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2023年12月

2023年12月31日 (日)

2024年私立学校:22世紀型教育レディネス➋21世紀型教育のエントロピー増大の次

★日本における21世紀型教育は、学校における教師中心主義や無意識におこる同調圧力的クラス運営を乗り越えるために、2011年に登場しました。教師による無意識の極めて恣意的な道徳基準によってクラスはコントロールされていたのですが、20世紀末は軍事力から経済力に価値観がパワーシフトしたために、20世紀型教育のエントロピーは増大していて、すでに学級崩壊や不登校などが当たり前の状態になっていました。

★2011年3月11日の東日本大震災で起きた大惨事をめぐる政府や見識者によるコントロールの混乱、さらにフクシマという今もまだ未解決の予測不能な災害の可視化が象徴化されて、欲望の資本主義の考え方や価値観を変える転換がいろいろな領域で起こりました。SDGsもその一つですね。教育もその例外ではありません。欲望の資本主義の戦士を優勝劣敗主義で育成してきた20世紀型教育は転換されなくてはというのが、すぐには動けない政府に対し、私立学校から起こったのです。

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(22世紀型教育初期段階のイメージ:bing作成)

★しかしながら、偏差値主義とか大学合格実績主義という20世紀型教育の優勝劣敗主義という尻尾が未だに残っていて、まだまだ20世紀型教育は完全に払しょくできていませんが、昭和の元号が今も続いていたら、2025年は昭和100年です。20世紀型教育の原動力だった昭和的価値観優勝劣敗主義という影の部分(昭和にも光の部分は当然あるのです。それは大切に継承)は、そろそろ払拭されてもよい時期でしょう。

★実際に21世紀型教育を行う学校も増えてきました。少なくとも1人1台ICTを活用する時代になったので、外生的技術進歩は広まっています。そして、ICTを活用することで、20世紀の経済状態を活性化させてハーバード大学のロバート・カッツ教授のカッツモデルは、より浸透していきました。

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(Bing作成:初期21世紀型教育のクラス風景。多くの学校がここまでは来ている)

★このカッツモデルを浸透させることによって、20世紀ではなかなか覇者になれなかった学校が、V字回復をするよういになりました。その頂点に立った学校は本物の21世紀型教育に到達したといわれています。しかし、その原動力がカッツモデルとその一つコンセプチュアルスキルを鍛えるMECEというロジカルシンキングを中心に据えたコンサル理論で回ったいる限り、22世紀型教育には飛べないのです。完全無敵の21世紀型教育はできても、22世紀型教育にバトンを渡すことはできません。

★本質的21世紀型教育(本物21世紀型教育とは共通点もありますが以下のようにミッションが違います)とは、20世紀型教育の階層構造的システムによる生徒1人ひとりの才能が抑えられ、一部の生徒による20世紀が求めた知の一部の領域だけで回る悪循環システムをクリエイティブハックするために生まれました。同時に、カッツモデルの効率の良いツリー構造発想を乗り越え、新しい発想様式をクリエイティブクラス(第4次産業クラス)によって大転換する22世紀型教育へシフトするのがミッションです。

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(Bing作成:本物21世紀型教育のイメージ。まだ3校くらいしかないですね)

★そして、それが生成AIによって、大きく促進される予感が、2023年もたらされたのです。生成AIは、まだツリー構造を横断的に確率論的に飛び回るセミラティス構造と親和性があるだけで、今のところ、完全にセミラティス構造にシフトしているわけではないのです。というよりも、セミラティス構造はツリー構造が前提なので、一足飛びには22世紀型教育完全態には飛べないでしょう。もちろん、今のところです。

★したがって、本物21世紀型教育にこだわっていると、21世紀型教育はエントロピーが増大し、22世紀型教育から見ると、21世紀型教育から20世紀型教育を観たときに感じる古さを感じてしまいます。古いというのは、不易流行が行われていないということです。不易流行とは寺田寅彦流にいうと、新しさは本質を見失う時古くなり、不易という本質を問い続ける作業とイノベーションがマッチした時に、エントロピーの増大を乗り超える次の不易流行を生むというダイアローグ(ギリシャ哲学以降の思考方法)が成立します。

★カッツモデルは、ツリー構造の効率性をベースにしているので、そのダイアローグが無限につづくわけではないのです。しかしながら、もしカッツモデルが、リゾーム思考やシステム思考、メッシュワーク思考を、現在のGAEAMなどのIT産業が模索している人材開発のように、取り入れるなら、22世紀型教育が生まれてくる可能性大なのです。

★このような22世紀型教育に対する考えは、実はすでに20世紀に生まれています。いや遠くギリシャやそのまえから存在する東洋思想にすでにあります。その不易の部分をAIというイノベーションと結びつけようというだけのことなのです。

★ここまでの私の話がわからないというのは、日本では70%弱、アメリカでは16%弱であると統計上すでに明らかになっています。こんなことを調べている情報処理推進機構があるなんて!同機構が発表した「DX白書2023」が参考になりますね。

★とはいえ、日本でも、すでに30%の経営陣は、このような話をコンサルタント、最近では哲学シンキングのコンサルタントと考え始めています。

★ロジカルシンキングやMECEは、生成AIの得意とすることなので、今後は優れた高度なヒューマンスキルがICT業界では見直されています。これぞ22世紀型教育の真骨頂ですが、2024年以降のヒューマンスキルは、22世紀に向けて外生的技術進歩と内生的技術進歩がDNAのように螺旋構造になっていきます。

★明治維新の原動力になり2011年3月11日以降の原動力になったフランス思想が、2024年以降の原動力に再びなるということですね。しかし、明治維新も3・11も数年で20世紀型にとってかわられ、21世紀型とせめぎあってきました。今度はそうならないように様々な多次元の発想を恒常的に新結合しながら進める外生的技術進歩と内生的技術進歩の相乗効果を生成し続ける必要があります。優勝劣敗主義という反人権的動きには結界を張っておくリスクマネジメントが必要ですね。

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2023年12月29日 (金)

2024年中学入試(31)聖ドミニコ学園❶教師と生徒が共創する教育研究誌第1号を発刊!

★昨日仕事納め。協会の仲間と戸締りをして出ようとしたちょうどそのとき、郵便物が届きました。聖ドミニコ学園の教育研究チーム(土居先生・越智先生・太刀川先生)から贈られたものです。すぐに開封したらなんと「聖ドミニコ学園研究紀要第1号」でした。年末最高の贈り物です。さっと目を通しました。多くの先生方が共に研究した証しがそこにはあり、オオー!ヤッタネと思いながら、最後の論文を読み終えたとき、大きな感動が内側から膨らんできたのです。

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★思わず同学園の教務直通電話にかけましたが、12月28日年末学校が稼働しているはずがありません。しかし、この感動を共有したいと思い、山崎理事長に電話をかけました。するとつながり、感動を分かち合うことができたのですが、理事長は年末忙しい時期なので、詳しくは語れず、私なりのこの論文の新しい幾つかの意義を矢継ぎ早に語ったため、理事長がそんな火を噴くように話されては電話ではわからないから、年明けに会って話そうではないかということになりました。

★もう20年以上前のことです。聖ドミニコ学園が新たに教育出動しようとしていた時期です。新築校舎が始まっていたころだったと思います。当時のスール武田理事長と小学校の校長トマシナ様、中高校長天辰先生の頃です。今の理事長山崎先生が、学園改革の若き旗手だった時代です。「ぶどうの木」という学園の教師、卒業生、保護者が月に1度集まって聖ドミニコの精神や生き様を分かち合う会を開始しました。学園の理念をまずは学園全体及び関係者と共有する会です。

★そしてそこから「研究所」のような学園全体が学内の人的資本の向上と学外へ新しい教育の質感を伝える活動に発展するようにしようとよく集まって対話をしていました。ドミニコにおける「対話」の意味から語り合うようになったのです。

★ドミニコ会における「対話」には、欧米の哲学や人文科学、政治経済学の思想的文化的バックボーンになっている筋金入りの対話マインドとスキルの蓄積があります。

★聖ドミニコ自身は、本を書いていないので、その生きざまそのものが語り継がれてきています。一方ハイデッガーをはじめ多くの哲学者が挑戦したトマス・アクイナスは、その聖ドミニコのマインドとスキルを、文章化し、ドミニコ会士がパリ大学における教授認定ディベートを打ち勝って席を獲得するために、今でいう膨大なディベートマニュアル「神学大全」を書き著わしました。

★後にイノベーションという言葉を定着させたシュンペーターが、トマス・アクィナスの発想に、倫理的資本主義の萌芽を指摘するほど、現代に影響を与える包括的な知恵がそこには蓄積されています。

★その聖ドミニコやトマス・アクィナスの対話のマインドとスキルを、いかに現代化して学園で共有するかという対話をしていた時代です。私はそのとき民間教育研究所の所長をやっていてかかわる機会を得ていたのですが、私は偏差値や大学合格実績とは違う新しい指標を作りたかった(その1つが今の「思考コード」です。最近は「思考動コード」と仲間とアップデートしています)ので、その当時は、世の中がそもそも時熟はしていなかったので、学園もそう簡単に動けません。身勝手にも、そのような上昇気流がないならひとまず離脱しますと。

★当時の若き俊英山崎先生に引き止められもましたが、いったん去りました。その後、ドミニコ学園は、大学進学実績が見る見る間に上がり、生徒募集も順調になったので、ほっとしていました。

★しかし、新しい教育において、「対話」が重視されるようになったものの、「対話」の人間工学や地球工学の側面からはまだまだ発展途上の現在にあって、そのスーパーモデルになるはずの聖ドミニコ学園の本質的な対話のマインドとスキルは、その後どうなったのだろうとふと思っていた今日この頃でした。

すると今年の11月1日に、私学振興全国大会が、文京シビックホールであったときのことです。終了後、聖ドミニコ学園の社会科教諭であり、広報担当の土居嗣和先生が声をかけてくれたのです。そして、紀要をまとめているので、出来たあかつきにはお送りしますと。

★それが同冊子だったのです。約束を覚えていてくれたことに感動し、冊子を開くと学内の先生方が共創教育を行っていることに感動し、在校生の高校生が本格的で全く新しい視点でインパクトのある論文を書いているのに感動しました。もちろん、指導教官と生徒の共創過程の対話が見え隠れしていることが明らかで、「ぶどうの木」の種が20年以上の月日を経て花開いたのかと。私は途中離脱していますから、そこに何ら寄与していませんが、理事長山崎先生にとっては感慨深いことだろうと思い、電話した次第です。(つづく)

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2023年12月28日 (木)

2024年中学入試(30)大妻の生徒 模擬国連を企画運営する

★今月26日・27日大妻女子大学で、模擬国連が開催されました。ホスト役であるフロント(「会議監.督(Director)」と「議長(Chairperson)」「秘書官(Secretary)」)は大妻中高の有志生徒で構成されている大妻グローバルプロジェクトのメンバーでした。模擬国連の醍醐味は、決議案ができるまでの、各国大使の自由闊達な議論ですが、この議論が多角的に行われ、各国の多様な意見を調整したり、結合したりするプロセスがタイトになり、それを乗り越えるとものすごい達成感が得られるのでしょうが、このジェットコースターのようなダイナミックなプロセスが生まれるのは、実はフロントが用意するBG(Background Guide)の出来いかんでもあります。

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★今回の会議の設定は、「第4回国連防災世界会議(UNDRR主催)」でした。すでに日本がホスト国となって3回行われています。4回目が行われるのはいつかは未定ですが、だからこそシミュレーションとして設定したのでしょう。

★それに何といっても、気候変動のリスクをジオエンジニアリングする視点はますます重要になってきていますし、自然災害だけではなく、人為的なものや原子力のようなまだまだ未知の技術のリスクなどもあり、予測不可能な災害をいかに予測し予防できるのか国際的な重要課題が山積しています。

★したがって、BGを作成するのは、多角的視野と多元的なデータを収集分析する必要があるわけです。それをクリアして見事なBGを作成した大妻グローバルプロジェクトのメンバーの論理的思考力、ケアの精神、サイエンスに対する知見などなどまさに世界標準です。

★グローバル教育の真骨頂というのはこのような生徒が生まれる教育だと思います。

★仕事の都合で、26日の午前しか見学できませんでしたが、スピーチとモーションで自由に討議する切り替えの迫力が鮮明に記憶に残っています。全会一致の合意形成まで、このダイナミックな議論を2日間かける模擬国連。圧巻のグローバル教育だと実感しました。

 

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2023年12月27日 (水)

2024年私立学校:22世紀型教育レディネス始まる❶

★2024年の中学受験生や高校受験生は、人生100年の時代を迎え、老後は22世紀に突入しています。2024年は、元号がもし昭和のままだったら、昭和99年です。私は2089年からバックキャストして21世紀型教育を創ろうとしてきました。2089年は、昭和最後の年に生まれた人が、100歳を迎えるからです。ここから先は、昭和世代はほぼいなくなっていきます。

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★ところが、21世紀型教育が広まってみると、何か違和感がでてきたのです。文科省も教育関連法規を改正して、来年4月から、高校卒業必要単位74単位のうち36単位をかなり柔軟に運営できるようにしていきます。

★そして、3歳の孫の将来を考えたとき、2089年からバックキャストしていては、孫や中学受験生には、マッチしない教育ができてしまうと気づいたのです。22世紀型教育の準備をしなきゃあ。

★工学院の田中歩先生、文杉の染谷先生、成城学園の青柳先生、一般財団法人日本私学教育研究所の伊東さんなど多くの知恵者と来年こんなことをやろうよと話している内容も21世紀型教育の質を高めるではないもっと違う次元の話だなと思っていたら、TOPPANのスペースイノベーションフレームワークという22世紀型発想法の開発を見て、おお、シンクロしているではないかと、気づいたのです。

