2024年東京大学と社会(09)聖光学院 東大受験史を変える
★AERAdot20240314の記事がおもしろい。<東大合格者100人の大台突破! 聖光学院・工藤校長が明かす「こんなに成績が悪い学年はなかった」の真意>がそれです。冒頭文章にこうあります。
「東大受験史」に新たな歴史が刻まれた。神奈川にある中高一貫の男子校・聖光学院で今年、100人の生徒が東大合格を掴み取った。1954年に設立した同校は、今や「超進学校」として開成や灘、日比谷などの伝統校と肩を並べる存在になった。近年、躍進を遂げている背景を工藤誠一校長に聞いた。
★聖光学院にとって「東大受験史」に新たな歴史が刻まれたという意味は何を意味するか?開成の人数を上回ったというわけではないので、量的な意味で新らしいということではなさそうです。もちろん、在校生の数が開成の方がかなり多いので、在校生シェアで1位とか、現役合格率で1位とかそういういことはあるでしょう。しかし、そうした量的意味でこんなに騒がれるはずはないのです。
★それは、もはや東大の個別試験が今まで通りだと、勉強のやり方次第でどこの学校からも入れてしまうのが東大入試個別試験なのだということが明らかになったということです。
★開成だから、桜蔭だからではなくなってくるということです。しかも塾業界にとてっも、東大に行くためにこういった学校に行かなくてはという時代は終わったということです。神奈川に住んでいるなら無理して東京に行かずに、聖光学院に行けばよいということですね。
★東大一路で競い合う進路指導から何をやりたいなら東大も選択肢という時代です。すでにそういう時代になっていて、開成自体も東大の数字が学校選びの大きな要因ではなくなると言っているわけです。
★そこを聖光学院の工藤校長はその緩みを見逃さなかった、やり方次第で東大は入る。一気に大量合格させようと。そして実現したわけです。工藤校長は東大がよいかわるいかなんて考えないのです。ニーズがあるかないか、戦略的に勝機はあるかということを常に考えているということでしょう。
★それに、他団体とのネットワークは組みますが、丸投げはしない。シンプルに主導権は聖光学院が握ってプログラムをプロデュースするというわけです。シンプルに、半分以上自前でカリキュラムをプロデュースする。当然コスパは必要。金で解決できるところは惜しげもなく投下する。
★そういう理事長校長だからこうなったわけですが、東大合格校の全体を見ればわかるように、聖光学院に続く学校がどんどんでてきているということです。3人合格している学校をみれば、それがわかります。
★やり方によって、どこからでも合格できるのです。
★生成AIには、相性がよい東大個別入試ですから、どんどんその傾向は強くなるでしょう。
★で、それは東大に当局にとってはよいことなのか?よいわけありません。それで、推薦入試だとか秋入学の5年生の新課程コースを作ったりするわけですね。なぜ100人単位でしか動けないか?もっと多くすると実は、東大離れの揺れが大きくなるからです。
★ローカルでよいのかグローバルにしなくてよいのか。グローバルにしたら東大離れが現状では起きてしまう。工藤先生もAERAの記事の中で、ユーモアとしか言いようがないフレーズを語っています。「最低でも早慶」と。工藤校長は、保護者のニーズだからというわけです。
★これは工藤先生の営業トークです。実はこれからそういう時代ではないということはわかっている。でも、これで優秀な生徒が集まる状況を作っておく。すると、ケインズではないですが、今はイノベーションと人間精神の時代です。5年以内にAIとマインドの時代になるでしょう。
★そのとき、カトリック学校の面目躍如となるという計算ですね。しかも、そのカトリック理念は、本質的な目に見えない大切なものとして心の奥底にしまい込むものではなく、見える化してシステム化して、信者になる手続きなしで、だれでもその精神を胸に社会で活躍し、お金も儲けて、そのお金を贈与する新しい資本主義循環を生み出す智慧者をたくさん輩出しようということですね!
★これがクリスチャン校長工藤先生の誠の道は一つしかないという野望でしょう!
★なぜそんなことがわかるのか?それがカトリック校としての神の計画だからです(笑)。
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