私学教育の市場を多角的に考えていく時代
★私立学校の教育は、教育の魅力と教育の経営の両輪で成り立っているのは言うまでもない。したがって、助成金をもらいつつも、市場の原理を無視することはできない。公立学校の教育も、中等教育学校の適性検査や高校入試があるわけだから、相対的に動きは小さいと言えども、市場の原理を無視できない。とはいえ、市場の主導権を握れるかどうかという点では、私学と公立とでは違いがある。したがって、ここではあくまで私立学校の教育の市場に関して妄想する。
★市場を構成するプレイヤーはたくさんあるが、ここでは、影響大の4つのプレイヤーで現状の4つのシェア関係の絵を描いてみた。「私学教育」「インターナショナル教育」「グローバル教育」「中学受験」が4つのプレイヤー。
★インターナショナル教育とグローバル教育がどう違うかは今後述べるとして、差異があるということだけここでは確認しておきたい。この差異が現状では無視されているので、受験生・保護者が学校選択の時にミスマッチングを行ってしまうことがあり得る。
★また、中学受験市場と私学教育における中学入試市場も差異があるのであるが、入試の時点でのその差異は見えない。それぐらい私学自身が中学入試市場を大胆に創出していないということである。
★それが入学後になると、中学受験市場の影響シェアは小さくなる。広告や学びのセミナーのサポート事業をするも、それはむしろインターナショナル教育市場やグローバル教育市場の学びのサポートや研修が圧倒している。
★何より、教育の中身については私学が圧倒的に主導権を握っている。
★しかし、私学の経営の資産を決定づけるのは、入試市場においてである。ここでは主導権を握っていないため、中学受験市場の煽りを受けて、その影響が教育内容に及ぶこともある。
★グローバル教育をやろうとすると、それに対し、受験市場側がベガティブな声を上げる時もある。宗教教育を行っていると、宗教をやめたほうがいいとまで圧力をかけてくるプレイヤーもかつていたぐらいだ。
★総合型選抜をやっていたり新タイプ入試をやっているとやはり同じような声が聞こえてくる。総合型選抜や新タイプ入試は、実は私学教育が主導できる市場創出ではあるので、中学受験市場にとってはうまくないということもあるので、感情的になるのであろう。
★というわけで、現状の私学を巡る市場のプレイヤーのシェアをどうするか考える時がやってきたのである。少子高齢化、日本の経済基盤のシフトなど、現状の市場がこのままでいくわけはないので、私学の教育の経営基盤をどうするか、それにともなってシン市場における魅力をいかに反映するか教育内容も変わらざるを得ない。
★教育の変化は、学内の問題というより、市場変容の問題と受け止める時代がやってきた。
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