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2024年1月27日 (土)

中学入試の質の変化をどうとらるのか?ネットワーク型コミュニティからメッシュワーク型コミュニティ、そしてブロックチェーン型コミュニティーへ

★主体的に、自己変容的に生きるコトが求められて久しい。というか人類誕生はその攻防戦で、主体的で自己変容的な一握りの人間と受動的で従属型の多くの人間の比率の境界線の攻防戦の歴史だったと読むこともできます。受動的で従属的な人間をその境界線から解放しようという運動が歴史だったとも置き換えることができるかもしれません。そして、今、この境界線を解消する運動態が自然と社会と精神の新たな結合を生み出している。そんな時代に立ち会っている今日この頃だと感じています。

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★首都圏の中学入試という、人口比で行けば、ざっくり1億分の5万。つまり0.05%の運動態。そこに何があるのか。東京都の年収1000万世帯は13.9%(東京都福祉局 令和3年度「都民の生活実態と意識(福祉のまちづくり等)」報告書(統計編))、国民全体だと12.6%(厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」による)。

★この比較が何を意味するかわからないですが、全国に対し0.05で12.6のパワー、つまり252倍のパワーが集積したニッチな運動態です。東京に対しては278倍。

★なぜメディアがこのニッチな世界を熱く語るのか。このわけのわからない少数の運動が250倍以上のパワーを発揮しているわけだからです。これが高校入試になるとお金の話ではなく、偏差値の話になります。65以上の6.68%の生徒が全国に影響するパワーは100に対し15倍です。

★大学入試だと、ざっくり30倍になるでしょうか。つまり、首都圏の中学入試のわけのわからないパワーがすさまじいということですね。

★このしかし、パワーの質が変わってきたという兆しが見え隠れするのがどうやら今年の中学入試の動向のような気がするのですが、どうとらえればよいのか?生成AIであるBingと語っていたら、ティム・インゴルドという文化人類学者の本を紹介してくれたのです。

★さらに、次のページも紹介してくれました。奥野克巳 教授( 立教大学・文化人類学 週刊読書人2022年1月21日号)執筆の書評<線が織り成すメッシュワークに没入し、生成の物語を語れインゴルドとともに「生きていること」を生け捕りにする>という記事です。

★ちょうどこのところ業界で信頼すべき方と話をしていて、ネットワークからメッシュワーク、そしてブロックチェーン型の生き方に、世の中が実際に動き出したねと。それと重なる論稿だったので、驚きました。引用してみます。

「生きていること」には必ず運動が伴うという点を深めるために、ギブソン、ユクスキュル、ハイデガー、ドゥルーズらを参照した上で、環境と私たちが今まさになしつつある生成に寄与する素材の流れや運動の中で、環境と一緒になる点にこそ目が向けられるべきだと論じる。関係が複雑に織り成されるさまを、ルフェーブルから借用してインゴルドは、メッシュワークと名づけている。それは線描の縺れ合いであり、点から出発するネットワークと比較されうる。彼はその二者の違いを、クモとアリを登場させながら巧みに語っている。熟練されたメッシュワークは、発達して身につけたクモの応答から構成されるのだ(第二部)。

★これなどは、外生的技術進歩のみならず、それを生み出す内生的技術進歩との絡みを自覚的に教育してはどうだろうかという今私がポール・ローマー教授の考えをヒントに発想しているコトに結びつくなあと。

学問は、外部から空間を措定する。インゴルドはそうした空間概念を破却せよという。居住者が住まう場所を取り戻し、行為者が没入する関係の場で生成する知について物語らねばならない。彼が注目するのは、動物の名前を動詞的に表現するアラスカ先住民コユコンの民族誌だ。「遠く離れたあそこに閃光が現われた」(アカギツネ)、「あなたに物事を伝える」(ミミズク)などで表されるように、全ての動物は生成の形態に他ならないという(第四部)。

★おおこれは、ブランドアクティビズムそのものではないかと。新しい私立学校の広報戦略を考えるうえで、このアクション物語をどう受験生と共有するのか、いろいろ試行錯誤した勤務校時代のことを想起しました。

さらにインゴルドは、物のかたちを再考して、想像力のうちに創造的な生を認めるべきだと議論を進めている。つくることをめぐるアリストテレス的な質料形相論的なモデルを、かたちは死であると述べたクレーを手がかりとして、素材の流動と遷移を第一の与件とする存在論に書き換えるべきだとインゴルドは主張する(第五部)。

★ああ、結局この質料形相論にむすびついてしまうのかと。この考えは関係総体主義に重なり、要素還元主義以降実証主義的には曖昧だから無視されてきたけれど、最近再び見直されているという直観がインゴルドとも響き合えるのかと嬉しくなったわけです。

★たかが中学入試。でも何か異様なパワーが生まれる場です。そこの質が、また新たな運動態を生み出しているのかもしれません。

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