2025年からはじまる越境的リサーチの広がり 中高大の動き
★東京の私立中高一貫校を眺めていると、70%は東大を頂点とする学歴社会を無視できないカリキュラムマネジメントをせざるを得ない状況であり、30%は世界的視野をもってカリキュラムマネジメントする私学が出現しています。世界的視野をもったからといって、何か善なる理想に燃えているかというと、もちろん燃えていますが、70%の学校だって理想に燃えています。ただ、30%の学校が実行していることは、その理想に水をかけたり、歩むべき道の障害になったりするもの=アンコンシャスバイアスを無化しようというアグレッシブな動きだといういことなのです。
(共愛学園前橋国際大学のサイトから。同大学のデジタルグリーン学部の新設は文科省も特筆すべきと評価している)
★その障害となっている壁は、もちろん制度的なものもありますが、その制度さえもアンコンシャスバイアスによって言説化され構築されているという側面もあるくらいですから、たとえば、大学が「女子枠」を設けなくてはならい、それを文科省も推奨するのは、ジェンダー問題に潜むアンコンシャスバイアスを払拭しようという動きとセットになっているわけです。
★ですから、私立学校もそこに思い切りチャレンジすればよいのです。30%の学校はそうやって、偏差値や学歴社会を無化する動きにでてきたのです。もちろん、それは私立中高だけのチャレンジではないのです。総合型選抜の動きや大学・高専機能強化支援事業など文部科学省も高等教育機関を支援し始めているということもあるでしょう。
★高大連携の広がりもあります。もちろん、学生の人口減少に対する生徒獲得戦略としてのねらいもあります。しかし、リベラル資本主義の国であれば、経営のことを考えるのはむしろ当然です。補助されるのが当然だという権威主義的なものは、無化しなければというのが、資本主義のそもそも原理で、そのプリンシプルを追究しているだけでしょう。
★ただ、このリベラル資本主義がエシカル資本主義になるかエゴ資本主義になるかは、人間次第なのです。シンプルにそうです。エゴ資本主義は権威主義になっていきますから。
★だから、偏差値や学歴社会を無化する動きは大事であると同時に警戒もしなければなりません。その外皮をかぶりエゴ資本主義を進める可能性もあるからです。
★さらに、この権威主義的な偏差値や学歴社会を無化する動きが私立中高や文科省の推奨する高等教育の制度の枠組以外から起こってもいます。
★それは、
①インターナショナルスクールが続々日本に上陸
②ミネルバ大学が日本をフィールドワークの場とする
➂ZEN大学の開校予定
★インターナショナルスクールは、富裕層の私立中高からのシフト。ミネルバ大学は高度英語の学びに拍車をかける。ZEN大学はN高などの通信制高校の新しい道をさらに開くという動きを作っています。
★インターナショナルスクールに対しては、私立中高は、その機能を超える教育を開発するようになっています。むしろメリットの方が多いですね。外国人日本人という教育インバウンドにも拍車をかけるでしょう。そして、これは明らかに海外大学への道が大幅に広がります。
★ミネルバ大学は、私立中高の教育にC1英語とPBLとSTEAMを盤石のものにする影響を与えてきました。フィールドワークとオンラインというハイブリッド空間での教育に拍車をかけるでしょう。メリットの方があります。
★ZEN大学が本当に稼働するとしたら、私立中高にも既存の大学にも打撃を与えます。もはや高校卒業資格に74単位も必要がなくなるし、大学もミネルバ大学のオンライン教育をデフォルメするわけです。政府のムーンショット計画の時空を超える生活というものとマッチしてしまいますから、従来の学びや研究の常識を覆すことになります。これはだれにとってメリットなのかデメリットなのか熟慮・熟議するのが良いでしょう。未来はしかし、この方向を進める可能性の方が大です。
★そこで全日制は、74単位のうち36単位は柔軟に活用できるようになりました。しかし、まだ実際には動けていないですね。もっとも、柔軟にせざる得ないでしょう。
★このような時代です。経済道徳合一説の≪私学の系譜≫が再び動き出しています。社会の不安や壁を無化し希望に変える私立学校の動きです。
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