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2024年3月

2024年3月30日 (土)

学校選び こんな経営陣や教師がいる学校は危ない!新年度を迎えるにあたり。

★現場の教師ががんばっていて、コミュニケーションも良好な学校。その雰囲気は訪れれば直観的にすぐに居心地がよいと共感できます。ですから受験生が集まります。しかし、このようなすてきな組織を壊す偉そうな経営陣や先輩教師がいる学校は、やがて右肩下がりになります。

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★そのようなネガティブな尊大な人は、先生方ががんばっているのは当たり前で、コミュニケーションをとるのは報連相として当たり前だと、そんなことで生徒が集まっても、なぜ集まるのか本当のところはわらないと不遜にもフィードバックします。自分がわからないことは、本当は自分が見えていないだけなのに、価値がないと言いたげなのです。

★それでもそんな人たちがいる学校でも、理事長と校長、教頭が、そんな抑圧者をうまくコントロールしたり、いなしたりして、先生方を守る結界を張れる実力がある場合、学校の雰囲気はそのような抑圧者に汚染されることはないのです。

★実は、どんな学校にもそのようなマウントをとったり、横柄で偉そうなバカな人材はいるものです。なぜいるのかわかりませんが、学歴とか名誉とか自分中心主義者が採用されてしまうことは実はアルアルです。

★校長や教頭が、そのような人材だとしたら、学校全体の雰囲気は悪くなりますから、すぐに私立学校は右肩下がりになります。逆だとすぐに右肩上がりになります。

★そのような雰囲気を創る様子を見て、ダメダメ抑圧者(本人は自分が抑圧者だという認識がそもそもなく、善いことを指摘していると勘違いしています)は、表面的な広報活動は教育的ではないなどと平気で真顔で指摘します。

★広報活動が真摯に自己開示し信頼の絆を生み出していくとても本質的なことなのに、何か金科玉条の自分のルールが本質で、そのような広報活動をする教師を目先のことだけをやっていると他人事です。

★さあて、受験生のみなさん、人間というのは、深く考えなければ本質が見えないなんて神話を信じてはいけません。そんなことを信じていたら、自然災害などの危険に直面した時に、命を落としてしまいます。

★本質的なことや本来大事にしていることは、いまここで感じることができるのです。そのセンスを研ぎ澄ますことがまずは学びですよ。分厚い本を読むのは構わないけれど、それを読む時間がなくて一生懸命現場で働いている人々は、そもそも本質や本来的なことがらを大切にいまここで生きているのです。

★だから、感動するのですよ。この感動を知っている教師集団、そしてその感動を生み出す感動を知っている校長や教頭がいる学校こそ選ぶべき学校です。そうでない学校は、入学後困りますよ。

★なお、そういう教師集団は、どんなに忙しくても自分で読書の時間をつくる読書家集団でもあるのですがね。

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共立女子(01)礼法室×ランゲージスクエア 能楽部の生徒が魅せる新しいグローバル教育

★昨日共立女子に伺いました。新しい不易流行が現在進行形の同校の教育を未来の東京の私立学校のヒントにしたいと思っていました。あまりにいろいろな情報が溢れていましたので、少しずつメモしていきたいと思います。それにしても象徴的というかインパクトがあったのは能楽部の存在感でした。

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★礼法室を訪れたとき、能楽部が大会にむけてパンフレットを作成したり練習したりしていました。突然訪ねたにもかかわらず、あの薙刀を使ったシーンを拝見したいとお願すると、二つ返事で了解してくれました。

★そして、あの牛若丸と弁慶の有名な出会いのシーンを、演じてくれました。吟じながら朗詠しながら見事に舞っている姿は凛として壮大でした。

★しかしながら、演技が終わると、柔らかい笑顔で丁寧に礼法に則った立ち居振る舞いが、気品ある精神をパット表現していました。

★壮大華麗な舞いと柔らかい立ち居振る舞いの切り替えが巧みなのですが、「舞い」という点でなるほど共通していました。この気品ある姿勢は、学園生活だけではなく日常の生活にも染みわたっています。

★ここに、「誠実・勤勉・友愛」という同校の校訓が生き生きと響いているのが実感できました。

★そのあと、あまりにすばらしいので、部員のみなさんに色々尋ねると、20人弱の生徒の皆さんが1人ひとり間髪入れずに、丁寧に明快に回答してくれるので、どうしてそんなにトークが上手なのかと思わず尋ねてみました。

★すると、いつも取材などで尋ねられていますから、テンプレートはできているのですと。古典とテンプレート。おもしろい。それにしても私の質問は、誰でもが訊く問いなのだなと思い、イレギュラーな問いを投げてみました。能楽部のみなさんは、グローバルな世界にはついてはどんなふうに感じていますか?ランゲージスクエアというスペースはどのくらい活用するのですかと。

★すると、めちゃくちゃグローバルな世界に興味があり、能楽の文化について外国の方と語り合うのは楽しいし、こういう日本の文化をもっともっと世界に広げたいのですと自分たちの未来の使命についてまで語ってくれるのです。

★そして、礼法室だけではなく、ランゲージスクエアというネイティブスピーカーの先生が常駐している英語圏内にはよく通うのだと。バレンタイン、ハロウィン、イースターなど海外の行事文化を楽しむこともできるのだと。それだけではなく、海外大学の進路のことや総合型選抜のことや英検取得のためのアドバイスなどももらえるのだと。

★能楽部の部員は、礼法室とランゲージスクエアという日本文化スペースと海外文化スペースを往還していたのです。古典の言葉を話し、外国の言葉を話す学園生活。これぞグローバル教育の真骨頂です。不易流行を大切にする共立女子のすてきな1シーンを堪能させていただきました。

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2024年3月29日 (金)

22世紀型教育準備へ(37)8つの要素をどのように組み替えていくのかが今後のカギ 36単位を柔軟に活用するためには

★2024年度4月からは、高校の卒業取得74単位のうち36単位は柔軟に活用できます。しかし、今のカリキュラムのままならそう簡単にはできないでしょう。たんに時間割を組み替えるだけではできないからです。現状の高校のカリキュラムの背景を次のように8つの要素に整理してみました。

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★私立学校の多くはグローバルキャリア教育を実施していて、8つの層のそれぞれの濃淡はありますが、すべて行っています。公立学校もIBを取り入れている学校や公立中高一貫校も同様です。

★ところが一般の公立学校は、国内キャリア教育が中心ですから、8つの要素のうち、Ⅴ、Ⅵ。Ⅶの3つの要素が中心的に稼働していて、ほかの5つの要素はあまり稼働していません。それで、そのような稼働していない層の色は薄くしておきました。

★こうしてみると、未来の学校は、学習指導要領の部分は、AIが対応してくれるので、グローバルキャリア教育の場合は、ⅥとⅦはかなり圧縮することができます。国内キャリア教育にいたっては、学校は基本AIによって授業を行っていけばよいことになり、Ⅷの層を充実させることができます。

★つまり、Ⅷの層とあとはAIで、シンプルにローカル市民社会を運営していく人材が育ちます。AI時代ですから、競い合う必要もありません。74単位のうち36単位は完全にAIによって学べばよいでしょう。

★グローバルキャリア教育は、学習指導要領のなかみそのものが、ⅢとⅣとⅧの層に包摂されます。実際には100単位は授業を行っていますから、38単位はきっちり基礎知識をやり、のこりの62単位は柔軟なリベラルアーツの現代化ができるようになっているでしょう。

★しかもこの38単位は、AIで学べてしまいます。38単位をAIによって時短できますから、実際には74単位分以上の学びができているはずです。

★つまり、学びの密度があがるわけです。従来はAIを使っていなかったので、時短ができる生徒が競い合ったときに、勝利していましたが、それもなくなります。

★基礎知識で競い合う必要はなく、クオリティ・オブ・クリエイティビティの質の競争になっていきます。22世紀型教育はここから始まるでしょう。その準備をこの4月から着々としていきましょう。

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2024年3月27日 (水)

不易流行の時代(06)建学の精神 心の勢い 心を燃やせ

令和5年度「私学教員のための組織マネジメント研修」で小田原に宿泊しています。組織マネジメントする変容する自分がテーマです。私自身は参与的観察者ですから、参加されている先生方の様子を心の目で感じています。同時に時間の余白で何人かの先生方と対話します。講師の方は自分を変える様々なアクティビティを行いながら、自分の生き様を語ります。学校中心の生活の先生方にとっては新鮮でしょう。

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★多様なアクティビティも先生方にとっては、ノウハウを持ち帰るというより、そのものを楽しんでいます。日ごろの重たい鎧を脱ぎ捨て、ありのままの自分を見出す心地よさが伝わってきます。

★自分を変えるといっても、実は自分の不易流行ということだなあと。ありのままの自分を見つけることができたら、心の勢いが湧いてきます。その状態を変容する自分なのだとつくづく感じたわけです。

★この研修の委員でもある成城学園の青柳圭子先生と1日目のプログラム終了後、10分くらいですが対話して、変容する自分について「思考コード」にしたらどうなるのか少し対話しました。気づきがいっぱいありました。

★そんなわけで、ふと夜中に目が覚め、セルフリフレクションしたり、facebook(私にとっては備忘録なので)を閲覧していると、川野泰周さんと 恩田勲さん共著の『クヨクヨしない すぐやる人になる 「心の勢い」の作り方』( 2024/3/13)を紹介する投稿があったので、kindleをポチりました。

★日本ではマインドフルネスがなかなかうまくいかないけれど、GAFAMなど米国ではうまくいっているという話だったので、今回の研修にもかかわるなあと。それに禅宗の僧でありお医者さんである川野さんとコンサルタントの恩田さんとの対話でもあったの、私学と今回のコンサルタントの講師の方との関係に似ていたので、おもしろそうだと。

★それで、なるほどすてきな研修だけれど、どこか違和感があるのは、そういうわけだったのかと腑に落ちました。

★基本川野さんも恩田さんも、日本人は、マインドフルネスを癒しだけもとめていて、心の勢いを生み出す働きに気づいていないと。ネガティブだということでしょう。ところが米国人は、もともとプログレッシブでポジティブだから、マインドフルネスで癒しを求めることによって、心の疲労は解消され、もともとある心の勢いが稼働し始めるのだと。

★ああ、この前提だなと。今回の講師の方も同じ発想です。もちろんそれでよいのだけれど、参加されている中堅の先生方は私学人の魂の継承者です。建学の精神を大切にしているのです。ですから、今回の研修で、ひごろの重たい鎧を解除するだけで、「心の勢い」が生まれてくるのです。

★建学の精神は、マインドフルネスで重要な「自慈」と「慈愛」の融合的な心の勢いです。

★ですから、私学人は、どちらかというと米国的なというか欧米的な文化が前提で、日本的な文化も大切にしています。

★建学の精神を共有しながら「心の勢い」を学内全体で燃やすにはいかにしたら可能かが私学の組織マネジメントのマインドとスキルであったのだと。今回の講師の方は、特に中高一貫という、全国の同学年の人口比率7%の文化についてではなく、93%の公立中学の心的構造を前提にしていたので、どちらにも共通するパーソナルな心の燃やし方については伝授されましたが、私学の建学の精神の共有による心の燃やし方は私学が独自に考える必要があるなあと。

★東京私学教育研究所の役割は、外部団体との連携と同時に、私学独自の創意工夫を橋渡しするにはいかにしたら可能かということもあるなあと明らかになりました。私学に属していない外部団体の方々に私学の不易流行を理解してくださいではなく、その前提を私たちが受容しながら、自己変換できるクリエイティビティをいかにしたら生み出せるのかということです。それがまた学びの本質です。「研修コード」の役割でもあるなあと。

★そして、それによって外部団体の方とさらに化学変化が起きることもあり、それは外部団体にとっても私学にとっても無形資産になります。

★建学の精神、不易流行の大切な意味について思い巡らす(このこと自体ドーパミンがあふれ出ますね!)機会になった研修でした。感謝です。それにしても、上記の本は歩くことも思考することも歌うことも耳を傾けることも、あらゆるシーンにマインドフルネスのチャンスを見出す面白い本です。「カタチ」ではなく「ホンシツ」であることがいい加減な私にはピッタリです(笑)。アッ、作者の方は決していい加減ではありません。誤解なきように。

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2024年3月26日 (火)

22世紀型教育準備へ(36)自分を見つめ、チームで取り組み、自分と世界を結びつけるセルフイノベーション広がる

★現場にいると、目の前の生徒が22世紀をつくるということが実感できます。先生方は、そのための学びが、20世紀を形成してきた学びでいいわけがないと思っています。昨日、研修前泊で共栄学園の矢野先生と成城学園の青柳先生と同席していたところで、たしかに20年前は、3R(読み・書き・算盤)から3X(explore・exchange・express)へという学びのパラダイム転換は難しいと思ったけれど、今では学内がその方向に動いていますと。

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★したがって、たしかに3観点別評価とマッチングするようなカリキュラムや授業のマネジメントを若き主任たちは行っているし、探究活動で使われているトウールミンモデルも国語の授業の中でも活用されているのだと。

