湘南白百合 学びのニューコモンズの拠点(1)今までとは違う私立中高一貫校
★本日、湘南白百合で教育関係者対象の学校説明会がありました。同校は、ここ数年神奈川エリアの私立学校の中で最も重要で本質的なことを真正面から唱え、なおかつその本質を実現るために新しい教育環境デザインをし、生徒たちも自らの才能や能力を自ら見出し自ら開発し、その結果社会に貢献するマインドとスキルを見事に実装しています。
★そして、今年も着々と不易流行よろしく、進化が続いています。そんなとき、今春4月新校長岩瀬有子先生が就任したと聞き及び、これ以上何が始まるのかと不思議に思っていました。教頭水尾先生にいつも同校の現在進行形の不易流行をお聞きしていて、十分凄すぎると思っていただけに、いったい何がさらに起こるのだろうと。
★水尾先生とはいつもバーチャル上で出会っていたので、リアル湘南白百合の教育環境の中でお聞きしたいと思ったのです。
★というわけで、久しぶりに訪れて、やはり改めて驚いてしまいました。予定より1時間30分前(意外と近かったのです)に着いたので、最初の30分くらいは入口から事務室までのキャンパス内にしばらく佇んでいました。すると「あめのみつかい」と「キリエ」などミサ曲が響いてきました。トビの鳴き声も響いていて、音楽と自然の豊かさにしばらく癒されていたわけです。
★社会課題を扱う探究が充実していて、言語活動の視野が広く深いのは知っていました。また学芸大の先生方と幾つかの私立学校とコラボして数理モデルのシミュレーションをする問い作りをしていることも水尾先生からいつも教えて頂いていたので、言語、数学、そして音楽がこんなに豊かに循環している学校なんだと、つまりリベラルアーツが通奏低音としてい響いている学校であることを実感した30分間でした。
★そんなことを想いながら、会の始まるのを楽しみに待っていたのです。そして始まるや、非常にフラットに岩瀬校長が話をはじめました。フラットでフェアでフリーといった感じのプレゼンテーションに、いわゆる古いカトリックの学校の校長とは全く違う雰囲気に驚きました。水尾教頭も同じ雰囲気ですから、これは2025年度入試も湘南白百合はまたまた高人気だろうなあと思いました。
★それにしても、学びのニューコモンズとAIと数学的ものの見方・考え方について自然体で語っているのは、実に興味深かったのです。これは、一般に校長が紋切り型の未来ビジョンを語るのとは全く違うのです。ついにこういう校長がカトリック校からも現れたのかと感動しました。
★金融機関のSEも経験していて、社会課題を考える過程の中で数理モデルを生徒と共に創ってきたという探究活動も実際にやってきたうえで、しっかりAI時代における新しい教育として、キャンパス、教育プログラム、メディアスペースとしての図書館、新しいコンピュータ室、教科の授業は1人1台のクロムブックをグループワークで結んで個別最適化とコラボレーションができるICT環境を創り上げています。自然と社会と精神の分断が起きている現代社会の課題を解消するための学びのニューコモンズが湘南白百合全体の教育環境デザインとしてトータルに構築されているのです。
★このようなニューコモンズのコンセプトは、一般に今の学校の理事長・校長はほとんどもっていないでしょう。情報として知っていて話すことはできても、そのコンセプトを社会実装している校長はレアケースです。しかし、これからはどんどん出てくるのかもしれません。
★ニューコモンズの発想は全球的なウェルビーイングの発想と通じるものですが、コモンズの悲劇と言われるように、倫理が崩れる時、恐ろしいことが訪れます。ですから、学校で実践するのは難しいのです。しかし、湘南白百合はカトリック学校です。エシカルな教育は十八番なのです。ですからパラドキシカルですができるのです。
★一般の学校なら、まずはルールはどうするセキュリティはどうするという議論が先で、なかなか進まないでしょう。
★ですから、岩瀬校長がAIを使って学びのニューコモンズで生徒たちが学んでいる様子をさりげなく語っていたのは、極めて革命的です。そしてそれをすでに具体的に実践して成果をあげていく現場の教員と校長のコンセプトを架け橋する水尾教頭。最強ですね。
★このような組織は、当面首都圏の私立学校では出現しないので、中学入試市場で圧倒的な支持を確立することでしょう。
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