« 1%の世界で起きていること 中高の大学化(1)新しい高大連携 富士見丘とか湘南白百合とか | トップページ | 1%の世界で起きていること 中高の大学化(3)ヘルバルト主義からデューイ主義へ »

2024年5月22日 (水)

1%の世界で起きていること 中高の大学化(2)哲学対話を生徒と共有してしまう田中歩先生 工学院大学附属中学教頭

★東京で私立中高一貫校と言えば、23区が活況を帯びています。しかし、東京の西の都「八王子」に、驚きの私立中高一貫校があります。そしてその中学の教頭田中歩先生は、さりげなく風のように小さな旋風を巻き起こしています。やがてトルネードになるでしょう。

Img_6871

(22世紀型教育研究センターも立ち上げた。所長田中歩先生)

★今や21世紀型教育というと当たり前のことばになりましたが、このことばを前面に出して学校の改革を行って世の中の教育の転換にインパクトを与え成功した学校が10校あります。その学校の1つが工学院大学附属で、2013年から11年目の今春、海外大学合格者や医学部に進む生徒が多数出ました。別に大学合格実績を目的にはしてこなかったのですが、自分を深く見つめ、そのやりたいことを6年かけてやってきたらそれを実現するための機関としてそういう大学があったということなのでしょうが。

★田中歩先生は常識はことごとくあっさり覆していきますが、質の高いコモンセンスの持ち主です。アダム・スミス流の心の基準がしっかりあります。英語の教師でもあるし、Aレベルやラウンドスクエア環境を整備する尽力もしました。ですから、実にイギリス的啓蒙主義者、あるいは市民性主義者でもあります。ちょこんと髭がありますが、実にイギルス風ですよね。

★授業も自らIBLを行っています。同校では、プロジェクト型学習は授業や多様な行事で展開されていますから、そのコアになる対話型思考力・判断力・言動力を生徒自身が内蔵してしまうような学びです。

★英米の分析哲学的な背景をもっているので、対話の中でおこるヘーゲリアン的な弁証法的な圧はないのが大きな特徴です。

★生徒も教師も共感し合いながらも、コンフォートゾーンで満足するわけでもないのです。

★自分を見つけるには、一人自分の中にもぐるのではなく、いっしょにいろいろな体験をしながら思考することによって自分とは何者か、他者とは何者か、社会とは何者か、それらすべてを包括する世界とは何者かなどの経験値積み上げていきます。そうして自分の好きな分野に向き合っていくわけです。

★生徒中心主義なので、それを阻害する権威に対しては無手勝流でいつの間にか退けていきます。

★偏差値大好き、権威主義者、学歴主義万歳の方々には遠く理解が及ばない学校です。

★それでいて、難関大学に進学できてしまう生徒のみなさん。

★英語を自在に活用し、ICTも当然使いこなし、対話はアートそのものなのです。アートは共感を呼びながら世界の痛みを共有し、払拭する創意工夫を発案していきます。

★もし、政府が高度人材が足りなくてなんとかしたいと思うのなら、工学院をリサーチすることをお勧めしますが、大事なことは見ても見えないものです。権威主義を払拭できる普遍的市民性の心の眼があればみえるかもしれません。

★そういう本間には見えるのか?と言われるかもしれません。カントのものそれ自体と同じで、見えないけれど在るのです。大事な物とはそういうものだと歴代の偉大な思想家たちも考え続けているわけですよ。

★そうそう、海外の大学って田中歩先生のような対話が当然のようにあるところが多いですね。

|

« 1%の世界で起きていること 中高の大学化(1)新しい高大連携 富士見丘とか湘南白百合とか | トップページ | 1%の世界で起きていること 中高の大学化(3)ヘルバルト主義からデューイ主義へ »

21世紀型教育」カテゴリの記事

中学入試」カテゴリの記事

創造的対話」カテゴリの記事

創造的破壊」カテゴリの記事

PBL」カテゴリの記事

高校入試」カテゴリの記事