★今年度は、教科と探究の接点を巡る現場の先生方の悩みとその解決の見通しをディスカッションする機会で溢れていましたが、それは、このような学びのパラダイムシフトが確かに生まれていることの証でもありましょう。

★社会があらゆる領域で激変しているからこそ、自分を見つめ、チームを創り、自分と世界をいかに結合していくのかセルフイノベーションの時代です。すでに、学校はそこに突入しています。

★学校は変わらないとかオワコンだとか批判という外皮をかぶった文句ばかりを並べている識者は、現場をちゃんと見たほうがよいでしょう。

★もちろん、以前もご紹介しましたが、山崎浩二教授や西村圭一教授のような学問と現場をつないでいるすてきな学者もたくさんいます。

★希望に満ちた学校づくりはいろいろなところで生まれているのです。

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2024年3月24日 (日)

聖ドミニコ修道会士ヴィセンテ・アリバス神父 天に召される

2020年9月に聖ドミニコ修道会士ヴィセンテ・アリバス神父と久しぶりにお会いしたときの記事のアクセスが急に増えました。何かあると思い、サーチしてみると、スペインのアビラで療養中のアリバス神父は、3月5日には天に召されたとありました。人生の恩人であり、新たな世界観を頂いた神父です。

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☆ともにミッションプロジェクトを行おうと約束したまま、翌年からなぜか私は聖パウロ学園の校長に就任にし、とうとう約束を果たせないまま、歳月が過ぎました。「身体は弱っても私は元気です」という言葉は、キリスト者らしい言葉です。今も身体はなくなっても元気ですと語っているでしょう。

☆英知大学を聖トマス大学にシフトするときに奔走していたと聞き及んでいます。結果的に閉鎖しましたが、グリーフケア研究所は上智大学に移管できました。そして兵庫県に教会を創るのに30年かけていました。哲学と神学の学者でもあります。

☆大学時代大森山王にあった聖ドミニコ寮(聖ヨゼフ修道院)にいたころ、よくヘーゲルやガイアのコンセプトについて話を聞きました。影響を受け、おそらくOne Earth Projectという発想のルーツは寮生活でのディスカッションにあったのかもしれません。

☆ミッションプロジェクトがどのような形になるのかまだわかりませんが、私も身体がなくなっても永遠に元気なのだと思い続けることができるような活動をしていきたいと思います。

☆アリバス神父、大学時代から未来への光をありがとうございました。その光は今後も灯し続けます。

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22世紀型教育準備へ(35)数理的モデル化の学びは、文理融合 なぜ湘南白百合が人気か

★★先日1泊2日で、東京私学教育研究所は<理数系教科研究会(数学)「授業づくり合宿ー小田原 春の数学祭ー」 実社会と数学の交差点 ~数学的活動を楽しむために~>を実施しました。日本大学文理学部数学科教授や山崎浩二先生が、2日間とも講義とワークショップにおけるフィードバックをしてくださいました。私は、参与的観察者でしたので、時間の合間を見て、山崎先生に貴重なチュータリングを行っていただきました。

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★そのとき、講演でも紹介されていた、長崎榮三先生と西村圭一先生の系譜があることを聞きました。東京書籍の新しい教科書数Bの編集にもかかわっている西村先生の数理モデル化の話が今ようやく一つの数学の学び方のトレンドになっているというのです。

★現実の出来事を数理的に解決するモデル=方程式を最終的に生徒自身が作っていく経験を積むこと、山崎先生の考えでは、これは問題発見→問題解決→問題追究の循環ということのようです。

★数理的モデル化による探究という数学的思考活動について、私学の先生方は、授業モデルを作っていきました。そしてこの現在の数学授業の在り方の潮流の視点から、丁寧なフィードバックが宮崎先生によってなされていきました。

★その全体をみて、やはりこれだなと思いました。社会課題を生徒自身が問題発見をし、それを問いのモデルをつくります。そしてそれを解決する方法を数理的モデル化します。さらに他の社会課題にそれは適応可能なのか、変換しなければならないのか議論をしていくのです。

★そんな様子をみながら、ふと、アレッ?!そういえば、学芸大の西村圭一先生と湘南白百合は、サレジオ学院や逗子開成などの男子生徒ともコラボして、この数理的モデル化のワークショップを行っているという高大連携的話を想い出しました。

★私は、同研修のファシリテーターを行っていた伊東竜氏(一般財団法人日本私学教育研究所)や工学院の教務主任田中歩先生とクロスクエスチョンと哲学シンキングを掛け算したenquiry based learnningを創り始めていたので、湘南白百合の水尾教頭の話は共感していたし、そのような先駆的な学びを実践している湘南白百合が高人気であると確信していましたが、今回さらに、その試みが、故長崎榮三先生—西村圭一先生—山崎浩二先生という連綿とした数学の学びの系譜(もちろん多くの大学の先生がここには集結しています)が背景にあるのだということを確認でき、その高大連携のワークショップが斬新だというだけではなく、新しい数学の学び、及び学際的な学びを創っていく大きな流れを湘南白百合は引き寄せているのだということを知ったのです。

★統計、データサイエンス、STEAMの流れはもはや止めることはできないダイナミックな流れですが、そのダイナミズムを生み出す基礎的思考活動の大きな影響力はこの数理的モデル化の数学の学びの系譜だったのです。

※西村圭一先生は、「訃報: 故長崎栄三先生を偲んで」(『日本数学教育学会誌』第102巻  2020年 第12号)に寄稿されている程です。

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2025年変化する中学入試(35)かえつ有明 小島貴子新校長就任 さらなる期待と現実化力

★かえつ有明のサイトに、小島貴子新校長の就任メッセージが掲載されています。ワクワクをできるにという小島貴子先生の信念と同校がこれまで実現してきた共感的コミュケーションによる心理的安全をベースに生徒がどんどんやりたいことを実現し、キャリアにつなげていく教育観とピタリと符合しています。

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★小島貴子先生と共著者の三富正博さんもまた、同じ発想の持ち主のようです。つまり小島貴子先生のつくるクレド共同体はすでに外部に広がっていて、そのクレド共同体が、かえつ有明と共鳴共振共感することは予想するに難くないと思います。

★実践家であり大学でも教鞭をとる研究者です。かえつ有明の先生方がつくりあげてきた「いまここ」での教育実践と理論。その実践と理論を学問の世界とつなげる大局観をもった校長、しかも実践家でもある校長。おそらく創設者嘉悦孝と重なる校長です。しかも嘉悦孝は、嘉悦孝子とも呼ばれているのです。貴子=孝子=タカコというわけです。

★なにより小島貴子校長のプロフィールが凄まじいですね。まだまだジェンダー問題が根深い日本にあって、その壁を次々とぶち破ってきた人生の冒険的軌跡がかえつ有明にはぴったりでしょう。

★嘉悦孝(子)も激動の明治の時代を生きぬいた私学人です。

★人気のかえつ有明の人気の在り方がさらにバージョンアップしますね。実にワクワクします。そしてその現実化力の発揮に期待です。

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2024年3月23日 (土)

2024年東京大学と社会(11)世界大学ランキング100位以内の海外大学に合格者が大量に生まれる時代

GLICC Weekly EDU 第166回「中学受験−『個別化と多様性』の時代」で、GLICC代表鈴木裕之さんと対話しました。改めて、東大を焦点とする学歴社会はどんどん崩れていると感じました。学歴社会とは偏差値階層構造社会です。まだまだその階層構造はあるけれど、それは一般選抜で受験する際のあくまでも受験戦略上の確率論にすぎず、どこの大学だから人生がこうなるとかいう価値観はようやくなくなりつつあります。

★たとえば、三田国際などは、東大も入るし、世界大学ランキング100位以内の海外大学もはいります。おそらく年間20人は100位以内の海外大学に合格してしまうわけです。東大は、そのレンジの中のOne of themだというのが三田国際です。

★200位以内にまで拡張すると年間40人くらいは合格するわけです。THEのランキングでは、日本の大学で200位以内にはいっているのは、東大と京大と東北大学です。

★ということは、三田国際のこの現状は、もはや日本の学歴社会や偏差値階層構造社会をはみ出ていることになります。

★文大杉並も東大は入っていないかもしれないけれど、カナダのトロント大学にたくさん入っているわけです。世界大学ランキングでいえばトロントの方が上で、このことはもはや東大何人入ったで、学校の価値が決まるわけではない時代になってしまったわけです。

★富士見丘や聖学院、工学院大学附属、広尾、かえつ有明も同じです。

★東大と早稲田と慶應へという話題もまだまだありますが、海外大学の200位以内は、早稲田や慶応と比較するとまったく劣るなどということはないのです。

★英語ができて、数学的発想(思考の基礎)があり、社会的課題に対する問題意識と具体的な貢献活動をいかにするかという土台ができれば、あとは行きたいと考える大学に向けて科目を選択したり、ボランティアをしたり戦略的に学べばよいのわけです。

★今までの全天候型の受験勉強は、もしかしたら時間の有効活用ができない人生をおくる習慣をつくるかもしれません。人生のレバレッジポイントを見つける洞察力を磨くことができなくなるかもしれません。

★学歴社会や偏差値階層構造社会のメリットは、等しく同じ科目同じ範囲を勉強して、合格スコアを競うので、努力は報われるという世界をつくるわけです。しかし、そのメリットは同時に、限られた範囲以上の勉強をしようとしなくなるし、入試の問いの世界が画一的になっていくわけで、一つの指標で子どもたちが学校でも社会に出ても評価されます。序列が常にできるので、当然マウントやハラスメントが無意識のうちに起きていて、海外から見て、それを指摘されて、初めて気づくわけです。国際的なコミュニケーションをしていくには、それを訂正しなくてならないわけです。

★言論の自由を守り、人権を守るはずのメディアが、相変わらず東大何人出たということを話題にするわけです。そのことが孕む人権的な問題の意識はどうなるのだろうといつもハラハラするわけですが、今年は、どこかゲーム感覚です。もはや学歴社会はなくなるわけですから、東大ダンジョン攻略ノリで、受験情報誌が扱えば、それはそれでよいかなあと。東大という日本社会の文化を規定してきた役割の変化は、日本の今後の変化の象徴の1つかもしれません。

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2024年3月21日 (木)

数学 一単元一探究 数学的思考活動を授業の中で展開 受験数学もオーセンティックな数学も二刀流

★本日から明日まで、東京私学教育研究所は<理数系教科研究会(数学)「授業づくり合宿ー小田原 春の数学祭ー」 実社会と数学の交差点 ~数学的活動を楽しむために~>を実施しています。

講師:日本大学文理学部数学科 教授 山崎浩二 先生

委員長 武藤道郎先生(芝)
委 員 鈴木徹先生(⑦大森学園) 赤間祐也先生(武蔵) 及川寿幸先生(ドルトン東京学園)

ワールドカフェ&OSTファシリテーター 一般財団法人日本私学教育研究所伊東竜氏

東京私学教育研究所 理数系教科研究会(数学) 担当:細川氏・今村氏

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★数学の授業を定義や公式の説明からはいって演習へというプロセスも合理的ですが、個別最適化や協働的取り組みといった探究を埋め込むとどうなるのか。生徒の興味関心や自発性を生成する授業にならないだろうか?