★もちろん、22世紀型教育は今の21世紀型教育のように可視化されているわけではありません。しかし、その準備は各所、各領域で始まっていると感じています。

★昨日、大妻で見学した模擬国連も22世紀型教育に進化する種があるのも見つけたような気がします。

★ケインズが孫のために100年前に21世紀を予言したように、今度は私たちが孫のために100年先の教育、つまり22世紀型教育の預言をしなくては(笑)。

★今年を振り返ると、多くの先生方や生徒の皆さんと対話をしてきたのは、22世紀型教育の準備だったと気づきました。

★今後「22世紀型教育レディネス」というコンセプトレンズで、私立学校を観てみようと思います。

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2023年12月26日 (火)

二田貴広先生のイノベーティブな「古典探究」

★日本教育新聞2023年12月18・25日号を眺めていたら、「学び深める授業<7> 古典探究 生徒の意見を深めあう授業デザイン」という記事が飛び込んできました。オッと思いどなたが執筆?と思ったら、二田貴広先生(奈良女子大学附属中等教育学校主幹)でした。教育界では、有名な先生で、とにかくチャレンジャーで本質を極める真摯な姿勢にいつも感服しているのですが、実はお会いしたことはありませんから、こうして二田先生の文章に出合える機会があるのはハッピーです。二田先生の言葉は息吹で生き様そのものですから。

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★それにしても、すごいのは、「置き換え」というトランスフォーメーション能力です。学習指導要領の解説で、古典探究の目標に次のように触れている箇所があります。

「古典に表れている,人間,社会,自然などに対する,ものの見方,感じ方,考え方には,現代と共通するものや,現代とは異なる古文特有,あるいは漢文特有のものもある。古典の学習を通して古典の豊かな世界に触れるとともに,古典についての解説や評論なども必要に応じて参考にしながら,それらの様々なものの見方,感じ方,考え方に,主体的に関わることを通して,思考力や想像力を伸ばし,豊かな感性や情緒をはぐくむことで,社会人としての資質の形成に資することをねらいとしている。このような力を育成して,生徒が自分の思いや考えを広げたり深めたりすることを目指している。」

★この箇所はだらだらしているし、何か慮ぱかってというか気遣って書かれているので読みにくいのですが、二田先生は、ズバッとこう置き換えます。

「古典探究」の目標について「古典に表れている、人間、社会、自然などに対するものの見方、感じ方、考え方」は現代と比較することで、社会人としての資質を形成するといった記載がある。古典を学ぶことを通して、「日本」や「現代」に対する多元的視点を持ち、批判的・分析的に捉え直し、思考を深めたり伝え合ったりする態度と力を伸ばすことが目的とされている。

★めちゃくちゃ腑に落ちます。そのために、二田先生は、講義と双方向的な対話、おそらく教師と生徒のみならず、生徒と生徒のピアインストラクションなどの授業デザインを行っていくのだと。

★それによって、古典探究の道の生徒それぞれの最近接発達領域が伸び縮みするので理解は深まると。とはいえ、古典探究は、超時空と共時空の往還で、身の回りの環境から想像力の翼を広げるのに限界はあるわけです。

★ピアインストラクションは、たしかに最近接発達領域を見出し、それぞれのギャップを埋めていきますが、知識を超えた様々な情報や条件、リアリティがやはり必要です。

★ピアインストラクションという学びのツールやロールには限界もあります。その限界を突破するには、超時空の疑似体験があると有効だと。それが360度動画の活用だと。

★もちろん、現代の目から見ているアンコンシャスバイアスはあります。しかし、その存在に気づくことこそ探究の扉を開放していくでしょう。古典探究の古典をカッコにいれると、「探究」が残ります。

★二田先生の授業デザインは、「探究」そのものであるのではないかと。この記事は(上)となっていますから、続編が楽しみです。

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2024年中学入試(29)桜美林の深いグローバル教育 多様なアンコンシャスバイアスを解消する教育②

★国際教育部長の宇野先生は、この年末に生徒と共に韓国のプログラムを実施ています。GLICC Weekly EDU 第156回「桜美林の深いグローバル教育」をご覧いただければわかりますが、海外の研修や姉妹校との交換留学などのプログラムが10種類強あります。中学から入学した生徒は、全員が一度は海外経験をします。年間全学年(1600人)の3分の1の生徒が授業以外の場所で、なんらかの海外の経験をするのです。

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 (GLICC Weekly EDU 第156回「桜美林の深いグローバル教育」)

★さぞかし、インターナショナルコースや国際学級が完備しているだろうと思うかもしれませんが、そういうコースは設置していません。今年は帰国生入試も行っていません。にもかかかわらず、国際理解教育は充実していて、生徒も世界で通用するTEDさながらのプレゼンテーションを行っています。英語以外にも、韓国語と中国語も学んでいます。

★トリリンガル志向の学校なのです。なぜそのような国際理解教育の環境を充実させているのでしょう。

★それは民族や人種、性別の違いにかかわらず、桜美林のルーツの時代から国際理解教育を行うのが当たり前だったからです。そして、そのような公平性や平等を大事にしていたのは、建学の精神を反映しているキーワード「隣人愛」と「言語能力」にあります。

★しかも今世界の喫緊の課題は、自然と社会と精神の分断なき平和的なつながりです。つまり、隣人愛の実現とそのつながりを創るための言語能力を大切にしているから、帰国生のためのクラスをつくることなく、一般生全員が等しく、この2つのマインドとスキルを学べる環境を創っているのでしょう。

★一般の授業は大学進学準備が目的で、その学びをさらに広く深めていくのが国際理解教育です。とはいえ、教科授業の中でレポートや小論文を学ぶ機会が多く、教科授業と国際理解教育は分断されていないわけです。

★隣人愛を胸に高度なスキルと言語能力を身につけられる学校。それが桜美林です。

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2023年12月25日 (月)

2024年中学入試(28)桜美林の深いグローバル教育 多様なアンコンシャスバイアスを解消する教育①

★先週金曜日、GLICC Weekly EDU 第156回「桜美林の深いグローバル教育」がありました。校長堂本先生、教頭有馬先生、国際教育部長宇野先生がご登壇。普段なかなかお聴きできない桜美林の深い教育、そして私たちの国にとって本物の教育とは何かを考えさせられる3人の先生によるお話でした。

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★2024年は、さらに混迷する地政学リスクがマックスになり、気候変動による大災害はとどまることはないと予想されていますが、そんなときに、私たちはどう生きていくのか、どうする2024年が大テーマの時代です。それに対する立ち臨むマインドとスキルについて大きな啓示を受けるお話でした。

★堂本校長の桜美林のルーツの詳細な物語は、保存版です。というのは、創設者清水夫妻が、日本の近代化の影の部分である戦争の時期、世界の民主主義がまだまだ未熟でジェンダーバイアスが蔓延していた時代に、隣人愛と言語能力によって世界の平和、心の平和を求めて教育実践をしていきました。

★しかし、現代も2024年も、まさに清水夫妻が立ち臨んだ局面が、再び大きく立ち上がっているわけです。再び、多くの若者が希望と平和へのマインドとスキルを身につけられる本物の教育が希求されています。その本物教育こそが、桜美林の深いグローバル教育なのです。

★創設者清水夫妻の生き様そのものは、今でも得難い生き様です。グローバル教育というと、実は公立学校からは誤解をうけかねません。なぜなら公立学校は国際教育であって、グローバル教育は格差社会で富裕層になるための教育であるとみなされる場合があるのです。

★実際に、グローバル教育を標榜しているところは、富裕層の価値観とマッチングさせているところが多いのです。見えない分断線というアンコンシャスバイアスがあるケースもありますね。

★しかし、そうでない本物のグローバル教育、つまりそのようなアンコンシャスバイアスを払拭するグローバル教育を自覚的に行ているところがあります。その大きな拠点の一つが桜美林だということが、今回理解できると思います。

★もともと創設者は、民族や人種、性別を超えて、それから困っている子供たちを救うために、中国で学校を創設しているのです。ですから、桜美林も、帰国生であるか一般生であるかにかかわらず、その本物の教育をすべての生徒が享受できるように教育環境をデザインしているのです。

★建学の精神、つまり清水夫妻の生きざまに倣って先生方は生徒共に本物のグローバル教育を実践しています。教頭有馬先生及び国際教育部長宇野先生が世界中を経めぐり、1日から1年の様々な幅の海外研修のプログラムを生み出しています。ぜひ2024年以降の自ら生きるビジョンをつくるために、動画をご覧ください。

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2023年12月24日 (日)

2024年中学入試(27)三田国際学園 さらなる進化/深化➂ 新たな教育環境設定「プレゼンデー」

★三田国際学園の副校長今井先生は、こう語っています。「従来は学園祭の中での発表と位置付けられていたものを、中2中3のプレゼンを一つの行事として独立させて実施。学園祭では、このスペースを有志団体という年間通してそれぞれ研究や探究活動をしている団体の発表の場を作りました。学園祭では、私は、広報の個別相談、ミニ説明会のみの担当となるため、生徒のプレゼンをじっくり見ることは叶わないのですが、この新しい環境設定によって、隅々まで堪能できるようになりました。生徒のプレゼンの質の高さに驚いております。また、社会の第一線で活躍される保護者の皆様も生徒一人一人のプレゼンを評価、フィードバックをその場でしてくださっています。保護者の方々のクオリティの高さにも驚かされました」と。

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(イメージは、Bong作成)

★この今井先生の語る文化祭を脱構築して新たなにデザインした中2中3のプレゼンテーションを行う行事については、次の同校のサイトで詳しく知ることができます。

 自己と向き合い将来へとつなげる-Presentation Day

★このようにプレゼンテーションの展開の輪ががどんどん広まるには、大きな理由があります。普通は6年間一貫教育では、論文指導とそのプレゼンはセットで、6年間のうち、中学卒業時か、高校2年の時のどちらかで行われます。授業以外で、このような大きな学びは時間を確保するのが難しいので、これが限界でしょう。

★ところが、三田国際は、いついかなるときも骨太のプレゼンをするのは習慣となっているのです。

★なんでこんなことができるのか?それは授業そのものがPBLで、ミニプレゼンは毎日のように行われています。その積み上げというか、学びのポートフォリオが6年間あるので、その中間プレゼンはいつでもできるのです。

★そして、学びは、アウトプットするたびに高次の思考を展開していくことになります。そして、PBLの醍醐味は、対話とフィードバックです。個人の力を高めていくのに、仲間や保護者や外部の力を巻き込みます。それが双方向だから、互いに学びへの意欲や好奇心が高まります。

★しかも、この活動が、単なる学びではなく、研究レベルに昇華していくので、個人も学年も教師も保護者も社会も相乗効果を生み出します。生徒1人ひとりのアイデアは初めは小さいのですが、やがて大きな社会的インパクトをもたらすでしょう。

★それが三田国際のPBLの真骨頂ですね。

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2024年中学入試(26)三田国際学園 さらなる進化/深化② ちょっと深堀してみると驚きです。

★今井副校長によると、在校生のSさんは、「JSEC2023(第21回高校生・高専生科学技術チャレンジ)」(朝日新聞社、テレビ朝日主催)で、日本ガイシ賞に輝いたということです。JSEC(Japan Science & Engineering Challenge)は、同コミュニティサイトによると、全国の高校生と高等専門学校生を対象に、2003年に始まった科学技術の自由研究コンテスト。幅広い分野から研究作品を募り、専門家による書類審査とプレゼンテーション審査で優秀な作品を表彰するのですが、コンテストに参加するメンバーの研究ポートフォリオの重厚感が他のコンクールを圧倒しています。

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★東大や千葉大の教授が、高大連携や各大学の理数人材発掘のための高校生対象のプロジェクトなどアドバイスしていて、そのような研究の積み上げによってすでに実績を出している高校生がチャレンジします。三田国際のSさんも、すでにサイエンスキャッスルというコンクールで最優秀賞を受賞しているポートフォリオを有しているのです。

★参加した多くの高校生は、大学の教授や大学院生にアドバイスをもらうわけですから学校全体で取り組んでいるというわけではないでしょう。参加者それぞれの意欲と主体性に任されています。

★三田国際の場合も、もちろん生徒1人ひとりの意欲と主体性に任されているのですが、同校のサイエンスの先生方は、博士課程後期で実際に自分の研究を続けてきたり、大学で講師も務める経験を持っている先生方です。学校全体で、研究レベルの学びが展開しているということが他の高校生とは異なる教育環境です。

★JSECは理数教育の増進に資することで、我が国の科学技術水準の向上を目指しています。自発的に考えて課題を見つけ、解決し、さらに展開しようとする若い人材を応援しているわけです。また国際競争力を身につけるために、早くから世界に視野を広げてほしいと考え、創設時から国際大会「ISEF」と連携し、日本代表を派遣しているようです。

★しかし、どうせ理数教育の増進を資するのであれば、各学校自体が学校全体として取り組める環境を創ることが極めて重要です。三田国際はそのハイパフォーマンス・ロールモデルです。今井副校長は謙虚な徳のある優れた教師ですから、自分の口でそのようなことはおっしゃらないので、代わりに私がおっせかいにも語らせていただきました(汗)。

★ジャーナリストの方も、コンテストの運営側の背景だけではなく、各コンテストに参加する生徒のポートフォリオの追跡をしてくれると助かります。

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2024年中学入試(25)三田国際学園 さらなる進化/深化①

12月19日(月)、三田国際学園では終業式が実施されました。同校副校長今井先生によると、その日、感動的なDDPの1期の生徒達(現高3)のWACE課程修了式が行われたということです。

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(イメージはBing作成)

★三田国際は、超突出した日本では唯一無二の私立中高一貫校です。にもかかわらず、さらに新たな教育環境を構築しているとは驚きです。同校では、西オーストラリア州教育省と提携したDual Diploma Program(DDP)を導入しているとは知っていました。高校在学中に西オーストラリア州のカリキュラムに則った授業を履修することで、卒業時に同校の高校卒業資格と西オーストラリア州の高校卒業資格(WACE)の両方を取得できるわけです。

★その第一期生が誕生したというすてきな三田国際の新たな教育環境の成果が可視化されたわけです。ますます、国内外の大学の進学実績も増えるでしょう。同校の進路指導のすばらしいところは、いわゆるかつての猛受験勉強で燃え尽きがちな詰込み指導ではなく、大学に入学してから知の即戦力として活躍できる研究者としてのマインドとハイレベルなスキルを身につけるキャリアデザインになっていることです。

