« 2024年中学入試(03)昭和女子大学附属中学校・高等学校 どこよりも進化する生徒プロンプトエンジニア | トップページ | 2024年中学入試(05)小泉信三賞が認める富士見丘の高校生活 »

2023年12月 3日 (日)

2024年中学入試(04)サレジアン国際学園世田谷 画期的な「国際学園」

★サレジアン国際学園世田谷の教頭 小西恒先生、教務部長 村井純先生、インターナショナル推進部長 上田かおり先生からZoom上でお話をお聴きすることができました。その時の模様は、<GLICC Weekly EDU 第153回「サレジアン国際学園世田谷ー世界市民力の育成」>で視聴できます。ぜひご覧ください。

Photo_20231203094501

★今回はっきりしたことは、「国際学園」というのは、私立公立問わず日本中にいっぱいあります。その中で、最も先鋭的なそして海外大学進学でも相当な実績を出している「三田国際学園」に最も近い教育を行っているのがサレジアン国際学園世田谷だということです。

★ですから、三田国際と共通した教育の質や効果を生み出すことは間違いありません。しかし、「サレジアン」ですから創設者ドン・ボスコの精神を中心としたカトリック精神がベースです。

★三田国際は、日本の私学人が創設していますから、両校の生徒のメンタルモデルに影響する価値観が違います。

★サンデル教授なら、三田国際を設立した私学人はJ.S.ミルやハイエクに代表されるリバタリアニズム的民主主義的メンタルモデルかもしれない。一方サレジアンは、利他主義的民主主義のメンタルモノデル、つまり共同体主義(コミュニタリアニズム)的なメンタルモデルの影響を生徒は受けるだろうと。

★日本のミッションスクールではない多くの私立学校は、その創設者をたどるとどちらかというとヨーロッパ啓蒙主義か英米功利主義的な理念に基づいています。

★1985年以降中学受験がどんどん拡大してきたその時代のエンジンは新自由主義経済が驀進していましたから、ヨーロッパ啓蒙主義や英米功利主義は、そのデメリットを問題解決しながら、中学受験の流れを創りました。ミッションスクールの中でも、プロテスタントスクールは、もともとマックス・ウェバ―の「プロテスタンティズムの倫理と資本主義」にあるように、このような経済の流れに親和性があったと思います。

★ところが、カトリック学校は、利他主義的ですから新自由主義的な貧困格差を生み出す流れに控えめでした。それがゆえに、徐々に人気が失われていきました。そのために、そこを脱するために幾つかのカトリック学校は、東大にたくさんいれることによって、それを盾にカトリック教育を持続可能にしようとしました。しかし、東大の定員は3100人くらいなので、そこに合格させる教育にはおのずと限界があります。カトリック学校の中で人気格差がついてしまったのです。

★しかしながら、2011年の3・11以降、この新自由主義的経済が貧困格差をあまりに生み出してしまったことに私たちは気づきました。そしてそのような流れが徐々に拡大してきたわけです。今では、あの開成でさえも東大の合格者数で学校を評価する時代は終焉したのだと語るようになってきました。つまり、その背景にはSDGsを中心にOne earthの感覚がグローバルリーダーの価値観になってきたということでしょう。1つの地球・1つの自然・1つの人類・・・。なんと利他主義的社会への転換がおきています。

★ここにサレジアン国際世田谷の誕生なのです。であれば、すべてのカトリック学校にチャンスがあるのではと思われるかもしれません。しかし、そうはいかないのです。マインドだけでは世の中の問題を解決できません。スキルが必要です。そのスキルは、しかもAI時代にあっては、そのAIのスキルを凌駕するメタスキルとメタ思考力が必要です。

★つまり、このメタスキルやメタ思考力を育成する教育が21世紀型教育です。

★サレジアン国際学園はカトリック精神と21世紀型教育を結合した画期的な「国際学園」なのです。

★教養や見識のある方は、ICT業界で、欧米はAI時代を黙示録的方向性で問題解決しようとしているし日本は鉄腕アトム的方向性で問題解決しようとしていると語ります。AIに対するルールメーカーは欧米の知であり、AIを実用的なものづくりに転換できるのが日本の知だと。

★これは欧米はソフトパワーで日本はハードパワーだと置き換えられます。これでは、また20世紀日本の社会的枠組みをAI道具で引きずるだけです。ソフトパワーもハードパワーも統合できなければなりません。日本が文系と理系に分けてしまうのは、ハードパワー主義だからです。ソフトパワーは文理融合のクリエイティビティが必要ですが、クリエイティビティはモノにならなければ実装できません。ですからソフトパワーvsハードパワーの構図では格差を生まれてしまいます。

★ここには大きな課題が隠れています。2030年になるとこのソフトパワーとハードパワーの統合価値が表に出てくるでしょう。バックキャストするとサレジアン国際学園世田谷の価値が世界からも注目されていることでしょう。

★21世紀型教育を仲間と一緒に共創した私としては、今後のサレジアン国際学園世田谷の進化をワクワクしながら注視していきたいと思います。

|

« 2024年中学入試(03)昭和女子大学附属中学校・高等学校 どこよりも進化する生徒プロンプトエンジニア | トップページ | 2024年中学入試(05)小泉信三賞が認める富士見丘の高校生活 »

創造的才能」カテゴリの記事

21世紀型教育」カテゴリの記事

中学入試」カテゴリの記事

創造的対話」カテゴリの記事

グローバル教育3.0」カテゴリの記事

PBL」カテゴリの記事