Awe体験ができるキャンパスが重要な訳 成城学園のキャンパス
★東洋経済ONLINE2020/11/05 9:00の記事「大自然に触れた人の脳が驚くほど活性化する訳 ちっぽけな自分を感じ利他的に動きたくなる」は脳科学者岩崎 一郎先生(医学博士)が書いています。岩崎先生は、大草原や大海原、あるいは星空など、自然を前にして圧倒される経験のことをAwe(オウ)体験として紹介し、このAwe体験が人間のセルフレスや創造性を豊かにすると語っています。そして、大脳皮質のうち特に島皮質が関係していると。このAwe体験をもちろん知っている私はすぐにfacebookに投稿しました。すると同じくAwe体験を大事にしている成城学園の広報部長青柳先生は、この記事に共感を示され、コメントを書き込んでくださいました。
(写真は成城学園のサイトから)
★青柳先生が共感されたのは、もちろんご自身生徒と共に山々を登頂する教育実践家でもあるからでしょうが、それがオール成城学園の教育の通奏低音として響き続けているからだとふと思ったのです。
★そして、サイトを検索して調べてみようと、同学園サイトを開いてみました。するとすぐに上記の写真が目に飛び込んできました。なるほど!と感動。というのも、このエントランスの階段は、大自然を呼び覚ます空間だと思ったからです。
★おそらく、階段を登らなくても、校舎に入れるようになっているはずですが、あえてこの階段を設計したわけです。このような階段や丘の上の私立学校は、登下校の時に大自然の息吹を覚醒するようにアフォーダンスされているのだと気づいたのです。
★イサム・ノグチの二つの庭園を見ればそれはわかります。1つはたとえば、パリのユネスコの日本庭園、もう一つは札幌のモエレ沼の庭園。両方ともイサム・ノグチの設計です。前者はいわゆる日本庭園風のモチーフですが、後者は完全にイサム・ノグチの彫刻で編成されています。前者は自然とイサム・ノグチのアイデアの融合ですが、後者はイサム・ノグチのアイデアが前面にでています。ピラミッドのような彫刻というか小山、プレイランドというなだらかなスロープを上り下りできる平たい広大な台形型の平原など。
★イサム・ノグチは、これらの作品は人々が歩いたり触れたりしたとき、はじめて彫刻は完成すると考えていました。多くの人のクリエイティビティが響き合うからでしょう。つまり、多くの人の島皮質が活性化する空間ということです。
★Awe体験の特徴として、岩崎先生は、アメリカ・アリゾナ州立大学のシオタ博士の研究を引用して、次のようなことを挙げています。
①マインドフルネスを行ったように、何ごともありのままに受け取ることができるようになる
②心と身体をリラックスさせる
③好奇心を引き出す
④人と心のつながりを作る
⑤利他の心を引き出す
⑥身体を健康にする
⑦創造性を引き出す
⑧希望に満ちた状態になる
⑨幸福感が高まる
⑩嫉妬心など、ネガティブな感情が少なくなる
★良いことばかりですね。もちろん、過ぎたるは及ばざるがごとしですが、基本セルフレスや創造性を生み出す島皮質に良い影響を与えるというのがAwe体験であるという脳科学の成果は、実感として合うような気がします。
★こうして考えると、リアルな自然体験の重要性が明快に科学的に裏づけられるし、Awe体験を覚醒するキャンパスの設計デザインもまた大切であるということになりそうです。
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