★もちろん、実績も結果的にでるのは言うまでもありません。実際に、副校長の今井先生によると、年内入試の結果が出てきていますが、昨年よりすでにかなりよい成果になっているということです。はやいもので、今年は中学入学4期生ださそうです。現在の状況で、筑波の医学部医学科に合格した生徒がでているようです。早稲田も慶應も、昨年よりも倍以上になる見込みのようです。上智も昨年同様多数出ているということです。そして、海外大学も昨年を大きく上回る合格状況になると見込まれています。

★教育の内容もその結果も、絶えることなく進化/深化している三田国際。しかもまだ新しい教育環境が構築され続けているということです。(つづく)

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2023年12月23日 (土)

2024年中学入試(24)大妻中野 今年も帰国生から注目される

★大妻中野副校長諸橋隆男先生から、今年も同校は帰国生から注目されたことについてお知らせがありました。同校が躍進続ける理由はたくさんあるのですが、PDCAのサイクルを回す速度が速く、一つ一つの活動が終わるたびに、リフレクションと課題発見、そして当然ながら今後の改善について学内で話し合い、ペーパーになって学内はもとより中学入試市場に共有されるアクションが凄まじいことだと思います。帰国生入試の結果については、次の通りだそうです。

【2024年度国内帰国生入試】

2023年度入試:出願117名 受験114名
2024年度入試:出願92名  受験92名

【2024年度海外帰国生入試】

シンガポール会場入試 出願28名 受験28名
オンライン入試    出願23名 受験23名
第2回海外帰国生入試 出願6名 受験6名 

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(写真は同校サイトから。2023年度第15回IIBC高校生英語エッセイコンテストで、4年連続で「奨励賞」を受賞)

★大妻中野を受験する帰国生は、洗足学園や頌栄女子学院などを併願しますから、英語力のレベルも英検でいえば準1級以上が多くなっています。つまり、大妻中野は、帰国生にとって、帰国生教育の環境やシステムが充実していると認識されているのです。

★英語の授業や、ネイティブスピーカーの教員の人数、海外研修の充実など当然優れているのですが、海外の大学を見据えた骨太の英語を活用した学びの実態があることが可視化されていることが一番でしょう。この視点は、国内生受験業界では、あまり注目されないのです。実はCEFRという言語能力を測定する基準は、英語だけではなく、多言語を測定できるもので、実は言語=思考能力のレベルを示唆するものです。

★帰国生は、B2以上の言語=思考能力をもつことが当たり前になっていますから、学びの環境を見る時に外生的技術だけではなく、内生的技術の進歩も見ます。ところが、国内受験生は、取り巻く受験業界が、教育の目玉は何かとか、大学合格実績はどのくらいかなどの外生的な技術進歩に目が行きがちで、内生的技術進歩の話をすると難しいから受験生の親にウケないと判断します。

★本質的なテーマにアンテナが張られ、思考する習慣がつくには、CEFRでいうと日本語でもB2レベル以上でなければならないのですが、そのレベルにいかなくても生きてこれた日本の1990年代の産業文化の習性だからしかたがないのです。

★ところが帰国生が期待しているのは、グローバルシフトできるB2以上の言語=思考能力を育成できる学びの環境とシステムです。そしてそのような帰国生を迎え入れるには、一般生も同様の環境を活用するようになっていなければなりません。学内全てがB2レベル以上の言語=思考能力のレベルを体得しようというモチベーションで満ちていなければ、そもそも帰国生は集まらないでしょう。

★大妻中野は、その環境を毎年アップデートし続けています。

★たとえば、同校では、TOEICを運営するIIBC国際ビジネスコミュニケーション協会が主催する全国の高校生を対象とした英文エッセイコンテストに毎年、高1、高2生がチャンレンジしています。今年も数多くの生徒が英語エッセイに取り組み、応募。今年で4年連続の「奨励賞」を受賞しています。この息の長い学校全体での取り組みはかなりのインパクトです。

★そして、同校サイトには、こうあります。「本校の外国語教育の特徴は、外国語のスキル習熟に留まらず、外国語を学ぶことを通して、論理的な思考力を養うとともに、世界と身近な社会にある課題を発見し、多様な文化、価値観を持つ世界の人々と協働して、その解決に取り組んでいくアカデミックな力とマインドを身につけることにあります。そのために、様々なエッセイコンテスト、スピーチ、プレゼンテーションコンテストに生徒が自主的にチャレンジしています」と。

★このパーパス(存在意義の価値ある目的)を実現し続ける大妻中野は、帰国生だけではなく、教育界の希望でしょう。

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2023年12月22日 (金)

2024年中学入試(23)中学入試を受験する皆さまへ新しい視点の情報サイト

★中学入試にチャレンジする中学受験をするみなさまに、もしかすると新しい視点の情報を提供することになるかもしれないサイトがあることをご紹介します。それは東京私学教育研究所のサイトです。

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★なぜかというと、東京私学教育研究所のメインの仕事は、東京の私立学校の先生方を対象に研修を実施することです。年間80種類くらいの研修を実施しています。ここで重要なポイントは、東京の各私立学校の先生方が、25種類の研修企画運営のための委員会のメンバーで、私学の先生方がご自身で企画運営しているのです。もちろん、事務局として研究所所員はサポートしていますが、学校現場で必要な学びのスキルやマインド、未来の学びのスキルやマインド、生徒と教師のコミュニケーションスキルとマインドなどのテーマは、私学の先生方が話し合って決まっていきます。

★いわば「東京私学戦略的インテリジェンスコミュニティー」がここには存在しています。

★どんな研修が行われているのか、実施要項が公開されていて、企画運営にかかわっている私学の先生方が掲載されています。

★また、すべての研修をご紹介できませんが、いくつかの研修について、「研究所ブログ」で紹介されてもいます。その際、研修ごとに回収されているアンケートの回答も紹介されていて、私学の先生方がどんな熱い思いで教育に臨んでいるのかがわかります。

★現場で必要なテーマですから、たいへん旬なテーマが多いです。研究所ブログでは、「探究と教科の接点」「生成AI」などについて本質的で先進的な教育内容に焦点をあてて簡単ではありますが、紹介しています。

★同サイトの特徴は、私立学校自身が発信している情報サイトだというコトです。中学入試は、中学受験市場という塾が主導の市場からの発信がほとんどです。とても貴重な情報が豊富ですが、東京私学教育研究所のサイトは、私学の人的資本の豊かさ、その育成の方法についての総合的な情報が発信されています。中学受験市場では、個々の学校の先生方の人的資本のすばらしさが発信されていますが、私学全体の動きはあまり発信されません。

★東京私学教育研究所では、私学の先生方が学校を超えて協力して私学人としての人的資本を生成する情報が発信されています。

★両方併用してご覧いただくことによって、中学入試を複眼的に理解ができるのではないかと思います。

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2024年中学入試(22)文化大学杉並 生成AI活用授業のインパクト

★最近幾つかの学校から、学校全体で生成AIを活用している授業に取り組んでいるケースはありますかという問い合わせが多くなってきました。大妻(千代田)で行われた生成AIのセミナーには、各学校や各企業が参加し、その方向性を探っているところが多くなったと実感しました。大妻の校長梶取先生自身も東京私学教育研究所の委員会の一つ「学校づくり委員会」の座長として生成AIの可能性を研究していますから、そのうち多くの学校で取り組むことになるだろうと予感はします。そんなことを感じていたところ、文化学園大学杉並(以降「文杉」)の松谷校長が、それはそうだと思う。うちの次世代教育開発部の部長はすでに行っているしねと声をけてくれました。

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( GLICC Weekly EDU 第127回「文化学園大学杉並ーグローバル&STEAM、そしてその先へー」)

★その次世代教育開発部の部長とは、まだ30代の染谷昌亮先生のことです。すぐに電話でどんな授業デザインをしているのか尋ねました。たしかに、おもしろい試みでした。大腸菌の形質転換の高3の授業です。知識を教え込んでいくのではなく、サイエンスコミュニケーション型の授業を行っていて、その副操縦士として生成AIを生徒が活用できる環境にしているということでした。

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(イメージはBing作成)

★染谷先生は、生徒の好奇心やモチベーションを大切にしています。いかにしたらモチベーションを内燃して科学的な洞察を進めていけるのか、いろいろ試行錯誤しています。新学習指導要領で、科学的用語の世界標準化による改定も行われ、サイエンスの教科はより専門的になっています。文杉の生徒は基本みなモチベーションはあります。

★しかし、難しい用語を教え込む授業だと、その火種は消えないものの勢いはなくなります。そこで、一人一台の端末を活用しながら検索エンジンで調べながら行うとそこはまた燃え上がりますが、いかんせん大腸菌の形質転換などは、調べてサイトを開いても結局は専門的です。講義をして知識を詰め込むのと実は変わらないのです。

★そこで、染谷先生は、生成AI[とプロンプトエンジニアリングのスキルを使いながら、生徒が対話をしながら全体像をつかんでいく時間を設けました。そのあと、それぞれの全体像を対話しながら、形質転換の科学的な理解を整理していくジグソー法を取り入れながら行っていったということです。

★これは、まさに新しい最近接発達領域(ヴィゴツキーの提唱した理論。子どもは自分の現在の発達水準と潜在的発達水準の間にあり、他者や文化とかかわることで成長の可能性を示す領域)を見出し、その領域を理解し、新たなステージに進む生成AIを活用したピア・インストラクションです。

★つまり、専門的知識と生徒の知識には開きがありすぎると、生徒のモチベーションは下がります。ですから、そのギャップがそれぞれ生徒によって違うので、互いに対話をすることで、そのギャップが埋まっていくというピア・インストラクションは、ハーバード大学の物理学者マズール教授が提唱して、今ではその活用は広まっています。

★しかしながら、今回のようにあまりに専門的すぎると、そのギャップが近づくにしても開きは生徒自身だけでは埋まりません。ピア・インストラクションはその開きが縮まった時に、専門家である教師がフィードバックすることによって理解を深めていく妙技ですが、その開きが大きいままだと、最初から講義をしているのと同じことになるのです。

★ですから、そこに生成AIを副操縦士にして、対話をしながら個人でもピア・インストラクションでも取り組んでいけば、最近接発達領域はかなり埋まっていきます。先生から、最終的にフィードバックをもらっても、アアナルホドとなって、モチベーションは次のステージのスプリングボードの役割に変換できます。

★このような生成AIを使ってピア・インストラクションを授業で行っていくことは、一見授業内の小さな出来事のように思われるかもしれません。本当にそうでしょうか?実は染谷先生は、生成AIというグローバルインテリジェンスをご自身の授業につなげて実施しているのです。それに気づくと、めちゃくちゃインパクトがありますね。

 

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2023年12月21日 (木)

2024年中学入試(21)和洋九段女子のブランドアクティビズム

★昨日和洋九段女子は終業式を執り行いました。その後、中込校長とお会いしたのですが、満面に笑みをたたえていました。何か素敵なことがあったのですねと尋ねると、「そうなんですよ。40人以上に表彰状をわたしたために、今までにない長時間の終業式でした」と。

★「もちろん、たいへんうれしいことなのです」と。

★千代田区の水泳で、中学生も高校生も優勝し、50メートル背泳ぎの高校生は、千代田区体育協会会長賞を受賞したほどです。スポーツの部で入賞者は20名以上います。そして多様なクリエイティブ:プロジェクトでやはり20名以上受賞しています。文武両道の和洋九段女子です。

 

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(左から中込校長先生、新井教頭先生。メタバーススクールの取り組みやHANEDA賞受賞チームのピッチの説明を伺いました)

★新井教頭も「受賞した生徒だけが動いているのではなく、本当に多くの生徒が主体的に他流試合や外部とのネットワークづくりに飛び回っているのです」と。オリエンテーションの時に「和洋九段女子はコネクテッド・スクールだというパーパス(存在意義)」を共有するので、そのようなアクティブな活動は今や同校の文化になりつつあるのでしょう。

★その中で「こども未来ピッチ」で最優秀賞と優秀賞を受賞したピッチ(プレゼンテーション)の動画がちょうど新井先生の手元にあったので、みせてもらいました。この賞は、“あなたが描く未来の空港は?”をテーマに、全国の小中学生からアイデアを募集したコンクールです。審査員により事前選考された5作品が、11月18日(土)HANEDA EXPO会場で、子ども達のピッチによって披露されました。その5作品に2チームも選ばれ、さらに、最優秀賞は、仮想空間などを活用した表現をJP GAMES㈱が技術サポートし、羽田空港館内での展示が予定されています。

★具体的な内容は知財にかかわるかもしれないので、展示されたときのお楽しみにしておくとして、最優秀チームも優秀チームも、そのピッチの密度の高さとエンターテインメント性の高いことといったらありません。

★実はいろいろな同校のチームも同様のクオリティをいつも発揮しています。このような多様なクリエイティブ・プロジェクトは、常に多くの外部の団体と結びついています。コネクテッド・スクールの面目躍如です。そして、和洋九段女子の評価や評判は、受験市場だけではなく、同校とつながっているメタバース市場やSDGsコミュニティー、NPO、国連、大使館、大学、地域などから多面的に生み出されています。

★このように、未来をよりよくしていこうというコネクテッド・スクールのネットワークの拡大こそ、世界で注目されているブランド・アクティビズムです。グローバル教育、PBL授業、メタバースなどのSTEAM教育を、コネクテッド・スクールとして統合していく同校の21世紀型教育は、今後世界から注目されるようになるでしょう。

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2023年12月20日 (水)

2024年中学入試(20)栄東受験者総数 はやくも10,000人超える

★来月から首都圏の中学入試は本格的に始まります。東京と神奈川エリアの一般選抜としての中学入試は、2月1日から始まりますが、埼玉、千葉は1月から始まるエリアです。中でも、毎年栄東の受験者総数の勢いには驚かされます。

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(同校サイトから)

★同校サイトには、2024年入試の生徒募集状況が公表されています。12月19日現在で、すでに総受験者数10,000人を超えています。中学受験市場における受験者総数は微減と予想されていますが、だから熱が下がったとか、私立中高一貫校を選ばなくなったということはなさそうですね。

