哲学対話のコンテキストレンズ 中学入試・総合型選抜・IBのDP・Aレベル・APなどを貫く
★昨日ご紹介した土屋先生の哲学対話のワークショップ。土屋先生はWSの中でQワードカードを活用されなかったようです。資料には紹介されていたのです。おそらく、国語科の専門委員の研修だったので、使う必要がなかったのだと思います。
★Qワードカードというのは、土屋先生もかかわっている「NHKのこどものための哲学」という番組で活用されているものです。子どもたちが哲学対話をしてちょっと詰まったり、堂々巡り(ポイントレス)になったとき、ワードカードを使ってみようかということになるわけです。「もし~だったら?」どう?とか「なんで?」とか「立場をかえてみたら?」とかファシリテートするわけですね。
★国語の授業で文章読解をするとき、先生方は暗黙知としてこのQワードカードにある問いを生徒に投げかけています。試験問題を作成する時も、自動的にこのクエスチョンがでてきます。小論文を添削したり、編集の方法を指導する時もこのクエスチョンは自動化されていますね。
★もし生徒が、このクエスチョンを暗黙知化し、読解や小論文作成の時に自在に使えたら、高い言語能力を持っていると評価されるでしょう。
★そして、この11のQワードカードは、中学入試の国語にも役に立つし、総合型選抜の志望理由書や小論文でも役に立ちます。IBのDPにあるTOKや国語でもそうですね。AレベルやAPテストでも同様です。
★ただ、高校段階ですから、この11のほかに、ジレンマとパラドクス、メタファーは付け加える必要があるます。
★これを加えた14個のワードカードのことを私はコンテキストレンズと呼びたいと思います。思考のコンセプトレンズはもう少しメタなのですが、コンテキストレンズをリフレクションすることで、メタ認知的次元とベタの領域を往還できます。
★教員試験などで優秀な教師は、このコンテキストレンズを暗黙知として自在にこなせるわけですが、授業で、このレンズを生徒と共有し、生徒が自分のものにし、思考の自己組織化ができるように育成できるかどうかはまた別の問題なのですね。
★アスリートで、名プレイヤーでも、名コーチになれるかどうかは、また別問題なのと同じです。
★哲学対話を、いろいろ哲学問題で、重ねていくのは、その回答というコンテンツを作成することももちろん大事なのですが、未知の問題に対し、コンテキストレンズを自在に使えるようになるかのトレーニングでもあったのです。それと未知の体験をしてときに新たな問いを発見するトレーニングでもあったのです。
★よく教えない教師とか、ファシリテーターであることが大事だといわれることがありますが、これは教師がコンテンツについて説明し続け、それを静かに聞いている生徒という関係から、コンテンツをコンテキストレンズを使って生徒が思考や感性を豊かにしていく様子を見守り、コンテキストレンズの出来具合をエンパワーメントエバリュエーションしていく関係にシフトしようというということでしょう。
★エ~ッ!?そんな簡単なことと思われるかもしれません。しかし、このコンテキストレンズを思考コードに配置してみると、なかなかすごいでしょう。そして、意外と、ふだんの対話で、もし~だったらとか、他の立場でとか相手の立場でとかなかなか意識できていないことに気づきませんか。
★いろいろな学校のトラブルは、意外と教師と生徒の対話のコンテキストレンズの共有ができていないことによる場合が多いのだと私は思います。来年4月から合理的配慮が義務化されますね。合理的配慮は、共感的コミュニケーションをベースにした信頼関係をつくれるかどうかにかかっていると言われています。
★愛情だと思っているのが、相手の立場に立つと真逆だったりすることもあるわけです。コンテンツの共有の背景には、豊かなコンテキストレンズの成長が並行進化する必要があるのではと思っています。言うは易いですが。。。
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