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2024年4月22日 (月)

AI時代に残る仕事のやり方・人間のあり方が変わる 認知能力と非認知能力の融合がAIと人間の共生に

★❝Are You Developing Skills That Won’t Be Automated?by Stephen M. Kosslyn❞という論考が2019年9月のハーバード・ビジネス・レビューに寄稿されていました。今はdeepl翻訳ですぐに読めるので、便利ですね。スティーブン・M・コスリン教授(スタンフォード大学出身の心理学者で、ミネルバ大学やハーバード大学などで活躍)によれば、AIによってなくなる仕事の話も重要ですが、残っている仕事のやり方がどう変わるか?それによって人間のあり方がどう変わるか?について洞察しておくことも大事だと。

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★この論考が寄稿されたときには、ChatGPTはまだ世間には公開されていなかったので、もしかしたら、今では役に立たないのではないかと思う方もいるかもしれません。しかし、最近私たちが、多様な生成AIを使うようになって、むしろコスリン教授の洞察に共感できるようになっているというのが実際のところでしょう。

★認知能力と非認知能力の融合が最近議論されていますが、認知能力の部分は生成AIがだいぶ代替してくれます。しかし、非認知能力である、情緒や言葉の背景にある表現されていない文脈の読み取りには非認知能力が関係します。人間関係は、言語で表現されている部分だけで成立するものではなく、なかなか語り得ぬ気持ちや文脈の理解の気遣いが必要になります。

★もちろん、生成AIが、個人の生まれてからすべての経験の記憶をデジタル化でき、その経験のたびに島皮質が反応するAWE体験やモチベーションや欲求を増大させ、それに歯止めをかけようとする他の皮質との反応関係をすべてデジタル化できるのであれば、生成AIは感情や背景文脈を推理することはできるかもしれません。その推理を人間の場合はイマジネーションと言うのでしょうが、今のところ、それは難しいなあというのが、実際に生成AIを使って仕事をしていて感じている人が多いでしょう。

★ただ、認知能力の一部はパートナー生成AIにやってもらいながら、自動化による時間短縮しながら、空間を超えながら仕事ができるようになるのも事実でしょう。それでも、認知能力をすべて代替してもらうわけにいかないのです。

★非認知能力は、実際には認知能力が脳内で機能するので、稼働するのであって、認知能力が働かないのに、非認知能力だけが働くということはないのではないかと思うからです。

★基本的な認知能力はやはり必要であり、対話を行う時に、その認知能力と非認知能力の交差が対話によってどんどん紡がれていくので、内発的モチベーションは豊かになり、ポジティブな状況が生まれてくるのでしょう。

★したがって、生成AIによって、仕事のやり方も変わりますが、人間のあり方に対する価値観もかなり変わってくるでしょう。今まで、認知能力で格付けされてきた社会が無化され、ルビンの壺の地の分だった非認知能力が図として前面に出てくる時代がやってきました。ようやく、人間の本質にただ想いを馳せる時代から、日常の中でその本質的なことを実現していく時代がやってきたのでしょう。

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