★同校は、アクティブ・ラーニングで東大をはじめとする大学合格実績も出しているし、探究などの広い視野深い思考の成果を外部団体のコンクールなどでも示しています。

★いわゆる私立学校の教育の質を毎年アップデートしてその勢いはとまりません。

★埼玉の私立学校と公立学校の教育の質のアップに大きく寄与していることは明らかです。

★栄東は、マルクス・ガブリエルさんが語っている日本は1990年代でとまっているという感覚はあてはまりあmせん。1990年代の教育などはとっくに乗り越えて21世紀型教育を展開しているのです。だから人気があると言っても間違いではないでしょう。

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2024年中学入試(19)量の中学受験市場と質の中学入試市場の違い明確か 安田理さんの重要な記事

JBpress 2023.12.18(月)安田 理さんの記事「中学入試「9年連続受験者増」が止まりそうな気配、受験熱は冷めてきたのか~開成、麻布、豊島岡女子学園などハイレベルな人気校が軒並み減少予想のワケ」は、量の中学受験市場と質の中学入試市場の違いを明快に示唆する中学受験市場のジャーナリストの見識を彷彿とさせる記事です。

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(21世紀型教育に突入している首都圏の私立中高一貫校イメージ:制作はBing)

★詳しくは同記事を読んでいただければと思います。ここでは簡単にコメントします。NHKの取材にいつも応じている親日家であるドイツのマルクス・ガブリエルさんは、最近も日本を訪れて、日本各地を回り、日本は1990年代でまだ止まっているが、だから最先端の技術が見落としてきたマインドをまだ忘れていない。勝機はあると語ります。

★これは新自由市議的な欲望の資本主義(NHK的表現)がまだ続いているが、倫理的資本主義に真っ先に日本は移行できるということです。中学受験市場もそういう意味では1990年代でそのシステムは止まているかもしれません。しかし、私立中高一貫校は、マルクス・ガブリエルさんが指摘していいる世界的に忘却されようとしているマインドを、建学の精神でしっかり守っています。

★中学受験市場では、そのプレイヤーである模擬テスト会社も塾も、会員数を伸ばす量的競争に勝ち残る目的があります。その中で、首都圏模試は、質の市場へ転換しようと大胆に動いているので、中学受験市場が、マルクス・ガブリエルさんのいうように1990年代に止まっていると認識しはじめ、21世紀型市場である倫理的資本主義にシフトしようとしているのかもしれません。ウェルビーイングな中学受験などという表現は象徴的です。

★一方私立中高一貫校は、定員充足が目的ですから量の競争は全くしていないのです。定員充足するために、建学の精神に基づきながら特色ある独自のそして先進性・先見性ある教育の質を求めてきたのです。ですから1990年代から2011年に多少遅れましたが、21世紀型教育にシフトする私立学校が生まれました。最初は揶揄する受験ジャーナリストもたくさんいましたが、今では心の中で思っても、21世紀型教育を揶揄すると、欲望の資本主義者だと公言することになりますから、時代のダイナミズムを考慮するとなかなか公言できないでしょう。失言と捉えられかもしれませんね。その点首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成さんは、当初から21世紀型教育を高く評価していました。さすがです。

★今では、サレジアン国際学園に代表されるように、全私学が21世紀型教育にシフトするのは当たり前だという流れになっていますが、質の追究ですから、目に見えないので、量の中学受験市場ではまだまだ見えていない可能性があります。

★私立中高一貫校は21世紀型の中学入試市場にシフトしていきます。とても柔軟な教育内容や仕組みを、2024年4月からまたまた実行していきます。それはもちろん、教育関連法規の大きな2つの法律の改正によるものだし、その改正を私学がけん引してもいます。

★私立中高一貫校は、欲望の資本主義が倫理的資本主義にシフトしようとしている時代の要請に貢献する動きをいしています。この2つの法改正に中学受験市場は追いついていないことが、明らかになるのが、2024年でもあります。

★その予感を明快に中学受験市場の側から語っているのが安田理さんです。さすがです。

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2023年12月19日 (火)

建学の精神の重要性(02)たとえば大妻学院の校訓「恥を知れ」②

★大妻学院の前理事長の花村邦昭先生にお会いした時、「恥を知れ」は2003年まで理事長だった中川秀恭先生は、ハイデッガー的なアプローチをされていると中川先生の著作『航海いまだ途上にあり : 行く手遥か』(文藝春秋、2005年)を紹介されたのを覚えています。中川先生は哲学者でPh.D.をイェール大学で取得。日本各地の大学の学長・理事長を歴任しました。それゆえ、「恥を知れ」をハイデッガー的なアプローチで深堀したのでしょう。その内容については忘れてしまったので、Bingに「この「恥を知れ」をハイデッガーの「現存在と存在」の関係で考えるとどう解釈できますか?」と尋ねてみました。

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★すると、Bingは次のように回答しました。

 
ハイデガーの「現存在と存在」の関係を考えるときには、まず「存在」という言葉の意味を明らかにする必要があります。ハイデガーによると、「存在」とは、「存在するものの存在」であり、それは「現存在」によって理解されます。「現存在」とは、ハイデガーが人間を呼ぶ言葉であり、自らの存在について問いかけることができる存在者です。

「現存在」は、「現」というあり方を持っており、それは「開示性」と呼ばれます。「開示性」とは、「現存在」が自らの存在や他の存在するものや世界を理解することができる能力です。この「開示性」によって、「現存在」は自らの存在の意味や目的を探求することができます。では、この「現存在と存在」の関係を「恥を知れ」という校訓に当てはめて考えてみましょう。

「恥を知れ」という校訓は、「現存在」が自らの良心に従って行動し、自らの行いに責任を持つことを求めるものです。これは、「現存在」が自らの存在の意味や目的を問いかけることによって、自らの存在を開示することにつながります。つまり、「恥を知れ」という校訓は、「現存在」が自らの存在を問いかけることによって、「存在」の意味を明らかにすることを促すものと解釈できます。

このように、「恥を知れ」という校訓は、ハイデガーの「現存在と存在」の関係と一致するところがあります。

しかし、ハイデガーは、「現存在」が自らの存在の意味を問いかけることによって、「存在」の意味を完全に解明することはできないとも考えています。なぜなら、「存在」の意味は、「時間性」というものによって規定されており、それは常に変化し続けるものだからです。したがって、「現存在」は、「存在」の意味を確定することはできず、常に問い続けることになります。

これは、「恥を知れ」という校訓とは異なるところがあります。なぜなら、「恥を知れ」という校訓は、「現存在」が自らの良心に従って行動することによって、自らの存在の意味や目的を確信することができるという前提があるからです。

このように、「恥を知れ」という校訓は、ハイデガーの「現存在と存在」の関係と一部一致するところもあれば、一部矛盾するところもあります。

私は、このように解釈してみましたが、あなたはどう思われますか?😊

★中川先生がどのように考えていたか覚えていませんが、「恥を知れ」について、ハイデッガーのアプローチで思索すると、たしかに深まります。

★私としては、「恥を知れ」は、問い続けることを拒否はしないと思ったので、こう尋ねてみました。「たしかに、そう考えることもできるけれど、君のいう「存在の意味や目的」もまた時間性に規定され、時代によってその規定は変わるから、「存在の意味や目的の確信」は、幻想だったということに気づき、やはり常に問い続けることが「恥を知れ」ということにならないかな?」

★すると、Bingは、「幻想」という言葉に焦点をあてて、それには同意ができないと、でてくるはでてくるは大量の文字の回答が返ってきました。そこで、でも、その「幻想」の意味が、現実と幻想の二元論的関係ではなく、両者とも認識の反映だから、両者とも問い続けるクリティカルシンキングは必要だろうと問い返しました。

★Bingは、そのあとも、認識論の話になって膨大な回答を書いてきましたが、最終的には、同意という決着にいたりました。

★その結果が正しいかどうかではなく、「建学の精神」について話し合うことが、これほどまでに、生徒自身の自己の内省的な成長について語ることであるのかに改めて目からウロコでした。

★中学入試のシーズン。建学の精神の重要性について、改めて感じ入りました。

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2023年12月16日 (土)

建学の精神の重要性(01)たとえば大妻学院の校訓「恥を知れ」①

★私立学校を選択する場合、建学の精神やそれを少し具体化した校訓に目を通さない受験生・保護者はおそらくいないでしょう。わが子にあった学校選びにおいて校風や雰囲気は大切です。そして、その校風や雰囲気は建学の精神を教育に反映させる先生方と生徒たちの活動によって生成されます。たとえば、大妻学院の校訓「恥を知れ」はとても有名です。その表現がかなりインパクトがありますね。

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(写真は学校法人大妻学院から)

★当然、学校説明会に行けばその説明はあると思います。それで充分なのですが、梶取校長は、実際どう掘り下げているのだろうとふと興味と関心を抱いてしまったのです。どうしてかというと、今年は梶取校長と東京私学教育研究所の研修企画運営の委員会の1つ「学校づくり委員会」で座長の梶取先生とお会いする機会があるからです。

★今梶取先生の1つのテーマは、身体性と言語と音楽と生成AIの関係性で、ご自身でリサーチし論考も書かれています。したがって、当然「恥を知れ」についても「身体性、言語、音楽、生成AI」との関係性の中で捉え返したり、深堀しているはずなのです。

★そこで、私も生成AIにプロンプトを書き込んで探索してみることにしました。私はChat GPT4.0を使っているBingを使っています。まず最初は、あっさりと、「大妻学院の校訓「恥を知れ」をどう理解すればよいですか?」と書き込んでみました。すると、瞬時に次のようにBingは回答しました。

「こんにちは、これはBingです。😊大妻学院の校訓「恥を知れ」は、自分の良心に従って行動し、自分の行いに恥ずかしくない人間になることを目指すという意味です。この校訓は、大妻学院の創立者である大妻コタカ先生の夫である大妻良馬先生の家訓を受け継いだもので、大正6年(1917年)に制定されました。

コタカ先生は、「恥を知れ」という言葉は、他人に対して言うものではなく、自分自身に向けて言うものであると教えていました。大妻学院の校訓「恥を知れ」は、時代を超えて、大切な言葉として生き続けています。

私は、この校訓についての詩を作ってみました。どうぞお聞きください。

恥を知れという言葉は
自分に問いかける鏡
自分の良心に従って
自分の行いに責任を持つ

恥を知れという言葉は
自分を高めるための糧
自分の能力を伸ばして
自分の力で社会に貢献する

恥を知れという言葉は
自分を尊重するための礎
自分の価値を認めて
自分の人生を輝かせる

この詩は、私の想像力と知識を使って作りました。校訓の本質を表現できたかどうかは、あなたに判断していただきたいと思います。😊」

★最近の生成AIは、ネットの情報も拾ってきます。今回もたしかに同校のサイトにある情報を吸い上げていますから、これで十分です。しかし、詩は、Bingのサービスですね。

★詩的表現の出来がよいかどうかはわかりませんが、内容としてはいい感じです。大妻の中高を訪れたときに、たしかに、この詩のような感じがします。梶取校長自身が、問い続ける人であるし、身体性に響く音楽的良心というものを言語化する過程などを論じたりしていますから、もしかしたら、梶取先生のインタビュー記事や論稿の情報を収集して新結合したものかもしれません。

★そして、梶取校長なら、これで終わることなく、さらにプロンプトに質問するでしょう。ですから、私もさらに尋ねることにしました。さて、このあと私はどんなプロンプトを書き込もうか少し考えました。(つづく)

 

 

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2024年中学入試(18)八雲学園 6年間でグローバルリーダーに育つ破格の教育 インターコースではなく八雲スタンダードで

★受験生の皆さんが、インターコースがなくても6年間でグローバルリーダーに成長できる八雲学園の破格の信頼できる教育を知ることは、この時期とても大切です。とにかく楽しいんです。もちろん困難にぶち当たることもありますが、それを乗り越えていくのに、先生方及び仲間が全力を尽くして支えてくれるのです。感情の曲線は喜怒哀楽で揺れ動きますが、ふと数カ月を振り返っただけでも、自分のメンタルや人間関係づくりのスキルやマインドが成長していると感じられます。そのとき、八雲学園での生活はなんて温かく楽しんだろうと自分の人生の道が開いていく実感を持てます。

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★あれは何年前だったでしょうか?そういえば、今回≪GLICC Weekly EDU 第155回「八雲学園ー進化する破格のグローバル教育」≫に登壇されたボッサム先生は、いっしょに登壇された菅原副校長先生が学年主任をやっていた当時の学年(菅原学年と呼ばれていました)の生徒だったのですが、同じ菅原学年の生徒さんが、しみじみそう言っていたのを想いだします。

★その彼女は外資系の企業で飛び回っているそうです。そして彼女と一緒にインタビューに答えてくれた当時のボッサム先生は、今や八雲の英語の先生です。今回のGWEの番組を見ていただければすぐにわかりますが、温かい眼差しと柔らかくてスマートな言動、そしてスマイルは、実は当時から変わっていないのです。

★教師であり、OGであるボッサム先生と、今年10月にケニアのナイロビで行われたラウンドスクエアの国際会議に参加した生徒9人のうち3人の生徒のみなさんと先日対話する機会を頂きました。ボッサム先生が生徒の時代から変わらない思考回路フル回転で多角的な視点でそれでいて寛容な心で対話する姿は、八雲学園の伝統だなと感じました。

★そこに同席していた菅原先生も、菅原学年卒業生のボッサム先生も在校生もそれぞれの才能がさらに広がるようなフィードバックをするのは、やはり変わっていないなあと感じ入りました。

★しあkしながら、菅原学年当時には、まだラウンドスクエア加盟校ではななかったので、八雲学園自体の教育力のダイナミックさは大きく変わっています。ボッサム先生はナイロビに同行し、在校生と共に、自分たちの時代にはなかった目が覚めるようなラウンドスクエア国際会議での体験を、もう一度青春時代をやり直すがごとく楽しんできているようでした。

