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2024年7月 1日 (月)

対話型論証を通して深い学びができるわけ in 京都

★2024.6.27、京都リサーチパークで令和6年度 全国私立中学高等学校 私立学校専門研修会 教育課程部会」の研修がありました。第一部ではまず<「深い学び」のデザイン―対話型論証を通して―>という題目で、京都大学大学院教育学研究科教授の松下佳代先生がご登壇。

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★インパクトがあったのは、「主体的対話的で深い学び」と「対話型論証」が親和性があることを、さらりと佐藤学先生の「学びの三位一体論」を松下先生なりのモデルを通して語られたことでした。

★対話のモデルを描くとき、自己と他者の間の図式が書かれるのが定番ですが。松下先生はそこに「世界」を加えます。この三者の関係を佐藤学先生は学びの三位一体というのでしょう。ところが松下先生は、自己を現す円の中に2つの円を描いています。学習者と彼と彼女自身という円ができていて、入れ子の三位一体になっています。

★この図の詳しい解説は実はなかったので、この理解でよいかどうかはわかりません。ただ、私という学習者にとってはこの世界モデルは刺激的でした。対話は自己も他者もそもそも複合的な視点や役割が組み合わさって成立しています。この組み合わせがうまくいかなくなると分裂的にあんるのでしょうが、そうならないように自己内省や相互リフレクションして調整していっているのでしょう。

★そんな自己と他者が、世界を媒体に対話をするのです。そしてその世界もまた複合的で複雑で、私たちがコントロールできるような事象ではありません。一部は理解した気になっていますが、すぐにどんでん返しを食らいます。

★だからこそ、そうならにように予防したり、そうなるシステムを理解したいと研究されるわけです。

★仮説と検証の連続があらゆる領域でおこっているし、研究する新たな領域が生まれる場合もしばしばです。この自己と他者と世界の関係性こそ、自然と社会と精神の関係性とその関係性の中に内蔵する私たちです。

★このような関係態の世界をすべて理解している人は誰もいません。それなのに生きていくことができるのも不思議です。あるとき、事件や事故が起きたとき、理解しようという探究が始まります。そして、そのようなことが頻繁に起きているので、多様な探究が世の中満ち溢れています。

★松下先生の今回の目的は、ここではなく、あくまで対話型論証モデルが高校現場でどのように展開しているかという事例ケースを通してモデルシステムを共有するということだったでしょう。対話型論証モデルは三角ロジックの連続体ですが、このことについては国語の教科書でも紹介されるようになってきました。

★しかし、対話型論証モデルは、国語という教科を超えて学校の学びも超えて、人間が生きていくうえで必要な対話のシステムです。限られた時間と参加者も初任者から理事長校長まで経験の違いが多様だったため、そこまでの話にはなりませんでした。ただ、それについて興味がある方は、ホームページを見てくださいということでした。開くとこの三角ロジックはそもそも原型は哲学だったということが了解できます。しかも分析哲学で、数学的思考と親和性のある哲学です。

★ですから、三角ロジックは、3つのDuctionの関係態でもあったのです。たまたま私の近くに座っていた松下先生の知人の大学の先生が、そういう難しい話はあえてしていないんですよと。なるほど、まずは多くの先生方が対話型論証モデルを学びの中で活用してくれることが今回の最大の目的で、その後学問的なことは深めて欲しいということだたのかもしれませんね。

 

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