学校法人石川義塾中学校・石川高校の教育システム その私学ならではの独自性 生徒が7つの習慣×ルーブリックを実装➋驚きの設計
★学法石川が7つの習慣を教科の授業でも取り入れているということは前回ご紹介しました。そして、これら7つの習慣は、明治以来日本で取り入れられたイギリス流のプロテスタンティズムや功利主義的な個人を磨き上げる習慣です。現在では、東大法学部や慶応義塾大学法学部、一橋大学法学部が、このハイエク主義的なリバタリアニズム法学が大きな流派になっている程です。もちろんJ. ロールズ的な公正的正義論も影響力を持っていますが、リバタリアン寄りのリベラリストの研究者のグループが多い可能性があります。
★その流派は市場の自由主義的原理を尊重しますが、新自由主義のような保守的な権威主義は大嫌いですね。この例に象徴されるように、7つの習慣やコンピテンシー論は、どちらかというと背景にはハイエク主義があります。自由な個人の才能が利益をあげ、結果的に慈善事業などで社会貢献するという考え方です。ビル・ゲイツがスーパーモデルですね。現実社会で生徒が生き生きといきるには、このような能力が必要だという学法石川の意志決定は、不易流行の流行の部分でしょう。
★一方で、建学の精神10項目と認知科学的基準を10項目つくりルーブリック化し、生徒が内省してノートに記録していくというリフレクションの軸づくりの機会をたくさん設けています。建学の精神は言うまでもなく不易流行の不易の部分です。そして認知科学的な側面は、現状で普遍的な学びの理論です。そういう意味ではやはり不易の進化の部分です。不変の不易と進化する不易の両面を持っているルーブリックです。西洋プロテスタンティズムやリバタリアニズムの成功主義の7つの習慣と掛け合わすことによって、理想と現実を統合する凄まじい人間力が形成される学びの場を学法石川は形成しています。
★ここからは、私の独断と偏見ですが、上記のマトリクスのように7つの習慣と20のルーブリックを掛け合わせると、★印は共通して育成される資質・能力ですが、空白部分は共通していない部分です。特に凄いのが、青の欄です。ここは、7つの習慣で養うことができない精神の領域を表現しているのですが、なぜ7つの習慣で育成できないのか?
★それは、マズローの五段階欲求説で、実は第6段階目があるのではないか。それは悟りに近い境地だと言われています。またハワードガードナーも多重知能で8つではなく9つ目があるのではないかと。8つ目は実存的内省なのですが、それを超えるやはり悟りのような9つ目の才能を入れるべきかどうか迷っていました。GAFAMはそこは迷うことなく、マインドフルネスやZENを取り入れています。
★ですから学法石川の7つの習慣と20のルーブリックを掛け合わせて育成する人間力はプロテスタンティズム精神だけではなく、江戸以来武士が大切にしてきた「道」の精神も統合しているのではないでしょうか。
★あの澤柳政太郎が、公立学校でも教鞭をとりつつ大正自由教育のウネリをつくっていくのですが、私立学校も創らざるをえなったのは、公立学校は明治維新以降法律進化論をベースに富国強兵・殖産興業を促進するのが官学で、私学はそれだけではなく、福沢諭吉のように英国流儀の経済学を取り入れながらも儒学のベースをもっていたし、麻布の創設者江原素六も、儒学とプロテスタンティズムを統合しようとしていました。渋沢栄一も日本の資本主義の父ですが、道徳経済一元論で、「論語と算盤」はその象徴的な書ですね。実際実践しました。
★つまり、私学は、欧米化のみならず、江戸の学問と欧米の学問の統合をはじめから目指していたのでした。そのルーツは横井小楠でもあったのではないかと思っています。酒癖が悪く、世でいう大思想家とは呼ばれませんでしたが、日本の近代化路線の契機をつくった「国是三論」は読み返さなければと思っています。明治の私学人や坂本龍馬、勝海舟などにも影響を与えた人物です。暗殺によって命を落としますが。
★いずれにしても、ギブアンドテークの市場原理主義ではない、ギブアンドギブというフランス社会学が発見した贈与論が今再び注目されている世の中です。それは、無私とか無欲とか悟りのような言葉とも類義語でしょう。
★今目の前にいる生徒は、22世紀社会を創っていきます。ギブアンドテークとギブアンドギブの平衡感覚が必須の社会です。学法石川は創設当初から見通していたのです。バックスキャンというより、そのアンビバレンツな社会に平和と愛をもたらす本質を見抜く心の眼を養うことが、子供たちが自ら未来を開いていけるのだという信念と気魄です。
★それを7つの習慣と20個のルーブリックを掛け合わせてシステマティックな教育を構築しているのです。22世紀型教育の準備を構想している私たちの仲間には大変なロールモデルです。
★8月友人と一緒に福島で研修講師を担当することになっていますが、学法石川のケースも紹介しながら、さらにこのようなルーブリックをシンプルにすべての教育活動で行い、その相乗効果が22世紀型教育を生み出すイメージを共有したいと気合を頂きました!
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