2025年変化する中学入試(20)八雲学園 自己発見入試 新しい入試風景
★本日、八雲学園は「未来発見入試」を実施しています。同校の最終試験です。今年は、あの塾の応援がずらりと並ぶ風物詩はなくなりました。その代わり、学校の多くの先生方が正門前まででてきて、受験生にエールを贈る姿が温かかったですね。今までも学校の先生方はそうしてきたのですが、受験生は塾の先生方のところにまっしぐらでした。しかし、今は受験生と学校の先生方の互いの挨拶から始まります。入試本番から、学校が前面にでてくるのはある意味本来的です。
★公立の小学校は中学入試の準備はしませんから、そこを中学受験塾が補うのですが、それは入試本番前までのことです。もちろん、受験生は最終的に進路先が決まるまでは塾の先生方を大いに頼りにしますが、働き方改革とかハラスメントなどの問題に厳しい時代です。塾としての良好な関係を受験生と健全につくる方向性に進んでいるのは確かですね。
★塾主導の「中学受験市場」と学校主導の「中学入試市場」の良好な関係。新しい価値創造をする学びの場を創る「私立中学校入試市場」とそこにつなぐ架け橋をつくる塾の「中学受験市場」の相互の役割をリスペクトする時代がやってきました。
★1985年までは、塾は合格を請け負い、教育は学校だという役割分担がきっちりありました。それが1986年から始まる中学受験塾市場の圧倒的な拡大によって、塾の中には、キリスト教止めなければ生徒は集まらないよとアドバイス(今なら問題です)するところまででてくる有様でした。偏差値を振り回し、外圧をかけるところもありました。ICTなんてやっていては東大合格はでないよと言うところもありました。
★しかし、今は、塾もグローバルシフトの時代です。私立中学が新しい価値創造をするときに、応援する塾も現れました。偏差値や東大ばかりが学びの目的ではないのだと。パンデミック以降、医学部人気がとまりませんが、今の医学部受験生は、生活安定ももちろん考慮しますが、パンデミック下や戦争状況で命を懸けて働く尊い仕事に使命を抱いてもいます。
★予備校のキャリアガイダンスも大いに変わっているのです。
★基礎学力も、知識重視型から学力の3要素という総合的な基礎学力観に変化しています。
★保護者の価値観も変わっています。保護者自身がグローバル教育を海外大学で経験しているという方も多くなりました。IBやAレベルなどの見識も既に持っている保護者も多くなりました。新しい学び方とか探究の仕方を保護者自身が理解している時代です。
★丁寧な学校の教育の内容について説明を求めるようになりました。
★八雲学園自身、ラウンドスクエアの認定校ですから、その情報を予めリサーチして期待をかけて受験するようにもなっています。20世紀型教育のよさとデメリットを保護者は知っていて、古きよきものを持続しながら新しい21世紀型教育を行っているか鑑識眼も持っています。
★そのような保護者と対話するには、同校の先生方も日々勉強です。そう菅原副校長は語ってくれました。
★また、広報部長でもある横山副校長は、ご自身ラウンドスクエア経由の留学生をホームステイで迎え入れたり、八雲の英語の教師を指導するUCサンタバーバラからの外国人教師もホームステイとして迎え入れています。広報活動もインターナショナルな標準にならなければとそうやって学び続けているのです。頭が下がります。
★今日も、横山副校長は、受験生が試験を受けている間待機している保護者に説明会を行っている最中でしょう。
★この時期、入試問題の解説など説明するということはありますが、何度も足を運んでいる保護者に説明会を丁寧に開くというのは、11日まで大変重要な戦略でもあるのです。
★実は、複数合格したのだけれど、まだ決めていないという家庭もあるのです。最後の決定打が欲しいと、すでに合格している受験生といっしょに説明会に参加したいというケースも増えてきたのです。
★そのぐらい真剣に子供の進路を考えているのが最近の傾向なのかもしれません。偏差値だけで決めていた時代とは大きな違いです。そうであれば、実際の教育の具体的状況を語れるのはその学校の教師であるのは間違いありません。
★教師は真面目ですから、誇大広告はしません。丁寧に現場の真実を語るのです。同時に保護者は教育の一定のレベルを期待してきます。したがって、それが相乗効果になって、学校の先生は毎年アップデートしていくのです。もちろん不易流行としてのアップデートです。
★パンデミック前と後では、中学入試の風景はやはり一変しました。塾は新しい価値創造する学校に合格できるようにそれぞれの学校のアドミッションポリシーに合った合格力を鍛える。学校は保護者の期待に応える新しい価値創造のための学びのクオリティーをアップデートしていく。シンプルな良好な中学受験市場と中学入試市場の相補関係が生まれています。それが2025年もっと明快になるでしょう。
★具体的に、4月以降それが分かる動きが両市場に出てきます。お楽しみに。
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