法学部離れの意味するコト
★大学ジャーナルONLINE2023年8月7日、小林哲夫さんのこんな記事が掲載されています。「大学ランキングからはわからない大学の実力」がそれです。東大は学歴社会の頂点のポジショニングをとっていて、隆々たるものと世間では思われているけれど、中身は変化が起きていますよと。だからといって、東大のポジションが変わるわけではないのですが、東大といえば文Ⅰ、理Ⅲだけれど、文Ⅰの志望者が、文Ⅱ・Ⅲにひっくり返されそうだと。
★その理由は、日本社会における法学部離れなのだということが小林さんのたぶん眼目で、法曹界や国家公務員が手薄になると日本社会はどうなるのかという不安社会の到来がやってきたということなのかもしれません。
★確かに当面はそうですが、司法試験の受験者数は2011年ころから減少し始めています。新しい司法試験制度が問題だと騒がれてもいました。東大のシンフリの段階で、文Ⅰから法学部に進むのが90%を切るのが2012年からのようです。
★実は、このころ東京の私立学校で21世紀型教育が産声をあげ、欲望の資本主義や古い近代国家観が揺らいでいる中で、未来社会を生徒たちが将来創っていけるような知と感性とイノベーションやアントレプレナーシップなどを生み出すシンリベラルアーツシステムを創るダイナミズムが起きています。
★教育ジャーナリストの多くは、社会学や文化人類学の視点からそのような私立中高一貫校の動きを見ませんから、大学合格実績の推移や出願数の推移などのデータのみで、教育を語ります。VUCAのような社会の動きを画一的にとらえる社会の変化を表す定型的言説はかたりますが、それらのデータとの結びつきをあまり分析しません。
★数字が急激にあがったら、加熱だといってネガティブにたたくし、下がったら不安を煽ります。不安社会であることが彼らにとって大事なのかもしれません。
★わかりやすいデータを使って、推論の梯子を行ってしまうものだから、真摯に教育の質を磨いている私学の教師一人一人の努力や情熱に水をかけます。もっとも私学人はそんなことに動揺はしませんが。ただ、受験生やその保護者は不安になりますよね。だから、まずは、私立学校にダイレクトに足を運んでいただき、対話をしていただきたいのです。
★生活というのは、生きるというのは、ミクロの中に神が宿るものです。粗野な一般化されたデータは、時代の背景を読み取るには参考になりますが、生きるということは、いまここに未来を見出すことです。
★法学部離れとか、国家公務員離れというのは、今のままなんとかする対症療法ではなく、かといってゆうくりではなく、すみやかに根本的な課題を明快にして、解決していくことでしょう。しかし、制度的解決は時間がかかりすぎます。2050年に解決するには、今の中高生がそのときに活躍できるように才能を開発し、イノベーティブな道具やスキルを実装できるような教育を実行することです。
★時間がかかりすぎるではないかと思うか、わずか25年前後の速さで変わるのかと思うかは、それは考え方の違いに過ぎないでしょう。
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