聖パウロ学園 なぜ人気があるのか 「経営と教育」について教員研修
★先週の理事会、評議員会に続き、昨日教員研修を行いに聖パウロ学園に行きました。先週はまだ開花していなかった桜も、雨の中静かに咲き始めていました。入学式まで咲き続いてくれればよいなと思いつつ、研修に向かいました。
★4月1日からパウロでは様々な研修が行われているようですが、私のはその中の1つで、90分の機会をいただきました。理事長、外部講師、校長と続いて私なのですが、何を教師のみんなとワークショップをやろうかと。建学の精神や理念的なことは理事長が語るし、探究の方法論は外部講師が行うし、今年度の教育事業の目標やビジョン、および包括的な教育課程などの戦略については小島校長が語るでしょう。
★なぜか副理事長の私です。初任者の先生もいるので、もう一度「経営と教育と入試問題」の3つの基本的なものの見方・考え方を確認するピアインストラクション型のアクティビティとレクチャー(ほとんど先生方が対話)にしました。理念は理事長、教育プランニングは校長はやっているので、私は東京の私立学校との関係性の中でのパウロの 現実的な経営的位置づけや教育的位置づけについて。要するに現実問題の話をどうするかという対話です。
★東京都生活文化スポーツ局の作成した東京の私学の収支のざっくりとした内訳のグラフをもとに経営の対話をしました。東京の私学の平均的な収支をみて、何を考えるのか感じたのか対話していくと、生徒募集がいかに重要か、助成金がいかに重要か改めて分かったというのような模範解答がでてくるのですが、私は、パウロの理事会は、大学もないし、修道会も経済的支援はないよと指摘すると、みな給与はどうやって上昇するのかということに気づいたようです。
★こんなに人気がある聖パウロ学園でも、先生方は若いし、結婚している場合は、教師同士(どちらかはほかの学校の場合が多いです)のケースが多いので、そういう先生方は定着しますが、未婚の若者は30を超えるとライフシフトを考え始めます。これは時代の流れからいって当然です。
★しかし、一方で無形資産を大切にする若者もいます。というか残る先生方はみなこの無形資産に魅力を感じています。それがにじみ出たいるから人気が持続可能になります。その心の勢いは確かに魅力です。
★そうはいっても、給料は大事です。理事会は完全ボランティアですから、私財を投じるメンバーはいないのです。ということは、経営はみんなでやっていくしかないのです。パウロの経営こそある意味新しいアントレプレナー型私立学校として動けます。
★まあ、そこまで話を大きくしませんでしたが、給料を上げるにはどうするのかアイデアについて対話しました。もう答えは2つしかないのですが、そのためには、教育の質をとなるのは必然です。
★そこで、上記のような多くの私立学校が実施している教師の実践と生徒の学びの共感図を描き、どこの学校もこれらは行っている。だから、この中で、特に突出した何かがパウロにはあるから人気があるのだろうと。では、それは何か?ピアインストラクション型対話をしていきました。大いに盛り上がったので、やはり魅力に気づいています。
★すばらしいと笑顔になったところで、それを続けて自分たちの給料は上げられるのか?と問うと。たしかにと。そこで、では新しい何かをあるいはもっと質を上げるには?という対話があふれ出たわけです。
★答えは出しませんでした。それはこの1年、先生方が折に触れ考えていくことだし、そのマネジメントをするのは校長・副校長・教頭・主幹・部長・主任です。私は、給料が企業のように上がらない原因を共有し、その原因を解消する動きをしてもよいのだと。ただし、長時間生徒を残してというのはやめようよというのは条件です。
★そのあと、250字の小論文、言語は日本語と英語の問題、キリスト教史の記述問題(東大)、数学(東大文系)の問題をグループに分けて、この問題を通して生徒は何を学ぶのか、さらにはどんな視点を身に着けるのかについて対話。
★それぞれ自分だったらこうするという対話になっていました。それぞれの経験値が語られ、解き方ではなく、その前提になる学び方の話が多かったですね。この3つの領域をつなぐものは何か?メタクエスチョンやコンセプトレンズは何か?それは主幹の松本先生によれば、暗黙知として先生方には身についているけれど、それを可視化して共有するのはこれから大事だと。
★エンカレッジの阿部先生は、自分の経験をいったんカッコにいれてみるとよいですよねと、あとで振り返ってくれました。さすがフッサールやメルロポンティの作法を生徒指導などに生かしている先生です。
★この3つの領域をつなげられれば、アントレとしてはうまくいくでしょう。そこまでいかなくても、この心の勢いで当面は学校はうまくいくでしょう。そして3年後、教師一人ひとりと組織としての成長が指数関数的になったとき、この3つをすべての先生方がつないでいることでしょう。
★ウグイスの声がこだまする桜並木を後に帰途につきました。頼もしい次世代の教師数人と話せたし、教育は大丈夫。自分の役目は、資金調達のみだなと途方に暮れながら(汗)。
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