2025年変化する中学入試(19)武蔵 社会 学際的問い
★2024年度の武蔵の社会は、地理も歴史も公民も統合して、「労働あるいは働き方とは何か?」という大テーマ主義で総合的に問いを投げかけています。そういう意味で傾向は変わらないといえば変わらないのですが、近代資本主義の生んだ課題について考察する骨太の問題という点では、角度といい、深さといい、それでいて、クリティカルシンキングで寸止めして出題というのは、奥深い何かを感じてしまいます。
★ライフシフトの時代についてどう考えるのか、根本的なところをまず押さえようという姿勢が、なんとも武蔵の先生方らしいですね。昨今の中高の進路指導のあり方について、大学入試の形式にどう合わせるかではなく、もっと経済社会や政治社会やそれにかかわる生活者の視点を総合的にとらえたうえで、社会と自分の諸関係の将来を見つめるキャリア教育をとさりげなくメッセージを投げかけているような気がします。
★なにより、縄文時代の矢じりと土器の機能などについて問うところから始まるところが心にくいですね。
★単純に知識問題ですが、自然と縄文社会と生活の循環があるというインスピレーションから、徐々にその分断と富の偏り、多様な格差の問題に発展していく実に学際的な問いの連続に思考力とは何かを改めて考えさせられます。
★それから、説明する際に、事例を一つ選ぶという自由な設定が、入試という制約された枠の中に設定するというのも、いつもながらすてきですね。生徒の感性や知性や体験性などが広がるあるいは深まる自由とか余白の条件をいつも考えている武蔵の先生方の姿勢が反映しています。
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