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2024年2月 6日 (火)

2025年変化する中学入試(22)中学入試の算数の学び方を変えるとおもしろい 私学の数学教師が集う 春の数学祭り!

★中学入試の学びは、何かすさまじいストレスのように感じるような批判を浴びることがあるけれど、それは受験勉強だからです。国語は、論理的思考だけ学ぶのではなくて、目からうろこの考え方や価値観を学べます。小6になったら問いをトレーニングするけれど、それまでは、目からうろこを楽しむ読解やスピーチやドラマや創作などめちゃくちゃ楽しめます。そして自分を見つめる心理学もやれます。

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★それに、中学入試の国語の授業デザインやカリキュラムを考えるとき、私立学校の先生方がどんな研究をされているのか思いを馳せてつくるのが塾予備校の先生方です。国語の場合、大学の研究者が、自分の研究を中学生にもわかるように書きます。詩人や作家も小学生対象に書くこともあります。かつては児童文学でしたが、最近はそうではなくなってきています。その著書から出題されるので、おのずと、塾予備校の先生方は、その著書の理論やコンセプトレンズを学びます。私立学校の先生方は、当然大学入試を研究しているので、そういう理屈を学んでいます。

★言語における大学の理屈=中高の理屈=塾予備校の理屈になっています。それを見破っている塾予備校の先生がいるところは、楽しいですね。

★同様にほかの教科もそうです。社会や理科は、いうまでもないでしょう。

★ところが、算数は、一見数学と違うので、この数学における大学の理屈=中高の理屈≠塾予備校の理屈になりがちなのです。算数は、数学をそれほど知らなくても解けるので、数学を学んでいなくても算数の講師になれます。すべてがそうだとはいえないのですが、その場合、難しい算数の問題が解けると達成感があるとうことになり、その達成感ばかり追うようになります。これについていける受験生は楽しいでしょうが、そうでない場合、苦痛です。

★ところが、麻布や開成や武蔵の問題を見ると、数学における大学の理屈=中高の理屈=中学入試の算数となっているのがわかります。中高の数学の教師は、もちろん、難しい問題が解けて達成感をもつことも大切にしていますが、もっと世の中の事象や現象を数学的モデルに置き換えるとどうなるか、社会課題などと結びつく授業を模索しているし、ICTを活用してグラフや図形の移動や空間シフトなど楽しいツールも活用しています。

★実はこのことに明快に気づいたのは、東京私学教育研究所の理数系教科研究会(数学)委員の先生方の活動を見ていて感じたからです。委員の先生方(名前・支部・学校名)は、次のような先生方です。
委員長 武藤 道郎先生(③芝) 委 員 鈴木 徹先生(⑦大森学園) 赤間 祐也先生(⑩武蔵) 及川 寿幸先生(⑫ドルトン東京学園)

★この委員の先生方と研究所の所員が協力して、「授業づくり合宿−小田原 春の数学祭−実社会と数学の交差点 ~数学的活動を楽しむために~」というテーマで合宿をします。残念ながら東京中高協会245校の会員校の先生方しか参加できないのですが、終わりましたらまたご報告します。

★そして、数学っておもしろいなあと思って、甲陽学院の数学の古賀真輝先生が執筆した「数学の世界地図」を眺めたら(読むことは私にはできませんでした(汗))、数学における大学の世界=中高の数学=中学入試の算数=宇宙というのがつながったのです。

★古賀先生は開成出身ですから、開成の文化遺伝子も有しているでしょうから、ますますこのつながりが濃く見えてきました。

★しかし、このようなつながりがなかなか見えないのが、中学入試の算数ですね。

★聖学院の「思考力入試」は数学の先生もたくさんかかわっています。トポロジーを活用したりレゴとデータを変換したり、写真と言語活動を置き換えたりして結構数学的思考が使われているのは、やはりこんなおもしろいつながりを暗黙知としてもっているからでしょう。

★中学入試を学校の先生の眼差しから見て考えてみると、実はこんなおもしろいことに気づいてほしいなというメッセージが聞こえてくるかもしれません。

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