★そんな思いで、今回の研修に参与的観察者として参加しています。

★ランチのとき、山崎教授が講演で語った「問題発見→問題解決→問題追究という数学の授業のプロセス」は、探究そのものではないですかと問うと、教授はその通りですとあっさり。ということは授業の中で「探究」はできてしまうということですよね、現場ではではどうですかと問うと、今度はドルトン東京学園の及川先生が、そうなっていますよと、これまたあっさり。

★午後からはワールドカフェとOSTのワークショップが行われ、最終的に自分たちの創りたい授業プログラムをチームに分かれて議論し、作成する段階に突入しています。非常に深くダイブしています。共通言語である数学で語り合う情熱。数学嫌いをなくすアイデア。受験指導とオーセンティックな授業のジレンマを解決する学習方略はいかにしたら可能か?プログラミングを使った確率論の実践は情報と数学を結びつけられるのではないかなど現実と理想の往還議論が展開しています。

★英語だけではなく数学も世界の公用語ですから、このような受験数学を超えた対話ができている私学の先生方ってすてきだなと思います。

★また、共栄学園の矢野先生はアクティブ率100%の授業をつくりたいと語っていますが、なるほど今共栄学園が勢いがあるのは、こういう人的資本の存在があるからなだあと研修には直接関係ないこともふと思ったりしました。

★そもそもこの忙しい時期に参加している先生方の所属する学校は、たしかに人的資本が豊かですね。

★考えてみれば、研修は教科の技術を豊かにすることが実用的な目的でもありますが、なんといっても生徒に想いを馳せ、生徒1人ひとりの才能を伸ばせる人間力豊かな教師のセルフトレーニングの協力の場でもあると改めて感じ入りました。

 

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2024年東京大学と社会(10)筑駒の辞退者増加が意味するコト

★2024.03.18 15:58のマネーポストWEBの記事<中学受験の最難関「筑駒」で辞退者増加の異変 通学区域拡大で“記念受験”して合格した層が選んだのはどの学校か>が興味深いですね。その記事によると、

「筑駒では毎年、繰り上げ合格が出ても若干名だ。ブランド力があると同時に国立附属なので学費が安い。そのため、合格したら進学するのが当然なのだ。ところがその筑駒で、今年は多くの繰り上げ合格があったようだ。中学受験塾SAPIXの筑駒合格実績を見ると、2月5日の合格発表直後は79名であった合格者数が、後に98名に増えている。SAPIXだけでも19名が繰り上げ合格しているわけだ。つまり、それだけ筑駒の合格辞退者がいた、ということになる」

★一体それはなぜかというと、同記事の視点は、2024(令和6)年度より、同校が通学区域を拡大したからだということになっています。同校の入試要項によると、次の区域になっています。

 【東京都】
23区、昭島市、稲城市、清瀬市、国立市、小金井市、国分寺市、小平市、狛江市、立川市、多摩市、調布市、西東京市、八王子市、東久留米、東村山市、日野市、府中市、町田市、三鷹市、武蔵野市
【埼玉県】
上尾市、朝霞市、川口市、さいたま市(浦和区、大宮区、北区、桜区、中央区、西区、南区)、志木市、草加市、所沢市、戸田市、新座市、富士見市、ふじみ野市、三郷市、八潮市、和光市、蕨市
【千葉県】
市川市、浦安市、習志野市、船橋市、松戸市
【神奈川県】
厚木市、海老名市、川崎市、相模原市(南区、中央区、緑区の相原・大島・大山町・上九沢・下九沢・田名・西橋本・二本松・橋本・橋本台・東橋本・元橋本町)、座間市、大和市、横浜市(青葉区、旭区、泉区、神奈川区、港南区、港北区、瀬谷区、都筑区、鶴見区、戸塚区、中区、西区、保土ヶ谷区、緑区、南区)

★というわけで、千葉の受験生は澁谷学園幕張と筑駒を併願、神奈川は聖光学院と併願、埼玉は、開成と筑駒を併願した場合、両方受かったら、居住地に近い方を選ぶという考え方のようです。

★パンデミックによって、遠距離はなんとなく考えない雰囲気ではあります。タイパの時代ともいわれています。

★もはや、渋幕も聖光学院も、東大合格のことだけ考えれば、たしかに交通の便が良い方を選ぶということになるかもしれません。

★しかし、筑駒の魅力は東大だけではないでしょう。ユニークすぎる文化祭も水田耕作の探究も独特の魅力ですよね。しかし、渋幕にしても聖光学院にしてもこれまた魅力があるわけです。

★ですから、その魅力に対する受験生の志向性がどうなのかそこが知りたいところですね。

★それぞれのエリアで東大に入る学校という意味でランドマークがあると、東大合格以外の魅力でせめぎ合っていくことになりますから、ある意味、学校の内生的技術進歩や人的資本の豊かさについて注目されるようになるわけです。

★学歴階層構造が、崩れるよういんにもなるわけで、この階層構造から影響を受ける見えないハラスメントを回避できるチャンスかもしれません。

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2024年3月20日 (水)

不易流行の時代(06)文大杉並 すべての領域で先を行く 自然体の進化が安心感

★文化学園大学杉並(以降「文大杉並)の不易流行は、あらゆる領域で先を行く進化が凄まじいのです。しかし、一般に先を目指すと、学校というものは、いや学校に限らず、多くの人にとっては、ワクワクすると同時に不安が募ってくるものです。新しいことをはじめてやるとき、誰でもチャレンジングでファイティングポーズをとります。しかし、それはいったいどうなるのだろうと自分のイメージが不確かなままで不安にもなるものです。

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★しかし、文大杉並は、大きな目標は与えるものではなく、自分たちでリサーチし議論し意思決定していく心理的安全なPBLを実施していますから、互いに不安を払拭しながら進めるし、自己開示しながら喜びも不安もシェアしながら進めるので、大きな恐怖心で先に進めなくなるということはないようです。

★一つ一つの経験が試行錯誤の過程でなされていきますから、その都度不安を自信に反転させながら進めます。話し合いながら協力し合いながら、自分お弱みも強みも共有しながら進むので、目標までの道行を急ぐわけでも一足飛びに到達するわけでもなく、到達したところから後ろを振り返ると随分大きく飛んできたなあと自然な感じでじゅわっと共感が広がる感じです。

★このように、生徒はかけがえのない自分どうしが協力して歩んでいきます。そこには多団体の人とも絆をつくっていけます。

★そして、問題解決のシミュレーションで終わるのではなく、自治体や団体とその問題解決を実際に行っていくわけです。

★問題解決のためのコンクールにも挑戦しますが、そこを突き抜けて実際に街づくりや問題解決を街の職員や団体のスタッフの方々と考え実践していくレベルにまで突き抜けるのです。

★生徒であると同時にグローバルシチズンとして役割を果たす機会をプロデュースする教師もなかなか得難い人的資本です。

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不易流行の時代(05)八雲学園 日常がグローバルリーダーフル 共学1期生卒業

★先日八雲学園では、共学1期生の卒業式が挙行。近藤校長先生はこう語りました。「入学時から『他人に優しく 自分に厳しく』という気持ちを忘れずに、男子はナイト、女子はデイムを目指してくださいと言ってきましたが、みなさん立派になったと思います。八雲学園ではコロナ禍でもあきらめず何ができるかを考えながら行事などを行ってきました。みなさんも、今後困難な状況におかれても、あきらめず、できることを考えて行動してください。」

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★本当に男子はナイトに、女子はデイムとして活躍する道を開きました。自分に厳しく他者には寛容というのは、グローバルでクリエイティブなリーダーの大きな特色です。

★6年間、イエール大学との国際音楽交流など破格な行事が毎年あったわけです(コロナ禍でこの学年はすべてではなかったのですが)。文化体験もコロナ禍以外は、毎月のように能や歌舞伎、ミュージカル、映画など日本の歴史と文化を体験しつつ、欧米の作品にも触れるという本物志向です。ラウンドスクエア加盟校同士の交換留学も頻繁で、日常がすでにグローバルな環境なのです。

★コロナにもめげずに、タイミングを計って、サンタバーバラをはじめ9カ月留学などの経験も積みました。この留学は八雲学園まったくのオリジナルです。毎朝のように黙想や瞑想から始まり、自分に向き合う時間をもつことを大切にしています。またラウンドスクエアで先輩たちが参加したバラザ式対話も創発的な時空です。最近国際連合の会議や企業でも問題解決の前に、多角的な発想をシェアするOSTが活用されますが、そのルーツはこのバラザです。

★海外大学準備教育はUPAAに加盟しているので、多くの生徒がこの制度を活用しています。

★また言語能力と理数のプロジェクトが豊かなだけではなく、吹奏楽、コーラス、軽音楽部そしてミュージカル部のグリーも活躍するほど音楽的才能を磨いています。実質これらはリベラルアーツです。

★このリベラルアーツ的素養は、ラウンドスクエアの加盟校から留学に来る生徒とコミュニケーションをとる時に深まりを生み出す必須の教養なのです。

★このような6年間を暮らすからこそ、生徒1人ひとりの個性と八雲学園の建学の精神が響き合い、生徒も八雲学園も魅力的なマインドを豊かにしていくわけです。本質と革新の絶えることのない融合。八雲学園の不易流行は上質かつパワフルです。それゆえ、生徒1人ひとりがグローバルリーダーとして巣立ちます。一部の生徒だけではなく、全員がリーダーの使命を引き受けます。グローバルリーダーフルな学園なのです。

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不易流行の時代(04)湘南白百合 破格のコラボレーション

★湘南白百合の建学の精神は聖書そのものであるが、同校サイトでは次のようなコンセプトとして表現しています。「愛ある人として、キリスト教的価値観のもと、国際社会の平和と発展に寄与しようと、様々な分野へ踏み出す女性 論理的思考力、深く探究する力を身に付け、高い言語能力を有して多様な人々と協働する女性」という、隣人愛と踏み出し協働する活動、論理的思考力、言語能力などのキーワードが織り込まれています。

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★そして、生徒1人ひとりの個性とこの建学の精神が学校と生徒のそれぞれの存在価値を豊かにしているわけです。そのための教育活動は多様多次元きめ細かく日々同校キャンパス及び学外の連携時空のあらゆる局面で行われています。

★行事一つにしても湘南白百合の独自のものばかりです。球技大会などその意味はとても深いです。縦割りのプロジェクトが多い同校ですが、球技大会は、クラス対抗です。コラボレーションのコアが毎年豊かになるシステムです。

★イノベーションに関しては、もちろん1人1台PCが文房具になっています。

★同校がリベラルアーツという言葉で表現してはいませんが、高い言語能力、理数のプロジェクト、アートの深淵さは、リベラルアーツが実質ディープに行われているのです。しかも、ここでも聖光学院や栄光学園、山手学院、サレジオ学院、逗子開成、鎌倉学園などと他校の生徒とのコラボレーションのプロジェクトが盛りだくさん実施されています。このフプロデュースは湘南白百合独自のダイナミズムです。

★そして、多様なプログラムのうち、高大連携が破格です。医学部の大学との連携など講義だけではなく、医療関連のワークショップなどまで実施されています。一方でお茶大とのサイエンスプロジェクト、上智大学とは個別に生徒の探究論文のチュータリングなどが行われていて、大学の数といい、そのプログラムのクオリティといい破格です。

★グローバル教育も、リアルスペースでもサイバースペースでも行われていますが、UPAA(海外協定大学推薦制度)にも加盟していて、秋外大学準備教育も整備されています。もっとも、海外大学は同校の成績証明と本人の言語能力と理数能力とボランティア精神というトータルな人間力の表現力によって、米国の高校生と同じシステムで挑戦してハーバード大学などにも入学できてしまうという海外大学準備教育がふだんの同校のキャリア教育に内包されているということもあります。

★それから、内省ができる時空ですが、ミサというカトリック校ならではの環境がありますが、それはカトリック校であれば共通しています。仏教系の学校だと坐禅などがその代わりになるでしょう。私立学校は、この自分に向き合い、その向こうに世界を感じる黙想や瞑想などメディテーションの機会があります。AI時代は、ここが重要になります。

★湘南白百合の場合は、そのような精神的時空だけではなく、生徒自身が自分の居場所、同時に他者をおもてなしするコミュニケーションの時空でもある「リリースペース」をデザインしています。この空間デザイン力は、日常の「住まう場所」に対するセンスに気遣うスキルやマインドですが、震災など災害のときに、日常的な最小限の「生きる時空」をデザインするスキルやマインドにも拡張できます。

★ここでは、他の学校にはない、同校独自のダイナミックな生徒の智の爆発が生まれる教育活動、同時に細心の注意を教師がはらう眼差しが込められている教育活動についてご紹介しました。もちろん、これだけでは、湘南白百合の教育の不易流行がコンコンと生み出されているシステム全体を表現しきれませんが、それだけ同校の不易流行という本質と革新のらせん構造は内実は複雑系であり、表現する時は受験生にストレートに響くシンプルなものなのでしょう。

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2024年3月19日 (火)

不易流行の時代(03)昭和女子大学附属の不易流行 ハイパフォーマンス

★不易流行がハイパフォーマンスを展開している学校の一つに昭和女子大学附属中学校・高等学校があります。不易流行システムのすべての要素があり、循環しているわけです。

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★そして、特にイノベーション教育では、いちはやく生成AIの研修を教師対象だけではなく生徒対象にも実施しています。その展開は、多団体や他校にも共有され、多くの組織が昭和女子大学附属の恩恵に浴しています。それだけ社会的インパクトを生んでいます。

★また、SGH認定校でもあったし、他の学校にはない昭和ボストンでの海外研修など破格のグローバル教育の実績を積んでいます。

★多団体との連携で、生徒のSTEAM活動や探究活動も活発ですし、「感話」という生徒が自分自身に向き合い、自分が社会にどんな貢献ができるのかありのままに感じたことをアウトプットする「内省時空」も設定されています。

★不易流行のシステムは他の私立学校と共通していますが、その要素が昭和女子大学附属独自のものが多く、学校としても魅力を生み出し、生徒一人ひとりも建学の精神を土台に個性豊かに成長しています。

★同校は、すでに注目されている私学ですが、2027年以降はAIとマインドの時代になります。その時、さらに脚光を浴びていることでしょう。

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不易流行の時代(02)不易流行のシステム

★不易流行のシステムは次の図のようになっていると仮定します。私立学校の不易流行の共通システムです。それぞれの学校の建学の精神が、不易としての核を形成しています。その私学の存在価値であり、個性的な生徒も影響を受けます。

 

