探究と教科授業の結合って、遊びと科学の結合ということ?➌NVCとCOD かえつ有明の今の土台
★かえつ有明が、高校プロジェクト科1クラスを立ち上げたときに、佐野先生(現副校長)、金井先生(今は東大大学院博士後期で研究しながら同校の講師も)がその立ち上げスタッフとして勤務することになりました。もう10年くらい前の話でしょうか。そのとき、学校改革というわけではなく、アップデートをはかったのが、NVC(ノン・バイオレンス・コミュニケーション)という人間関係を創ろうというところから始まりました。
★まだまだ客観性というのがどの学校でもベースになっていた当時でしたから、生徒1人ひとりの主観性を大切にする、つまり生徒の立場にたってコミュニケーションをするなんて抵抗もあったかもしれません。しかし、その客観性はときとしてVCになっていることに教師は気づかず生徒は委縮したり、傷ついたりしていたことに、先生方が気づき始めたのは、佐野先生と金井先生が、先生方1人ひとりと対話しながら、同時に長時間のNVCワークショップを外部の方と連携して行い続けたからでしょう。
★このNVCのワークショップは、ワールドカフェやOSTの方法にも似ています。オープンマインデッドネス(開放的精神)がベースです。ただ、佐野先生と金井先生は、強烈にエンパシーを重視していて、共感的コミュニケーションや心理的安全性そのものを生み出すことが当時は重点が置かれていました。
★ですから、問題解決をゴールにしたい教師とはしばらく議論が絶えませんでした。共感的コミュニケーションの総論は同意するのですが、目的が明快でないことに対する見解の相違というやつです。競争的受験市場にあって、現実的ではないと。
★共感的コミュニケーションとか心理的安全性、要するにNVCは、好奇心、開放的精神、疑問というCODという科学的発想の泉ですから、実は競争的受験市場でも結果的に負けはしないのだという信念と何を言っているのだ偏差値を上げることによってしか大学合格実績は出ないのだという信念のぶつかり合いはしばらく続きました。
★しかし、NVCvsVCの勝負は若い先生方を中心にNVCの広がりをつくっていきました。すべてのクラス、教科でアクティブラーニング型授業がサーッと広がってい行ったのです。そして、VC信念を持ちながらも共感的コミュニケーションは大事だとする先生方は同校を去り、なんとかえつ有明がそうだったように新しい学校で大活躍しています。
★ただ、世の中は、教育における人権の重要性が前面に出てきたので、ハラスメント撲滅は今更ながら当然の流れになっています。もはやVCは受験生・保護者には受け入れられないので、新しい学校にシフトした先生方は、共感的コミュニケーションを前面に表現しています。
★表向きでも、まずはそういう流れで学校教育全体が共感的コミュニケーションを前面に出し、その背景にかりにNVCがなくても、VCを抑止するリーガルマインドが広まれば、それはそれでベターであるということでしょう。
★しかし、できれば、共感的コミュニケーション/NVCという氷山モデルであって欲しいと思います。このEC/NVC氷山モデルは、結局CODになるからです。私は、このCODを思考コードにして偏差値も含みますが、多元的なエンパワーメント視点を首都圏模試の山下さんや工学院の田中歩先生などといっしょに創って普及していますが、佐野先生と金井先生から見ると、それはまだVCだということのようです。
★お二人とはとても仲よし(と私が思っているだけですが)ですが、システム思考に対する考え方が、お二人はSELよりだし、私はメタローグよりという違いがあります。暗黙知に対するアプローチが違うのかもしれません。暗黙知>形式知と暗黙知↶形式知という違いかもしれません。どちらに重きを置いているかという考え方と循環という考え方。ピーターセンゲとドネラ・メドウズとの違いかもしれません。
★不等号と循環記号の微差異が心地よい関係なのかもしれませんね。=なのか≠なのか≦なのか↶なのか・・・・関係性の捉え方はメンタルモデルを規定します。
★共感を得やすいのは、<という重みづけの明快な違いを示す信念です。循環はどっちつかずに思われ、受験生や保護者には不安というゆらぎが生まれるわけですね。
★さて、未来の方程式はどうなるでしょう。ラッセルの階型理論もパラドクスをア解決できたわけではないので、ロジカルシンキングだあとか言っていてもものの本質にたどりつかなそうです。。。
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