMIGRIT入試コンセプトが濃厚になっていくことは間違いありません。

★そうそう、このMIGRIT入試をすでに実施しているところがあります。それが湘南白百合と工学院大学附属です。

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2024年7月 5日 (金)

桜美林 探究と系統主義的な教科授業の化学反応を生徒が主体的に起こす

★昨日一般財団法人東京私立中学高等学校協会の常任理事会と理事会がありました。終了後、2時間ほど理事会に出席されていた桜美林の堂本陽子校長と対話をしました。ここのところ理事会終了後何人かの校長先生と対話の機会を頂きます。みなさんお忙しいので、そのような機会は珍しいのですが、この間もICUの校長中島先生と対話ができました。お二人との対話で共通している話題は、「不易流行」についてです。

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★理念とその実現の関係性についてです。歴史に学びながらこれからの世界と教育について、さすが校長先生方です、大胆な気概と細心の気遣いの両方を融合させる広い視野深い眼差しで語ります。

★堂本先生は、不易流行という方程式の考え方は、聖書の次の言葉に象徴されると語ります。

「二人または三人がその名によって集まるところには、私もその中にいる。」マタイ18ー20

★美しい言葉です。堂本先生は、対話をすることによってそこに建学の精神が反映している世界が生まれてくるというのが「不易流行」なのではないかと。とかく伝統と革新と分けて、それを統合するというイメージになりがちですが、目の前の生徒が対話をしているそこには真理が現れてくるというのは最高の関係性ではないでしょうか!

★もちろん、だれでもがそうなるわけではありません。そういうシーンが学校中に満たされるような「対話」の学びを日ごろからしているからそれは可能なのです。たとえば、「さくらプロジェクト」という東北大震災の被災地支援を有志の生徒たちが3・11以降バトンを受け継ぎながら行っています。

★ある先生は哲学対話をし始めています。ユネスコスクールの活動も活発です。

★そして、中1から高2までの探究のプログラムがデザインされています。この探究のおもしろいのは、クリティカルシンキングがクリエイティブシンキングとカップリングされていることです。

★ 今年2月、桜美林高校で高校2年生による探究学習の発表会が開催されました。生徒たちは1年間の探究学習を経て、個人探究の成果を発表し論文集まで作成するようです。その発表で1人の高校生が「探究はなぜつまらないのか」というテーマを掲げました。登場のパフォーマンスなども斬新で、TEDさながらのプレゼンは聴衆を沸かせたということです。

★探究に対する不平不満なのではないのです。今の教育にありがちな探究ウォッシュのあり方をクリティカルシンキングしたうえで、好奇心旺盛になり創造性を刺激する探究とは何かをクリエイトしているのです。そして、その高校生の探究そのものが、そのモデルだというギミックが埋め込まれていたわけですね。

★対話を通してそこには真理が映し出されたわけです。まさに堂本校長の考える不易流行の方程式がそこにはあります。大事なことは充実した探究の環境が、さらにそれを超える探究を生徒たちが対話によって化学反応を起こして生み出していくということです。それを陽だまりの眼差しで眺めてながら指導しているのが桜美林の先生方なのでしょう。

★そして、一方で教科の授業は系統主義的学びをしっかり行っています。探究と教科のつながりはいかにしたら可能か?今どこの学校でも先生方は苦心しています。

★しかし、桜美林では、先生方が充実した探究のプログラムを実施し、教科の授業の創意工夫をすることによって、生徒たちが対話をしてそれらをつなぐ化学反応を起こしているのです。そこをつなぐところは、余白として生徒の主体性に任せるということなのでしょう。

★堂本校長は、有機的な組織をマネジメントして、生徒1人ひとりが成長する学びの場を先生方と対話しながら日々アップデートしている様子でした。桜美林は創設者夫妻が二人三脚で、グローバルな経験と見識と気概をもって作った学校です。その創設者夫妻の魂を受け継いで、すでに襲いかかってきているのですが、世の中にはまだ気づかれていないグローバルリスクに立ち臨む教育出動を開始しています。高邁な精神を胸に果敢に世の痛みに挑んでいる私学人。感動しました。

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2024年7月 4日 (木)

土屋校長 東京私学協会報で語る 私学全体の不易流行

★「東京私学協会報(118)令和6年7月4日」で、駒沢学園女子の校長土屋登美恵先生が論壇で、「平和な次世代を築いていくために」と題して東京私学全体に共通する不易流行の姿を鷲づかみしていました。驚きました。私学全体のビッグアイデアというかビッグコンセプトをわずか1000字の論稿で執筆してしまうなんて!さすがです。