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★したがって、学校も生徒もコアを共有しつつ個性を形成していきます。そして学校もその生徒一人一人のコアと共振した個性の波動を受けて、学校自体も魅力を豊かにしていきます。それが伝統です。形骸化することもあります。それは、生徒の個性とコアが同調するからです。生徒の個性も学校の柔軟性もなくなります。

★しかし、個性と核が相乗効果を生み出せば、その伝統は即ち革新でもあります。これが不易流行の面目躍如です。

★この相乗効果を生み出すには、行事や部活があります。多様なプログラムがあります。それから内省する時間と空間の機会が設定されています。2013年以降は、これらに破格のグローバル教育とイノベーション教育が加わり、どこの私立学校も不易流行のパフォーマンス値を上げています。

★ただ、そのような外生的技術進歩があっても、「経験→内省→探究→・・・」の循環という内生的技術進歩がなければ、停滞します。

★この経験は体験学習の経験よりもっと広い意味です。内省もリフレクションではなくメディテーションのほうがぴったりきます。探究もインクワイリーではなくインベスティゲーションのほうがぴったりくるでしょう。

★多様なプログラムの領域では、探究はインクワイリーで。内省はリフレクションでしょう。そして具体的な体験。内生的技術進歩における探究はインベスティゲーション。

★私立学校の不易流行が柔軟で豊かに成長し続けているのは、この外生的技術進歩におけるインクワイリーと内生的技術進歩におけるインベスティゲーションがメビウスの輪のように循環しているからです。

★この循環は、最近経済学の中で見出されているし、人的資本とか社会的資本が重視されているので、理解されやすくなっていますが、まだ多くの人が気づいているわけではありません。しかし、気づいていなくても、不易流行が柔軟に豊かになっている組織、とくに建学の精神を大切にしている私立学校はそうなっているところがあるのです。

 

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不易流行の時代(01)ポストAI時代だからこそ不易流行

★人類は、ポストAI時代に入っています。STAR WARSの人気キャラクターであるアストロメタ・ドロイドR2-D2のようなAIテクノロジーが開発されているからです。臨機応変で才知に富み、ジェダイ・マスターを支えながら、驚くほどの勇気を発揮して数多くの危機を乗り越えるR2-D2さながらのAIテクノロジーが私たちの仲間になるのか敵になるのか?

★どうやら、AIテクノロジーが進化しても、仲間か敵かという倫理的な意思決定はまだ人類の手に残されている可能性があります。まさにこの最後の核心が不易の部分であり、AIテクノロジーの進化のところが流行なのですが、このテクノロジーの進化をマネジメントするマインドのエネルギーが十全でないとAIテクノロジーの暴走を回避できなくなる時がくるかもしれません。

★それゆえ、ポストAI時代の不易流行の在り方は喫緊の課題です。この不易流行というコンセプトは私立学校の在り方を決めるし、その学校の生徒の生き様にも影響を与えます。AIテクノロジーに置いて行かれるのか、飲み込まれるのか、学校も生徒も自身の存在価値についてどう思いどう考えどう行うのか「思考動」のシステムを実装せざるを得なくなってきました。

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2024年3月17日 (日)

2024年東京大学と社会(09)聖光学院 東大受験史を変える

★AERAdot20240314の記事がおもしろい。<東大合格者100人の大台突破! 聖光学院・工藤校長が明かす「こんなに成績が悪い学年はなかった」の真意>がそれです。冒頭文章にこうあります。

「東大受験史」に新たな歴史が刻まれた。神奈川にある中高一貫の男子校・聖光学院で今年、100人の生徒が東大合格を掴み取った。1954年に設立した同校は、今や「超進学校」として開成や灘、日比谷などの伝統校と肩を並べる存在になった。近年、躍進を遂げている背景を工藤誠一校長に聞いた。 

★聖光学院にとって「東大受験史」に新たな歴史が刻まれたという意味は何を意味するか?開成の人数を上回ったというわけではないので、量的な意味で新らしいということではなさそうです。もちろん、在校生の数が開成の方がかなり多いので、在校生シェアで1位とか、現役合格率で1位とかそういういことはあるでしょう。しかし、そうした量的意味でこんなに騒がれるはずはないのです。

★それは、もはや東大の個別試験が今まで通りだと、勉強のやり方次第でどこの学校からも入れてしまうのが東大入試個別試験なのだということが明らかになったということです。

★開成だから、桜蔭だからではなくなってくるということです。しかも塾業界にとてっも、東大に行くためにこういった学校に行かなくてはという時代は終わったということです。神奈川に住んでいるなら無理して東京に行かずに、聖光学院に行けばよいということですね。

★東大一路で競い合う進路指導から何をやりたいなら東大も選択肢という時代です。すでにそういう時代になっていて、開成自体も東大の数字が学校選びの大きな要因ではなくなると言っているわけです。

★そこを聖光学院の工藤校長はその緩みを見逃さなかった、やり方次第で東大は入る。一気に大量合格させようと。そして実現したわけです。工藤校長は東大がよいかわるいかなんて考えないのです。ニーズがあるかないか、戦略的に勝機はあるかということを常に考えているということでしょう。

★それに、他団体とのネットワークは組みますが、丸投げはしない。シンプルに主導権は聖光学院が握ってプログラムをプロデュースするというわけです。シンプルに、半分以上自前でカリキュラムをプロデュースする。当然コスパは必要。金で解決できるところは惜しげもなく投下する。

★そういう理事長校長だからこうなったわけですが、東大合格校の全体を見ればわかるように、聖光学院に続く学校がどんどんでてきているということです。3人合格している学校をみれば、それがわかります。

★やり方によって、どこからでも合格できるのです。

★生成AIには、相性がよい東大個別入試ですから、どんどんその傾向は強くなるでしょう。

★で、それは東大に当局にとってはよいことなのか?よいわけありません。それで、推薦入試だとか秋入学の5年生の新課程コースを作ったりするわけですね。なぜ100人単位でしか動けないか?もっと多くすると実は、東大離れの揺れが大きくなるからです。

★ローカルでよいのかグローバルにしなくてよいのか。グローバルにしたら東大離れが現状では起きてしまう。工藤先生もAERAの記事の中で、ユーモアとしか言いようがないフレーズを語っています。「最低でも早慶」と。工藤校長は、保護者のニーズだからというわけです。

★これは工藤先生の営業トークです。実はこれからそういう時代ではないということはわかっている。でも、これで優秀な生徒が集まる状況を作っておく。すると、ケインズではないですが、今はイノベーションと人間精神の時代です。5年以内にAIとマインドの時代になるでしょう。

★そのとき、カトリック学校の面目躍如となるという計算ですね。しかも、そのカトリック理念は、本質的な目に見えない大切なものとして心の奥底にしまい込むものではなく、見える化してシステム化して、信者になる手続きなしで、だれでもその精神を胸に社会で活躍し、お金も儲けて、そのお金を贈与する新しい資本主義循環を生み出す智慧者をたくさん輩出しようということですね!

★これがクリスチャン校長工藤先生の誠の道は一つしかないという野望でしょう!

★なぜそんなことがわかるのか?それがカトリック校としての神の計画だからです(笑)。

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2025年変化する中学入試(34)工学院の2024年度の大学合格実績 医学部、海外大学の道開かれる 文理融合型進路の新しいポジショニング

工学院大学附属中学校高等学校(以降「工学院」)の2024年度大学合格実績が公開されました。現在は、工学院は文理コースとインターナショナルコースの2つになり、完全に文理融合型教育に移行しています。今春の卒業生はまだ複線コースでしたが、理念的には文理融合でしたから、この理念に手ごたえを感じる結果となりました。医学部に8名合格しています。北京大学やハンガリーの医学部、アイルランドの医学部など海外大学の医学部も含まれています。

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★このほとんどが、インタナショナルコースからだそうです。つまり、一般にはインターナショナルコースと言えば文系というイメージなのですが、工学院は文理融合だということが示された結果です。

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★海外大学も多いですね。20大学も合格しています。もちろん進学と合格は別ですが、工学院が文理融合型の教育をして医学部にも海外大学にも進む道をパーフェクトに切り拓いたということが重要です。後輩は、この道にどんどん続いていくでしょう。

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★それに薬学部も多いですね。同校の校訓は「挑戦・創造・貢献」ですが、特に共感型PBLがベースですから「貢献」への意識は高いわけです。パンデミックを通して、医療関係の仕事に就きたいという意志が生まれているのでしょう。

★グローバル教育の真骨頂は、このような文理融合型で国内外の進路を開くということでもあります。工学院はいちはやくこのポジショニングを勝ち得たかもしれません。もちろん、通常の国内向けの合格実績のカテゴリーでも、目覚ましい実績を上げています。

★国公立大学は8名、早慶上理ICUは11名、GMARCHは41名です。それに附属ですから工学院大学にも進みます。73名が合格しています。

★実は文理融合の肝は多言語とエンジニアリングと数学的思考とアートなのです。このスキルやマインドが結晶する分かりやすい例は、都市工学や都市政策です。多次元のインフラと公衆衛生と民主的な多言語コミュニケーション、治安維持のための教養市民など総合的なまさに文理融合的な智慧が必須です。それからなんといってもAIを中心とするDXの推進です。

★これは工学院大学があるから、工学院中高では当たり前のデフォルトとなっています。

★これからは誰もが、多言語とエンジニアリングと数学的思考とアートとAIを使えるようになっていく必要に迫られます。その準備ができている学校が工学院です。大学合格実績の在り方の新しいポジショニングをゲットしましたね!

★そうそう、2027年から東大が文理融合型の5年制のコースを設置する予定です。100人ぐらいのコースのようですが、オールイングリッシュの講義になるそうです。工学院から東大も合格してしまう時代が向こうからやってきます。時代は変わります!

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2024年3月15日 (金)

2025年変化する中学入試(33)国士舘が人気の理由 時代が追いついたから

★今年の国士舘中学校の入試は、総出願数500名を超え、前年対比約390%。中学受験業界に激震が走りました。その人気の理由は、「楽しい学校だから」だと受験生は回答するのですと神山教頭先生は語ります。入試広報の河野先生は、毎回説明会を行う度に、ふだんの授業を見学してもらいます。国語、数学、理科、社会、英語、体育、武道、書道など全部見せますとさらりと語るのです。

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(左から河野先生、神山教頭)

★何か新しいことを打ち出したりはしていないのです。ただ今まで実践してきたことを丁寧に受験生と保護者と共有してきただけなのだと。しかし、説明会の度に、科目を変えてすべて見学できるというのは、それだけでワクワクしますし、だいたい普通は相当手間がかかるので、そんな柔軟なことはやらないでしょう。

★その常識を覆すということは、新しいことをやっているということを意味します。でも国士舘の先生方にとっては、当たり前のことのようです。それに授業も教師も生徒も問い合う弾けた授業だというのです。道徳の授業もグループワークで、一つのテーマをみんなで考えていきますよとさらりと。

★それを新しいと言わずして何と言うのかと思ったが、松陰神社と隣接していて、創設者柴田徳次郎が吉田松陰の生き様に倣って創った学校だというのをすぐに思い出しました。幕末の松下村塾では、若者同士、世界の中で日本はどう進むのか、自分たちはどう生きるかという命をかけた探究が行われていたのです。そのときのあふれる気魄(きはく)を想像してみれば、そもそもデューイ以前からPBLのような学びは行われていたのでした。それに階層構造をぶっ壊す気魄で生き抜いた吉田松陰たちの弟子たちを想えば、フラットでフェアでフラタニティを大事にした若者のソールが脈々と国士舘に受け継がれてきたと想像するのはそう難しいことではありません。

★書道と武道を大切にしている国士舘。あのジョブズは、書道を好んだし、禅という道を歩みました。河野先生は、剣道と禅の道は相通じるものがあると語ります。国士舘とジョブズは共振する気魄があるのでしょう。時代を変える気魄、時代を創る気魄、自分を変える気魄。

★中学受験生は、純粋がゆえに、その気魄を感じワクワクするのでしょう。そもそも鬼滅の刃も大好きですからね

★「体験」重視の教育観。体験を通して自分に向き合い、自分の思い込みを払拭するたびに、新しい自分が生まれてくる。書に向かい合う自分の気持ちを静かに響かせる、竹刀をもって力任せにふれば見失う大胆だけれど細心の注意をはらって見えてくるもの、そんな道をいっしょに歩いてくれる教師。

★それをファシリテーターというもよし、コーチというもよし、メンターというもよし。しかし、何より松陰とその弟子たちの誠実で気魄のある見識に満ちた関係。その関係を保つために勤労勤勉に日々を送る。それこそが「楽しい」生きる価値だと、中学受験生が直観するのでしょう。

★明治以来、私学人たちは、日本の古典と儒学とキリスト教、欧米の文化学問を融合してきました。欧米リベラルアーツを飲み込む地球全体のリベラルアーツを夢見ていたのかもしれません。もちろん、二つの戦争では、その読み違いをしました。地球全体の覇権を握る小さな日本を目指してしまったわけです。

★戦後、その誤りに世界から気づかされ、その呪縛から解放されますが、経済で欧米に追い付け追い越せという戦略に変わっただけで、地球全体の見識を創り出したわけではありません。

