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2023年9月 5日 (火)

教育における人的資本

★ノーベル経済学賞を受賞したゲーリー・ベッカーの「人的資本」論が、今になって企業で広まっています。1960年代に「教育投資」とか「人的資本」とかなどの概念をうくり、現実的な人間の生活を分析していったようですが、新自由主義の系譜だとか言われ、日本の学校ではあまり人気がなかったかもしれません。しかし、今や「人的資本経営」「人的資本開示」「人的資本マネジメント」とかいうキーワードで著作が山ほどでています。

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★ベッカーの研究は、私が生まれる前から行われているので、やはり同時代に提唱されたソロー・スワンモデルの延長上の内生的経済成長論を現代化したポール・ローマ(ノーベル経済学賞受賞者)の考え方にまずは興味がありました。ローマとは同世代ということもあるでしょう。

★しかし、経済学は難しく、直観的にしか理解していません。ただ、21世紀型教育における生徒の才能を生み出す教育のアイデアとシンクロするのではないかとは思っていました。

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★すると、2016年にベストセラーになった「ライフシフト」を読んで、やはりこれだなと感じたのですが、そこで語られているVICAの時代に対応する生き方「ライフシフト」はその前提に「無形資産」を大事にしろというのがあるのです。これこそ内生的成長のエネルギーかなと、これもまた直感的に感じ、21世紀型教育はこれでいこうと。

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★「無形資産」は自由で公平な議論ができる対話関係をつくりだす教育環境デザインが生み出すのだというのが、21世紀型教育の私の基本的な考え方です。かつて勤務していた学校でも、対話関係を、教師間、教師と生徒、生徒と生徒、教師と保護者・・・の間に満たしていこうとをしただけです。制度的人事とか働き方改革などはそのあとでいくらでも柔軟に生まれてきます。

★対話関係が満たされた結果、各人に「無形資産」が暗黙知的に蓄積される。それを言語化や図式化や数式化などしていくのは、各人の得意不得意があるので、得意な表現方法をいっしょに対話をする。それが基本的なキャリアデザインだと思っています。

★人的資本と言うと、自分で勉強して蓄積しろと言う自己責任論に結びつけられがちですが、対話関係が基本いないと生成できません。その阿知波関係をビジネスにしてしまうのが企業ですから、そのような誤解を生むのかもしれません。しかし、学校における対話関係は、ビジネス以上の人間存在の意義そのものにかかわるものなのです。

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