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★土屋先生は、一般財団法人東京私立中学高等学校協会広報部副部長ということもあり、ご自身の学校の話は全くしていません。私立学校全体の不易の部分である理念と時代を牽引する先見性先進性という流行の部分を明快にしかも具体的に論じているのです。

★実に感動的なのは、ご自身が久しい間英語教員だったこともあり、「英語」教育という現場の話から、真のグローバル教育はどういうことかを論じていくアクロバティックなストーリーです。「宇宙から国境は見えなかった」という毛利さんの言葉の意味を紡ぎながら、平和を作っていくグローバル市民性こそがポイントなのだと。

★各私立学校の建学の精神の文言は、確かにそれぞれ特色がありますが、この点に関しては共通しています。そしてこの理念を具現化するには、人を思いやる慈悲心と何が正しいかを判断する「智慧」なのだと。

★地球は国境などはじめからあったわけではない。人間がつくり、平和を維持するためのものだったはずなのが、今ではその本質や真理を追究することを忘却してしまったから地球規模の課題がどんどん膨れあがっているのだ。

★この事態を省察し、解決をすべく、各私学のグローバル教育(探究・PBL・STEAMも包摂される)は劇的に進化している。だから、

<日本の若者から「自分以外に関心がない」「そもそも自分が何をやったって世界が変わるわけではない」こんな後ろ向きな発言が聞こえてこない、真のグローバル社会が、日本にも近く訪れることを楽しみにしている>

★と結んでいます。

★駒沢学園女子は曹洞宗の精神を理念として持っています。この精神自体、世界宗教ですから普遍的です。「平和」といういままさに重要な時代のキーワードを軸に語る土屋先生の気概は、もちろんそこから生まれています。

★一方で、その気概は、土屋先生の出身私学の影響もあるのではないかと感じました。その学校の創設者は女性です。日本の私立学校に人生を捧げただけではなく、戦後日本の教育と国のあり方に理念を語り続けて創ってきた方です。

★江戸幕府が壊れて日本中焼け野原になったところから近代日本は始まりました。その日本を支えて人材を育成したのが、その学校の創設者です。そして再び第二次世界大戦で、やはり焼け野原になった日本をいかに立て直すかにも挑みました。ダグラス・マッカーサーに自分たちのアイデアを伝えるために日本の重鎮のみならず米国のネットワークも巻き込んで説得する。まさに真のグローバルリーダーシップを発揮した彼女。

★土屋先生にもその魂のランターンは受け継がれているなあと感じ入りました。

 

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2024年7月 3日 (水)

中学入試タイプ別と大学進学準備タイプ別のつながり

★中学入試において、どのタイプで入試するかという選択判断をする時代にすっかりなりました。4科入試か新タイプ入試か、そのミックスかということですね。そしてそれと並行するように進化してきたのが、大学入試のタイプです。ここでは、国内大学の一般選抜と国内大学の総合型選抜と海外大学進学準備のそれぞれの条件を整理し、それと中学入試のタイプ別のつながりを考えてみましょう。

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★この3つのタイプの進学準備に必要最小限の条件は、6つです。

英語力

基礎学力の充実度

論理的思考の充実度

批判的・創造的思考の充実度

PBL体験充実度

リベラルアーツ的思考

★英語力は、一般選抜では、CEFR基準でB1あればぎりぎりなんとか合格できます。共通テストの科目に象徴される基礎学力の充実度は高ければ高いほどという目標が設定されます。論理的思考は、主張と理由と具体例があればすべての国公立大学の記述・論述はなんとかなります。批判的・創造的思考の充実度は、ほとんどいりません。PBLの体験もほとんどいりません。リベラルアーツ思考もほとんどいりません。

★私立中高一貫校で一般選抜で実績をあげているところは、だからといって、この最小限の基準だけを学ぶ環境を作っているわけではありません。実は海外大学進学準備に必要な条件を充実させているところも多いのです。ただ、一般選抜向けの対策は念入りですから、このタイプを受験する生徒が多いということなのです。そのような骨太の教育を受けた生徒は、大学や大学院で海外大学留学をする生徒も当然でてきます。ただ、このような学校に中学段階ではいるには高偏差値が必要ですから、高ストレスがかかります。この高ストレスをばねにできるか、苦しんでしまうかは、生徒によります。苦しんで入った場合は、意外と大きく飛躍する場合もあります。問題は苦しんだ挙句、選択を変えず失敗した時です。この生徒が中学受験加熱の象徴にされている可能性があります。

