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2023年11月 9日 (木)

成城学園 文化人類学的体験を通して哲学する

★前回は、C1英語の学びは日本の教育を変えるレバレッジポイントになると話しました。なぜなら、無意識のうちに英米の哲学的シンキングが身につくからです。東大の松尾豊教授や千葉工大の伊藤穰一学長のように、AIも人間も多言語であれば能力の精度は上がるのだと語るのも、メタ哲学とかメタ思考が互いに相互補完するからです。実はこのメタ思考の相互補完が大事であれば、C1英語に限らずいろいろあるのです。

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 GLICC Weekly EDU 第146回「成城学園中高 つながる体験学習ー自然体験、海外体験の意味」

★たとえば、成城学園の教育が格好の例です。相互補完する教育プログラムが多すぎて、最近GWE(GLICC Weekly EDU)で、同校の青柳先生のお話は、一つのテーマを深堀するのがルーチンになってきました。説明会では概要の話にならざるを得ないのでしょうが、動画では1つのテーマを深堀することができます。

★最近では、成城学園の6年間通しての体験プログラムのデザインについてお聴きできました。すると、なるほどこれは文化人類学的な体験だなと感心してしまいました。ロジカルシンキングはもちろん大切だし、ふだんから成城学園は実施しています。

★しかし、そのような「科学的思考」ではとらえきれない、レヴィ・ストロースが見出した「野生の思考」を体験の中で開発していくのだということがわかりました。「野生の思考」とは最近のフレーズでいえば「非認知能力の思考」ということでしょう。

★レヴィ・ストロースは、「科学的思考」と「野生の思考」のバランスを考えていたと思います。まさに両思考様式の相互補完ですね。

★実は、別のGWEの回では、青柳先生は、国語の授業の中でトウールミンモデルを活用しているとお話しくださったことがあります。京大の松下佳代教授も「探究」の中で、推奨している手法ですね。松下教授の中でも「探究文化」と「受験文化」の相互補完の話が出てくると思いますが、要は相互補完ですね。それがあるから一つの方向性に固執しない「訂正する力」が東浩紀さんではないですが作動するのでしょう。

★それはともあれ、トゥールミンモデルも、イギリスの分析哲学者トウールミンの開発したモデルです。まさに哲学シンキングそのものなのです。

★ですからC1英語ではなくても、青柳先生のようなC1日本語をトレーニングする授業があれば、メタ哲学が作動して、体験とメタ哲学が相互補完し合うわけです。このC1日本語をもってして、生徒が他教科を学ぶと自己組織化された教科横断が生徒の内面で作動するのです。

★おそらくそのような生徒は多言語に関心を持つでしょう。大正自由教育から今もその燈を燃やし続けている成城学園の日本の教育における歴史的意義はこういうめちゃくちゃ具体的状況に生きているのです。この具体的状況という生の中に浸って教育を創り続けている教師の存在。これこそ、具体的生の中で、教師や生徒という仲間と共に生を創り上げる文化人類学的所業であり、そしてその中で哲学する姿です。今、シリコンバレーで文化人理学的なアクションとその中で思考する哲学シンキングが重要だとされていますが、成城学園はすでに大正時代から行っていたのです。

★なんといっても、100年前に生まれた文化人類学は、デューイと相互補完関係にあったのですから当然です。

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