★ところが、今の国士舘の学びは、ここに対する挑戦をしていたのです。「道」は険しいかもしれませんが、人が敷いた道で競争にあくせくするのではないのです。道は自分でのみならず、友と共に創っていくのです。あるときは教師と共に歩きます。そんな冒険の旅が学園生活の毎日なわけです。たしかに「楽しい」に違いありません。

★国士舘の先生方が個別最適化した学びを行っている実践は、書き尽くせないほど集積しています。先生方にとっては当たり前の教育ですが、中学受験業界から見れば新しいものばかりです。今年一年、折に触れメモしていきたいと思います。そのためには、実際に学校に行ってみなければなりません。4月に立ち寄らせて頂けるということです。また報告します。お楽しみに。

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2024年3月14日 (木)

2024年東京大学と社会(08)GLICC代表鈴木裕之さんのシンプルな本音・本質の語りで思考の酸欠状態を回復

★明日金曜夜は、いつものようにGWE(GLICC Weekly EDU)で、同番組の主宰者でGLICC代表の鈴木裕之さんと対話します。鈴木さんの教え子で東大合格者の学び方やものの見方・考え方・感じ方を通して、思考とは何か、シンプルに本音・本質をライブ感たっぷりにとなると思います。

★世の中、あふれるばかりの紋切り型の教育言説で語る方々が多く、たとえば「主体的」という言葉が多用されていますが、その背景や落とし穴を無視して、健全な顔で話されるでしょう。私も結局はそうなのです。ですから思考の酸欠状態になります。思考停止ならまだ息もできるのですが。。。

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★そんなとき鈴木さんは、パーンと解放してくれます。シンプルに自分の頭と五感とトークとライティングで知そのもののつくる障壁をいとも簡単に粉砕するのです。

★こちらが少し深い話をしているつもりになっていると、「深いですね」と口火を切ります。これが合図です。そんな表面的なところでいくろ深堀しても時間の無駄ですよと一気呵成にクリティカルシンキングが発動してくるのです。

★要はその生徒はこういうわけですから、いっしょにこのことをやればよいのです。それだけですよと。人ぞれぞれ自分の気づかないツボがあるわけで、そこを適切に押せば、知性と感性と活力が循環しだすのです。

★そのことを経験的直観として実践していく。もっとも実際には相当理論を体得しています。だからシンプルに行けるのですが。

★鈴木さん自身が自分の自己にも向き合い、生徒自身の自己にも向き合う鈴木さん自身のレンズがそのツボを見出すのです。自分のツボと他者のツボは微妙に違います。押し方も微妙に違います。しかし、まず自分のツボを押してからです。失敗するかもしれませんが、自分のことですから問題はありません。

★そこであくまで推理しながらですが、生徒に適合するように押してみるわけです。

★効き目がダイレクトです。しかも、自分で試行錯誤していますから、実感の信頼性や妥当性の確率は高くなります。

★ありふれた教育言説を聞くのは時間の無駄です。ダイレクトにツボを押していく学びの環境こそ、その生徒の「思考動」のパフォーマンスを高めます。この知のツボをいかに見つけるか?対話しながら探ってみたいと思います。

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2024年東京大学と社会(07)順天 経験学習と系統学習を統合したグローバル探究 東大も合格

★昨年末、北里大学との法人合併で教育業界にインパクトを与えた順天も東大に1名合格。もともと東大に行きたければ受けて合格していた学校だから驚きはしませんが、経験学習と系統学習を統合しているグローバル探究を全面的に展開している学校から合格することを証明していることが重要です。

★しかもどこよりもはやくボランティア教育に取り組んいて、それが医療従事者への道を切り拓いてきたし、今後も切り拓き続ける同校なのです。

★東大が2027年秋から5年生の文理融合による世界標準の研究拠点になるようなシラバスを創設すると発表しています。順天からも参加したいと意欲を燃やす生徒も出てくるでしょう。

★東大合格のための学びの多様性が生まれる可能性があります。現状の一般入試においてはそのような多様性に対応できる生徒を選抜しているかどうかはわかりませんが、順天のような学校から進学すれば、このような多様性に対応できる柔軟な知性をもった生徒が蓄積されていくでしょう。

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2024年3月12日 (火)

細田眞由美さんの書「世界基準の英語力」 日本の政治経済社会の難局を乗り越える実践の希望書

★首都圏模試センターのサイトで、「世界基準の英語力: 全国トップクラスのさいたま市の教育は何が違うのか 時事通信社 – 2024/2/20」の紹介記事が掲載されました。これは何かメッセージだなと思い、kindleをポチりました。というのも、首都圏模試は、私立中学入試と公立中高一貫の適性検査両方の模擬試験を実施している会社であり、教育情報センターでもあるので、教育を見る目が鳥の目だし、虫の目だし、魚の目だし、コウモリの目だし、なにより心の目でもあります。そういう目を持った編集者の層が厚いから、これは何かあるなと。

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★そして驚きました。前さいたま市の教育長である細田眞由美さんのワードが、いわゆる日本の行政の教育の専門家とは破格に違うのです。英語が多用されているのです。新鮮というか、私自身カタカナ語が多いと今でも揶揄されていますが、行政の方がカタカナを超えて英語表記を活用して執筆しているのです。3Gというためには、その方がいいし、わかりやすいのです。なぜわかりやすいのか。なぜ日本語だけだとわかりにくいのか。それは英語表記を使えばわかりやすいというのではないのです。純日本人の私が翻訳することができないからカタカナを使っているのとは違うのです。

★細田さんは、ご自身がアメリカに留学して文化としての英語のレンズを自然体で活用しているからです。このレンズを自然体で活用しているというのは、文法が日本語と違うからというより、パラフレースの使い方が巧みだということです。構造的な文章の組み立てがうまいなあということです。パラフレーズとは言い換えということなのでしょうが、日本語の言い換えは、どちらかというとレトリックです。細田さんの書かれれている文章は、具体的な事例やデータが豊富ですが、それを抽象的にパラフレーズしているのです。

★具体と抽象の関係がきちんとあるので、論旨が読み取りやすいだけではなく、IBの学びで必要なコンセプトレンズのレベルの抽象化がなされているということです。ビジョンが明快、簡明で感銘を生み出します。さすがは、「世界基準の英語」です。同書の中で、生徒がエマニュエル駐日大使と対話するシーンで、大使が、生徒に「洞察力」があるねとフィードバックするところがあります。

★これが「世界基準の英語」の面目躍如のところだと思います。一般に「世界基準の英語」というと英検で高いレベルを狙う学びだと思われるでしょう。いやもちろん英語資格をとるのは当然なのですが、4技能を学ぶだけではなく、4技能は「洞察力」をアウトプットするためのツールなのです。生徒たちが、自分が英語を学ぶ多様な経験をするさいたまメソッドがあるのですが、その肝は、学んだ経験を次々とツールに変容させて、洞察力を発揮するハイヤーオーダーシンキングを生み出すわけです。

★このようなコンセプトをケースメソッドとエビデンスで論拠づけ、実績をあげる説得力ある根拠を生み出しています。

★さいたま市は幸せです。公立の小中学生10万5000人が、このようなさいたまメソッドというか組織的な仕組みを活用できるのです。機会均等というのが従来の痒いところに手が届かない形式的な公平主義の政策でしたが、機会が用意されるだけではなく、生徒の好奇心、生徒も教師もオープンマインデッドネスになり、互いに探究の問いを生み出すようになるカリキュラムまで埋め込まれているのです。実績がでるはずです。

★しかも、細田さんは、このロールモデルをどこの自治体でも活用できるようにしているわけです。とはいえ、風通しの良いフラットでクリエイティブな組織マネジメントのやり方が前提となるでしょうが。

★いやそれにしても、何かといえば、フィンランドだシンガポールだと隣の芝生はなんとかという無責任な教育評論家が多い日本です。細田さんは違います。フィンランドやシンガポールなどは、総人口が550万人前後です。

★少子化と言えども、日本の小中高の児童生徒の人数は、ざっくりですが1300万人いるのです。もし細田さんのさいたまメソッドを各自治体が活用したら、1300万人が中3までに英検3級、高3までに英検2級はみないくでしょう。世界基準の英語とは世界基準の思考力、意志決定力、行動力、倫理観にまで発展するでしょう。

★そうなるために、大事なことは、インプット→アウトプット→もっとインプットという循環だといいます。そのとおりですね。このプロセスは論理的思考や批判的・創造的思考力を養うだけではなく、生き抜く力である「洞察力」を生徒が体得できるのです。高度人材を海外から受け入れるのは大いに結構ですが、日本の生徒自身がそうなれる可能性を細田さんは実践したのです。

★このような破格な教育力は公立学校だけではなく私立学校にも善き影響を及ぼすでしょう。公立学校としてのPublic Schoolと私立学校としてのPublic Schoolということになって、2つのPSの相乗効果が生まれることになると思います。

★もちろん、細田さんは、不登校問題などケアフルなシステムにも挑戦しています。そのうえで、「世界標準の英語」なのです。実践例も掲載されていますが、その授業はすでにInquiry based Learningになっています。同時にICT based Learningにもなっていて、ここでも2つのIBLが経験済みなわけです。

★このような複眼思考は、細田さんの能力と世界経験のなせる業/技です。ようやく教育界にも緒方さんのような女性が出現したと。戦後の希望の光は、今直面している新たな複合的クライシスに対しても消えることはなかったのです。

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2024年東京大学と社会(06)聖光学院 99名合格

★聖光学院は、東大99名合格が最新情報ということです。開成をやがて追い越すということもありそうです。これも時代が変わることの一つです。東大を受験することが当たり前になっている両校。教養もベースにするのは同じですが、聖光学院が本気になる教養はカトリック的倫理的経済社会の在り方です。これも古くて新しい資本主義の考え方です。

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2024年東京大学と社会(05)海城学園のポジショニングの不思議。受ければ受かるのに。

★エコノミストONLINEにこんな記事があります。「超速報!高校別「東大合格者」トップ20 開成、聖光学院、灘、西大和学園、渋谷教育学園幕張、桜蔭、日比谷、麻布、海城、栄光学園…」がそれです。40人以上合格の学校を引用して並べてみます。

開成(東京・私立)149
聖光学院(神奈川・私立)97
灘(兵庫・私立)93
西大和学園(奈良・私立)71
渋谷教育学園幕張(千葉・私立)64
桜蔭(東京・私立)60
日比谷(東京・都立)59
麻布(東京・私立)53
海城(東京・私立)49
栄光学園(神奈川・私立)47
浅野(神奈川・私立)45
浦和(埼玉・県立)44
渋谷教育学園渋谷(東京・私立)43
早稲田(東京・私立)43
駒場東邦(東京・私立)43
横浜翠嵐(神奈川・県立)43 

★筑駒が加わっても、海城は10位以内。学校当局としては、十分な成果だと思っているでしょうし、世の中的にもそうだと思います。しかし、やはり不思議なのです。もし受ければ受かる生徒がたくさんいるのに、いつもだいたい50人くらいだからです。

★これはどういうことでしょう。おそらく冷静というか冷めているというか、東大合格コンクールという祝祭型キャリアデザインを描く生徒があまりいないということなのでしょうか。教養型キャリアデザインを描く生徒が多いということでしょうか。

★少なくとも80人くらいは合格する生徒がいるはずなのです。

★その潜在能力を別ベクトルに向けているというか生徒が向かっていくということでしょうか。

★もし、東大の外国語学校卒業生徒対象(要するに帰国生・留学生入試)を受験したら、ごそっと合格するでしょう。しかし、その入試の受験資格がない。東大は、そのような才能を受け入れるシステムを作っていないということでしょう。

★それで、高度人材が足りないということになっているわけですね。100人程度の5年制枠の改革はもっと広げるとよいのに。ついでに、定員を倍にすべきでしょう。偏差値のレベルが下がるとかではなくて、潜在的能力をあげるための環境の提供ということです。もちろん、東大でなくてもよいのですが、海外大学に頼るしかない今の日本の現状をなんとかすんるには。。。。

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2024年3月11日 (月)

2024年東京大学と社会(04)足立学園、かえつ有明、三田国際から東大合格の意義

★足立学園、かえつ有明から東大1名ずつ合格、三田国際から2名合格。この3校は、いずれも人気校ですが、東大に入るから人気という相関関係はないのです。東大合格以外の教育の質感で人気なのです。東大に行きたいと思った生徒がうければそれは合格する力がついているのでOKだということだけです。

★先に述べた湘南白百合もそうですよね。おそらく合格者4人未満の学校は、東大合格者数の実績以外の教育力で人気なのでしょう。

★ところが5人以上になると、受験生のほうにも学校のほうにも欲が出てきます。麻布のように悠然としていると、その欲に競り負けていく可能性もあります。

★それでも、歴史は強いので、武蔵ぐらいの実績はキープできると思います。武蔵も東大合格に欲がないですからね。受けるのであれば応援するけれどくらいの感覚でしょう。

★学校経営の観点からは、20名以上出していれば、当局がそう思っていなくても、受験生が東大合格者数になんらかの期待をしてはいってくるでしょう。

★東大合格者実績以外の理由で人気があるというのには、教育の質を破格にしなくてはなりません。学校の努力としては、いわゆるコスパはわるいかもしれません。

★東大の実績を20人以上出すのは効率の良い経営の持続可能性です。

★東大の実績を1名から4名くらいまで出すのは、質は高い教育だけれど、経営的にはコスパはよくなさそうですね。

★経営者素養が大きいオーナーか、教育者素養が大きいオーナーかで、学校経営は変わります。

★祝祭型私学経営か、教養型私学経営か。いつの時代も解決のつかない両極ですね。

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2024年東京大学と社会(03)20名以上合格するところはほぼ固定?

