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2024年5月23日 (木)

1%の世界で起きていること 中高の大学化(3)ヘルバルト主義からデューイ主義へ

★100年以上前に、J・デューイ自身が、ヘーゲルからプラグマティズムに発展し、ヘルバルト主義からデューイ主義を確立していきました。この動きは、法律にもあてはまります。当時はドイツでは、ヘーゲルは近代国家の哲学的礎には実はなっていなかったのですね。哲学者はその後も今もヘーゲルを引きずっている方もいますが、もはや法実証主義がベースなのが特に日本ですね。したがって、日本の教育の制度的枠組みは、見えないところで法実証主義です。

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★ところが、教育哲学者は、カントやヘーゲルをベースに、法実証主義の制度を問い返すことなく、思想を広げます。その思想は別に問題ないのですが、現場では実態として有効ではないのです。

★民主主義を維持する制度として、ヘーゲルやカント、もゥ少し遡るとルソーなどの啓蒙主義などの制度構築だけではなかなかうまくいかないのですね。そのことをデューイは民主主義を形成する教育を考えていったとき気づいたのでしょう。

★法実証主義の教育的置換は当時も今も実はトレンドであるヘルバルト主義です。デューイは最初大いに刺激を受けます。ヘーゲル主義を改めていくのは、ヘルバルト主義の影響もあったかもしれません。しかし、ヘーゲルを離れるけれど、かといって法実証主義的な権威主義が拭えない枠組みでは、民主主義は形成できない、そう考えたのでしょう。

★それゆえ、今の指導案のような予め設計して授業を行うのは、「教師の学び」であり「子どもの学び」ではないのだとPBL型の経験や対話、生産をする学びに変えていったのでしょう。そして、その際に「道具」を活用します。ノートと黒板と教科書もツールではありますが、そこには対話を促進する「道具」がないのに気づくわけです。

★今でいう、FabラボやICTは学びのツールです。そしてPBLですから協働的な学びです。チームビルディング。なんとも民主主義です。それにinter-esseを大事にしました。学びは興味関心という関係性が本質なのだと。

★100年以上前にデューイ(もちろん、パースやジェームズやキルパトリックや多くの進歩主義者がかかわっています)が考えたことは不易流行として一部の学校では継承されています。東京の私立学校だと30%は、デューイ型教育を継承しています。

★もちろん、意識はされていないかもしれません。システム思考とかMITメディアラボの方法が継承されているというのが現代的ですが、おそらくデューイのように、欧米の学問的成果をインテグレイトしてプラグマティックな理論と実践を創り上げているのと同じで、広く深い融合的な理論と実践をしているのだと思います。

★デューイの理論というより、デューイのこのような学問の融合という発想に基づいている教育をデューイ主義と呼んで起きます。逆にそのような複雑な理屈ではなく、今でいうPDCAのような設計や計画主義の発想がヘルバルト主義だと呼んでおきましょう。

★こうして考えるとデューイの学びは、リサーチ(研究)型です。ヘルバルトは、配列型で、大学に接続するように合理的に階段を上っていく発想なのです。大量生産型のT型フォード主義といってもよいかもしれません。

★デューイ主義の学びを行っているとしたら、中高でも大学レベルの学びを行っているということになります。

★探究は、実はヘルバルト主義でも行えます。ただし、問いは設定されているので、リサーチ型ではない場合が多いのです。したがって、雑駁ですが、ヘルバルト主義とデューイ主義を対比しておくと1%の動きが見えやすくなります。

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