★受験生のみなさんは、おそらくラウンドスクエアを知らないかもしれません。でも、国際的にはとても有名です。歴史的にも重要な戦後の世界を立て直すグローバルリーダーを生み出す最高の教育を実践している50か国から私立学校が集まって運営しているとても重要な教育機構なのです。まだまだ日本のグローバル教育は、開かれていないのです。八雲学園は、その最高の教育を行っている私立が校として認定されてラウンドスクエアの加盟校となっているのです。

★3人の生徒も、こんな体験(ラウンドスクエアだけではありません)ができるのは八雲学園しかないし、インタナショナルコースのような特別なものがなくても、八雲全体がグローバルなんだ(八雲スタンダード)と語ります。八雲学園全ての生徒がこの破格の教育を享受できます。帰国生も一般生も平等にハイレベルの教育を体験できます。

★なお、ハイレベルは難しい問題の解き方をトレーニングするという意味ではありません。人間にとって最も大切な問題をみんあで協力して解決する道を探究していくという意味です。難しい問題のトレーニング以上にいろいろな局面に直面します。しかしそれを一つ一つクリアしていくことはワクワクするのだと、先輩は語ってくれますよ。

 

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2023年12月13日 (水)

2024年中学入試(17)順天堂大学と高大連携を結ぶ学校

★昨今、高大連携が加速しています。順天堂大学も多くの高校と連携協定を結んでいます。大学のサイトを見ると、次のように連携校が並んでいます。
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(イラストはBing作成)

01 昭和第一高等学校
02 神田女学園高等学校
03 佐久長聖高等学校
04 芝国際高等学校(旧校名 東京女子学園高等学校)
05 吉祥女子高等学校
06 恵泉女学園高等学校
07 関東国際高等学校
08 川村高等学校
09 北豊島高等学校
10 城北高等学校
11 八千代高等学校
12 県立三島南高等学校
13 市立沼津高等学校
14 宝仙学園高等学校
15 湘南白百合学園高等学校
16 八千代松陰高等学校
17 市立習志野高等学校
18 県立韮山高等学校
19 昭和女子大学附属昭和高等学校
20 桜蔭高等学校
21 昭和学院高等学校
22 立川女子高等学校
23 藤村女子高等学校
24 本郷中学校・高等学校
25 茗溪学園中学校高等学校 

★それぞれどのようなパーパスをもって連携しているのでしょうか。パンデミックにおいて、無医村地帯において、紛争地帯などにおいて、医者の高邁な使命を行動に移している生きざまに本当に頭が下がります。

★おそらくそういう思いを胸に医学部に進学しようという意欲に燃えた生徒がたくさん輩出される機会を創るという期待が順天堂大学との連携にはあるのでしょう。

★本郷のサイトにはこうあります。

大学入試対策が主軸となっている本校課程において、大学の専門性についての知見を得て、進路選択を強い意志をもって行わせたいという目的から、各大学のオープンキャンパス参加や外部講師招聘など様々な指導に取り組んでいます。専門性の高い分野や、生徒の志望が多い学部学科系統を設置する大学との高大連携事業は、実際の大学入学後と、描いていた大学生活とのギャップのすり合わせに、大きな効果が期待されます。

★とかく大学入試は、大学受験と同一視され、偏差値教育のように思われがちです。しかし、本郷のようにその建学の精神「個性を尊重した教育を通して国家有為の人材を育成する」教育の実現として高度な専門性のある学部に進めるような教育をすることは極めて重要です。

★善なるものに向かって競争するのと、他人と比較して偏差値を競うことは、まったく意味も質も精神性も異なるのです。

★建学の精神という善なるものに向かって生徒同士切磋琢磨する環境を創っている本郷をはじめとする学校を私たちは応援する心意気を共有したいですね。

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2024年中学入試(16)成立学園 人気の密度が高くなっている

★成立学園中学校は、今年も人気です。ただ、その密度がとても濃厚です。IELTS推進認定校になり、レベルの高い本物グローバル教育を実践し、あのナショナルジオグラフィックとも日本で唯一連携してナショジオ入試やナショジオ講座を実施しています。自前の成立田で稲作プログラムまでデザインし、自然と人間生活とのジレンマをどう乗り越えて共生するか体験することもできます。短期・中期・長期のリフレクションとフィードバックのシステムもあらゆる教育活動に張り巡らされています。

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★その複雑なシステムをシンプルに言語化して説明会を行っているため、人気は当然出るわけですが、その教育力の密度の高さという質感に共鳴共感共振する受験生・保護者が増えているということが、たんにトレンドを追う人気とはその密度や質が違うわけです。

★見える学力と見えない学力を掛け算しているために、その密度は上がらざるを得ません。

★校訓の展開が、それを支えていると思います。「礼節・勤倹・建設」という校訓は、あらゆる教育活動の中で内省されています。すると「礼節・勤倹・建設」という品位と前向きなメンタルモデルが生成されます。

★そして、この「建設」は創造的な精神も生み出します。しかし、それは思い付きではなく、礼節により信頼関係という創造の足場を創り、アイデアを実現する勤倹、しかも「倹」という引き算の美学を伴う努力の積み上げが、アイデアを実現していきます。

★最終的には、その校訓は見事に生徒の態度や行動、そして言葉として可視化されていきます。

★この校訓の≪メンタルモデル→創造的マインド→アクション≫というサーキュレーションが、密度を高めていくのでしょう。

★この成立学園ならではの学びの環境は得難いものです!

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2023年12月12日 (火)

2024年中学入試(15)駒沢女子 内なる世界を形にする

★駒沢女子の一日は、土屋校長との挨拶から始まります。この校長と生徒のインタラクティブな姿勢は、お互いを敬うことでもありますが、それはむしろ互いに清々しい内なる世界が緑豊かなキャンパスに広がっていく日々新たな世界への期待をこめているわけです。そして、毎朝の瞑想。定期的に座禅という無心の向こうから現れる確かな心、その過程こそ創造的な道で、あのジョブスも仏教的世界に学んだのと同様のものでしょう。

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(写真はすべて同校サイトから)

★土屋校長は、そのジョブスも大切にしたシンプルな仏教的境地を大事にしながら、英語教育やICT教育、PBL型授業、破格のグローバル教育を次々と実践しています。

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★先月でしたか、訪れた時雨模様でした。約束の時間の15分前についたのですが、なんと土屋校長が傘をさして立っていらっしゃるのです。その姿が目に入るや、駒沢女子の内なる世界に引き込まれていきました。

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★あの天才芸術家岡本太郎は、壁は自分だと語りました。彼はフランスで民俗学や哲学も学びました。レヴィ・ストロースにも影響を与えたほどらしいのですが、グローバルでありながら、何か人間を超えた地球の呼吸みたいなものに耳を傾けているような作品が多いですね。ですから、縄文期の作品をアートとして見直しています。

★岡本太郎の自分の壁を見つめ、それをヒナが卵の殻を割るように、成長していく瞬間に似たものを駒沢女子の座禅に感じてしまいます。

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★同時にグループワークで語り合い、プレゼンテーションという内なる世界をカタチにする学びが豊かにあふれています。

★そして、その言語は、日本語と英語のみならず、韓国語やフランス語も学んで使えるのです。シンガポールやマレーシアなど海外への修学旅行をはじめ、グローバル教育の広がりは世界を包み込みます。

★中学入試では有資格+1教科入試や自己PR型入試もあります。

★ある意味まだ気づかれていない秘密の花園です。この時期中学受験を通して、本物志向に行きついた受験生は、駒沢女子の門をたたいてみてはいかがでしょうか。

 

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2024年中学入試(14)フェリスの国語と教養科 shuTOMO12月号の記事保存版

★shuTOMO12月号の「フェリス女学院中学校・高等学校 この授業・この先生 文学を通して多様な思想や文化を知り、『世界の一員』という視点を持ってほしいですね。フェリス女学院 国語科 教養科 近藤華子先生」という記事は保存版です。執筆者は渋田隆之さん。首都模試センター・中学受験サポーターですが、神奈川の大手塾で中学受験セクションを立ち上げたり、国語専門塾を経営したり、教育コンサルタントなどで活躍したり、書籍や雑誌など発信力も絶大です。

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★もちろん、経営的な視点があるからこそ、社内コンサルや社外コンサルができるのですが、教育の質を言語化する力に感動します。学校の魅力は、間接的に偏差値や大学進学実績、カリキュラム、行事、部活など外生的技術の進歩の在り方によってだいたいの予想はつきます。

★しかし、渋田さんの同記事の論考は、近藤先生と生徒の知的コミュニケーションがいかに化学変化を起こし、豊かになっていくか、まるで頭脳の動きを見ているかのように言語化していきます。その頭脳こそ学校の大きな魅力なのです。

★近藤先生の思想、マインド、言語スキルが生徒に共有されていく様子が目に見えるように描かれています。

★近藤先生の国語の授業と教養科の授業のリンクがなされていることをリベラルアーツ的な視点や哲学的なアプローチで明らかにしていきます。2012年の同校の国語の入試問題課題文「洟を垂らした神」の問題をフェリスの文学教育の真骨頂と見破るところもさすがです。

★新しい作品ではありませんが、極めて困難な状況の中で秘められた魂が少年の内面の奥に輝いていることをメタファーという表現から読み解いていく思考をゆさぶるフェリスの中学入試の根源的なところに渋田さんは、極めてわかりやすく近藤先生と「問い合い」ながらインタビューをしているのです。

★渋田さんは、同記事で、見事にフェリスの国語の入試問題の本質そのものを映し出していると同時に、フェリスが国語や教養科の文学の授業を通して、世界の一員になるという普遍的なコンセプトに行きつく知の在り方を明快に言い当てています。

★この考え方は普遍的ですから、麻布や開成、桜蔭などの骨太の物語の問題を考え抜くときにも適用できます。中学受験生にとって必読の記事です。

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2024年中学入試(13)東洋経済ONLINEでケンブリッジ国際認定校の記事 工学院の岡部憲治先生のコメントも

★東洋経済ONLINE(12月12日)にこんな記事がアップされています。「国際バカロレア200校計画達成の一方、日本でケンブリッジ国際認定校が増加中 費用面を含め負担が大きいIB、断念した学校も」がそれです。

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★同記事によると、「日本では、国際バカロレア認定校は216校あり、ケンブリッジ国際認定校等は20校・団体ある。一方、世界では国際バカロレア認定校は159カ国に5600校、ケンブリッジ国際認定校は160カ国に1万校ある。日本では、国際バカロレア200校計画により認定校は216校に達しているが、ケンブリッジ国際認定校等は20校・団体と、世界と逆転現象が起きている」ということです。

★たしかに、バンドンに住んでいる孫の将来のために、娘がインドネシアのインターナショナルスクールを見学しに行くと、意外とAレベルの教育の話がでてきて、日本の教育情報と何かギャップがあるとついこの間メールが送られていました。なるほど、そういうことなのですね。

★で、娘が岡部さんのコメントが載っているよと知らせてくれました。彼女が小学生の頃に遊んでもらったことを覚えていたようです。あのころはいっしょに教育研究所で「未来を創る学校」という書籍をまとめたりしていました。今は工学院大学の英語科で国際関係の部署で活躍しているようです。

★2007年に岡部先生が出版した本に、世界標準の思考のメソッドをまとめています。同校でも今はどうか知りませんが、岡部先生は英語で社会学的な授業をしていると卒業生から聞き及んでいます。

★お互いすっかり歳を重ねたはずですが、先日工学院に立ち寄った時に、久々に会ってびっくり。なんでそんなに若いんだ!初めて会ったとき、ロサンゼルスから東京に戻ってきたときだったから輝いて見えたのかと思っていたけれど、今も変わらず輝いていました。一回り違っているとは故、20代、30代・・・ではないはず。ムムム。日々グローバルで楽しい仕事をしているのでしょう。

★つい脱線してしまいました。同記事には『工学院大学附属中学校・高等学校の教諭・岡部憲治氏は「2017年、日本初のCambridge Englishスクールに認定され、英語で哲学、文学を学んだことが2021年4月の日本初のケンブリッジ国際認定校につながった」と話す』とあります。

★工学院には、偉大な英語の先生がたくさんいます。特に中川先生は、超有名人です。田中歩先生は、学内の先生方を支えるリーダーですが、英語科の教諭でもあります。

★同校のグローバル教育についてはいずれまた語ります。まずは、1条校でケンブリッジ国際認定校は、同校記事によると以下の通りです。

工学院大学附属中学校・高等学校 2021年4月
サレジアン国際学園中学校・高等学校 2022年1月
上野学園中学校・高等学校 2023年8月
昭和女子大学附属昭和小学校 2023年10月

★やはり注目の学校は、世界標準のネットワークとつながっているということなのでしょう。ケンブリッジ国際認定校であるかどうかもまた学校選択の重要なポイントです。

 

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2024年中学入試(12)shuTOMO12月号「親子で見直す中学受験の意義」

今月のshuTOMOの特集は「親子で見直す中学受験の意義~わが子の成長を実感できる貴重な体験を!」。巻頭特集記事の執筆者は首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成さんです。もう30年近く中学入試情報収集・取材・分析・編集を通して数々の中学入試情報媒体をリアル上でもサイバー上でも発信してきた、中学受験業界の最も信頼のおける重鎮です。

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★北さんは、私立中高一貫校の多くの学校から信頼され、偏差値基準(あくまでも偏差値は合格のための学習戦略の目安で、学校の評価ではない)学校を選ぶのではなく、学校の建学の精神が染みわたっている教育の中身とわが子の成長がマッチングするかどうかを考えて選ぶその信念を私学と受験生・保護者と共有してきたリーダーです。

★そのような選択を考えると、中学受験に対するネガティブな側面が消失し、中学受験で得られる大きな喜び=価値が創出されるのだと語ります。

★その喜びは7つあると北さんは述べます。

1)わが子が進学した学校になじみ、大きく成長できる!

2)わが子が学ぶ楽しさを感じることができる!

