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2023年7月 1日 (土)

筑波大学の入試改革の影響②果たして大学入学スケジュールを変更できるのか?学生広報活動ではなく学生募集戦略という学問的視点へ。

★筑波大学の一般選抜の大胆な改革の話は、私の周りの盟友たち(といっても100人くらい)にとっては、いい傾向だという認識があるのですが、一方でスケジュールがなかなか難しいかなと但し書きがつくわけです。彼らが語るスケジュールをざっくりまとめてみました。もちろん大学個々によるので、一例にすぎませんが。

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★たしかに、共通テストと面接と小論文で一般選抜を実施するとなると、アナロジーとして米国大学の話がでてきます。しかし、米国の場合、9月大学がスタートする場合、1月から2月に出願して3月から4月(5月になる場合もあります)くらいまでに合格の連絡がくるわけです。極めてたっぷり時間をかけているわけです。

★それがバタバタと2週間くらいで合否を出す国立大学では、米国型の大学入試スタイルは難しいのではないかというわけです。

★国立大学の場合、総合型選抜でも、3,4カ月かけるわけですから、一般選抜の方式を共通テストがあるとはいえ、1カ月もかけられないのに、米国型や総合型選抜のような入試スタイルは現実的かどうか。

★少なくとも共通テストを12月に行い、2月上旬に一般選抜をやるということにしなくてはとなるけれど、そんなことができるだろうか。ことは、国立大学の一般選抜の入試日だけの問題だけでは済まないのだからと。

★だから、これは国立大学の中でも推薦入試の十分な実績がある筑波大学の特有の話で、国立大学全体に影響はしない。でも、中高の現場は、これによって、明快に教科学習と探究の時間の相互関係をどうすべき議論や開発が続くのは必然の流れなのだと。基礎学力と才能開発は両方必要になるのだから。

★なぜなら、筑波大学の今回の話は、学生募集のエンロールメント・ストラテージの話で、いわゆる学生応募広報活動の話ではないのだというわけです。彼らが言うには、日本だけ見ていると、学校広報活動は量の問題になってしまう。学生募集戦略は、世界では学問になっていて、ビジネスのマーケティングの話で終わらない。というより、マーケティングだって本来学問で、よく理屈じゃないとか質より量だとかいう、マーケティングは、世界標準ではないでしょうと。

★いちいち学問だなんて、あれっと思いますが、あらゆる行動が、学問として取り扱われているのが、海外大学の市民社会と結合している姿なのだと。なななるほどオっ。。。

★偏差値の話の問題は、一握りの数の学生の能力だけが日本社会や世界で活躍するような幻想を作り出すところなのだというわけです。たしかに、東大、京大、東北大学、東工大、一橋大学、京都大学などに進むメンバーだけが世界をつくているわけではないですよね。それ以外の国立大学の学生も活躍しているわけです。

★筑波大学に入学する学生の大部分は、偏差値輪切りの受験システムを通してくるわけですが、才能はそのふるいにかけられていないわけです。おそらくスルーされているでしょう。しかし、アンコンシャスバイアスがあって、学生自身が偏差値学力=才能だと思っているのが現状です。

★少子高齢化であっても、一学年まだまだ80万人くらいが5年後移行続くわけです。シンガポールやフィンランドなど全人口が600万人いかないのです。日本は13歳から22歳の年齢人口は800万人以上いるわけです。

★この年齢層の才能開発をすることが、日本のネガティブなイメージの社会を払拭することです。東大は東大のやり方で才能開発すればよいし、筑波大は筑波大のやり方で才能開発すればよいわけです。入学の際、それぞれアンコンシャスバイアスが、学生を覆っています。しかし、そのバイアスは、各大学によって違います。もちろん個人によって違います。

★ですから、社会的メンタルモデルと自己メンタルモデルは相互に影響し合っていますが、面接や小論文は、その両方を見つめ、自己変容することが可能な機会をつくることになるでしょう。

★その筑波大モデルができることは、もしかしたら、日本の生徒や学生にとって希望であるかもしれません。東大レベルの受験対策を実施している教師や塾の先生方にとっては、東大が筑波大モデルを採用しては困るでしょうが、東大はすでに推薦入試と外国語学校卒業者入試のシステムを構築して東大モデルをつくっているので、採用するはずがありません。何も心配する必要はないのです。東大を合格させるための受験対策は、今まで通り行えばよいだけです。

★ただ、それは3300人の生徒のお話です。現状まだ高校3年生は100万人はいますから、0.3%の生徒の話です。0.3%の生徒の学びのモデルを100万人にかぶせる必要はないのです。100万人がそれぞれどのようなハッピーな人生を進むかは、それぞれです。国立大学がそれぞれの大学の特色をスケジュールや文部行政の枠の中で創意工夫するのは、大いに結構ではないかと思います。

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