★インターエデュが公開している各学校の東大合格者数を見ていると、20名以上合格者を輩出している学校はほぼ常連。その中で聖光学院の98名は、大躍進で、東大と教養の両ベクトルを一貫して実践してきたその成果が出た感じです。教養だけだと、なかなかこうはいかなかったでしょう。ただ、教養は東大にも入る力をサポートしていることはおそらく確かでしょう。そこに校長が明快に東大に進学させると言い切るかどうかですね。開成は、初代校長高橋是清がそう断言し、歴史がつづいているわけです。

★公立学校も、各自治体のいわゆる難関高校は、進学重点を自治体自身が後押ししますから、そうなるでしょう。

★しかしながら、理想的には、教養をベースに、自分の行きたいところに進めばよく、結果的に東大に合格する生徒がでてくるというのがなんかいいですね。

★ただ、麻布は、もしかしたら、それをやりすぎていて、今回の結果は、1986年私立中学受験が盛り上がり始めたときからはじめて50人台だったような気がします。特に進路指導をしなくても、90人前後は東大に入るというのが麻布でしたので、来年は元に戻るかもしれませんが、多少心配です。もしもこの影響が中学受験市場のコントロールによるものだとしたら、麻布当局も何か手を打ったほうが良いと思います。

★コントロール?そんなものがあるのか?と一般の人は不思議がるでしょう。こういう一般には見えないところで起きていることが実に問題をはらんでいます。そのコントロールをいまのところぶち破る手立てはありません。聖光学院は、したたかに、そのコントロールを逆手に取っているわけです。

★東大が、各学校から入学するのは20人までとやれば、ある程度は解決するかもしれません。競争なき幸せな国ができるかもしれません。

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2024年東京大学と社会(02)湘南白百合 今年も東大理Ⅲ合格

★湘南白百合の水尾教頭から連絡がありました。2年連続東大理Ⅲ合格ということです。同校の本質的な奥行きの深い教育が、実績につながっているというところが、教育のあるべき姿です。その意味でたいへんすてきなロールモデルです。

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★その本質的教育とは何か?それについては、上記の動画で水尾教頭が優しくもタフにディープに語られています。教育の底力とは、教師の愛とタフさと深さですね。そのことがよくわかります。

★ほかの動画も見て頂けると、湘南白百合が、医学部合格の仕方ではなく、医学の道の使命や覚悟について、先輩と仲間とディスカッションする機会をきちんと設けているところにこの地球上で頻繁に複合的クライシスが起きている状況下で希望があることを示唆しています。

★東大合格者の40%くらいがこのような気概とマインドをもっているとその希望はさらに広がるでしょう。

★それをどうやって調べることができるか?それは合格者を出している学校で、このような気概とマインドを教育している学校を探し、その合格者の和を出してみればわかります。

★全貌が見えたところで算出してみたいと思います。

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2024年3月 9日 (土)

22世紀型教育準備へ(34)モヤモヤリフレクソロジー研修始まっています。

★本日14時から東京私学教育研究所が行っている学校づくり委員会の研修「モヤモヤリフレクソロジー」が開催されています。同委員会は、毎月一回ディスカッションをしながら、生成AIについてその使い方、セキュリティー、限界と可能性、未来社会における生成AIなど多角的に研究してきました。

★今回は、その成果発表ではなく、参加者もすでに生成AIに対してモヤモヤを抱いているので、それを出し合って、共有して、共感するテーマごとにチームに分かれて対話するというワークショップ(OST)を行っています。

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★「そもそも学内ではどのように捉えられているのか」「感情が見えないAIはパンデミックの時のマスクと重なる何か危うさがあるのでは」「AIでできない問い作りとはどんなものがあるのか」「生成AIを使っているが、その授業でどんな力がつくのか」など、参加者一人一人が、モヤモヤしている問いが共有されました。

★講演形式とは違い、参加者一人ひとりによりそったグループワークができています。委員の先生方も各チームにメンターとして参加し、ディスカッションを拡散したり深めたりと触媒になっているところです。

★私学の先生方が、生成AIの現実と理想、生成AIの危うさ、生成AIと未来などについて大所高所から考えている姿が広がり、このような対話の意欲や持続可能性こそが、生徒の未来に役立つ教育が日々生まれているのだと改めて実感しているところです。

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22世紀型教育準備へ(33)大妻中野のグローバル探究 秀逸

★昨日金曜日、GLICC Weekly EDU 第164回「大妻中野の2024年」が開催。大妻中野のグローバル探究活動がいかに秀逸であるかが伝わってきます。詳しくはぜひご視聴いただきたいのですが、私からは、3つほどコメントをここにメモしたいと思います。

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1)従来型の教育と探究型教育の合力を生み出していることが明快で、学内で完全に共有されているところがすてきです。

2)生徒の心身や発想の膨らみなど発達段階に応じられる多様な入試が用意され、2つのコースも卒業時まで固定ではなく、最終的には生徒の意志決定で変えられる余白をデザインしているところが柔軟で緻密です。

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3)諸橋先生と光村先生の同僚性の質感が豊かで、学校の魅力はやはり教師の魅力だなと改めて感じ入りました。

★何より、各教科授業に探究の活動を埋め込んでいる並々ならぬ創意工夫です。

★授業と探究、知識と思考、思考と社会課題、思考と活動などがきめ細かく結び付けられているのが驚きです。探究活動だけの話はよく聞くのですが、授業と探究などの接点を具体的にどう結び付けるか、3Cシステムをらせん構造で中1から高3まで一気通貫しているカリキュラムプロデュースの熱量が半端ないのがすばらしいですね。ぜひご視聴ください。

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2024年3月 8日 (金)

2025年変化する中学入試(32)昭和ボストン留学 昭和女子大学附属ならではのグローバル教育

★昭和女子大のボストンキャンパスで、同大附属中2の生徒の皆さんが留学プログラムを実施しています。得難き体験ですね。

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★上記の昭和ボストンのキャンパスの写真は、昭和女子大のサイトからのものですが、なんとすばらしいのでしょう。ボストンといえば、アメリカ独立戦争で必ずでてくるアメリカのルーツですよね。それにチャールズ川は、ロンドンのテムズ川と重なるように感じます。それは墨田川にも感じるのですが、何か歴史的意義のある街づくりの庭園発想が似ているような。

★それはともかく、ハーバード大学からMITなどへ歩いていくのもなかなかよいのです。おそらく両大学には足を踏み入れることでしょう。グローバル教育といえば、文系という誤ったイメージを持ってはいけません。

★文系も理系も両方の視野をもっているのが昭和女子大附属中高です。真下校長がそもそもそういう見識を持っています。

★グローバル教育というのは、地政学リスク、気候変動リスク、ハラスメントリスクの多様な組み合わせによって生まれてしまう複合的クライシスに立ち臨める叡智をベースにしています。その叡智は文理融合的な知です。

★この文理融合的智慧を身に着けられるグローバル教育を行っている学校の一つが昭和女子大附属中高でしょう。

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2024年3月 7日 (木)

22世紀型教育準備へ(32)リベラルアーツの現代化とか文理融合とか教科横断型とか学際的とか

★表題にあるようなキーワードが世には溢れています。それぞれの人がそれぞれの想いで語ることは大いによいことです。お互いに手の内を明かして、対話することによって、理想に近いでもそこに向かうだけで理想にはいきつかない持続可能な対話の過程が世の中を平和に導くでしょうと私は楽観的なのです。

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★立命館大学や東大などが、アートデザイン学部や文理融合型の5年制のコースなどに着手するというのは、すでにICUや秋田国際大やAPUなどで実践してきたことに再び光をあて、アップデートするという動きなのかもしれません。

★私は、リベラルアーツを3つの技術に置き換え、それぞれの技術が生み出すあるいはその技術を活用する能力を図式化してみました。言語的技術は、説明的能力にとって必要で、どの教科にも欠かせません。

★数学的技術は、検証的能力に必要だし、やはりどの教科にも必要ですね。

★美学的能力は、発想や新しいものの見方、気づきなど、つまりこれらを生み出す能力を直観的能力と呼ぶと、あらゆる教科で必要です。

★今、「教科」と言いましたが、これは「学び」という次元でも同じことです。「探究」そして「研究」という次元でも必要です。

★ですから、この私が思うリベラルアーツの現代化は、文理融合的だし、学際的だし、教科横断型だと思います。

★こういうと、そんなの主観的だあとマウントする方がいると思いますが、世界に通じる科学的エビデンスはなさそうなので、それぞれどう考えているか対話して、アップデートしていけばよいだけだと思います。

★私の主観は、対話によって相互主観になって、やがてはスタンダードになっていくという可能性がないわけではないでしょう。正解は一つではないということで^^)。

★そうそう、言語的技術は「思い」の技術で、数学的技術は「考え」の技術で、美学的技術は「動き」の技術という意味で、「思考動」という言葉も使いたいと思っています。行為的直観を思考すると置き換えてもよいかもしれません。

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2024年東京大学と社会(01)2027年改革

★東京大学の合格実績を競うのはそろそろやめようと言っているのは、実績毎年TOPの開成。私立を追いつけ追い越せと進学重点の使命を都教委から命をうけている日比谷高校の辞退者が18名。何気ない、最近の瞬間的な現象なのか?なにか地殻変動が起きている兆しなのか?わかりませんが、2027年という再び学習指導要領改訂の話が盛り上がる時期にグローバル型のコースを創るというのだから、やはり何かがあるのでしょう。

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(Bingに未来型の赤門と頼んだら、このような門が。。。)

★学校推薦型やグローバルアドミッション型の話題は、尽きないし、東大もその例外ではないということなのでしょうが、実に日本的な改革です。そして、特に新しい試みでもないわけです、ICUはすでに帰国生や留学生で満ちているし、秋入学もSFCが久しい前から実施しています。ただ、大学院1年というイギリス型は、斬新かもしれません。学際的なコースですから、その自由度が次の展開に活きます。

★ともあれ、5年制度や秋入学、留学生をたくさんいれる、修士の大学院は1年。イギリスやアメリカの大学制度をアレンジしているわけですね。かつて長崎の出島から外国の製品や文化を少しずつ日本風にアレンジして取り入れてきた江戸時代のときのような政策です。

★100人なんて言わず、600人くらい受け入れればよいのに。

★いずれにしても、他の国立大学にもさらなる改革を促すことになる社会的インパクトはあるでしょう。

★まあ、それはともかく、東大は日本ぼ文化の拠点の一つであることに変わりはありません。

★ムーンショット目標に真剣に取り組んでいる優秀な学者がいることも確かです。

★東大合格者で湧く日本受験列島化している最終盤の時期に、東大と社会について気づいたことをメモしていきたいと思います。

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2024年3月 6日 (水)

22世紀型教育準備へ(31)国分寺崖線の私立中高 世界が魅力を感じる学校のモデル

★多摩川に沿って崖があります。国分寺崖線と呼ばれています。そこには、かつては武家そしてその後に政財界人が別邸を建てていたところです。崖のスロープを活かした大名庭園があったのです。その跡地に、もちろんもう誰もが忘れていますが、私立学校があります。この大名庭園こそ、19世紀末から20世紀初頭にかけて、世界を席巻した環境にやさしいユートピア都市構想のヒントになっています。ここに未来があるのだと。産業革命以降の劣悪な環境を浄化する桃源郷なのだと。

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★①は国際基督教大学高等学校があります。少し距離はありますが、聖徳学園がありますね。②は晃華学園です。調布にいけば、ドルトン東京学園、千歳烏山には佼成学園女子があります。③は、成城学園です。④はサレジアン国際世田谷、聖ドミニコ学園があります。⑤は五島美術館で、大名庭園がこういうものかがよくわかります。この大名庭園がモデルのイギリスのレッチワースが田園都市で、渋沢栄一の息子と五島慶太翁は、東急電鉄を張り巡らし、田園調布を田園都市にしたのです、東急系列の学校に、東京都市大や等々力があります。男子校のほうはまさに成城学園駅の近くです。⑥は、田園調布雙葉と田園調布学園があります。

