PISA2022結果に対するメディアの反応 メタ認知でモニタリングを
★PISA22の結果の発表があり、各メディアでそれぞれの角度から語っています。参考にはなりますが、国立教育政策研究所の全体的な報告がまとまるのは、まだこれからですから、少なくとも同研究所の公表している「OECD生徒の学習到達度調査 PISA2022のポイント」の全体を見ながら、考えるのがよいですね。
★たとえば、毎日新聞 2023/12/5 19:50(最終更新 12/5 20:58) の<数学・科学、好成績でも自信がない 「将来の理系離れ」潜む一因>というタイトルの記事がありますが、ここから、日本の子供は、自己効力感や自己肯定感が低いと一足飛びに理解するのは危険です。
★それにたとえば、シンガポールと日本を比較すること自体、人口のサイズからみてやはり無理があるでしょう。日本の中学生人口のおよそ20分の1の人口のシンガポールの中学生と比較しても、あまりにも具体的状況も文化も価値観も違いすぎます。もちろん、同記事の次のリード文にあるように今後日本の教育の改善点などをみつめるヒントにはなります。
「経済協力開発機構(OECD)の2022年の国際学習到達度調査(PISA)で、日本の読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野は順位、得点のいずれも上昇した。義務教育段階の学力の高さが示されたが、好成績からは見えにくい、日本の教育の課題も横たわっている。」
★しかし、改善点が見えればポジティブに対処すればよいだけです。それに上記の図のような結果もあります。数学得点がOECD平均を上回り、教育の社会経済的公正性(Fairness)がOECD平均を上回るとあります。つまり、相対的に格差が小さく数学得点が高いのが日本であり、シンガポールのように得点は高いが、公平性は低いつまり格差があるというのとは違います。
★もしかしたら、同記事がいう「自信」は競争主義的な雰囲気にはちょっと興味がないという控えめの気持ちがあるのかもしれません。だとしたら、それはそれでちょっとおもしろいとなります。
★いずれにしてもそれぞれがメタ認知でモニタリングすることが大切なのは、今更言うまでもないでしょう。ですから、OECD・PISAの結果がこうなのだから学校はこうしなくてはならないなどというのはヤバいです。あまりに具体的状況が違い、その違いが細かくデータに反映することはないからです。
★では、なんのために、PISAはあるのか?教育の質とは何か?社会課題の中で、人間はどうすべきか?そのような思考をめぐらしアクションプランをたてるときのトリガーとして大いに役立つでしょう。でも、改革のための決定的なエビデンスではないでしょう。
★要するに、PISAの結果がこうだから私の改革は正しい、それについてこれない教師は生き残れないと排除を前面に言い立てるような人権を侵害する恐れのある危うい言説に注意しようということです。
★国立教育政策研究所の先生方も、いろいろな解釈はあってよいけれど、短絡的にならないように多角的にみて判断してほしいと思っているでしょう。
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