★このストレスをばねにできない場合、あるいは耐えられない場合、中には無意味だと悟った場合、中学校の選択を変え、そのようなストレスの呪縛から解放されたなら、大学の一般選抜で再チャレンジするもよし、総合型選抜で、好きなことを楽しみながら没入しながら豊かな学びができるもよしです。

★またそのような学校を選ぶときに、新タイプ入試で中学受験を楽しみながら入学すると、やはり総合型選抜や海外大学の道が開けます。

★かつては、基礎学力がないからとこのような新タイプ入試は批判されがちでしたが、それはかつてのAO入試や総合型選抜の時の批判と同様です。多様な入試タイプがあるのは、中学入試でも大学入試でも大きな流れです。悪玉ストレスをなくすという受験勉強は実は人権を守る話でもあるのです。精神的苦痛はその背景に何らかのハラスメントがあることは受験勉強だって同じなのです。

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国内大学か海外大学か サバイバルキャリア志向で サバイバルマインド&スキルはいまこそゲット

★アメリカで最も長い歴史を誇る私立芸術大学の一つ、ユニバーシティー・オブ・ジ・アーツが6月7日をもって閉校したというニュースを聞いて驚きました。STEAMの時代です。アートの名門大学が破綻するというのは、どういうことだろうかとそう思っていると、ノンフィクション作家の林壮一さんが米国大学が週に一つは潰れていると執筆している記事が眼に入ってきました。

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現代ビジネスで林壮一さんが、大学通信の井沢秀さんにインタビューしながらまとめている記事で、啓発的です。今日本の私立中高一貫校からは海外大学に進学する生徒が急激に増えています。また国内大学に行っても海外大学に1年間留学プログラムを体験したり、大学院で留学したりという学生もいます。さらに、海外大学卒業後、日本の大学院に進む学生もいます。

★国内大学卒業するだけで、キャリアを積もうとすると、最難関大学に入って安定的な大企業や官庁に勤務する道を選ぶことが多いですよね。医学部などは、まだまだ国内大学の医学部が多いと思います。いい大学に入れば将来は保証されるという牧歌的な時代は終焉しましたが、最難関大学だけまだそれを維持できています。とはいえ、その頂点に立つ東大卒業生のキャリアは、かなりサバイバル志向になっているということのようですが。

★そんなわけで、まずは中堅大学に入って、在学中に海外大学に留学したり、編入し直したりということもでき、そこに着目する生徒が出現してきました。それに高校卒業段階で海外の大学に進む場合は、その高校が難関高校である必要はないので、ますます中学や高校の入試は、偏差値から解放されます。サバイバルキャリア志向でキャリアデザインを考えると、偏差値ゲットの投資は必ずしも時代に会っていません。

★林壮一さんが語っているのは、海外大学どこころか実は国内の大学こそがサバイバルモードになっているというわけです。どんなに伝統があって名門と言われていても潰れる時は潰れます。リスクを回避するサバイバルキャリア志向を持つには、まずは偏差値から解放されている状況でなければ学びの投資の仕方がもったいないということなのです。

★7月7日の都知事選を境に、東京だけではなく、日本も世界もサバイバルマインドとスキルを必要とするでしょう。どこでそのマインドを学ぶのか、どこでそのスキルを体得できるのか。マジ考える時が今です。

 

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2024年7月 2日 (火)

工学院大学附属中学校 体験学習・部活体験

先日、工学院大学附属中学校は、説明会と並行して、小学生向けの多彩な体験学習を実施したようです。サイエンス部では生き物スケッチに夢中、理科では創造力を駆使した工作、自動車部ではソーラーカーの魅力に触れ、茶道部ではお点前の風雅を体験、情報科学では、中野校長のファシリテーともと数字で絵を描く挑戦、ダンス部ではリズムに合わせた舞、デジタルクリエイター育成部ではマインクラフトで創作活動、バドミントン部では先輩との対戦に挑んだようです。

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★さりげないけれど、工学院のSTEAM型リベラルアーツを体験したわけです。なぜこれが重要なのか。中高での学びが、直接自分の生きる道の魂とそれを実現する技術を体得する学習指導要領を超えたそれでいて俄然楽しく没入できる学びだからです。

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新しいコミュニティのキザシ りょうゆう出版代表安修平さんと対話して

★昨日、りょうゆう出版の代表安修平さんと対話をしました。安さんは、「シリーズ 学びとビーイング」全4巻を120人以上の教育関係者(公私問わず、保育園から大学まで)と発刊しました。出版だけではなく、同シリーズの5人の編集者がファシリテーターとなってワークショップやトークイベントを行っています。トータルで、教育の方法論集ではなく、もっと本質的な教育や学校や教師の「在り方(ビーイング)」を多様な執筆者と論考し対話する言語化コミュニティを形成しています。

