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2024年4月21日 (日)

教育と社会の新しい関係を構想する教師チーム

★最近私立中高の先生方と対話していて、人口論ベースの経済成長を土台とした教育改革の話は、もはや成り立たないので、根本的な問題として新しい社会と教育の関係の構想を創出しなくてはという議論と一方でこの社会が続いたときにすでにやってきている人口減少における教育のあり方も対症療法として考えていかなければという議論が同時並行で進んでいます。

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★私の周りの私学の現場の先生方は、何か変化を求める時に、そんな対症療法ではなく、もっと根本的な解決が大事だとか、根本的な解決は向こう10年で起こらないのだから、目の前のことが大事なのだというこれかあれかという議論はしません。

★両方議論します。そして、いまここでの一見対症療法に見える日々の思考と行動が、22世紀社会をウェルビーイングになるようにつなげていくにはどうしたらよいのかという対話をします。というのも目の前の生徒が22世紀社会を創っていくからです。

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★ですから、C1レベルの英語をベースにしたグローバル教育は、一見すると目の前の改革のように見えるかもしれませんが、そこで奮闘努力している現場の先生方は、外国人日本人と共生する社会は法的にも経済的にも政治的にもどうなっていくかという構想も同時に考えているものです。そんなことを構想する時間などどこにあるという教師もたしかにいるようですが、忙しいプレッシャーを乗り越えて、短時間の中でも考え続け対話しています。

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★PBLをどうやるかというよりは、現場の先生方は、そこにおける生徒の言語能力や数理能力、芸術的能力をいかに融合して、叡智を身につけられる教育環境デザインはいかにして可能か奮闘努力しています。なぜなら、その叡智は、22世紀社会を創るベースになるからです。人口が減少しても経済成長を続けられる新しい社会はどんなものがあるのか、生徒が探究活動ができるようにプログラムをデザインしています。

★また、STEAMや生成AIを単に、人口減少の穴埋めのために活用するという対症療法的な解決方法も実践しつつ、人間の潜在能力開発のためのプログラムはいかにして可能かを議論し、人口減少がかえって幸福な生き方を生み出す社会はないかも構想しています。

★新しい社会のあり方は、今では政財界学も激しく議論され、つぎはぎではありますが、様々な政策が考案され行われたりしています。ただ、大きな流れはまだ始まったばかりです。基本的な考え方—倫理的資本主義、ステークホルダー資本主義、クリエイティブ資本主義、脱炭素コミュニズム、贈与論的システム社会などなどーは、実際には1970年代から議論されていたものと違いがありません。

★ですから「贈与経済2.0」などのタイトルがついているわけです。しかし、それはユートピア論ではなく、web3.0や生成AIの時代にあって、現実味が出てきたという話でしょう。

★経済的政治的法的社会の新しい構想について教育の世界では、今まではあまり語られてきませんでした。しかし、ここ最近は、先述したように対症療法を繰り広げながらそれが来るべき新しい社会につながるように、そしてその新しい社会がどのようなものかも同時に構想しはじめている現場の先生方が増えてきたという実感を抱いている今日です。

※「負債と信用の人類学」の中から、今年東大の現代文の入試問題で出題されています。田内学さんは、公立私立問わず多くの学校で講演しています。これらは、贈与論に活路を見出していますが、その贈与経済を真正面から展開しているのが、荒谷大輔先生です。私は、アリストテレスやトマス・アクィナスがまだ資本主義的社会がなかった時代に、市場システムと贈与システムを融合させたすでに新しい資本主義社会を構想していたという彼らの描いていた未来社会という現段階で未完の資本主義から考えていますが。市場システムを等価交換ならしめる叡智のシステムということなのかもしれません。

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