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2023年10月13日 (金)

中学入試コミュニケーション(02)国語の入試問題を通して

★私立中学における国語の入試問題は、各学校の建学の精神と言語の学びの土台が反映しています。入試問題を学ぶとき、漢字などの言葉の知識問題、文の組み立てや文法問題、物語の読解問題、説明的文章の読解問題などが取捨選択されて組み立てられています。

★たしかに各学校の建学の精神や校風など考慮しなくても得点はとれます。そこは日本語を扱っている以上、どの学校の国語の教員も共通している日本語のルールが反映しています。

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(イラストはbing)

★しかし、ルールはいくつかあるのですが、学校によってそのルールの取捨選択・組み合わせは違います。漢字の組み立てであろうが、文の構成だろうが、文章の構造だろうが、次の基本的なルールの視点は共通しています。

① 比較というルールの視点
② 関係性(因果関係・相関関係・矛盾関係など)というルールの視点
③ 対照的(反対の関係・逆説の関係)というルールの視点
④ 具体と抽象のルールという視点
⑤ 置き換え(同内容・比喩・転換・変容など)というルールの視点

 

★きっちりわけられないじゃんと迷う生徒もいます。まさしくそれは言語の謎であり、言語学(ちとおおげさかな)の難問なわけです。迷う生徒はいきなり「心の目」が作動しています。

★ともあれ、これを生徒が自分なりの分け方で納得するのがトレーニングです。この5つの分け方を覚えるのではなく、漢字の熟語や文の構成、文章の構造を5つのルールで読解したり、論述したりできる自分の言語生活の関係性の基準をつくることです。

★言語と言語の関係に生活がかかわるのですから、個人によって違いますが、その違いが入試問題で影響することは10%から30%くらいです。満点がなかなかとれないのは、生徒自身の言語生活の関係性と受験する学校の言語生活との差異があるからです。

★この差異が少ないと、その学校の国語の教員と相性が良いということでしょう。しかし、合格するには70%あれば十分なので、相性が合う合わないは、あまり意識されることはないのです。

★①から⑤のルールは、実はなんてことはない、接続語(接続詞や助詞など)の種類に似ていますね。そうです。言語はアナログのようで、実はデジタルで、それをつなぐときは、つなぐ言葉が必要だし、明示されていなくても、時間順序や重みづけという、意味によるつながりというものがあります。

★このルール実は、外国語でも同じなのです。それぞれの言葉の使い方は、当然違いもありますが、リーディングの時にあるいはライティングの時に、ディスコースマーカーを参照するというのがありますが、これは上記の5つのルールに大部分重なります。

★ただ、英語の説明的文章の場合は、パラグラフの枠組みや文の配列というものや具体と抽象の関係が見えやすいので、必ずしもディスコースマーカーを注視しない方法を提唱する人もいるようですが、編集の時には、このディスコースマーカーを無視することはできないでしょう。

★さて、前回話した5つの目ですが、きっちりわけられませんが、このような分析をする目は「鳥の目」です。「比較」は「虫の目」、「関係性」は「魚の目」、「対照的」は「コウモリの目」、「具体と抽象」は、これもまた「鳥の目」、「置き換え」は「心の目」を受験生の内面に開眼します。

★この5つの目を具体的に言語のルールで開いていくことで、物事をしっかりと観察し、洞察し、問題を発見することができます。解決策を組み立てるのも、この5つのルールなのですが、5つのルールの中で、魚の目である「関係性」がなかなか厄介です。

★物語の読解で、多くは、まず人物の行動と心情連鎖を因果関係的にとらえていく問いが多いのですが、麻布のように、もちろん因果関係もありますが、その因果関係が複雑な人間関係の中で矛盾する関係にいたるところをどのように読み取るかは、なかなかの難問です。

★「置き換え」も同内容としての置換ではなく、変容の置き換えの場合は、鳥の目と実は魚の目の複眼思考で考える必要に迫られる場合があります。これも麻布の国語の問題では出題されます。それから、武蔵の国語の問題もそうですね。とはいえ、その問いができなくてもほかの問いができていれば問題ないのですが、麻布や武蔵の国語の教員の言語に対する考え方・物の見方・感じ方に対する姿勢が入試問題から見えます。

★そして、この矛盾関係や変容の置き換えなどは、建学の精神が現れるところですね。

★最近では、100字から200字くらいの問いが出題される学校が多くなってきました。ルール①からルール④を自在に使えるかどうかを確認しています。これも複眼思考が必要で、やはり建学の精神が反映される問いの場です。

★ルール①からルール⑤すべてを自在に使える要求が凝縮しているのは、筑波大附属駒場と灘の詩の問題です。

★読書の時にこんな分析をしながら読むのは、楽しくないので愚の骨頂ですが、中学入試問題のトレーニングを通して、5つの目が開くと、無意識のうちに読書は多角的視点、複眼思考で楽しめるようになります。IBの日本語は、実はこの5つの目が必要です。

★読書体験→中学入試コミュニケーション→論理的・批判的・創造的読書へと発展するとすてきですね。作文→中学入試コミュニケーション→論理的・批判的・創造的編集へも同様です。

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