2024年東京大学と社会(11)世界大学ランキング100位以内の海外大学に合格者が大量に生まれる時代
★GLICC Weekly EDU 第166回「中学受験−『個別化と多様性』の時代」で、GLICC代表鈴木裕之さんと対話しました。改めて、東大を焦点とする学歴社会はどんどん崩れていると感じました。学歴社会とは偏差値階層構造社会です。まだまだその階層構造はあるけれど、それは一般選抜で受験する際のあくまでも受験戦略上の確率論にすぎず、どこの大学だから人生がこうなるとかいう価値観はようやくなくなりつつあります。
★たとえば、三田国際などは、東大も入るし、世界大学ランキング100位以内の海外大学もはいります。おそらく年間20人は100位以内の海外大学に合格してしまうわけです。東大は、そのレンジの中のOne of themだというのが三田国際です。
★200位以内にまで拡張すると年間40人くらいは合格するわけです。THEのランキングでは、日本の大学で200位以内にはいっているのは、東大と京大と東北大学です。
★ということは、三田国際のこの現状は、もはや日本の学歴社会や偏差値階層構造社会をはみ出ていることになります。
★文大杉並も東大は入っていないかもしれないけれど、カナダのトロント大学にたくさん入っているわけです。世界大学ランキングでいえばトロントの方が上で、このことはもはや東大何人入ったで、学校の価値が決まるわけではない時代になってしまったわけです。
★富士見丘や聖学院、工学院大学附属、広尾、かえつ有明も同じです。
★東大と早稲田と慶應へという話題もまだまだありますが、海外大学の200位以内は、早稲田や慶応と比較するとまったく劣るなどということはないのです。
★英語ができて、数学的発想(思考の基礎)があり、社会的課題に対する問題意識と具体的な貢献活動をいかにするかという土台ができれば、あとは行きたいと考える大学に向けて科目を選択したり、ボランティアをしたり戦略的に学べばよいのわけです。
★今までの全天候型の受験勉強は、もしかしたら時間の有効活用ができない人生をおくる習慣をつくるかもしれません。人生のレバレッジポイントを見つける洞察力を磨くことができなくなるかもしれません。
★学歴社会や偏差値階層構造社会のメリットは、等しく同じ科目同じ範囲を勉強して、合格スコアを競うので、努力は報われるという世界をつくるわけです。しかし、そのメリットは同時に、限られた範囲以上の勉強をしようとしなくなるし、入試の問いの世界が画一的になっていくわけで、一つの指標で子どもたちが学校でも社会に出ても評価されます。序列が常にできるので、当然マウントやハラスメントが無意識のうちに起きていて、海外から見て、それを指摘されて、初めて気づくわけです。国際的なコミュニケーションをしていくには、それを訂正しなくてならないわけです。
★言論の自由を守り、人権を守るはずのメディアが、相変わらず東大何人出たということを話題にするわけです。そのことが孕む人権的な問題の意識はどうなるのだろうといつもハラハラするわけですが、今年は、どこかゲーム感覚です。もはや学歴社会はなくなるわけですから、東大ダンジョン攻略ノリで、受験情報誌が扱えば、それはそれでよいかなあと。東大という日本社会の文化を規定してきた役割の変化は、日本の今後の変化の象徴の1つかもしれません。
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