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★このような教育関係者が、公立私立問わず、保育園から大学まで越境してコミュニティを創るというとのは、何か化学反応が起こるダイナミズムが起こるのではないかと。

★そこから、また新しいコミュニティが生まれてくる可能性があるのではないかと。

★安さんは、コミュニティが弱くなると権力関係が生まれることを熟知していますから、強い一人のリーダーがコミュニティを指揮するという形態をとっていません。あくまでコンセプトを共有する編集チームと参加者一人一人がいわばボトムアップリーダーであるようなコミュニティを理想としている感じです。

★今回の「シリーズ学びとビーイング」コミュニティは、多様なアイデアがあふれていますから、そこからどれがビッグアイデアの実として育っていくかが楽しみだということでしょう。

★その共創によって生まれたビッグアイデアが魂のリーダーとなって参加者一人一人に分有されたとき、みんがリーダーシップをとって動き始めます。まるでスイミーの物語のようですね。

★どのアイデアもビッグアイデアになる可能性があるので、コミュニティは変幻自在に化学反応を起こしていくのでしょう。このトランスフォームコミュニティとでも呼ぶべき、新しい動きを安さんは仕掛けているのではないかと感じた次第です。

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2024年7月 1日 (月)

対話型論証を通して深い学びができるわけ in 京都

★2024.6.27、京都リサーチパークで令和6年度 全国私立中学高等学校 私立学校専門研修会 教育課程部会」の研修がありました。第一部ではまず<「深い学び」のデザイン―対話型論証を通して―>という題目で、京都大学大学院教育学研究科教授の松下佳代先生がご登壇。

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★インパクトがあったのは、「主体的対話的で深い学び」と「対話型論証」が親和性があることを、さらりと佐藤学先生の「学びの三位一体論」を松下先生なりのモデルを通して語られたことでした。

★対話のモデルを描くとき、自己と他者の間の図式が書かれるのが定番ですが。松下先生はそこに「世界」を加えます。この三者の関係を佐藤学先生は学びの三位一体というのでしょう。ところが松下先生は、自己を現す円の中に2つの円を描いています。学習者と彼と彼女自身という円ができていて、入れ子の三位一体になっています。

★この図の詳しい解説は実はなかったので、この理解でよいかどうかはわかりません。ただ、私という学習者にとってはこの世界モデルは刺激的でした。対話は自己も他者もそもそも複合的な視点や役割が組み合わさって成立しています。この組み合わせがうまくいかなくなると分裂的にあんるのでしょうが、そうならないように自己内省や相互リフレクションして調整していっているのでしょう。

★そんな自己と他者が、世界を媒体に対話をするのです。そしてその世界もまた複合的で複雑で、私たちがコントロールできるような事象ではありません。一部は理解した気になっていますが、すぐにどんでん返しを食らいます。

★だからこそ、そうならにように予防したり、そうなるシステムを理解したいと研究されるわけです。

★仮説と検証の連続があらゆる領域でおこっているし、研究する新たな領域が生まれる場合もしばしばです。この自己と他者と世界の関係性こそ、自然と社会と精神の関係性とその関係性の中に内蔵する私たちです。

★このような関係態の世界をすべて理解している人は誰もいません。それなのに生きていくことができるのも不思議です。あるとき、事件や事故が起きたとき、理解しようという探究が始まります。そして、そのようなことが頻繁に起きているので、多様な探究が世の中満ち溢れています。

★松下先生の今回の目的は、ここではなく、あくまで対話型論証モデルが高校現場でどのように展開しているかという事例ケースを通してモデルシステムを共有するということだったでしょう。対話型論証モデルは三角ロジックの連続体ですが、このことについては国語の教科書でも紹介されるようになってきました。

★しかし、対話型論証モデルは、国語という教科を超えて学校の学びも超えて、人間が生きていくうえで必要な対話のシステムです。限られた時間と参加者も初任者から理事長校長まで経験の違いが多様だったため、そこまでの話にはなりませんでした。ただ、それについて興味がある方は、ホームページを見てくださいということでした。開くとこの三角ロジックはそもそも原型は哲学だったということが了解できます。しかも分析哲学で、数学的思考と親和性のある哲学です。

★ですから、三角ロジックは、3つのDuctionの関係態でもあったのです。たまたま私の近くに座っていた松下先生の知人の大学の先生が、そういう難しい話はあえてしていないんですよと。なるほど、まずは多くの先生方が対話型論証モデルを学びの中で活用してくれることが今回の最大の目的で、その後学問的なことは深めて欲しいということだたのかもしれませんね。

 

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