★この崖を利用した大名庭園のランドスケープをベースにした私立学校。理念ももちろん自然と社会と精神の循環に通じますね。この循環が分断されると、地政学リスクと気候変動リスク、ハラスメントリスクが脅威になります。

★これを回避する教育を行っている学校が国分寺崖線にはズラリならんでいます。

★ここに未来があるわけです。

★しかしながら、江戸の町は開国後訪れた欧米人が、大名庭園がひしめいている江戸をみて、パラダイスだと感銘したのです。ですから、国分寺崖線に限らず、東京の私立学校は、みな大名庭園の跡地にあるとみなしてもかまわないのです。

★開成などはまさに佐竹の下屋敷です。実は今も中庭には大きな庭石がごろごろしています。麻布もそうですね。三輪田や大妻、女子学院もそうでしょう。清澄庭園を借景にしている中村もそうでしょう。

★暁星や白百合、和洋九段女子もそうでしょう。そもそも東大がそうです。

★かりに大名庭園の跡地でなくても、聖学院や工学院、駒沢女子、聖パウロ学園などは、大名庭園のようなランドスケープやキャンパスになっています。

★国分寺崖線の学校は、そのようなコンセプトががわかりやすいということです。東京の私立学校は、それぞれの建学の精神の無意識の深層にこの庭園発想があることを省察(meditation)してもよいかもしれませんね。

★そうそう、何も東京だけではありません。日本中大名庭園だらけだったのです。五全総という国土計画は、ガーデンアイランド構想をぶち上げていたほどです。大名庭園発想に未来はあります。ですから、そのシミュレーションになっているキャンパスになっている湘南白百合や栄光学園もそうです。鎌倉学園などは言うまでもなく大名庭園を超えた空間です。

★岸田政権のデジタル田園都市構想のルーツはここにあるのですが、政権はその根っこをまるで忘却しているかのようです。起死回生はここにもあるのに。。。まっ、私立学校は前にさっさと進みましょう。

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22世紀型教育準備へ(30)ICU高校 すでに未来の学校 対話の質とそのシステム 日本の教育の時代先取り

★朝日新聞(2024年2月16日)の記事<ICU高校⑤「違和感と居心地の悪さ大切に」中嶌裕一校長に聞く>は保存版です。なぜか?一つは、中嶌校長の人となりが発する言葉がシンプルで柔らかくそれでいて真実を射抜いているからです。もう一つは、在校生の帰国生と一般生の割合が黄金比だということです。

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(自然豊かなキャンパス:写真は同校サイトから)

★たとえば、中嶌校長はこう語っています。「興味や関心に合わせてぱっと生徒が集まり、一区切りがつくと、また散らばっていく。『みんなでいるのも楽しいが、一人でいるのも平気』と感じられる学校でありたいと思っています。どんなに仲良くしていても、完全に他者を理解しきることはできない。生徒には、友達と分かり合う喜びと共に、そういう深い人間理解も持ってもらいたいと願っています」と。

★ものの見方や考え方、感じ方が、アンビバレントだったりパラドキシカルだったりジレンマだったりという状況を解決することが目的ではなく、それを認識したり受け入れたりする平衡感覚がICUの生徒の特長です。もちろん。解決しなければならない社会課題もいっぱいありますが、その課題について静かに対話する過程の持続可能性が解決だったりすることもあるのです。

★わたしたち日本人は、すぐになんでも解決したくなりますね。同調圧力に慣れすぎているし、臭いものには蓋をする的な慣習があります。

★オープンにしたままクラッシュしない程度に維持し続けるタフなプロセスが有効な時もあります。

★帰国生と一般生の割合が、2:1という黄金比。これは2050年までに多くの学校が教育インバウンドを行わざるを得なくなりますから、この点でもICUはロールモデルです。

★どこの学校でも教育インバウンドを行えば、黄金比として輝くかというとそうではありません。そうなるにはものすごい苦労があったと思います。ダイバーシティとは、ともすれば神々の闘争になるわけですから、創造的マネジメントが必要になります。

★たんなんる関係調整マネジメントはうまくいきません。気持ちと気持ちの平衡状態はとても難しいのは周知の事実です。

★そのダイバーシティのすさまじい面を互いにケアし切磋琢磨するコミュニティに好転させているICUに大いに学ぶ時が来るでしょう。

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22世紀型教育準備へ(29)工学院のグローバル教育 広く深い インターコース以外の生徒も身に着ける高度な英語と洞察力

★工学院大学附属中学校高等学校(以降「工学院」)のグローバル教育は一味違う破格さ。国際系の中高は、一般にインターコースとか国際学級とかを設置し、それ以外の生徒はそのコースの学びとは別の学びを行うのが通常です。IB認定校だと、高校ではDPコース以外は普通コースです。工学院の場合も、たしかにコースはわかれていますが、かなりハイレベルの英語力や世界的視野の洞察力を在校生全員が身に着けます。

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★おそらく、どのコースも言語的思考、数学的思考、アート思考など現代化リベラルアーツがベースになっていて、理系に進むか医学部に進むか人文社会系に進むか国際政治経済系に進むかによって、それぞれのコースの特色の違いが最終的にでてくるだけでしょう。基本は文理融合的な叡智が養われています。

★今オーストラリアに3か月留学している高校生たち(9人)は、全員インターコースではないということです。留学生は、みな英語で現地での様子を学校に報告しています。その英語の文章は同校のブログで公開されています。

最新のものを見ると、学校生活をなんでもよいというのではなく、ちゃんと日本との比較をしてクリティカルに見ています。そしてそのうえで、大いに楽しんでいる様子を詳しく書いています。

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★その中で、ホストファミリーと教会に行って、キリスト教について分かち合うディスカッションを行っているようすが記述されています。文化の違いの理解を深めるのに、宗教について学ぶことの重要性に気づいているのは、さすがです。

★工学院では、英語で文学や哲学を学ぶ講座があるし、教務主任の田中歩先生の共感的コミュニケーションは哲学シンキング的な対話がベースです。普通なら気づかないようなところを洞察する生徒が現れるのもそのような教育環境プロデュースがあるからでしょう。

★エントランスホールには、なぜかヨハネの福音の一節「真理は自由にする」が美しい文字で掲げられています。キリスト教の学校ではないのに、なぜ?と思っていたのですが、八王子エリアの神社などをフィールドワークして日本文化を学びつつ、世界の文化とコンパラティブスタディーするとき、宗教は欠かせないということだったのですね。

★教育環境をデザインする先生方の視野が広く深いことに改めて気づきました。

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22世紀型教育準備へ(28)八雲学園のグローバル教育 長崎からグローバルリーダーのビジョン

★この時期八雲学園では、数々の大きな行事が目白押しです。その中で中3のサンタバーバラの海外研修と高2の長崎の修学旅行は特別です。八雲学園のグローバル教育は破格です。学年ごとの英語プロジェクトと全学年の英語プロジェクトがDNAのようにらせん構造になっています。中3のサンタバーバラ研修は、まずは中学の集大成です。そこから9カ月プログラムなどが続いていきます。そのような流れに、イエール大学との交流やランドスクエアとの交流、さらに個人の留学など多様体としてのグローバル教育があります。そして、その核の精神はグローバルリーダーです。

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★ですから、本格的に大学進学準備をはじめる直前のグローバル教育の集大成は、長崎の平和学習となるのです。中1からはじまるグローバル教育の多様な循環それからほぼ毎月実施される文化体験もつなり、最終的にこの長崎の平和学習につながるのです。

★今の高校生が私たちくらいの歳になるとすでに22世紀になっています。めのまえの高校生が、2050年~2101年にかけてグローバル社会を創っていくのです。

★しかし、それはそう簡単ではないでしょう。地政学リスク、気候変動リスク、ハラスメントリスクなどの多様な組み合わせによって様々な複合的クライシスを生み始めていますが、それは解決されずに、今の子供たちに先送りされています。

★このクライシスを解決しながら平和でウェルビーイングな社会を創っていくグローバルリーダーがあらゆる分野で生まれることが望まれています。その未来ビジョンに挑戦しているのが八雲学園です。

★もちろん、一般に気にされている大学進学実績も出ます。東大に行きたいと思えば、その力以上の力がついています。もっとも、海外大学に行きたいと思う生徒の方が多いようです。当然学費の問題もありますから、日本の大学に行ってからという生徒もいるでしょう。

★今後がますます楽しみですね。

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2024年3月 5日 (火)

22世紀型教育準備へ(27)京都が眩しい!立命館大学の動き!日本の政治経済社会を豊かにするアート。美術教育の改革へ!

★大学ジャーナルONLINE(2024年3月5日)の記事「立命館大学、デザイン・アート学部(仮称)設置構想を発表 2026年度開設を目指す」は、日本の政治経済社会に希望の光をあてることになるかもしれません。というのは、初等中等教育学校の美術教育が教科書の域を出ていないため、クリエイティブクラスの才能を生み出すキャリアデザインになっていないのです。しかし、美術大学以外が、「デザイン・アート学部」を設置することによって、アートやデザインで生きていく新しい仕事=クリエイティブクラスを生み出す可能性がでてきたからです。

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★MITやバンドン工科大学などもアートの学部があって、学際的な科学をつなぐアート活動というモダンアートのダイナミズムを生み、社会課題を市民と共有する場を作りながら、アート市場がちゃんとあって、アートで生活をしているクリエイティブクラスが誕生しています。もちろん、まだまだですが、ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、香港、台湾、ジャカルタなどアート資本主義というアートをクリティカルシンキングする学問までうまれているぐらいです。

★森美術館の開館20周年展のようなアート作品ががんがん生まれ、等価交換ではなく贈与的経済が生まれることが日本の政治経済社会を豊かにすることでもあります。それに対症療法的学びから根本的な問題を問う学びにも深まっていけます。

★今まで、芸術家は一握りの天才のものでしたが、今後はそうではなくなるような美術教育の進化を刺激するのが、立命館の動きであると思います。

★立命館大学といい、立命館宇治といい、京都に新たな光を生みつつあります。京都ならではのアート市場を全国に広めるきっかけづくりになってほしいと期待しています。

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22世紀型教育準備へ(27)京都が眩しい!立命館大学の動き!日本の政治経済社会を豊かにするアート。美術教育の改革へ!

★大学ジャーナルONLINE(2024年3月5日)の記事「立命館大学、デザイン・アート学部(仮称)設置構想を発表 2026年度開設を目指す」は、日本の政治経済社会に希望の光をあてることになるかもしれません。というのは、初等中等教育学校の美術教育が教科書の域を出ない、クリエイティブクラスの才能を生み出すキャリアデザインになっていないのですが、美術大学以外が、「デザイン・アート学部」を設置することによって、アートやデザインで生きていく新しい仕事=クリエイティブクラスを生み出す可能性が大だからです。

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★MITやバンドン工科大学などもアートの学部があって、学際的な科学をつなぐアート活動がモダンアートのダイナミズムを生み、社会課題を市民と共有する場を作りながら、アート市場がちゃんとあって、アートで生活をしているクリエイティブクラスが誕生しています。もちろん、まだまだですが、ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、香港、台湾、ジャカルタなどアート資本主義というアートをクリティカルシンキングする学問までうまれているぐらいです。

★森美術館の開館20周年展のようなアート作品ががんがん生まれ、等価交換ではなく贈与的経済が生まれることが日本の政治経済社会を豊かにすることでもあります。

★今まで、芸術家は一握りの天才のものでしたが、今後はそうではなくなるような美術教育の進化を刺激するのが、立命館の動きであると思います。

★立命館大学といい、立命館宇治といい、京都に新たな光を生みつつあります。京都ならではのアート市場を全国に広めるきっかけづくりになってほしいと期待しています。

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2025年変化する中学入試(31)浅野の経営改革のインパクト!

