« 2025年変化する中学入試(03)麻布、開成、海城の入試問題 不易流行としての思考力 | トップページ | 2025年変化する中学入試(05)東京私立中学2月1日出願数前年対比順30位 »

2024年2月 2日 (金)

2025年変化する中学入試(04)地政学リスク・気候変動リスク・ハラスメントリスクの困難な時代に東京の私立学校は質的競争/共創をする 2月1日の受験者数は前年対比98.1%。

★2024年は、昨年に引き続き、地政学リスクや気候変動など自然災害のリスク、ハラスメントのリスクやクライシスに直面する幕開けでした。このリスクは、自然と社会と政治の循環にエラーをいくつも造ります。それゆえ、インフレ急上昇、急激な円安、そのため少子化などシステム思考的なループを生み出します。それらが中学入試市場でダイレクトに衝撃を与える現象要因は、経済的混迷と少子化の2要因であることは言うまでもありません。

10man

★そのため、東京の私立学校は、協会の会員になり、また父母の会と一丸となって、市場を安定させるために国や自治体に働きかけ、授業料負担軽減のルールを交渉しています。2024年からは、私立中学校の保護者は年額10万円を支援される制度が変わり、所得制限が撤廃されます。これは私立高校においても同じです。

★こうして市場<共創>の足場を創る努力をしつつ、建学の精神に基づいて独自の先見性・先進性のある中学入試市場を形成しています。それゆえ、私学が主導する<中学市場>は、市場の公平性を持続可能にする一方で、独自の教育の質の競争をしています。

★その質は、結果的に大学進学実績を出します。私立中高一貫だけでみると、90%以上は大学進学という結果になるでしょう。それゆえ、偏差値と大学進学実績のデータで量的競争を形づくる<中学受験市場>とは見分けがつかなくなるときがあります。

★また、<中学受験市場>を創出する一翼を担う首都圏模試センターのように新しい学校選択や学力の指標を創って、<中学入試市場>を応援するセクターもあります。

★こうして、<中学入試市場>は多様な環境の中、多様な団体と切磋琢磨しながら、困難の時代をのり超えるべく、良質の教育を生み出し、質的な競争/共創をしています。

★その結果、東京の2月1日の受験者総数は、前年対比98.1%(日能研倍率速報2月1日現在から)にとどめています。これは、公立中高一貫校の受検者数の減少率より微減です。おそらく、私立学校と公立学校の併願者の減少分に相当するでしょう。

★<中学入試市場>と<中学受験市場>の子どもの未来を創る弁証法は、なかなか均衡を持続可能にしているでしょう。

★出願数の倍率などは見た目には減ったとしても、定員はきちんと確保する私立学校がほとんどだからです。

★しかし、くどいようですが、困難が教育の質をつくり、人気という好条件が教育の質をやはりつくるのです。それぞれの私学は困難な時代もあるし、人気があるときもあります。その弁証法で、それぞれの私学が独自の教育の質を向上させていくのです。

★おそらく2030年には、IBやAレベルに相当する日本流儀のグローバル標準の西洋思想と東洋思想の合流したすばらしい教育が東京から生まれるでしょう。

★東京は世界でも質量ともに評価の高い都市です。そして一つの都市に私立学校が中高合わせると400以上集結している都市は世界にはないのです。しかも学費は世界の私立学校の10分の1から5分の1です。

★そうそう少子化の分はどうするのか?だからグローバル教育に力を入れているのです。地政学的リスクを考えれば質が高く学費が相対的に安い日本の私学に留学させたい外国人がどんどん増えているのですから。そして、この戦略が、子どもたちの多角的な思考力と社会貢献的なアクションを生み出すアドーダンス環境になるのです。

|

« 2025年変化する中学入試(03)麻布、開成、海城の入試問題 不易流行としての思考力 | トップページ | 2025年変化する中学入試(05)東京私立中学2月1日出願数前年対比順30位 »

中学入試」カテゴリの記事