続々工学院の魅力 2つの好奇心 体験デザインの多角的視点と問い生成デザイン
★昨日、ノイタキュード代表の北岡さんが、工学院の2人の先生の対話を撮影するというので、Zoomで立ち会わせていただきました。工学院は対話に満ちているので、その雰囲気を動画編集しようというコンセプトの撮影です。すでに、本ブログでも中野校長と田中歩先生(教務主任)の対話、生徒の皆さんの対話、その様子を見守っている宮井先生、それら全体を優しい眼差しでサポートしている奥津教頭のお話は紹介しました。
(左から片瀬先生、柴谷先生)
★今回は、家庭科の片瀬先生、保健体育科の柴谷先生との対話篇でした。以前から私もお二人の先生と対話はしていて、その時から授業において興味と関心を生徒が抱いていない場合、どのように自分事になっていくのか、その授業デザインについて話しているのをよく耳にしました。
★その問題意識は今も変わっていないのですが、興味・関心について2つのタイプがあることを明確に認識されていたこと、体験に対する考え方が深まっていたことに、そしてそれに伴い、その都度授業デザインが変幻自在に変わっていくことに喜びを感じている(生徒1人ひとりの成長が違うから)お二人の先生の対話の姿に感動しました。
★家庭科も保健体育も、身体知を豊かにする教科です。非認知能力とかEQ(IQによく対比される心の知能指数)を家庭科やスポーツ科学の知識や技術という道具を介しながら豊かにしていく教科なのだということが伝わってくる対話篇でもありました。
★体験はたしかにとても重要なのですが、教科書に書いてある実習や実技を追試するだけでは生徒の好奇心を生み出すことができないと。体験はなんでもすればよいというものではなく、生徒の内面で何が動いているのか察知しながら、その動きをさらに刺激できる体験にその都度つくり変えていく行く必要があるのだと。
★さらに、好奇心や興味はその時生まれなくても、きっとどこかで開花するなあというタイマー付きの好奇心でもよく、むしろそういう種を生徒が内面に自らまいていく体験を仕掛けることが大事なのだと。そのためには、教師として卒業生を送り出すことで、その勘が養われるのではないかということのようです。
★そして、当然その好奇心や興味・関心が生まれる時、生徒自身は問いを生み出します。初めから全員が自走できるわけではないので、片瀬先生は、ナッジする問い(たとえば、それはどう?どうするの?それもよいし?)を投げかけているようです。まるで哲学対話です。
★柴谷先生は、授業を冒頭で、身近な問いを生徒に投げかけるのですが、たとえば、先生自身が薬剤師から手渡された処方箋を見せて、何がわかるのか?と。薬から身体のどこを健康にするのかわかるし、そのためにはどんな成分が必要なのかまでわかるわけです。もちろん、処方箋の取り扱い方も重要です。なぜこの薬は食前なのか食後なのか重要な順序です。
★当然、愛する柴谷先生のことを気遣うだろうし(柴谷先生はそこはまったく仕掛けていません)、生徒自身薬を出されたときに処方箋を見るようにもなるわけです。これは好奇心や興味・関心が湧き出していることだし、自分のキャリアについていつか考える種でもあるかもしれないと。
★それから、処方箋は一つの例で、それが写真であっても、社会課題であっても、直面した物事をどう自分事として捉え思考していくのか、その方法も養われているのです。私は、これを思考のコンセプトレンズと呼んでいますが、このレンズが確かに養われています。それは生徒の皆さんの時に感じましたが、なるほどこのような授業で養われているのだとつながりましました。
★お二人の先生の対話から、体験そのものの信頼性・正当性・妥当性を考える視点を学べました。また問いにもいろいろあるし、生徒が自ら生み出すことで好奇心や興味・関心が豊かになることも。問いとは物事を知ったり、解明したりする道具であると同時に、好奇心や興味・関心そのものであるという新たな発見も出来ました。
★一回一回の授業を、生徒1人ひとりの内面を洞察しつつ、しかもそれを瞬時に共感し、生徒を変えるのではなく、生徒が自ら変わる環境を創意工夫している先生方がたくさん工学院には存在しているのだと改めて感動しました。この先生方の存在こそ工学院の大きな魅力の1つなのだ!と。
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