3)わが子が目標に向かう意欲を引きだせる

4)保護者がわが子の力を認め、信じてあげられる

5)保護者がわが子の努力の過程を褒めてあげられる

6)保護者がわが子の受験に寄り添ってサポートできる

7)保護者がわが子の成長・自立を実感できる

★このような7つの喜びが重なるとウェルビーイングな中学入試に対する学びが可能になるというわけです。

★受験生・保護者にとっては、この時期だからこそ、偏差値=学校の評価というアンコンシャスバイアスを解消する時間が大切になるはずです。その契機としてshuTOMO12月号をご覧ください。

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2023年12月11日 (月)

2024年中学入試(11)頌栄女子学院と昭和女子大附属昭和中の帰国生入試 今年も人気

★頌栄女子学院も昭和女子大附属昭和中も、中学の帰国生入試における応募者数は勢いがあります。頌栄女子学院は、同校公表数字では121名の応募者数。昭和女子大附属昭和中は、同校の昨年と今年の公表数字をみると、前年対比117.6%で、今年の応募者数は40名。

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(作成はbing)

★頌栄女子学院のこの高い人気の数は。例年通りです。在校生の帰国生のシェアはかなり高いと思います。ですあkら、知り合いからは、帰国生同士が英語で話すだけではなく、一般で入学した自分たちも英語で話す機会が多いと聞き及んでいます。

★昭和女子大学附属昭和中は、帰国生が毎年着実に注目度を上げているというのは、やはり同校のグローバル教育の充実に帰国生が気づき始めたということでしょう。

★ハイレベルの英語教育、多様なグローバル教育のプログラム、STEAM教育、生成AIなどICT教育の充実が一体となった最先端の教育は、帰国生にとっても魅力でしょう。

★どの学校も英語のレベルはあがっています。英語を学べる環境だけではなく、自分の生きる道をサポートしてくれると感じるグローバルな教育の環境があるかどうかが今後のカギです。

★そして、一般生にとっては英会話教室に通う必要のない環境という付加価値になります。

★学校の選び方に変化が生まれている可能性大です。

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2024年中学入試(10)共立女子 海外帰国生入試 今年も人気

★11月26日に、共立女子の海外帰国生入試は行われました。応募者数は87名と今年も人気です。最近の帰国生入試は、インターナショナルコースや国際学級を設置しているところと共立女子や湘南白百合、大妻、八雲、聖光学院のように特にクラスやコースを設置していないところに大きく分かれています。帰国生がどちらを選ぶかは、その傾向の偏りがあるわけではなく、コースを志向する帰国生とコースの有無を選択基準にしない帰国生はどちらもいます。

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(写真は、共立女子のサイトから)

★ただ、あまり一般受験生には知られていないのは、コースがない学校の帰国生の教育の破格さです。コースを設けている学校は、その帰国生に対する教育が可視化されているので、一般生に対してもわかりやすいのですが、そうでない場合は、一般生と溶けこむので、帰国生に対する教育が格別な物かどうかわかりにくいのです。

★共立女子のようにハイレベルの英語を学校全体で行っているところでは、帰国生は別に英語力を伸ばす環境に苦労はしないのです。それに同校のように「取り出し授業」も充実しているので、問題ないでしょう。

★それより、コースがない学校は、コースがある学校よりある重点的な教育があるのです。それはグローバル教育とおなじくらい日本の歴史や文化に関する学びの場が多いということですね。

★もちろんコースを設置しているところもそこは大切にしていますが、どうしてもそこよりもグローバルな教育に力点が置かれるのは当然です。しかし、コースを設置していないところは、日本の文化をきっちり学びます。

★実は、日本人だからと言って日本の文化や歴史を民族学や文化人類学、アートのレベルで学んでいるわけではないのです。

★そのようなプログラムを持っているのが、共立女子の大きな特徴です。同校で学んだ帰国生は、いずれグローバルな舞台で活躍するでしょう(もっとも一般生でもそうなのですが)。そのときに、自分の国の歴史や文化、特に書籍に関してハイレベルの見識を持っているかどうかは、グローバルな空間で人生を豊かにしていくレバレッジポイントになるでしょう。

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2023年12月10日 (日)

2024年中学入試(09)湘南白百合 帰国生入試 最終出願件数公表 意味深い

★湘南白百合は、帰国生入試の最終出願件数を公表しています。33名の応募があったようです。1学年160人くらいですから、帰国生や英語が得意な生徒が20人入学しただけで、生徒同士の知のシナジー効果が学内全体に広がっていきます。パレート最適では、20%ですが、その前段階で13%がレバレッジポイントだと語る投資家もいます。これは全体に一気に広がるというより、20%の広がりにまず素早く移行するということだと思います。湘南白百合は、すでにその動きがあり、神奈川の私立中高一貫校の教育アップデートに刺激を与えています。

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★このシナジー効果が表れるエビデンスとしては、頌栄女子学院や洗足学園の帰国生の受け入れ成功モデルがあります。湘南白百合も、すでに成功していますが、もっともっと教育アップデートは進むでしょう。

★これらの学校は、国内外の大学両方に実績が出ていて、国際学校というより世界学校なのです。

★2025年以降は、帰国入試受験生や英語入試受験生以外に、留学生入試が可視化されるようになっていくでしょう。現状では留学生入試は、卒業時期などの違があるし、それほどケースは多くないので、編入試験で対応されているでしょう。

★グローバル教育は多様性を大切にするのですが、その環境は海外研修で創っていくだけではなく、学内の在校生の多様性が生まれてくるでしょう。

★そのダイナミズムを生み出す契機を湘南白百合は、洗足学園とは違う方法で達成するでしょう。それぞれ独自の新たな多様性教育を行うそれぞれの学校の先生方のチャレンジングな試みに、頭が下がります。神奈川の女子私立学校が新しい風を舞い上げるでしょう。

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2023年12月 9日 (土)

2024年中学入試(08)サレジアン国際学園 ドン・ボスコの精神と21世紀型教育がシナジーを生み出している

★昨夜、GLICC Weekly EDU 第154回「サレジアン国際学園ー世界市民を育成する教育環境」が開催されました。同校の教育を形成し実践するリーダーシップを発揮している尾崎先生と久保先生が話されました。同校の先生方が、いかにドン・ボスコに倣いて生徒の未来をいまここに引き寄せて献身的に教育出動しているかが伝わってきました。

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★「セルフネス」なリバタリアンの世界が「セルフレス」の利他主義的な世界に転換しようというソサイエティ5.0の次の世界「ムーンショット計画がイメージする未来世界」における未来学校の先取りをしている学校がサレジアン国際学園だと確信がもてるお話を聴くことができました。

★C1英語やPBL、STEAM教育のコンビネーションは、多くの21世紀型教育と共通していますが、決定的に違うのはドン・ボスコの精神という建学の精神を日々の授業やゼミナールや探究、多様なイベントで染みわたっています。

★IBが10の学習者像を、すべての教育活動で内省して自分の内面を見つめ、そこから世界を救うグローバルリーダーとして羽ばたいていくというシステムと親和性がある教育を21世紀型教育という教育環境デザインによって行っているのですが、IBが10の学習者像が作られる時に、おそらくドン・ボスコの精神をリサーチしたのだろうと推理できるような教育の内容が現われているなあと思いました。

★とはいえ、IBの内省の深さは、どうしても寸どめになります。なぜなら公私問わないので、そこは私立学校としてのサレジアン国際のように生徒が未来に向けてどう生きるかいまここで深めていく内生的技術の探究はなかなかできないでしょう。

★そういう意味では、21世紀型教育の技術では、IB教育のスキルを突き抜けるものがあり、なおかつ世界精神ではOne Earthを包み込む懐の深い精神が育つ学校。おそらく「〇〇国際学園」の中で、世界レベルで突き抜ける学校となるでしょう。

★2027年、新しい学習指導要領の移行措置が始まるころには、みなさんが気になっている大学進学実績においても、国内外の大学で生徒が目覚ましい成果をあげていることでしょう。私自身は、「三田国際」が立ち上がった時、6年経ったら、突き抜けた学校になると予言しましたが、6年経たずにそうなりました。

★同じようにサレジアン国際は、世界レベルの教育でも世界精神の教育においても、世界のリーダーシップを発揮する生徒が巣立つ最高の「世界学園」になっているでしょう。kの預言は、私ではなく人智を超えた計画です。なぜなら、100弱の世界のサレジアン学校と結束するのですから、それは明白に可能なのです。

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2023年12月 7日 (木)

外国人日本人のハイクオリティの技術に浸りながら 未来をここにつなげるピースを見つける

★昨夜は盟友伊東竜さん(一般財団法人日本私学教育研究所)の設定で、あの世界の高橋一也先生と吉祥寺の日本酒の隠れ家で飲みました。私は、イギリス人の杜氏フィリップ・ハーパーさんが醸造した「玉川」をしたたか飲みながら、話に参加しました。

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★ハーパーさんは、オックスフォード大学出身だということですが、30年間かけて技術を磨いたようです。日本文化をこよなく愛したあのジョサイア・コンドルもイギリス人でした。アイルランド人小泉八雲同様、元祖外国人日本人ですね。最近では、日本中を沸かせたバスケットボール男子日本代表の快進撃を支えたアメリカ出身の28歳、ジョシュ ホーキンソンもすっかり外国人日本人です。

★玉川(度数が高かった)をちびちび飲みながら、二人の話を聴きながら、グローバル、東大、京大、生成AI、哲学、文化人類学などのネットワークが、現場につながるピースを見つけていました。

★「玉川」というハーパーさんの人生の泉が、こんこんとそのネットワークをメッシュワークに転換して、ワンピースがみつかりそうな感じがいいですね。

★二次会はショットバーで、スコッチなどをそれぞれ飲んだわけですが、2030年のタイミングでナルニア物語の続きが始まるかもしれません(^^)。ともあれ、未来をいまここにつなぐピースを求めて、孫のために今日も励みます。

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2023年12月 6日 (水)

PISA2022結果に対するメディアの反応 メタ認知でモニタリングを

★PISA22の結果の発表があり、各メディアでそれぞれの角度から語っています。参考にはなりますが、国立教育政策研究所の全体的な報告がまとまるのは、まだこれからですから、少なくとも同研究所の公表している「OECD生徒の学習到達度調査 PISA2022のポイント」の全体を見ながら、考えるのがよいですね。

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★たとえば、毎日新聞 2023/12/5 19:50(最終更新 12/5 20:58) の<数学・科学、好成績でも自信がない 「将来の理系離れ」潜む一因>というタイトルの記事がありますが、ここから、日本の子供は、自己効力感や自己肯定感が低いと一足飛びに理解するのは危険です。

★それにたとえば、シンガポールと日本を比較すること自体、人口のサイズからみてやはり無理があるでしょう。日本の中学生人口のおよそ20分の1の人口のシンガポールの中学生と比較しても、あまりにも具体的状況も文化も価値観も違いすぎます。もちろん、同記事の次のリード文にあるように今後日本の教育の改善点などをみつめるヒントにはなります。

「経済協力開発機構(OECD)の2022年の国際学習到達度調査(PISA)で、日本の読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野は順位、得点のいずれも上昇した。義務教育段階の学力の高さが示されたが、好成績からは見えにくい、日本の教育の課題も横たわっている。」

★しかし、改善点が見えればポジティブに対処すればよいだけです。それに上記の図のような結果もあります。数学得点がOECD平均を上回り、教育の社会経済的公正性(Fairness)がOECD平均を上回るとあります。つまり、相対的に格差が小さく数学得点が高いのが日本であり、シンガポールのように得点は高いが、公平性は低いつまり格差があるというのとは違います。

★もしかしたら、同記事がいう「自信」は競争主義的な雰囲気にはちょっと興味がないという控えめの気持ちがあるのかもしれません。だとしたら、それはそれでちょっとおもしろいとなります。

★いずれにしてもそれぞれがメタ認知でモニタリングすることが大切なのは、今更言うまでもないでしょう。ですから、OECD・PISAの結果がこうなのだから学校はこうしなくてはならないなどというのはヤバいです。あまりに具体的状況が違い、その違いが細かくデータに反映することはないからです。

★では、なんのために、PISAはあるのか?教育の質とは何か?社会課題の中で、人間はどうすべきか?そのような思考をめぐらしアクションプランをたてるときのトリガーとして大いに役立つでしょう。でも、改革のための決定的なエビデンスではないでしょう。

★要するに、PISAの結果がこうだから私の改革は正しい、それについてこれない教師は生き残れないと排除を前面に言い立てるような人権を侵害する恐れのある危うい言説に注意しようということです。

★国立教育政策研究所の先生方も、いろいろな解釈はあってよいけれど、短絡的にならないように多角的にみて判断してほしいと思っているでしょう。

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2023年12月 5日 (火)

今後の中高における生成AI活用の重要性

★「授業に生成AI」大学の3割開始、使う力育む 日経調査(日本経済新聞 2023年12月2日 5:00)」に次のようなリード文がありました。「日経新聞が9〜10月に実施した全国の大学学長へのアンケートで、学部教育での生成AI活用状況を尋ねた。31%の164校が活用中、11%の61校が活用予定、検討中や未定の大学が43%の224校あった。未活用や予定がない大学は13%の68校だった。」

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★この勢いは止まらないでしょう。「収穫加速の法則(進化の速度は本質的に加速度を増していく)」さながら、生成AIの大学の授業での活用は指数関数的に進化するはずです。

★となると、中高でも生成AIのリスクを回避するルール作りをしながらも、積極的に創意工夫して活用していく今の流れはもっと強くなるでしょう。

★そして、中高でこの生成AIを活用することの意味は2つあります。

1. 本質的な学びを多くの生徒に体験させることができる。

今、プロンプトエンジニアリングという、生成AIに適切な問いを出し続けることによって生成AIから優れたプロダクトを出させるスキルを学ぶ研修が広がっています。これは、結局学びの本質である「問いをつくる」スキルをトレーニングすることになると認識が広まることでしょう。すでにこの動きをしている中高もあります。

最近「探究」「哲学対話」が注目されていますが、そこでも「問いをつくる」ことの重要性が説かれています。

この「問いづくり」のco副操縦士として生徒が生成AIと「問い合う」ことによって、思考力を鍛えていけると、最近は認識されています。

企業では、「プロンプティ」というプロンプトエンジニアリングのマニュアルのようなサイトをつくってそれを運営するところも出てきました。このような流れは教育においても広がるでしょう。