★浅野中学が2025年度入試から、定員を270名から240名にシフトします。かつて栄光にしてもフェリスにしても定員を増やしたということはありますが、人気が高め安定しているにもかかわらず減らすということはものすごい決断です。東京の女子校共立女子は、人気がある中で、やはり定員を減らしました。そして、同時にその経営改革は教育の質をアップさせるベクトルが大きく作用しました。現状も人気校ですから、浅野も同じように今回の経営改革は、今まで以上に生徒1人ひとりの状況に合わせて総合的な力を伸ばしていくでしょう。

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(首都圏模試センターの中学受験サポーター渋田先生と浅野の古梶校長との対話)

★上記の動画の中で渋田先生がインタビューしているように、順次学費を改訂していくということです。これは経営の面と教育の面の両面で社会的インパクトを与える可能性大です。

①急激な少子化と経済的不安定さを見通し、定員を少なくし学費をあげる傾向が社会に広がる契機。

②生成AIの凄まじい進化に応じて、少人数で対話ができる新しいカリキュラムプロデュースが増加する。

➂私立学校全体の教育の質がアップする。

④口頭試問型の大学入試の道を広げる可能性がある。

➄海外の富裕層の生徒が日本の私立学校になだれ込む可能性大。

★もっとほかに影響は出ると思います。私学同士の競争が緩和するけれど、私学と公立のビジョンの違いが明快になる可能性があります。実質的公平性か形式的公平性か。社会全体をみんなで考え創っていく時代がやってきます。

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2024年3月 4日 (月)

2025年変化する中学入試(30)富士見丘 グローバル教育の成果の1つ 大学合格実績が凄まじい

★2月29日現在の富士見丘の大学合格実績が同校サイトで公開されています。卒業生100人の現段段階の実績です。学校推薦型の成果でしょうから、合格数というより進学数の可能性が大です。多数の世界大学ランキング100位以内の海外大学やお茶大などに合格する力もつくことが証明されています。富士見丘の学びは、PBL型のグローバル教育が土台になっています。その根底には建学の精神「忠恕」があります。グローバル教育と儒教的精神の融合が浸透している同校です。自己に対し誠実で他者に対するケアフルな精神。これが富士見丘のグローバル教育の原動力なのです。

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(富士見丘のロビーに忠恕の精神を顕在化していますね)

★同校のサイトでは日本の大学から公開されていますので、ここでは海外の大学から並べてみます。帰国生やグローバルな視野を持っている生徒にとって、冨士見丘が魅力的な要素の一つがこの実績ですね。そして、今年の中学入試も大人気となりました。

Glion Institute of Higher Education (スイス)1名​
The University of Manchester(イギリス)【第32位】​1名
University of Bristol(イギリス)【第65位】​1名
The University of Glasgow(イギリス)【第76位】​1名
University of Birmingham(イギリス)【第84位】 1名​
Temple University(アメリカ)1名
北京大学(中国)1名【第17位】
*【 】内は英国Quacquarelli Symonds(QS) による「2024年版世界大学ランキング」順位

お茶の水女子大学  1名
東京都立大学    1名
早稲田大学     8名
上智大学     13名
国際基督教大学   2名
青山学院大学   10名
学習院大学     1名
中央大学      9名
法政大学      7名
明治大学      4名
立教大学     18名
同志社大学     1名
立命館大学     1名
関西学院大学    1名
國學院大學     1名
成蹊大学      5名
成城大学      6名
獨協大学     11名
明治学院大学    5名
津田塾大学     5名
学習院女子大学   5名
東京女子大学    8名
日本女子大学    7名
東洋大学      3名
武蔵大学      1名
日本大学      1名
東京農業大学    3名
昭和薬科大学    1名
東京薬科大学    1名
星薬科大学     1名
順天堂大学     1名
東京家政大学    1名
東邦大学      1名
大妻女子大学    3名
共立女子大学    6名
実践女子大学    2名
昭和女子大学    2名
白百合女子大学   3名
聖心女子大学    1名
清泉女子大学    4名
洗足学園音楽大学  2名
日本女子体育大学  1名
フェリス女学院大学 3名 

 

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GLICCの教育 シンプルにグローバル思考力を育成 幼児絵画工作クラスも開講

GLICCというシンプルにグローバル思考力を育成して実績を上げている学び舎があります。日本の高校資格は取得できませんが、Aレベルの学びができたり、カナダのBC州の高校卒業資格を取ることもできてしまいます。桜新町教室と広尾教室とロンドン教室で行っていて、スタッフは外国人講師です。代表は、盟友鈴木裕之さんで、彼自身英語が堪能で、中学受験においては、帰国生のための学びと国内生向けには「英語×国語×算数」をベースの学びのカリキュラムプロデュースをしています。高校受験は、帰国生入試をベースに指導、大学受験も帰国生入試、総合型選抜をベースに指導しています。要は英語のエッセイライティングやインタラクションなど5技能を学べます。それから大学受験では小論文と口頭試問、自己推薦文編集など学べます。いずれもダイアローグとかディスカッションがベースです。

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★小学校5年生からは英語が軸になりますが、小3・小4は、イマジネーションやクリエイティビティを言語の中で養う学びが英語と日本語でもベースになります。

★しかし、中高大の探究活動やPBLでは、表現はもっとアーティスティックになります。図のデザインも重要になってきます。言葉というレトリックだけではなくアートの素養も大切にな訳ですが、最近では入試の世界でも重要です。

★そこで、GLICCは、年中・年長時代からグローバルな学びの一環として絵画工作教室を開講しました。自由にそれでいて表現力を身につけるにはスキルやツールも大事です。

★長年ボランティアで絵画教室を行ってきた講師が担当しますが、この講師自身アーティストです。そして不思議なことに慶応幼稚舎などいわゆるお受験で絵画工作が出題される小学校を受験する生徒が口コミで個人指導を受けています。その講師が広尾教室でひっそりですが指導してくれるそうです。

★お受験の絵画工作なのですが、いろんなお受験の塾でも、そこだけは専門家とジョイントするようになっています。

★美大の大学院で研究してきたアーティストの方々は、実はグローバルな視野を持っています。それからグローバルな人脈ですね。アーティストは英語ができるかどうかというより、アート市場は、日本では実は小さいのですが、ニューヨーク、ロンドン、香港、台湾、シンガポールではアート資本主義と言われる程大きな市場なのです。

★最近は、世界のアーティストがコラボしてアート活動をします。しかもアートは日常の中にある社会問題に対するクリティカルなメッセージを込めていますから、世界を変えるインパクトを持っていて、グローバルな世界では、言語としての英語と同様共通言語でもあります。だいいち世界の工学系の大学には、芸術学部がありますからね。

★IB(国際バカロレア)や文化学園大学杉並のDD(ダブルディプロマ)のようなグローバルな学びでは、コンセプチュアルな思考は必須です。コンセプトを生成するには、デザイン思考やアート思考が最近では注目されています。

★非認知能力育成という意味でも幼児・児童期のアート活動は大切ですね。

★世の中、「受験マシーン」というフレーズで受験システムを揶揄する識者もいますが、そうはいっても、すぐにはシステム変更はできていないのが現状です。そのようなシステムという制約の中でもGLICCは知識創造やイマジネーションを豊かにする学びをひたすらやっています。

★システムを変えるには、まずはシステムに内在する内生的技術革新がおそらく先でしょう。プラグマティズムとしての話で、評論家的な発想とは真逆の発想がGLICCの持ち味だと思います。このような塾から生徒が学校に入学してきたら、その学校はラッキーだと思います。偏差値という鎧がない生徒たちですから。それに高校からあるいは大学や大学院から海外大学に行きたいと生徒自身が思っていますから。

❖ちなみに2024年度の実績(2024年3月3日現在:国公立大学はこれから)をGLICCサイトから取り挙げてみます。帰国生は、基本海外にいますから、オンライン授業です。個別最適化の学びなので、多くても5人前後のグループワーク型の授業です。英語ベースやアートという視点があるので、実はリベラルアーツ的な学びです。塾なんですが、学校以上の学びができてしまう不思議な秘密の学び舎でもありますね。

それと、毎週金曜日21:00からGLICC Weekly EDUというライブ配信を鈴木さんは行っていて、私学全体の質の高い教育を学校の先生方との対話を通して発信するというボランティアもしています。登壇される先生方は、学校説明会では話せない(時間的制約がありますから)カジュアルでディープな話をされます。学校教育の本質的な魅力が語られるのです。このような塾は実はないのですが、個別最適化塾というスモールサイズの塾だからということもあるし、何より鈴木裕之さんのグローバル思考の資質能力が抜群だからですね。

◆2024年度 中学入試合格実績
三田国際学園16名(IC 12名、ISC 4名:帰国生入試 9名、英語入試7名)
聖光学院(帰国)1名
攻玉社(国際学級)1名
渋谷教育学園渋谷(帰国)1名
かえつ有明9名(うちHonors4名)
サレジアン国際学園8名
サレジアン国際学園世田谷5名
広尾学園3名(帰国生入試1名、2月入試2名)
広尾小石川学園3名(帰国生入試1名、2月入試2名)
文化学園大学杉並6名
芝国際6名
東京都市大等々力5名
静岡聖光学院2名
茗溪学園2名
立命館宇治1名
大妻中野2名
富士見丘2名
工学院2名
宝仙理数インター1名
開智日本橋3名
日本大学中1名
トキワ松1名
ドルトン東京1名

◆2024年度高校入試合格実績
三田国際学園高校インタークラス
広尾学園小石川高校インター2名
広尾学園高校インター2名

◆2024年度大学入試合格速報
国際基督教大学教養学部(帰国生4月入学)
早稲田大学政治経済学部(グローバル入試) 3名合格
早稲田大学国際教養学部
上智大学経済学部経営学科(海外就学経験者入試)
上智大学国際教養学部
上智大学外国語学部イスパニア語学科
法政大学GIS
成城大学文芸学部ヨーロッパ文化学科 

 

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2024年3月 3日 (日)

2025年変化する中学入試(29)フェリス女学院はやくも入学試験日程を公表

★中学受験 PREX 塾長の渋田隆之先生からお知らせがありました。3月1日、フェリス女学院が、はやくも2025年と2026年の入学入試日程をサイトで公表したということです。

2025年度 2025年2月1日(土)
2026年度 2026年2月1日(日)

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(写真は、フェリス女学院のサイトから)

★プロテスタントの女子校は、今ままでは、2月1日が日曜日となった年には、日曜日の礼拝などの関係で、2月2日に入学試験をシフトするというのが慣行でした。少しずつ少なくなってきましたが、神奈川エリアでは伝統となっていたわけです。

★しかし、2024年度の入試から横浜雙葉が2月1日と2月2日に入試を行ったこともあってか、フェリス女学院はもはや2月2日にシフトする意味はあまりなくなったのかもしれません。

★これによって、かつてはサンデーショックといわれていたことの事情が少し変わってきます。2026年の話ですが、もし女子学院が2月2日にシフトすれば、女子学院は、桜蔭とフェリスの両方の受験生が併願する可能性があるからです。そのことが何を意味するのか?

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★今月20日に行われる「キリスト教学校合同フェア」は、少し様相に変化が起こているかもしれません。その意味を感じ取ることができるかもしれません。

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2024年3月 2日 (土)

22世紀型教育準備へ(26)Future Image Generative Leaders T.S.A.I.とA.K.D.

★大谷翔平さんや内村航平さんがすばらしいパフォーマンスをできるのは、身体と精神とイマジネーションの全体がピタッとい一致したときではないかと語る方々がいます。教師も同じです。身体も精神もタフであることはもちろんですが、教育や生徒の未来のイメージをいまここで実現していくという感じです。

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★このようなFuture Image Generative Leadersがたくさん実はいますが、私立学校では、現場のリーダーで、今ぱっと思いつく教頭や分掌のリーダーや分掌を超えた幾人かの先生方は、T.S.A.Iです。女性の校長は、A.K.D.ですね。

★2024年度の教育はおもしろくなりそうです!

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22世紀型教育準備へ(25)文大杉並 人気過ぎて当たり前になっているハイクオリティ教育 これぞ22世紀型教育の核 DDコースのコアマインドが明かされる

★昨夜、GLICC Weekly EDU 第163回「文化学園大学杉並ービジョン」が開催されました。凄い!期待!希望!感動!未来がここにある!といった雰囲気の対話が展開しています。プラグマティックであり、エッセンシャルな教育の塊がすでに実装されているのです!文大杉並の次世代教育開発部長の染谷先生と染谷先生の仲間の渡辺先生、DDコース卒業生の大学年生のエマさん(現在海外の大学で学びながら文大杉並のSTEAMプロジェクトのメンターもしている。マルチライフシフトの時代の先端をいっています)の三人のお話が面白すぎるし、すでに22世紀型教育の核がそこにあるという本質的なディープなそれでいてカジュアルな軽快な対話がすてきでした。文大杉並が人気爆増である理由は、3人の対話に象徴されています。これは分析的にではなく、大谷翔平がインタビューで答えたように、全体としてパーフェクトということでしょう。

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(このスライドが22世紀型教育の核の生成の泉があります。一体それは何なのかぜひご視聴ください)

★DDコースの学びと文大杉並の学びの相乗効果というか化学反応がパワフルだというのは、いつも感じていましたが、エマさんのDDコースの体験の話、すなわち3つのポイントでDDコースの全体を語る話の中に、その秘密があることが了解できました。

★そして、その3つのポイントが、文大杉並の当たり前の姿だということを染谷先生と渡辺先生がフォローして広げ深めていく対話が実にかっこいいし魅力的です。

★そのポイントについては、ぜひご視聴ください。3人の実際の声とか対話の過程が、問いを捉え返しながら、自分の主観をそこに参加しているメンバーの相互主観に転換しながら上昇気流に乗っていく雰囲気が伝わると思います。dialogueという翻訳は、日本にはいってきたとき最初「問答」だったと言われています。「対話」は見た目の行動や様子ですからイメージしやすいですね。「問答」は内省的なので、見えにくいのです。それゆえ、「対話」が定着したのかもしれないと仮説を立てているのですが、対話の本質を語る時、「問答」とか「問い合い」という話が前面にでてくるとき、具体と抽象の螺旋が回転しはじめ、コンセプトが対話の中から生成されてくる、そういう対話をご視聴することができます。

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