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2023年7月11日 (火)

身体知が重要な時代になった

「幼児期の体験が形成する身体知は未来の創造的思考に大きな影響を及ぼす。」のつづきです。近代教育は、だんだん子供や女性をリスペクとするようになってきましたが、19世紀末は、まだまだ男性中心社会だったことは、今や説明するまでもないでしょう。封建社会から近代社会に移行する時に、まず男性がそれまでの格差で、つまり生まれや血筋などで、固定的になってきたポジションから、自由・平等・友愛理念で解放される運動が起きました。

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★立身出世なんて言葉の意味が、明治以降今私たちが理解するような意味にシフトされたことでも了解できます。この固定化された階層から解放されるには、知識や技術の優劣でポジションを勝ち取ればよかったわけです。明治時代の政府の教育のコンセプトは優勝劣敗です。いまもまだ勝ち組負け組なんて言葉や意識が残っていますね。

★しかし、優勝劣敗は、階層構造を作るという点では、近代の理念には反していました。近代の現実は、格差やそれを生み出す資源奪取戦争などが重なり、かなり凄惨なものになりました。しかし、1972年の「成長の限界」が世に出て、ようやく2015年以降、その理念がSDGsに結実してから、格差をなくすことや資源の使い方を考える時代がやってきたのです。ようやくレイチェル・カーソンの(SoW)センス・オブ・ワンダーを大事にしようと。たしかに、一方で凄惨な事態は起こっているのですが、それを放置せずになんとかしようと。もちろん、まだまだ足りないのでしょうが。

★いずれにしても、このSoWこそ、身体知のベースになっているものです。この身体知は幼児期にほとんど一生分ができると考えた方がよいと思います。優勝劣敗型学びによる受験勉強型成長は、身体知にかかわりなくいけるのですが、今やAI時代。その成長は果たして人間の成長と言えるのか疑わしくなっています。

★プロジェクト型学習が盛んになってきていて、自分の身体知を才能という形式知に変換する新しい教育が、小中高大で連綿として生まれてきています。

★幼児期の身体知が豊かで善であればあるほど、プロジェクト学習が引き出し開花する才能は社会貢献型イノベーションを生み出すでしょう。

★もちろん、身体知は1人ひとり違います。豊かであるかそうでないかの基準は今のところわかりませんが、身体知を形成することに影響する原体験については心理学の中でも昔から重視されているし、そこで直面してしまったトラウマが、その後の人生に相当影響を与え、そこから解放されるために心療内科や精神分析などが研究を続けているのは、やはり身体知を豊かにし善なるものに最初から形成する環境を設定しておくことが大切だということを示唆しているのではないでしょうか。

★モンテッソーリ教育やレッジョ・エミリアの教育、イエナプランなどが注目さてきたのも、そのような考え方があるのではないでしょうか。

★それを分析的に証明しようというのは、専門家に任せ、私たちは、豊かで善なる身体知をいかに形成するか実践あるのでみです。もっとも、私が幼児にかかわれるのは、今や孫だけですから、実際には、信頼すべき幼児教育を実践している内田真哉先生谷口梨花先生にお任せするのが一番なのです。

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