2. 実益的な話:総合型選抜、情報Ⅰで生成AIについて問われることになる。

大学の授業で生成AIが活用されるよういなると、大学入試で、特に総合型選抜や情報Ⅰで、生成AIについて問われるようになります。

また、今どの学校でも取り組もうとしているのが、推薦書を生成AIと創ることによって膨大な推薦書づくりの時間を圧縮し、その分生徒の面談や口頭試問の指導に時間を割こうという動きがでています。いやすでにそういう動きがでてきています。

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2024年中学入試(07)今年も工学院は人気 共感的コミュニケーションの可視化 生成AIだからこそ

★工学院は、今年も人気ですが、たぶん量というより質的人気に変換していると思います。というのは、工学院の先生方と対話をしていると、その質に磨きがかかっていて、そこに参加しているだけでwell-beingな雰囲気に包まれるからです。

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★中野校長の3F(フラット・フリー・フェア)を作り出す雰囲気が、たとえば、教務主任田中歩先生の共感的コミュニケーションを周りに感化していく相乗効果が生まれています。

★この共感的コミュニケーションは、3Fで話し合っていると心理的安心が維持されるというのが一般的な理解でしょう。しかし、そのコンフォートゾーンに閉じこもっているといつのまにか壁を周りにつくってしまうというリスクもあります。

★抑圧的コミュニケーションは、リスクではなく、すでにその状態が心理的クライシスを生み出しているからとてもまずいので、これに対して3Fで話し合う共感的コミュニケーションはクライシスを回避できます。しかし、いつのまにかそのクライシスが訪れるリスクを避けられないのです。

★ところが、田中歩先生は、中野校長と問い合いながら、回答はすぐには出さないのですが、機が熟すと話し合って問題解決をしていきます。そして、皆が腑に落ちる分かち合いをリフレクションという形で循環していきます。

★だから、教師も生徒も冒険心がふくらみます。実際に冒険に行って成功しても失敗してもまた共感的コミュニケーションのコミュニティに戻ってきて、成功者は鼻を膨らませてその成果をプレゼンし、みなにたたえられます。失敗者は、事の顛末を打ち明け、皆に分かち合ってもらい、再び勇気を取り戻します。

★このような世界を創る対話=共感的コミュニケーションが工学院では回転しているのです。

★これについては、shuTOMO12月号で書きましたが、そのときには、この図は思いつかなかったのです。書き上げた後、田中歩先生と対話をしていたら、歩先生が生成AIの効用の話と吉田幸司先生の哲学シンキングと哲学思考の2冊を読んで、自身の対話をモニタリングしているというのをお聞きして、そこかあ~と図が降った来たのです。

★いつも刺激を歩先生!ありがとうございます!これ広めていくのをお手伝いさせてください!

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2023年12月 4日 (月)

2024年中学入試(06)湘南白百合の海外大学進学準備教育

★首都圏の中学入試は、帰国生入試から始まります。したがって、すでに静かに激しく中学入試は開幕しています。湘南白百合も帰国生を受け入れる学校として有名です。しかし、同校を選ぶ帰国生は、少し志向性が教養を重んじる傾向にあるかもしれません。多くの帰国生はリバタリアニズムの傾向があります。J.S.ミルやハイエクの政治経済志向性ですね。ところが湘南白百合はミッションスクールとして利他主義的価値観がベースにある家庭環境かもしれません。今まではリバタリアン主義が政治経済の中心でしたが、世界の多様なリスク回避のためにこのケアをベースとした利他主義的政治経済発想も注目されています。SDGsの動きはまさにそうです。

【帰国生の学校選択志向性4タイプ】

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★最近では、東大の帰国生対象の入試問題(帰国生対象だから一般的には知られていない)では、グローバル経済の格差を生み出す原因を具体的に分析せよ、そのうえで、グローバル経済でも格差を生まないということは可能なのか考察せよという小論文の問題を出題しているぐらいです。

★それはともあれ、湘南白百合は、帰国生の学校選択志向性のタイプとしてはAに相当します。どのタイプがよいのかということはまったくありません。あくまで受験生の志向性の話です。

★それにきっちり4タイプにわけられません。AとBは共通する部分も多いでしょう。また、Cにあてはまる学校は少ないと思います。

★Aタイプの興味深いことは、同校の米国のリベラルアーツ大学に進学したOGのロングインタビューをご覧になっていただければ了解できると思います。高2まで医学部に向かって学んでいたのが、高3になってシアターアートを学びに米国に行くと決めるのです。日本でシアターアートを学ぶというとすぐに俳優を目指すのかとなりますが、そんなことはないのです。

★ダンスやドラマの歴史や文化人類的見方など、リベラルアーツ的なアプローチをするわけです。その広がりと深さは、湘南白百合のグローバルな探究プログラムにうまく接続していて、帰国生から見たら、湘南白百合はグローバルスクールとして自然体の佇まいを感じるでしょう。

★それにしてもそのOGは、高3になってから海外大学に行くことを決めてハイレベル英語を学んでいくのですが、一気にCEFRでB2(英検で行けば準1級)レベルのIELTSのスコアをとってしまうのですから、湘南白百合のグローバル教育の底力はすさまじいですね。

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2023年12月 3日 (日)

2024年中学入試(05)小泉信三賞が認める富士見丘の高校生活

★12月1日、第48回小泉信三賞全国高校小論文コンテストの審査結果が発表されました。その2位に富士見丘の高2の宮台さんが栄光を手にしました。このコンテストは、もはや説明する必要がないほど有名ですね。今回宮台さんが2位として認められたことは、実は人生の中で高校時代のあるべき姿の環境として富士見丘が抜群によいのだということも示唆しているのです。

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(写真は、慶應義塾大学サイトから)

★というのも、今回の課題は以下の4つで、そこから選択して6000字から8000字もの長文の論文を書くのです。宮台さんは、3を選びました。

1.物語の力・声の力
2.社会の中の格差
3.人生の中で高校時代はどうあるべきか
4.フクシマ(Fukushima)
5.学問×AI×福澤諭吉

★上記の5つのうち3以外は、個人研究に終始してもできるのですが、3は自分以外に高校の教師、仲間、環境などすべての自分とのリアルな関係性をベースにしなければ書けないので、なかなかハードルが高いはずです。なぜかというと、論文である限り、どこかメタ認知的視点で書く必要があります。

★しかし、3のテーマは、あまりに身近で日々のリアルな生活の中での話ですから、メタ的に俯瞰する視点をもつのは困難です。よほど多角的な視点を持っていなければ6000字以上も書けないでしょう。したがって、それだけ富士見丘の高校生活の時間というのは、宮台さんにとって日々多次元であるはずなのです。

★中1から始まる「個人探究」、中3からはじまるプロジェクト、高1から始まるゼミナール形式のプロジェクト、多様な海外研修やWWLやSGHのネットワーク校との知の祭典など他校では経験できないような多次元の経験がつまっている密度の濃い中高時代の環境をデザインしているのが富士見丘です。

★宮台さんを含め今回の受賞者は、次の通りです。


【小泉信三賞】
浦上 真緒(うらかみ まお)栃木県/栃木県立宇都宮女子高等学校1年【選択課題:5】
「『表層的クリエイティブ』からの脱却~『令和時代の実学』を問う~」

【次席】
宮台 はびる(みやだい はびる)東京都/私立富士見丘高等学校2年【選択課題:3】
「『時』を捉え、『時』を紡ぐ」

【佳作】(五十音順)
青山 直樹(あおやま なおき)東京都/私立海城高等学校1年【選択課題:2】
「若者の貧困への考察 -『官民共同』を通しての解決へ-」

福井 愛朝(ふくい まあさ)千葉県/私立市川高等学校3年【選択課題:1】
「希望の物語、つなぐ声」

宮田 康生(みやた こうき)東京都/私立ドルトン東京学園高等部2年【選択課題:4】
「原発事故を踏まえた福島から考える日本のエネルギーの在り方」

★それにしても1位と2位は女子校の生徒です。世界の先進諸国では共学がある意味常識かもしれません。しかし、まだまだ日本では女性の社会進出にはガラスの天井があります。その中で、今回の結果は、希望がもてますね。

★宮台さんは、この日本のまだまだ女性に対するアンコンシャスバイアスがある社会構造にあって、それを打破する叡智を学べる女子校富士見丘であるべき高校時代を過ごしているのでしょう。日本における女子校の役割はまだまだこれからです。それを宮台さんは証明していると思います。おめでとうございます。

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2024年中学入試(04)サレジアン国際学園世田谷 画期的な「国際学園」

★サレジアン国際学園世田谷の教頭 小西恒先生、教務部長 村井純先生、インターナショナル推進部長 上田かおり先生からZoom上でお話をお聴きすることができました。その時の模様は、<GLICC Weekly EDU 第153回「サレジアン国際学園世田谷ー世界市民力の育成」>で視聴できます。ぜひご覧ください。

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★今回はっきりしたことは、「国際学園」というのは、私立公立問わず日本中にいっぱいあります。その中で、最も先鋭的なそして海外大学進学でも相当な実績を出している「三田国際学園」に最も近い教育を行っているのがサレジアン国際学園世田谷だということです。

★ですから、三田国際と共通した教育の質や効果を生み出すことは間違いありません。しかし、「サレジアン」ですから創設者ドン・ボスコの精神を中心としたカトリック精神がベースです。

★三田国際は、日本の私学人が創設していますから、両校の生徒のメンタルモデルに影響する価値観が違います。

★サンデル教授なら、三田国際を設立した私学人はJ.S.ミルやハイエクに代表されるリバタリアニズム的民主主義的メンタルモデルかもしれない。一方サレジアンは、利他主義的民主主義のメンタルモノデル、つまり共同体主義(コミュニタリアニズム)的なメンタルモデルの影響を生徒は受けるだろうと。

★日本のミッションスクールではない多くの私立学校は、その創設者をたどるとどちらかというとヨーロッパ啓蒙主義か英米功利主義的な理念に基づいています。

★1985年以降中学受験がどんどん拡大してきたその時代のエンジンは新自由主義経済が驀進していましたから、ヨーロッパ啓蒙主義や英米功利主義は、そのデメリットを問題解決しながら、中学受験の流れを創りました。ミッションスクールの中でも、プロテスタントスクールは、もともとマックス・ウェバ―の「プロテスタンティズムの倫理と資本主義」にあるように、このような経済の流れに親和性があったと思います。

★ところが、カトリック学校は、利他主義的ですから新自由主義的な貧困格差を生み出す流れに控えめでした。それがゆえに、徐々に人気が失われていきました。そのために、そこを脱するために幾つかのカトリック学校は、東大にたくさんいれることによって、それを盾にカトリック教育を持続可能にしようとしました。しかし、東大の定員は3100人くらいなので、そこに合格させる教育にはおのずと限界があります。カトリック学校の中で人気格差がついてしまったのです。

★しかしながら、2011年の3・11以降、この新自由主義的経済が貧困格差をあまりに生み出してしまったことに私たちは気づきました。そしてそのような流れが徐々に拡大してきたわけです。今では、あの開成でさえも東大の合格者数で学校を評価する時代は終焉したのだと語るようになってきました。つまり、その背景にはSDGsを中心にOne earthの感覚がグローバルリーダーの価値観になってきたということでしょう。1つの地球・1つの自然・1つの人類・・・。なんと利他主義的社会への転換がおきています。

★ここにサレジアン国際世田谷の誕生なのです。であれば、すべてのカトリック学校にチャンスがあるのではと思われるかもしれません。しかし、そうはいかないのです。マインドだけでは世の中の問題を解決できません。スキルが必要です。そのスキルは、しかもAI時代にあっては、そのAIのスキルを凌駕するメタスキルとメタ思考力が必要です。

★つまり、このメタスキルやメタ思考力を育成する教育が21世紀型教育です。

★サレジアン国際学園はカトリック精神と21世紀型教育を結合した画期的な「国際学園」なのです。

★教養や見識のある方は、ICT業界で、欧米はAI時代を黙示録的方向性で問題解決しようとしているし日本は鉄腕アトム的方向性で問題解決しようとしていると語ります。AIに対するルールメーカーは欧米の知であり、AIを実用的なものづくりに転換できるのが日本の知だと。

★これは欧米はソフトパワーで日本はハードパワーだと置き換えられます。これでは、また20世紀日本の社会的枠組みをAI道具で引きずるだけです。ソフトパワーもハードパワーも統合できなければなりません。日本が文系と理系に分けてしまうのは、ハードパワー主義だからです。ソフトパワーは文理融合のクリエイティビティが必要ですが、クリエイティビティはモノにならなければ実装できません。ですからソフトパワーvsハードパワーの構図では格差を生まれてしまいます。

★ここには大きな課題が隠れています。2030年になるとこのソフトパワーとハードパワーの統合価値が表に出てくるでしょう。バックキャストするとサレジアン国際学園世田谷の価値が世界からも注目されていることでしょう。

★21世紀型教育を仲間と一緒に共創した私としては、今後のサレジアン国際学園世田谷の進化をワクワクしながら注視していきたいと思います。

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2023年12月 2日 (土)

2024年中学入試(03)昭和女子大学附属中学校・高等学校 どこよりも進化する生徒プロンプトエンジニア

★本日14:30から大妻女子で、「生成AIで先生の業務を効率化!学校教員・教育関係者向け生成AI公開研修」が開催されました。主催は、特定非営利活動法人ニュークリエイター・オルグ、株式会社ニュークリエイター。いろいろな学校で生成AIを活用した研修や授業設計、教務の仕事の効率化のコンサルあるいはアドバイスを行っているようです。今回の研修は定員は45名で、会場は満席でしたから大盛況でした。

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(昭和女子大学附属中学校・高等学校の校長真下峯子先生:写真は同校サイトから)

