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2024年6月25日 (火)

不易流行としての≪学びの系譜≫ 探究を巡る多様な方法の深層にあるコア

★昨今探究型授業や教科横断型授業のプログラムをデザインする場合、多様なプログラムデザイン手法が使われています。封建社会から近代国家が生まれる時にヘルバルト主義の教授法が生まれました。紆余曲折変遷はありますが、今も一方通行型の授業は、なんだかんだといってヘルバルト主義が息づいています。

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(≪学びの系譜≫のコア=不易を探究している田中歩教頭)

★その後、近代国家がまだまだ権利の保障が一部の階層にしか適応されていないことに抗い、さらに民主主義近代国家の動きが進みます。そこでデューイが登場し、今まさに活用されているPBLの原型をつくりました。実験学校を作り、そこで実践もされました。しかし、2つの大きな世界大戦の過程では、そう簡単ではなかったですね。

★戦後、IBとラウンドスクエアが誕生し、PBL型の授業が再び重視される一方で、一般的な公立学校では、ヘルバルト型の授業が行われていきました。

★一方、戦後、アメリカは、イノベーション経済になっていきます。創造的思考を経営学の側面から生み出していきます。今もよく使われている汎用性の高いプログラムはブレインストーミングですね。A・オズボーンが開発して広めました。1950年前後の話です。

★しかし、それはある意味クリティカルシンキングを回避するので、1972年に「成長の限界」で、倫理なき創造的思考は地球を破滅させると警鐘がなされ、システムダイナミクスが活用されたわけですが、それはプログラミングによって作成されたので、まだ一般には理解が広まりにくかった時代です。そこでドネラ・メドウズはそれをシステム思考に変換させました。今もピーター・センゲらドネラの仲間たちによって受け継げられ昨今の学校でも活用されています。

★経営学の分野やマーケティングの分野からは、デザイン思考やOSTなどが生まれてきます。世界が止むことのない戦争や紛争で心のケアを必要としはじめたからでしょう。

★心理学の分野からは、MITメディアラボから探究型の3Xプログラムが推奨され、それがレゴシリアスプレイⓇになり、それが今もさかんに探究の授業で活用されています。

★MITメディアラボの動きは、当然GAFAMに連動していて、コンピュータサイエンスの世界では、マイクラやメタバースの世界に突入していき、STEAM教育が生まれてきます。そのときしかし、マシーン的なあまりにマシーン的なという状況ですから、ZENが広がり、マインドフルネスが注目されるようになります。仏教の出番です。

★それは心理学のEQなどと交差し、SELという心理的安全を基盤に自分を超える創造性を自然に生み出していくプログラムが動き出します。これも活用している学校があります。

★というわけですが、結局これらの≪学びの系譜≫の中で、コアになるのは、デューイのPBLという考え方とオズボーンのブレインストーミングなのだと私は思っています。この両者の共通点であるコンセプトレンズが、これらの≪学びの系譜≫の不易の部分です。

★かくして、≪学びの系譜≫の不易流行という見方をすると、学校の教育も整理され、その不易を土台に独自の教育を各学校は作れるのです。しかもコンセプトレンズを内面に設置することによって、生成AIなど新しいイノベーションも適性に効果的に新しい次元を拓くIBLを生み出すことができます。

★このことにしかし、気づいているのは数名で、その1人が工学院大学附属中学校の教頭田中歩先生なんです。いずれ歩先生のIBL授業を取材したいと思います。

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