学校づくり委員会の対話
★東京私学教育研究所のスタッフがサポートする研修委員会は、たくさんあります。各学校から有志の先生方が集い委員会を形成しています。どの委員会も最新の教育関連情報や最前線の私立学校の授業ケースにアンテナを張り巡らし、東京の私学の先生方が共に学ぶ有意義な機会を作っています。
(イラストはBingが作成)
★その中で、学校づくり委員会という委員会があります。毎月一回土曜日に集い、対話を行っています。8月は、初任者研修の委員の先生方と協力しながら、その前後で対話をしています。
★興味深いのは、私立学校の教育の本質的な部分を、最新の情報から見たり、その本質的な部分から最新の情報を見通したりする対話が行われていることです。
★教育は、政治や経済、行政、国際情勢とは無縁ではありません。第一、学校現場の制度の中で最も幅を利かしている学習指導要領自体が、世界の教育のリサーチを経て、日本流儀になじませる形で作成されています。そのルーツを調べないで、学習指導要領の文言だけを正確に読み取ろうとして解釈や理解をしているだけでは、芯がわからないので、梯子の推論になりかねません。
★そこで、教育社会学、教育心理学、言語学、法哲学、文化人類学、リベラルアーツ、プログラミングなど多角的な角度から文献リサーチと現場での実験や多くの学校の先生方及び大学の先生方と対話をして自分たちの実践している教育を常に検証しているわけです。
★自分たちの教育への問いかけやジレンマは、どこかからきているのか、その正当性、信頼性、妥当性についていつもぐるぐるリフレクションしているのですが、そのリフレクションダイアローグが学際的に行われているのが学校づくり委員会の存在意義だと時々参加して感じ入ります。
★委員の先生方は、月に一度集まるために、互いにSNSなどで連絡し合いながら、密に対話をしています。その過程の中で毎月の個々人のミニテーマを見出して、小論文よろしくペーパーを書いて、それを対面で集まったときに、議論するわけです。
★1つのテーマを1年追究していくというわけではなく、それぞれのテーマがやがて一つのテーマを生み出すというプロセスをたどっているようです。
★それぞれの委員の先生方は、それぞれの現場での体験をベースに抽象化して世界との接点を見出す見識を持っていて、学校づくりとは、流行を取り入れることではなく、本質を時代の精神とどのように折り合いをつけて再現再生するのかという方向性のような気がします。つまり、人間の根本的で日常の中で忘却されてしまいがちな大切なものが新しい時代のツールや考え方と出会って、再び覚醒するかのような対話システムが成り立っています。
★本質はつかもうとしてもつかめません。常に何かのモノやコトの背景にあるシークレットライフのようなものです。
★この学校づくり委員会の先生方の対話に立ち会う度に、まるでランディ・パウシュ教授のような頭の回転、視野の広さ、ユーモアに満ちたあり方、ダイレクトな考え方にインダイレクトな考え方を担保しておく余白を持つ余裕を想い浮かべます。しかし、ランディ・パウシュ教授を支えているのは、TEDで公開して皆初めて気づくわけですが、壮絶なものです。この劇的な生き様をかくもウィットに富んだ生き方として表現する教授のあり方にいつも畏敬の念を抱きます。
★私立学校の先生方は、概ねこのような生き様をしているのに気づき、まさにこれこそAwe体験なのだと思う今日この頃です。
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