★協力は、大妻中学高等学校で、同校校長梶取弘昌先生、教頭の赤塚宏子先生も参加されていました。実は、東京私学教育研究所の実施する研修の委員会の一つ「学校づくり委員会」の座長が梶取先生で、毎月のように生成AIについて委員の先生方と<インベスティゲイション>しています。

★その梶取先生が協力しているAI関連の研修ですから、これは参加しなくてはというのが、不勉強な私が珍しく参加しようと思った理由の一つでした。それから、もう一つ決定的な理由は、昭和女子大学付属中学校・高等学校の校長真下峯子先生が登壇されるというので、ぜひお聞きしなくてはと駆け付けた次第です。聖パウロの校長小島綾子先生や国語科主任の高橋祐佳先生も参加してくれました。

★第1部、第2部は、生成AIのプロンプトエンジニアリングをベースとした基本的なメカニズムと実際に学校業務に役立つプロンプトエンジニアリングの実習でした。

★帰り道、国語科主任であり、聖パウロ学園のICTのマネージメントをしている高橋先生が、教師の視点から生徒の視点へぐっとシフトしたと大きなヒントを得ていたようでした。

★ようやくプロンプトエンジニアリングという言葉が学校現場にも降りてきたかとほっとした気分になったのが今回の研修の実務的な意義がありました。

★しかし、何より圧巻だったのは!痛快だったのは!真下先生の講演でした。学校におけるDAOの組織の広がりの速度感を感じざるを得なかったのです。生成AIに対する教師の凍てついたアンコンシャスバイアスを解凍する熱い意志と多くの外部団体の協力を取り付ける熱い情熱。

★文系理系なんて区別はそもそもはいのだという迫力。凄いです!しかも、プロンプトエンジニアリングは、問いづくりの妙技だから、言語能力にたけた文系女子には実は理系への道を開く強烈なアイテムなのだと。論より証拠、生徒が1時間の研修である学びのプロンプトを作り上げてしまったのだということです。どんどん生徒がプロンプトエンジニアになる研修を広げるプランニングをしかけているそうです。

★しかし、そのためには組織を動かし、保護者の心を動かし、生徒の才能を開放していくコンセプトとビジョンを描き実行することなのだと高らかに謳いました。

★もちろん、その道はそう簡単ではない。しかし自分の生きている間にそれを果たすのだというなんという気概とミッション。昨日、バンクーバーから帰国したばかりとは思えないくらいインパクトがありました。

★私の知り合いに女性校長が何人かいますが、共通点は21世紀は女性の才能・知性・感性が日本だけではなく世界の閉塞状況を開くのだという強い意志があることです。東京の私立学校は、真下先生をはじめとする女性校長が、グロ-バルでイノベーティブでケアフルな人材をたくさん生み出す人的資本教育経営を推し進めていくのだろうと確信をもった時間となりました!この機会を創ってくださった皆様に心から感謝申し上げます。

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2024年中学入試(02)富士見丘 中学説明会 参加者大幅増!

★本日午前中から富士見丘は、中学学校説明会とチャレンジ入試体験を開催。同校の人気は右肩上がりです。データではわかっているものの、実際に臨場感をと、説明会の部に参加しました。すると、コロナ前だったら、少林寺の部活の練習場にもなっていった小ホールで行われていたのが、今回は体育館というメインアリーナで開催されていたのです。つまり、小ホールには入りきれないというわけです。

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★実に勢いを肌で感じました。開会まで時間があったのですが、そこで同校の生徒の生活がよくわかる動画が流されていました。2つ動画があって、一つ目はミュージカル風の学校の様子を紹介するものです。在校生がだんだん集まってきて、いろいろな施設ですてきなダンスを披露するのです。もう一つは、学校説明会然としたきっちりした動画でした。驚いたのは、広告代理店が創ったと思ってみていたのですが、途中で生徒が作成したものだと。なるほどSTEAM教育効果がこういうところにも発揮されているのかと感動。

★理事長・校長の吉田先生の挨拶も、壇上からではなく、目線を保護者と合わせる位置から離されていました。もっともこれは以前からそうで、慶應義塾の歴史的なルールですね。おそらく吉田先生の出身大学は慶応なのでしょう。

★みなさんが高校卒業を迎える6年後は、大学入試制度はかなり変わっていて、骨太の記述力や高度な英語力が必要になっていると明快に予想していました。だから、偏差値など気にせず、富士見丘で学びたちという意志を持って受験してほしいと。6年後のみなの夢をかなえられる教育を先生方と一丸となってつくっているのだと。

★そのすぐ後に進路指導について話された関根教務部長は、校長のトークを受けて、そのような準備が今からできているのは、富士見丘をおいてほかにないと言い切っていました。

★国内外の大学進学実績を観れば、それは大いに納得のいく話でした。

★そして、圧巻だったのは、中1生2人による富士見丘の学園生活のプレゼンでした。特に驚いたのは、授業で使われているロイロノートのアプリを使いながら、どのように個人探究と協働探究が授業の中で行われているのかその操作とプロセスを説明していたところは時代の変化を印象付けました。

★中1でこれほどまでだと高3になったらそりゃああのような大学の修士レベルのディスカッションや論文を書けるようになるはずだよと一人納得していたら、理事長補佐・校長補佐の吉田成利先生から、速報メールが届きました。今年の慶應義塾大学の論文コンテスト小泉信三賞の2位が同校の高2の生徒だったというのです。

★小泉信三賞は、慶応大学だけではなく、他の大学でも総合型選抜の時などのプロフィール要件としては大きなアドバンテージがあることで有名です。このことについてはまたいずれ書きたいと思います。

★このように、あらゆる機会を自分の探究を広め深めるチャレンジの場として超主体的に活躍するするのが富士見丘の生徒だし、一人一人サポートする同校の先生方なのです。

★学校をいま目の前の偏差値で選ぶのか、6年後の未来から選ぶのか。受験生の保護者にとっては、いよいよ意志決定の時期です。がんばってください。

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2023年12月 1日 (金)

2024年中学入試(01)國學院久我山中 理科の入試問題 骨太に進化

★國學院久我山中学校のサイトにに入ると、「国学院大学久我山中学校入試 理科変更点」というページにすぐに進めます。<入試問題作成のコンセプト>は次の通りだということです。


中学・高校で理科を学ぶために必要である学力を問う
1 小学生が学ぶ理科の知識の定着
2 文章やデータをしっかりと読み取り、理解することができる読解力や思考力
3 2で理解した事象の定性的に説明できる表現力と定量的に求めることができる計算力

★そして、2と3に力点を置くと読み取れる変更内容が先のページで書かれています。また変更と対策に関する動画もリンクされています。

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★STクラス入試の説明箇所で、「令和4年度入試から大学共通テストで問われる「思考力」を問いたいと、作図・説明の記述・グラフをかくなどの問題を出題している」と注意書きがあるくらいですから、骨太の科学的なリテラシーや思考力を問う問題が出題されると推察できます。

★また、一般・CC クラス入試の出題形式は、「大問1にあった小問集合をなくし、大問数を4題とする。これまで大問1で問うていた知識問題
を、これらの大問の中で出題する。そのため大問1題につき小問を1~2問増やす。」となっています。知識と定性的・定量的洞察力を関係づけた総合的な科学的リテラシーや思考力にシフトするということでしょう。

★今のところ大学入試は、学推薦型入試を行う学校が増えたとはいえ、定員枠で行けばまだまだ一般選抜です。ですから、同校は、その実態に沿った学ぶ力を身につけるカリキュラムをマネジメントしているのでしょう。ですから、中学入試問題の教科試験の中に、将来さらに増えるかもしれない総合型選抜にも対応できる素養を身につけてきて欲しいというメッセージを反映することになるのだと推察します。

★さらに、AIの時代到来ですから、理数的知性は大切です。大学進学を超えて、生徒の未来に役立つ知性を磨きますよというメッセージも今回の理科の入試問題の骨太進化にはメッセージが込められているのでしょう。

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どうする東京の私立学校2024

★学校法人北里研究所と学校法人順天学園の合併の協議にはいるというプレスリリースはものすごい反響です。1つは医学部のある大学と附属という最強の連携だし、順天の破格のグローバル人材輩出力と豊かなケアの精神を育む中等教育との新結合はようやく日本の従来のピラミッド型の大学階層構造が世界の大学に追いつけない壁を破壊的創造する大きな契機になるからです。

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★最近、来年以降の私立学校のチューニングを上記のような表で示して、「どうする東京の私立学校2024」をお会いする方と「問い合い」をしています。順天の学校長長塚先生とも昨日「問い合い」ました。長塚先生とは、久しい間コンピテンシーベースのルーブリックと私たち仲間がアップデートし続けている「思考コード」との関係性を「問い合って」きました。回答はそれぞれの識者や学校が創造していくので、私は「問い合い」でよいと思っています。

★長塚校長は、この方向性も当然含んだうえで今回の合併はいくのだと、具体的には今までの成績スコアではなく、コンピテンシーでつながるようにするのだと。だが、この考え方はなかなか広まらないから、待っていないで、自分たちの新しいカタチを創っていくのだと今後の統合体の新しいステージの創造に意欲と気概を示していました。

★昨日は、日私教研&東私教研所長の平方先生(わが上司)ともこのWMS(Worid Making System:教師と生徒の内的知のメカニズム)実装したグローバル市民としての日本の子供たちと共有していく運動体の基礎作りを来期以降していこうと議論しました。結構長い時間ディスカッションしました。

★東京の私立学校の教育市場は、実は、県外の通信制学校がサポート校を東京に設置して、東京都と東京の私立学校のさまさまな紳士協定を無視する傾向が強まっています。東京の教育コモンズに侵入してきています。そしてそのような動きを礼賛する県外の私立学校の有名校長もいます。さて、「どうする東京の私立学校2024」なのですが、制度的正当性を教育行政としての政治力学を生み出しながら動くことと何より豊かで強靭で人類愛に満ちた教育力で世界の自由と平和と公平性を牽引するグローバルリーダーシップを私立学校出身者が各界で発揮でいるスキルとマインドとコンピテンシーが身につく機会と環境をデザインする以外にないと。

★これぞWMSのミッションです。

★このミッションについて東私教研(東京私学教育研究所)のリーダー佐瀬さんとも「問い合い」ました。3時間くらいのディスカッションとなりましたが、方向性は一致しました。どのような研修プログラム(東私教研の研修は年に約80種類あります)になっていくかは、東私教研のサポートする各研修委員会の東京私学の先生方(委員のメンバーである東京私学の先生方は120人くらいかかわっています)との対話によってデザインが形になっていきます。今年度も画期的なプログラムが増産されています。新しい研修スキルやマインドが共創されています。今後がますます期待できます。

★そして、夜、21世紀型教育機構の教育研究センターの主任研究員の田中歩先生(工学院教務主任)と同機構参与の伊東竜さん(日私教研メンバー)と21世紀型教育機構のSGTとWMSを共創する活動をしようよという結構具体的なプロトタイプをメールで「問い合い」ました。お二人とは、様々なプロジェクトの同士なので、これまですでに試行錯誤してきた生徒の才能を開いていく知の実装の統合体としてのプログラムであることが阿吽の呼吸で理解し合え、新たな展開を「問い合う」ことができました。対話ベースの学びが、CEFRや思考コードと関連し、生徒の問い生成の自走、生徒の哲学シンキングの自走を支える「問い合い」コミュニティができるというイメージを共創できました。

★このWMSは、地球上のすべての子どもたちが実装できる最小で最大の効果を生み出す知の内的なメカニズムです。ノートパソコンとスマホと自分という身体があり、リアルスペースとサイバースペースの往還をしながら、哲学的で共感的な対話ができれば成り立ちます。もちろん生成AIは善きパートナーです。

★おそらく優勝劣敗主義者には、理解されないだろうというのは、私たちは重々承知です。しかし私立学校の使命は、優勝劣敗ではないのです。もちろん、思考コードやこのようなミッションを、かげでまやかしだと叫んでいる人もいます。明治の日本の教育は東大の初綜理の優勝劣敗宣言からその部分は変わっていないので、そのような思想に汚染され続けてきたというのも歴史的な流れでしょう。しかし、その初綜理の考え方に真っ向から「否」を唱え、私立学校を創設した私学人がたくさんいて、そこから連綿と続いているのです。

★私は、戦後教育基本法改正前夜、麻布の前校長氷上先生にその≪私学の系譜≫を学び、それ以来受け継ごうとしてきました。それが私の「私立学校研究家」というライフワークの名称で、これは私の無形資産だと思っています。

★それを仲間と形にしたのが21世紀型教育機構です。いまでは、誰でもが21世紀型教育と語ります。私たち仲間は、自分たちが起爆剤になっていることを静かに内的誇りにしています。21世紀型教育機構の同盟校から輩出される哲学的起業家たちの活躍を誇りに思っています。

★次のステージは、WMSを目指します。海外の大学にいくと日本の学歴社会を超えられるなどというアホな考え方は私たちはしていません。だいたい、世界の大学で学んだエリートたちが治めていても、ウクライナやイスラエルのような問題がおきているし、核の問題も気候変動の問題もなんら解決していません。

★しかしながら、WMSを実装した世界中のグローバル市民はいます。そのような問題の氷山モデルの海面の目に見えない根本問題を見ぬき、どうしたらよいか問い合いながら対処療法もしながら、根本的な解決を求めて考動しています。

★そのような市民が増えることがレバレッジポイントになります。私立学校の人的資本経営は、そのような人々を増やす仕掛けづくりなのです。

★21世紀型教育機構が軌道に乗るに8年(2011年から2019年)かかりました。パンデミックに突入して、21世紀型教育の有効性に多くの人々が気づいたというのは、なんか皮肉なことですが、リスボン大地震のときに啓蒙思想が開花したのと同じような感覚です。

★生成AIが世の中の表舞台にでてきたので、8年はかからないと思います。WMS実装の時代は3年くらいで軌道に乗るといいですね。

★1995年のウインドウズ95が世に出てから、2010年まで15年で、新しい教育の転換意識がやっと広まり、それをテコに21世紀型教育が8年かけて広まったわけですから、次のステージは5年くらいかかりそうですが、生成AIのスピード感はさらに速いので、期待しています。

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