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2024年2月10日 (土)

2025年変化する中学入試(27)学びの規制緩和 だから建学の精神が注目される!

★いよいよ学びの規制緩和が始まった。こども基本法の実現のために、いろいろな局面で規制があった子供たちの学びの機会を解放する動き!です。大いに歓迎すべきであるけれど、スーパーリバタリアンになるのは混とんを招きかねない。そこで、教育においては法実証主義的なリーガルスキルではなく、自然法論的なリーガルマインドが求めらられる時代になります。法実証主義だと、規制しすぎる場合もあるし、法律規定がないからその領域は無法地帯になるということもあります。

★自然法論だと、あくまで教育の領域の話ですが、憲法や教育基本法、こども基本法など価値観を生徒1人ひとりが内面の基準として社会が幸せになるための自己活動が行われます。でも、理想的過ぎます。そこで、私学ならではの建学の精神です。入学時に、この魂を尊重するという契約を交わして入るわけで、ルソー的な社会契約観なのです。私学はもともと啓蒙主義的価値観ですから。

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★学びの規制緩和の動きとは何かというと、

①経済的制約からの解放

②偏差値基準からの解放

➂学びの規制からの解放

★ということでしょうか。①は、高校での所得制限を撤廃して実質無償化の方向に進むということが1つそうです。②は、渋谷区の小中学校のように、従来の教科授業は午前だけで、午後はみな探究にするといった政策や、高校の36単位は柔軟に対応できるとか、特例校はカリキュラムをかなり自由にできるということなどでしょう。従来の授業は、その背景にどうしても偏差値基準で評価してしまう暗黙の規制の存在が実態でしたから。➂は、海外からの学校が参入してきたり、外国籍の生徒が留学してきたりして、従来の学びのルーチンを解放していくということなどが例です。対話やディスカッションが学びのメインになってくる。実はこれは基本的人権の土台です。

★今年の中学入試も、帰国生入試と国際生入試の区別がきっちりすることで、国際生入試の機会が増えました。英語が得意な生徒に中学入試の受験の機会を増やしたという学びの解放がありました。また適性検査型や思考力入試などの受験生が増えたということは、偏差値で測れない新しい学力観が受験市場で支持を得てきたということで、偏差値基準からの解放という動きがでてきています。

★このような動きに対し、反動的な動きもあるし、従来の学力観から心配する声もあります。

★しかし、社会は変動します。変動を良い方向に持っていくには、ポジティブに建学の精神のような自然法論的なルールと倫理を実践しながら、知識から智慧へ、ハードパワーからソフトパワーへという動きに挑戦せざるを得ないでしょう。

★大事なことは、解放の行方をモニタリングするリフレクションのシステムです。政治的権力や学問的あるいは教育的権威に頼るだけではなく、こども基本法などにのっとり、生徒自身が教育政策をモニタリングするシステムを創ることですね。

★今の子どもたちは22世紀を自分たちの手で創らねばなりません。来年昭和100年です。社会が変わることに心配している人は、だれのために心配しているのかを自己モニタリングしたほうがよいでしょう。

★また、そのような心配をされている方は、自分自身が西田幾多郎のように考え抜いたか、戸坂潤のように権力に抵抗したか、田辺元のように新しい発想を持ち込めたか、田中美知太郎のように、良き社会の基盤を考え抜いたか、自問自答してみてください。もしそうでなければ、彼ら以上に考え行動しているに現代の西田幾多郎である落合陽一氏、現代の戸坂潤である斉藤幸平氏、現代の田辺元である古賀真輝氏、現代の田中美知太郎である納富信留氏のような若き俊英のみなさんの考え方をリスペクトしてください。

★彼らは、今の動きを促進しつつもきちんとモニタリングして、22世紀の社会を開こうとしているのです。もはや図のような方向性に向かうことをとめられはしないのです。もしとめようとすると、それは破壊行為になるでしょう。平和か破壊か?もう選ぶ方向性は平和ですよね。しかし、この覚悟は並大抵ではありません。実際破壊的行為を暴走させている現在の国々があるからです。私たちは、どちらの道を歩みますかということです。

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