2024年中学入試(31)聖ドミニコ学園❶教師と生徒が共創する教育研究誌第1号を発刊!
★昨日仕事納め。協会の仲間と戸締りをして出ようとしたちょうどそのとき、郵便物が届きました。聖ドミニコ学園の教育研究チーム(土居先生・越智先生・太刀川先生)から贈られたものです。すぐに開封したらなんと「聖ドミニコ学園研究紀要第1号」でした。年末最高の贈り物です。さっと目を通しました。多くの先生方が共に研究した証しがそこにはあり、オオー!ヤッタネと思いながら、最後の論文を読み終えたとき、大きな感動が内側から膨らんできたのです。
★思わず同学園の教務直通電話にかけましたが、12月28日年末学校が稼働しているはずがありません。しかし、この感動を共有したいと思い、山崎理事長に電話をかけました。するとつながり、感動を分かち合うことができたのですが、理事長は年末忙しい時期なので、詳しくは語れず、私なりのこの論文の新しい幾つかの意義を矢継ぎ早に語ったため、理事長がそんな火を噴くように話されては電話ではわからないから、年明けに会って話そうではないかということになりました。
★もう20年以上前のことです。聖ドミニコ学園が新たに教育出動しようとしていた時期です。新築校舎が始まっていたころだったと思います。当時のスール武田理事長と小学校の校長トマシナ様、中高校長天辰先生の頃です。今の理事長山崎先生が、学園改革の若き旗手だった時代です。「ぶどうの木」という学園の教師、卒業生、保護者が月に1度集まって聖ドミニコの精神や生き様を分かち合う会を開始しました。学園の理念をまずは学園全体及び関係者と共有する会です。
★そしてそこから「研究所」のような学園全体が学内の人的資本の向上と学外へ新しい教育の質感を伝える活動に発展するようにしようとよく集まって対話をしていました。ドミニコにおける「対話」の意味から語り合うようになったのです。
★ドミニコ会における「対話」には、欧米の哲学や人文科学、政治経済学の思想的文化的バックボーンになっている筋金入りの対話マインドとスキルの蓄積があります。
★聖ドミニコ自身は、本を書いていないので、その生きざまそのものが語り継がれてきています。一方ハイデッガーをはじめ多くの哲学者が挑戦したトマス・アクイナスは、その聖ドミニコのマインドとスキルを、文章化し、ドミニコ会士がパリ大学における教授認定ディベートを打ち勝って席を獲得するために、今でいう膨大なディベートマニュアル「神学大全」を書き著わしました。
★後にイノベーションという言葉を定着させたシュンペーターが、トマス・アクィナスの発想に、倫理的資本主義の萌芽を指摘するほど、現代に影響を与える包括的な知恵がそこには蓄積されています。
★その聖ドミニコやトマス・アクィナスの対話のマインドとスキルを、いかに現代化して学園で共有するかという対話をしていた時代です。私はそのとき民間教育研究所の所長をやっていてかかわる機会を得ていたのですが、私は偏差値や大学合格実績とは違う新しい指標を作りたかった(その1つが今の「思考コード」です。最近は「思考動コード」と仲間とアップデートしています)ので、その当時は、世の中がそもそも時熟はしていなかったので、学園もそう簡単に動けません。身勝手にも、そのような上昇気流がないならひとまず離脱しますと。
★当時の若き俊英山崎先生に引き止められもましたが、いったん去りました。その後、ドミニコ学園は、大学進学実績が見る見る間に上がり、生徒募集も順調になったので、ほっとしていました。
★しかし、新しい教育において、「対話」が重視されるようになったものの、「対話」の人間工学や地球工学の側面からはまだまだ発展途上の現在にあって、そのスーパーモデルになるはずの聖ドミニコ学園の本質的な対話のマインドとスキルは、その後どうなったのだろうとふと思っていた今日この頃でした。
★すると今年の11月1日に、私学振興全国大会が、文京シビックホールであったときのことです。終了後、聖ドミニコ学園の社会科教諭であり、広報担当の土居嗣和先生が声をかけてくれたのです。そして、紀要をまとめているので、出来たあかつきにはお送りしますと。
★それが同冊子だったのです。約束を覚えていてくれたことに感動し、冊子を開くと学内の先生方が共創教育を行っていることに感動し、在校生の高校生が本格的で全く新しい視点でインパクトのある論文を書いているのに感動しました。もちろん、指導教官と生徒の共創過程の対話が見え隠れしていることが明らかで、「ぶどうの木」の種が20年以上の月日を経て花開いたのかと。私は途中離脱していますから、そこに何ら寄与していませんが、理事長山崎先生にとっては感慨深いことだろうと思い、電話した次第です。(つづく)
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