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2024年3月24日 (日)

22世紀型教育準備へ(35)数理的モデル化の学びは、文理融合 なぜ湘南白百合が人気か

★★先日1泊2日で、東京私学教育研究所は<理数系教科研究会(数学)「授業づくり合宿ー小田原 春の数学祭ー」 実社会と数学の交差点 ~数学的活動を楽しむために~>を実施しました。日本大学文理学部数学科教授や山崎浩二先生が、2日間とも講義とワークショップにおけるフィードバックをしてくださいました。私は、参与的観察者でしたので、時間の合間を見て、山崎先生に貴重なチュータリングを行っていただきました。

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★そのとき、講演でも紹介されていた、長崎榮三先生と西村圭一先生の系譜があることを聞きました。東京書籍の新しい教科書数Bの編集にもかかわっている西村先生の数理モデル化の話が今ようやく一つの数学の学び方のトレンドになっているというのです。

★現実の出来事を数理的に解決するモデル=方程式を最終的に生徒自身が作っていく経験を積むこと、山崎先生の考えでは、これは問題発見→問題解決→問題追究の循環ということのようです。

★数理的モデル化による探究という数学的思考活動について、私学の先生方は、授業モデルを作っていきました。そしてこの現在の数学授業の在り方の潮流の視点から、丁寧なフィードバックが宮崎先生によってなされていきました。

★その全体をみて、やはりこれだなと思いました。社会課題を生徒自身が問題発見をし、それを問いのモデルをつくります。そしてそれを解決する方法を数理的モデル化します。さらに他の社会課題にそれは適応可能なのか、変換しなければならないのか議論をしていくのです。

★そんな様子をみながら、ふと、アレッ?!そういえば、学芸大の西村圭一先生と湘南白百合は、サレジオ学院や逗子開成などの男子生徒ともコラボして、この数理的モデル化のワークショップを行っているという高大連携的話を想い出しました。

★私は、同研修のファシリテーターを行っていた伊東竜氏(一般財団法人日本私学教育研究所)や工学院の教務主任田中歩先生とクロスクエスチョンと哲学シンキングを掛け算したenquiry based learnningを創り始めていたので、湘南白百合の水尾教頭の話は共感していたし、そのような先駆的な学びを実践している湘南白百合が高人気であると確信していましたが、今回さらに、その試みが、故長崎榮三先生—西村圭一先生—山崎浩二先生という連綿とした数学の学びの系譜(もちろん多くの大学の先生がここには集結しています)が背景にあるのだということを確認でき、その高大連携のワークショップが斬新だというだけではなく、新しい数学の学び、及び学際的な学びを創っていく大きな流れを湘南白百合は引き寄せているのだということを知ったのです。

★統計、データサイエンス、STEAMの流れはもはや止めることはできないダイナミックな流れですが、そのダイナミズムを生み出す基礎的思考活動の大きな影響力はこの数理的モデル化の数学の学びの系譜だったのです。

※西村圭一先生は、「訃報: 故長崎栄三先生を偲んで」(『日本数学教育学会誌』第102巻  2020年 第12号)に寄稿されている程です。

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