2024年私立学校:22世紀型教育レディネス➋21世紀型教育のエントロピー増大の次
★日本における21世紀型教育は、学校における教師中心主義や無意識におこる同調圧力的クラス運営を乗り越えるために、2011年に登場しました。教師による無意識の極めて恣意的な道徳基準によってクラスはコントロールされていたのですが、20世紀末は軍事力から経済力に価値観がパワーシフトしたために、20世紀型教育のエントロピーは増大していて、すでに学級崩壊や不登校などが当たり前の状態になっていました。
★2011年3月11日の東日本大震災で起きた大惨事をめぐる政府や見識者によるコントロールの混乱、さらにフクシマという今もまだ未解決の予測不能な災害の可視化が象徴化されて、欲望の資本主義の考え方や価値観を変える転換がいろいろな領域で起こりました。SDGsもその一つですね。教育もその例外ではありません。欲望の資本主義の戦士を優勝劣敗主義で育成してきた20世紀型教育は転換されなくてはというのが、すぐには動けない政府に対し、私立学校から起こったのです。
(22世紀型教育初期段階のイメージ:bing作成)
★しかしながら、偏差値主義とか大学合格実績主義という20世紀型教育の優勝劣敗主義という尻尾が未だに残っていて、まだまだ20世紀型教育は完全に払しょくできていませんが、昭和の元号が今も続いていたら、2025年は昭和100年です。20世紀型教育の原動力だった昭和的価値観優勝劣敗主義という影の部分(昭和にも光の部分は当然あるのです。それは大切に継承)は、そろそろ払拭されてもよい時期でしょう。
★実際に21世紀型教育を行う学校も増えてきました。少なくとも1人1台ICTを活用する時代になったので、外生的技術進歩は広まっています。そして、ICTを活用することで、20世紀の経済状態を活性化させてハーバード大学のロバート・カッツ教授のカッツモデルは、より浸透していきました。
(Bing作成:初期21世紀型教育のクラス風景。多くの学校がここまでは来ている)
★このカッツモデルを浸透させることによって、20世紀ではなかなか覇者になれなかった学校が、V字回復をするよういになりました。その頂点に立った学校は本物の21世紀型教育に到達したといわれています。しかし、その原動力がカッツモデルとその一つコンセプチュアルスキルを鍛えるMECEというロジカルシンキングを中心に据えたコンサル理論で回ったいる限り、22世紀型教育には飛べないのです。完全無敵の21世紀型教育はできても、22世紀型教育にバトンを渡すことはできません。
★本質的21世紀型教育(本物21世紀型教育とは共通点もありますが以下のようにミッションが違います)とは、20世紀型教育の階層構造的システムによる生徒1人ひとりの才能が抑えられ、一部の生徒による20世紀が求めた知の一部の領域だけで回る悪循環システムをクリエイティブハックするために生まれました。同時に、カッツモデルの効率の良いツリー構造発想を乗り越え、新しい発想様式をクリエイティブクラス(第4次産業クラス)によって大転換する22世紀型教育へシフトするのがミッションです。
(Bing作成:本物21世紀型教育のイメージ。まだ3校くらいしかないですね)
★そして、それが生成AIによって、大きく促進される予感が、2023年もたらされたのです。生成AIは、まだツリー構造を横断的に確率論的に飛び回るセミラティス構造と親和性があるだけで、今のところ、完全にセミラティス構造にシフトしているわけではないのです。というよりも、セミラティス構造はツリー構造が前提なので、一足飛びには22世紀型教育完全態には飛べないでしょう。もちろん、今のところです。
★したがって、本物21世紀型教育にこだわっていると、21世紀型教育はエントロピーが増大し、22世紀型教育から見ると、21世紀型教育から20世紀型教育を観たときに感じる古さを感じてしまいます。古いというのは、不易流行が行われていないということです。不易流行とは寺田寅彦流にいうと、新しさは本質を見失う時古くなり、不易という本質を問い続ける作業とイノベーションがマッチした時に、エントロピーの増大を乗り超える次の不易流行を生むというダイアローグ(ギリシャ哲学以降の思考方法)が成立します。
★カッツモデルは、ツリー構造の効率性をベースにしているので、そのダイアローグが無限につづくわけではないのです。しかしながら、もしカッツモデルが、リゾーム思考やシステム思考、メッシュワーク思考を、現在のGAEAMなどのIT産業が模索している人材開発のように、取り入れるなら、22世紀型教育が生まれてくる可能性大なのです。
★このような22世紀型教育に対する考えは、実はすでに20世紀に生まれています。いや遠くギリシャやそのまえから存在する東洋思想にすでにあります。その不易の部分をAIというイノベーションと結びつけようというだけのことなのです。
★ここまでの私の話がわからないというのは、日本では70%弱、アメリカでは16%弱であると統計上すでに明らかになっています。こんなことを調べている情報処理推進機構があるなんて!同機構が発表した「DX白書2023」が参考になりますね。
★とはいえ、日本でも、すでに30%の経営陣は、このような話をコンサルタント、最近では哲学シンキングのコンサルタントと考え始めています。
★ロジカルシンキングやMECEは、生成AIの得意とすることなので、今後は優れた高度なヒューマンスキルがICT業界では見直されています。これぞ22世紀型教育の真骨頂ですが、2024年以降のヒューマンスキルは、22世紀に向けて外生的技術進歩と内生的技術進歩がDNAのように螺旋構造になっていきます。
★明治維新の原動力になり2011年3月11日以降の原動力になったフランス思想が、2024年以降の原動力に再びなるということですね。しかし、明治維新も3・11も数年で20世紀型にとってかわられ、21世紀型とせめぎあってきました。今度はそうならないように様々な多次元の発想を恒常的に新結合しながら進める外生的技術進歩と内生的技術進歩の相乗効果を生成し続ける必要があります。優勝劣敗主義という反人権的動きには結界を張っておくリスクマネジメントが必要ですね。
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